Google アドワーズのスマートディスプレイキャンペーン(SDC)で「コンバージョンに対するお支払い(Pay for conversions)」が追加され、入札戦略として「目標コンバージョン単価」を使用する場合に限り、支払い対象に「クリック」だけでなく「コンバージョン」も選択できるようになりました。
支払い対象に「クリック」を選択すると広告がクリックされるたびに費用が発生しますが、「コンバージョン」を選択すると広告をクリックしたユーザーがコンバージョンに至った場合にのみ費用が発生します。
参考:コンバージョンに対するお支払い – AdWordsヘルプ
スマートディスプレイキャンペーンは、Googleの豊富なデータを用いた機械学習の技術を活用して、ディスプレイ広告の入札・ターゲティング・クリエイティブ生成を自動化できる機能ですが、本当に成果が出るか不安で配信に踏み切れていなかった広告主の方は少なくないかもしれません。ただ、今回紹介するコンバージョンに対するお支払いを利用すれば、より少ないリスクでスマートディスプレイキャンペーンを試すことができそうです。(現状は一部のアカウントより徐々に実装しているようです。)
参考:Google アドワーズにおいてスマートディスプレイキャンペーンがローンチ
目次
コンバージョンに対するお支払いの要件
①過去30日間にアカウント内のコンバージョン数が100件以上
コンバージョンに対するお支払いを利用するには、過去30日間にアカウント内で計測されているコンバージョン数が100件以上である必要があります。
ビジネスモデルによっては、この条件を満たすのが難しいケースも少なくないと思います。そのような場合、そもそもスマート自動入札(コンバージョンを目的とした自動入札)の導入が難しいため、本来のコンバージョンからハードルを下げたマイクロコンバージョンを目標として定めるなどして、まずは十分なコンバージョンのデータ量の確保を検討するのをオススメします。
参考:Google アドワーズのコンバージョンを目的とした自動入札を導入しない方がいい4つの状況
②90%以上のコンバージョンが広告のクリックから7日以内に発生
コンバージョンの90%以上の広告がクリックされてから7日以内に発生している必要があります。もしこの条件を満たしていない場合は、コンバージョンに対するお支払いを設定することはできません。
Google アドワーズの管理画面より、上記の手順でコンバージョンまでの日数が分かりますので確認して計算してみましょう。
コンバージョンに対するお支払いを利用する際の注意点
指定できるコンバージョン単価の上限は200ドル
コンバージョンに対するお支払いを利用しているスマートディスプレイキャンペーンで、広告主が指定できる目標コンバージョン単価の上限は200ドルです。※日本円換算の上限については2018年4月現在、公式の発表がありません。
もし目標コンバージョン単価を200ドルより高く設定した場合は、目標コンバージョン単価は自動で200ドルに設定され、コンバージョンが計測されるたびに発生する費用も200ドルになりますが、広告管理画面上の目標コンバージョン単価の表示は200ドルより高い金額のままになるので注意が必要です。 そのため、200ドルを超える獲得単価で広告を運用しているアカウントだと、配信ボリュームが想定よりも伸びない可能性が考えられます。
ただ、200ドルを超える獲得単価の商材だと十分なコンバージョンデータが確保できないケースも多いため、最適化に必要な"量"を確保できるようマイクロコンバージョンの設定を検討したいところです。
一部のコンバージョンは自動入札の最適化に使用されない
コンバージョンに対するお支払いを使用しても、自動入札の最適化は、クリックに対するお支払いを使用した場合と同じ仕組みで働きます。ただし、コンバージョンに対するお支払いの場合は、オフラインコンバージョン、AdWordsコンバージョンのインポート、デバイスをまたいだコンバージョンは自動入札の最適化には使用されないため、注意が必要です。つまり現時点では、アドワーズのタグベースもしくはアナリティクスの目標とトランザクションのインポートのみが最適化対象となります。
※2018年4月25日追記:
デバイスをまたいだコンバージョンのうち、「ディスプレイ キャンペーンのクロスデバイス コンバージョンを含める」が有効な状態では「コンバージョンに対するお支払い」は設定ができません。
2018年4月現在では、従来の管理画面でのみ設定が可能です。上記の方法で設定を確認できます。
予算に関しての仕様が通常のキャンペーンと異なる
「1日の予算」設定の2倍の金額を超える可能性がある
Google アドワーズの通常のキャンペーンでは「1日の予算」設定の最大2倍の金額までしか広告掲載が行われることはありませんが、コンバージョンに対するお支払いを使用したスマートディスプレイキャンペーンでは「1日の予算」設定の2倍の金額を超えて広告掲載が行われる可能性があります。
参考:「1日の予算」の仕様とキャンペーン予算の考え方から活用までのスベテ
多くの場合、1日のコンバージョン数はクリック数よりも大きく変動するため、コンバージョンに対するお支払いを使用している場合は、通常のキャンペーン以上に、広告の表示機会が多い日にコンバージョンの獲得を逃さないための仕様です。
請求額の上限は、月中で最も高い1日の予算設定により算出
通常のキャンペーンでは月の途中で1日の予算を変更すると、その月の請求額の上限は「変更前の期間の広告費 + (変更後の1日の予算 × その月の残り日数)」で算出されます。
一方、スマートディスプレイキャンペーンで「コンバージョンに対するお支払い」を利用している場合には、「月中で最も高い1日の予算設定 × 平均日数(30.4日)」での計算となります。
なおGoogleに確認したところ、請求が締まったあとで、期間をさかのぼって費用が発生することはなく、課金対象外となるとのこどです。
また、コンバージョンに対するお支払いを設定しているスマートディスプレイキャンペーンでは、1つの予算を任意の複数キャンペーンでシェアする形で予算の管理ができる共有予算を設定することはできないことも押さえておきましょう。
参考:キャンペーン間の共有予算の管理 – AdWordsヘルプ
コンバージョンに対するお支払いの設定方法
それでは、スマートディスプレイキャンペーンでコンバージョンに対するお支払いを設定する方法を解説していきます。 まず、キャンペーンタブより青い「+」ボタンをクリックします。 ①キャンペーンタイプは「Display」を選択します
②キャンペーンの目標は「販売」、「見込み顧客の獲得」、「ウェブサイトのトラフィック」のいずれか、または「目標を設定せずにキャンペーンを作成」を選択します
③キャンペーンのサブタイプは「スマートディスプレイキャンペーン」を選択します
続いて、キャンペーン名や地域の設定を進めていきます。コンバージョンに対するお支払いは「単価設定」の項目で設定します。 ④重視している要素は何ですか?で「コンバージョン」を選択、または下の「入札戦略を直接選ぶ」を選択します
⑤ ④で「コンバージョン」を選択した場合は、コンバージョンの獲得戦略は?で「コンバージョン数を自動的に最大化」を選択します。④で「入札戦略を直接選ぶ」を選択した場合は、入札戦略で「目標コンバージョン単価」を選択してください。
⑥目標コンバージョン単価を指定します ⑦支払い対象で「コンバージョン」を選択します
あとはターゲット設定と広告を作成すれば、コンバージョンに対するお支払いを使用したスマートディスプレイキャンペーンの作成は完了です。
まとめ
今までアプローチできていなかったユーザーに対しても広告を配信したい!けど、スマートディスプレイキャンペーンは選択肢に入れてなかったという方は、一度自分のアカウントがコンバージョンに対するお支払いの要件を満たしているか、また注意点も問題なさそうか確認してみるのをオススメします。
オフラインコンバージョンなど一部のコンバージョンが最適化対象にならないものの、コンバージョンに対するお支払いにおける自動化の仕組みは、クリックに対するお支払いの場合と変わりはありません。配信にあたっての注意点や要件がいくつかありますが、それをクリアしてさえいれば、スマートディスプレイキャンペーンをより少ないリスクで試すチャンスです。