運用型広告の最上級表現アプローチ

運用型広告の最上級表現アプローチ

広告訴求の一つに、最上級表現と呼ばれるものがあります。「一番売れている」、「世界最小」、「ダウンロード数NO.1」、「地域最安値」、「なんとかランキング1位」、などなど。その種類は実にさまざまですが、一般的には「これがナンバーワンです」と謳う表現を指すことが多いです。

差別化が難しい商品やサービスの場合、「人気があってみんな選んでいる」という尺度は単純に分かりやすく、共感・共有志向の強い日本人に刺さりやすい訴求として、テレビCMやネット広告で目にする機会も多いかもしれません。しかし、明確な裏付けや客観的事実に基づかない最上級表現は景品表示法で禁止されており、それは運用型広告の世界でも例外ではありません。

今日は運用型広告における最上級表現のガイドラインとアプローチについて見ていきましょう。仕組みとルールを理解し、どう付き合い、寄り添っていくかの指針になれば幸いです。ではどうぞ。


最上級表現の定義

まずは最上級表現の定義をおさらいします。

運用型広告や本記事で言う最上級表現とは、「最大」「最高」「最小」「最安」「一番」「No.1」「日本一」「世界初」などの最大級・絶対的表現を指します。変わり種で、「他社のどこよりも凄い」など誇張・比較のニュアンスを多分に含むフレーズも、最上級表現に分類されます。

ここ数年は誤った最上級表現の使い方が原因で、顧客トラブルに発展する事例が多く発生しています。社会問題としてNHKで最上級表現についての特集が組まれたほどです。

節度ある使用方法を大前提に媒体ごとに最上級表現を使用できるルール(ガイドライン)が異なります。誤った使い方をして審査に通らない! といった事態を回避するためにも事前に各媒体の仕様を理解し、それに沿った広告文やバナー、ランディングページを用意しておくことが重要です。

媒体別ガイドライン

それでは最大級表現のガイドラインを、媒体別に見てみましょう。

Yahoo! 検索広告・Yahoo! ディスプレイ広告、LINE広告、TikTok広告は明確に条件が示されています。
特に、YSAで最上級表現をRAS(レスポンシブ検索広告)で表現する場合には、アセットについて以下の条件が必須となる点に注意です。

  • 必ず広告が表示される位置(タイトルなら表示位置1,2、説明文なら表示位置1)に固定すること

Google 広告では、リンク先ページに出典データの記載・リンクがあれば出稿可能です。Facebook広告、Twitter広告は、2023年8月現在、明確な条件の記載はありません。しかし最上級表現自体が不当景品類及び不当表示防止法という法律の元に成り立っています。審査に通るからといって法律違反の出稿をしてしまうと、以下の措置が法律違反を行った事業者に対して下される可能性があります。

  • 措置命令:誤認の排除や再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命ずる
  • 課徴金納付命令:不当表示を行っていた商品・サービスの売上等に応じて課徴金の納付を命ずる

媒体の審査が通るから大丈夫というわけではなく、あくまで法律に則った広告出稿をしましょう。

各媒体で共通の仕様

以上から、どの媒体でも共通で使える「最大公約数としての最上級表現ガイドライン」を考えてみると、以下の2点になります。

  1. クリエイティブの中に第三者機関による出典を記載(調査機関名・直近1年以内の調査年)
  2. リンク先ページに第三者機関による出典・リンクを記載

上記を守り、実際の商品やサービス、または競合他社より著しく優れていると一般消費者に “誤認” をされない表現を心がけていれば、そうそう審査に落ちることはありません。

まとめ

今回は、運用型広告で最上級表現を使う際のガイドラインをご紹介しました。

ナンバーワン訴求を使う場合には、正しいデータに則り顧客に提示する前提を踏まえたうえで、媒体のルールに従った表現方法を取り入れましょう。仮に審査に通って広告配信できたとしても、最上級表現は景品表示法のもと成り立つため、消費者庁から措置命令などの措置が採られる可能性があります。

そもそも最上級表現を本当に使う必要があるか、という視点を持つことも大事でしょう。

例えば、2022年に株式会社マクロミルが行った、「No.1」「ランキング1位」「業界トップ」などと記載した広告(以下、No.1表示広告)に対する消費者の意識調査(サンプル数1,000)の結果は下図です。


MarkeZine 「No.1」を謳った広告、20代の半数が購買意欲に「影響する」と回答/マクロミル調査 より引用

半数以上が最上級表現に対して不快感を抱く可能性があることが伺えます。

ナンバーワン訴求のクリック率やコンバージョン率が物凄くイケている場合や、ブランディングとしてナンバーワン認知を浸透させていきたい場合は、そのまま最上級表現を利用しても良いでしょう。

しかし、そうでない場合は不快感を抱く可能性が高いことを念頭に、最上級表現自体を使用しない選択肢を含めて、もっとインパクトのある、実のある施策にパワーを注いでいく方が建設的です。

ユーザーニーズに寄り添ったオンリーワン広告を作ることができれば、それが最高のナンバーワン広告になるのですから。

参考ヘルプ:

【Yahoo!広告>最上級表示、No.1表示】
[ブログ記事] [Google 広告 よくある質問] 広告掲載ポリシー 編】
【LINE広告審査ガイドライン>クリエイティブガイドライン】
【TikTok広告>ECサイトの広告を入稿する際に注意すべきポイント】

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