運用型広告コンサルタントからデザイナーに転身した私が大切にしている7つのこと

運用型広告コンサルタントからデザイナーに転身した私が大切にしている7つのこと
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広告運用者とデザイナーはそれぞれでいえば珍しい職種ではなく、業務としての親和性も高いです。それにしては、両方を経験するキャリアを選択する人が少ないように思います。それだけ互いの興味が重なりにくい分野なのかもしれません。

私はWebデザイナーから広告運用者にキャリアチェンジし、現在はマーケティング支援会社で運用型広告に関わるデザイン制作の仕事をしています。広告運用×Webデザインという、あまり選ばれていなさそうなキャリアパスながら、そこそこ充実した気持ちで取り組んでいるので、もしかすると自分の趣向は少し変わっているのかもしれません。

そんな自分が仕事で大切にしていることを改めて振り返ってみました。あくまで筆者自身の個人的な性質が反映されており誰もがこうあるべきと主張するものではありませんが、同じようなキャリアを思い描いている方の参考になればうれしいです。


熱さと冷静さのバランスを保つ

運用型広告におけるデザイン制作では、制作物の結果がクリック率やコンバージョン数といった数字として返ってきます。制作から振り返りまでのサイクルも早いため、結果(特に失敗)との向き合い方が問われます。

渾身のクリエイティブで期待した結果を得られなかったとしても、デザイナーとしての審美眼ではとても納得できないクリエイティブが大成功したとしても、落ち込まず学びにしながら、次にどうするべきか考えて行動し続けることが求められるのです。

この性質から、自分の制作物を「作品」と捉えて大切にし過ぎると、運用型広告に関するデザイン制作は辛い仕事になってしまいます。反対に、制作物そのものは目標達成の手段・プロセスと捉え、目標達成までの試行錯誤や過程で得られる知見に楽しみを見つけられれば、やり甲斐のある仕事に感じられるでしょう。

施策の結果に関心を持ち執着する熱さと、成功や失敗に一喜一憂せず自らの血肉にしていく冷静さ。双方のバランスをうまく保つことが健全に取り組む秘訣です。

職業名で業務範囲を区別しすぎない

たとえばデザイナーと広告運用者がアサインされているプロジェクトで、検索広告の広告文を考案するのは誰の仕事でしょうか?

ユーザーの目に触れるものなのでデザイナーの仕事でしょうか?それとも、テキストだけなので広告運用者の仕事でしょうか?だとすれば、画像表示オプションの画像選定はデザイナーの仕事になるのでしょうか?などなど、職業で業務範囲を区別しようとするとキリがありません。内部でどのような役割分担があろうと広告を目にするユーザーには無関係ですし、どのような立場として携わっていてもその広告が果たすべき役割は同じはずです。

デザイナーや広告運用者といった職業名ではなく「クライアントのビジネスを支援する」という目的で考えることで「これは自分の仕事じゃないから首を突っ込まない方がいいかな……?」のような迷いがなくなります。広告運用ともデザインとも違う分野でも、何らか気付いたことがあれば共有したり、解決に向けた行動を取りたいものです。

もちろん役割分担の合理性は否定しませんし、私も不得意な分野では人に頼りきりです。しかし必要以上に線を引かない姿勢で仕事を続けてきた積み重ねによって、今の自分が成り立っているのだとも感じています。

仮説や狙いを持って制作する

運用型広告の報告会では、クリエイティブの結果から得られた考察や次のアクションに関する話題に時間を割くことも少なくありません。広告運用者がデザイナーにクリエイティブを任せきりにしたり、デザイナーが広告配信の結果に関心を持たなかったりすると、誰もクリエイティブに関して責任を持って報告できないという、おかしな事態になってしまいます。

もし直接報告する立場でなかったとしても、報告する場面から逆算することで、合理的な取り組みに繋がりやすくなります。

「●●な状況なので、●●という狙いを持って●●を制作・配信し、●●の結果でした。●●という考察が得られたのを踏まえて、次は●●を行います」

このような報告をするためには、まずは現状の課題や行うべき施策を把握する必要があります。また、課題に対して的確なだけでなく、クリエイティブごとの結果に優劣がついた際に何らかの発見が得られるようにデザインすべきだと分かりますよね。

この記事の最初の項目でも失敗や成功を血肉にすることの大切さを述べましたが、そのためには報告まで想定して、仮説や狙いを持って制作することが大切です。

ビジネスと適切な距離感を持つ

クライアントのビジネスに関心を持ち、クライアントと同じ目線と言葉でコミュニケーションを取ることはもちろん大切です。しかし知りすぎることで、かえって見えにくくなることもあるのです。

差別化を狙うあまり顧客にとっては関心のない訴求をしてしまったり、業界の慣習にとらわれてしまったり、過去にトライした施策を繰り返すことに必要以上の抵抗を感じてしまったり……。広告やランディングページの情報の分かりにくさも、一度理解してしまい慣れてしまえば、もう自分では気付けなくなってしまいます。

広い視野で状況を捉えるために、プロジェクトに参加するタイミングでの調べすぎには注意が必要です。何の常識も固定観念もない、フラットな状態で率直に感じたギャップをクリエイティブ面の課題として捉えて、必要な知識はギャップを埋めていく段階で付けていくのが適切な距離感ではないかと思います。

自分の視点だけでクリエイティブの良し悪しを判断しない

自分には良さが理解できない広告が多くの共感や反響を得ていることは珍しくありません。広告クリエイティブの良さを本当の意味で判断できるのは、広告主が想定したターゲットだけなのかもしれません。

入稿可能な文字数の制限をはじめ、広告の物理的な大きさや、実際に広告を見ている時間の制限などを考えると、1つの広告に直接的に盛り込める情報は多くありません。だからこそ、言葉と絵の組み合わせや、ターゲットや掲載場所、ときには目にする時期やタイミングまでも考慮しながら情報を圧縮するのです。圧縮された情報を全ての人が同じ意味で、制作者の意図したとおりに受け取れるとは限らないでしょう。

自分のものさしでは良さを理解できない広告も、企業側が的はずれなことをしているのではなく、自分に足りない視点があるのだと解釈しています。多くの視点を取り入れることで、制作側としての引き出しも増えていくでしょう。

デザインの力を過信しない

広告運用者やデザイナーのような専門職であれば、課題がまとまったうえで必要とされて声が掛かることも多いでしょう。しかし、課題の設定や、課題に対する施策が適切であるとは限りません。

広告やランディングページ・ウェブサイトの意匠が購買決定要因ではないなど、デザイン以外の部分がボトルネックになっていることもあるでしょう。その課題はデザインで解決できるのかの見極めが重要です。

課題に対して適切でない打ち手を選択してしまうと、発注者も含めて関わる人全員が辛い思いをし、無駄なリソースを費やすことになります。時には断る勇気も必要なのです。

実際、見た目だけを整えたからといって問題が解決しないケースはよくあります。そのような時はそもそも誰に何を伝えるべきなのか?という段階から見直すことになります。場合によってはプロモーション以外の部分にテコ入れが必要かもしれません。

デザインに限ったことではありませんが、何でも自分の専門領域で解決しようするのではなく、多くの選択肢を知り、検討できるほど、結果的に自分に相談してくれた人を良い方向へ案内することができるのではないでしょうか。

画面の先に人がいることを忘れない

日々KPIや目標に追われながら、広告管理画面に表示される途方も無いような数字を眺めていると時々忘れそうになりますが、私たちが制作して配信している広告を見ているのは自分と同じ人間です。

広告をきっかけに感情が動いたり、行動が変わったり、もしかすると人生が変わったり。そんな力が広告にはあるのだと思っています。もちろん、その力は良い方にも悪い方にも働きます。

自分の仕事は、良い意味で人を変えられているだろうか。綺麗事や理想論と言われたとしても、大切にしたい価値観です。

まとめ

仕事で大切にしている考え方や行動は、言い方を変えれば理想の仕事像へ近づくための取り組みといえるかもしれません。

マーケティング支援会社としての仕事は基本的にクライアントありきです。そのため、理想としているような広告クリエイティブの仕事も、どなたかにお声がけいただき初めて発生するものです。

アナグラムとしてそのような機会があったとき、自分自身に声をかけてもらえるような仕事ができているだろうか?自分が大切にしていることを振り返りながら、そんなことを考えるきっかけとなりました。

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