Google AdSenseの広告インプレッション計測方式が変更に。その意味を考える

Google AdSenseの広告インプレッション計測方式が変更に。その意味を考える

Google AdSenseは、グーグルが提供する広告枠です。ウェブサイトの運営者は、この広告枠を設置することで、コンテンツの内容や閲覧ユーザーの行動履歴等に応じた広告を自動的に表示させることができ、発生した広告収益を(グーグルの取り分を引いた上で)受け取ることができます。

広告運用者である我々は、普段はGDN(Google ディスプレイネットワーク)としてこのGoogle AdSenseの枠へ広告を配信しています(厳密にはGDNとAdSenseはイコールではないですが、その説明はこの記事の目的ではないので省きます)。同じ対象を、広告を配信する側から見るか、広告を表示させる側から見るかで、呼称が変わるということですね。

そんなGoogle AdSenseですが、2018年5月より、広告のインプレッションを計測する方法が変わりました。計測方式の更新と言ってしまえばそれまでですが、オンラインの広告を扱う上では実は割と大きなトピックだと考えています。今回は、この計測方式の意味について、かんたんな備忘録として記したいと思います。

参考:Inside AdSense: Updated impressions metrics for AdSense

これまでのインプレッション計測方式

ずいぶん昔(2004年ごろ〜)からつい最近(〜2014年ごろ)まで、広告のインプレッションをカウントするタイミングについては、 「広告サーバー(アドサーバー)からサイト運営者側へ広告データが送信された直後にカウントしてもよい」というのがオンライン広告業界ではスタンダードでした。IAB(Interactive Advertising Bureau)という、インターネット広告について標準化を取り決める業界団体がそう定めていたからです。

参考:IAB Measurement Guidelines

ただ、世の中のウェブサイトの数は基準策定当時の2004年と比べて比較にならないくらいに増えました。それらの1つ1つのページに配信する広告の方式も、それまでの予約型からプログラマティック型へと大きく舵を切り、それにともなって、ここ数年はビューアビリティ(広告の視認性)やブランドセーフティ(ブランド保護)といった、広告の根底に関わる重要な問題提起がされるようになっていました。

プログラマティック型の広告のシェアが拡大していくにつれ、ビューアビリティの議論は熱を帯びていきました。こういった機運が世界的に高まったことで、インターネット広告業界はいよいよ指標の見直し(と技術的解決)をする段階に来ていたのです。

これからのインプレッション計測方式

2014年に、メディアの監査や認定を行なう業界団体である MRC(Media Rating Council) が、IABのガイドラインを補足するかたちで、より厳密な視認性をカウントする方式(Viewable Impressions)を発表しています。

このMRCの「厳密な視認性をカウントする方式」は、日本語では「ダウンロード インプレッション」といいます。従来の広告サーバーからの配信ベースではなく、「ユーザーがブラウザ(やアプリ)で広告をダウンロードした時点(ページで広告読み込みが開始された時点)」 でインプレッションとしてカウントする、という計測方法になります。

今回のGoogle AdSenseの計測方式の更新は、この「ダウンロード インプレッション」の採用です。

見ているかどうか分からない従来の配信インプレッション(Served Impressions)から、ユーザーのブラウザ読み込みベースのダウンロードインプレッション(Downloaded Impressions)へ、世界最大のアドネットワークであるGoogle AdSenseが移行したことは、インプレッションの業界標準がこれを機に一気に更新されていくことを意味するのだと思います。

参考:表示回数 – AdSense ヘルプ

なにが変わるのか

DoubleClickの広告配信サーバーであるDFP(DoubleClick for Publishers)側では、既に2017年の10月からインプレッションのカウント方式はダウンロードへ切り替わっていました。

参考:DFPにおけるダウンロード インプレッション数への移行について – DoubleClick for Publishers ヘルプ

DFPに続いて、Google AdSenseがダウンロードインプレッションに対応したことで、少なくともGoogle アドワーズを利用する広告主にとっては、広告のビューアビリティの問題は一定の解決に至ったことになります。

おそらく、今回の施行により、Google ディスプレイネットワークでのビューアビリティは(元々高いですが)更に上がると考えられます。

加えて、広告を配信する広告主側では(少なくともGoogle アドワーズでは)vCPMという、視認性の認められるインプレッションに対してのみ課金するという考え方になっているため、広告枠を貼るメディア側では、今回の指標の採用によって、収益化できるインプレッションが減る可能性もあるでしょう。

もちろん、ユーザー側でちゃんと広告が表示できれば収益の漏れは減らせるわけですので、ページを軽く使いやすく維持し、サーバーを増強し、配信する広告そのものを軽くするという努力(これはプラットフォーム側の努力ですが)は今まで以上に求められることになると思います。

健全な広告エコシステムのために

少し話は逸れますが、Googleは、自社のブラウザであるChromeで、Better Ads Standards に準拠しないサイトの広告表示を停止する措置を行っています。

参考:Google ChromeでBetter Ads Standardsに準拠しないサイトの広告表示を予告通り停止へ、ただし日本ではいまのところ対象外

Better Ads Standards という基準は、ビューアビリティではなくブランドセーフティに強く影響するものですので、今回のインプレッション計測の更新カウント方式と、Better Ads Standards には直接的な関係はありません。ですが、いずれもユーザー、広告主、サイト運営者という、インターネット上の広告モデルを構成している参加者の関係性に、健全性を促していく取り組みです。

そして、これまでGoogle アドワーズが行っている広告審査への膨大なリソース投下を考えると、Googleは広告業界で既に最大のジャンルとなったインターネット広告というエコシステムの健全な維持に、以前から相当の本気度で臨んでいることが分かります。

参考:An advertising ecosystem that works for everyone

我々のような広告運用者としても、ユーザー、広告主、サイト運営者 の健全な三角形が維持できるよう、倫理観をもって対応する必要があります。今回のGoogle AdSenseのインプレッション計測方式の更新は、市場の一端を担うプレイヤーとして、改めて姿勢を問われるニュースではないかと思いました。

Yoshihiro Okada

Yoshihiro Okada

アナグラム株式会社 取締役。検索エンジンマーケティング黎明期から一貫してアカウントマネジメントの現場に居座り、ソフトウェアの開発から広告キャンペーンの運用まで、数多くの業界や様々な企業規模のクライアント・パートナーとのプロジェクトを経験。アナグラムでは主に裏方を担当。LIFT合同会社代表取締役およびアタラ合同会社フェローを兼務。

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