店舗型ビジネスで活用できるリスティング広告のターゲット地域設定と機能の詳細

近年、モバイルの普及とともに位置情報に関するキーワードの検索数は増加傾向にあります。
Googleが発表している情報によると「near me」「closest」「nearby」など「近くの」商品やサービスを探すためのキーワードの検索数は2011年以降34倍にも増加。日本国内でも「エリア名×商品名・ブランド名」が含まれる検索数は2013年から2016年までの3年間で約2.5倍に増加しており、「行きたい瞬間(I-Want-to-Go Moments)」にいかに効果的に接触できるかということが非常に重要になってきています。

今回はそんな「行きたい瞬間」と密接な関係にある店舗型のビジネスで活用できるリスティング広告のターゲット地域設定と機能の詳細について解説したいと思います。

参考:I Want to Go Moments: From Search to Store

参考:三越伊勢丹、デジタルを包括的に活用し、コスト効率の高い店舗集客を実現し、新たな顧客インサイトを獲得


ターゲット地域の設定とは

リスティング広告では検索広告、ディスプレイ広告ともにターゲット地域を設定することで、特定のエリアをターゲットとして広告を配信することができます。

例えば、とある店舗のリスティング広告を行う場合、ターゲット地域を設定しておくことで、検索連動型広告で地域名を含まないキーワードで配信を行っても、設定した地域に関連するユーザーのみに配信するということが可能になります。ディスプレイ広告も同様にターゲット地域を指定して広告を配信することが可能です。

Google アドワーズではターゲット地域に関しては下記の2つの仕組みで地域が決定されます。

  • 1:ユーザーの所在地
  • 2:ユーザーが関心を示している地域(関心対象地域)

1のユーザーの所在地は、ターゲット地域はIPアドレスや端末の位置情報によって判断されます。

2のユーザーが関心を示している地域は、次のような情報に基いて関心対象地域が判定されます。

・地域を特定できる検索語句
・関心を示している地域を特定できる過去の検索履歴
・ユーザーの過去の所在地
・広告が表示されているウェブサイトの内容。ただし、ページ内に地域情報があったとしても、ユーザーがその地域に関心を持っているとは限りません
・Google マップやモバイル Google マップで検索している地域
・Google の検索結果に特定の地域を設定している場合

参考:広告を掲載する地域が決まる仕組み

リスティング広告では、それぞれ条件あるいはその両方をターゲット地域として設定することが可能です。それではGoogle アドワーズにおける設定を例に、ターゲット地域の設定ごとに広告が表示される対象がどのように変わるのか見ていきましょう。

ターゲット地域設定の比較

検索連動型広告を例に、以下の条件でそれぞれの設定によってターゲットがどう変わるかを比較します。なお、説明をわかりやすくするために「関心対象地域である」ことは、検索語句に地域名が含まれていることであるとしています。

ターゲット地域:大阪
広告主:大阪の歯医者

※説明のために地域情報は簡略化しています。

① ターゲット地域にいるユーザーと、ターゲット地域に関する情報を検索、閲覧しているユーザー(デフォルト)


所在地あるいは関心対象地域がターゲット地域にあると判断されるユーザーに広告を配信できます。その他のターゲット地域の設定と比べもっとも広範囲のユーザーに広告が配信されます。

上記の例では、東京(ユーザーの所在地がターゲット地域外)で、「親知らず 抜く」(検索語句に関心対象地域を含まない)と検索した場合のみ、広告が配信されません。

② ターゲット地域にいるユーザー

この設定では、ユーザーの所在地がターゲット地域である場合にのみ広告が表示されます。
上記の例では東京のユーザーが「大阪 歯医者さん」と検索語句に関心対象地域を含んでいたとしても広告は表示されません。

デメリット:
・現在の所在地がターゲット地域外のユーザーで、検索語句などに関心対象地域を含んでも広告を配信できない
・所在地が把握できないユーザーに対して広告を配信できない

緊急性のあるサービスや、地域密着の店舗型のサービスなどの場合は、サービス対象地域にユーザーが所在していないと成り立たないビジネスの場合はこちらを検討するといいでしょう。

③ ターゲット地域に関する情報を検索しているユーザーまたはターゲット地域に関心を示しているユーザー

この設定は記載通りですが、「ターゲット地域に関する情報を検索しているユーザー」「ターゲット地域に関心を示しているユーザー」に対して広告を表示できます。

※大阪で「親知らず 抜歯」と検索した場合、所在地の情報からユーザーが関心を示していると判断されれば広告が配信される可能性があります。

デメリット:
・ターゲット地域に所在していないユーザーへも広告が配信される
・関心対象地域が把握できないユーザーに対して(ターゲット地域に所在している場合でも)広告を配信できない

ユーザーの所在地がかならずしもターゲット地域でなくともかまわないため、良くも悪くもターゲット地域に関心があるとGoogleによって判断された場合には広告配信の対象となります。例えば、数ヶ月先に予定されている旅行先での貸切バスの予約など、コンバージョン後にユーザーの移動が伴うサービスなどで活用できる設定です。

特別な理由がない場合は、ユーザーの地域に関する情報をもっとも活用できるデフォルトの設定を選択することをオススメします。

除外地域設定の比較

続いては除外地域設定の例を見ていきましょう。

除外地域:大阪
広告主:インテリアショップ

※説明のために地域情報は簡略化しています。

① 除外地域にいるユーザー、除外地域に関する情報を検索しているユーザー、または除外地域に関心を示しているユーザー(デフォルト)

除外したターゲット地域に関連するであろうユーザーをもっとも幅広く除外することができます。

サービス対象外の地域がある場合には、この設定がおすすめです。例えば、大阪ではサービスを展開していないインテリアショップの場合、大阪に所在するユーザーと所在にかかわらず「大阪 インテリアショップ」などで検索をしたユーザーには広告が配信されません。

デメリット:
・除外地域に関連する検索やコンテンツ閲覧を行っているユーザーにも広告が表示されない可能性がある。

例えば、大阪に旅行する予定のユーザーが、大阪の天気を調べた場合なども除外の対象となってしまう可能性があります。

② 除外地域にいるユーザー

この設定では、除外地域内にいる可能性の高いユーザーには、広告が配信されません。

例えば、全国対応しているインテリアショップ通販サイトにおいて、大阪からの注文の費用対効果が悪いため広告出稿を停止したい場合などに有効です。

デメリット:
・除外地域以外にいるユーザーへは広告が配信されてしまう。

特に地域性のあるサービスの場合は②の設定では除外が不十分となるため、①の設定とするのが良いでしょう。検索語句に含まれる地域名が限られるのであれば②の設定に加えて除外キーワードでも対応が可能ですね。

ターゲット地域の設定方法

地域名から検索して除外

①変更するキャンペーンを選択し、[設定]タブの[すべての設定]より[編集]をクリック

②設定したい地域名を入力し、[追加]をクリックするとターゲット地域に追加することができます。

特定の地点から半径を指定

①変更するキャンペーンを選択し、[設定]タブの[すべての設定]より[編集]をクリックした後、[検索オプション]をクリック

②[半径を指定]より、中心となる地点の地名や住所、郵便番号などを入力し、距離を入力。完了ボタンをクリックすると追加ができます。

地域ごとの配信結果の確認と地域ごとの入札調整

ターゲット地域を設定している場合は[設定]タブより、[地域]を選択すると地域ごとの掲載結果の確認と地域ごとの入札調整が可能です。店舗からの距離や、地域ごとのコンバージョン単価や顧客単価などによって入札を調整することで、一歩上の最適化ができますね。

また、ターゲット地域を設定していない場合でも、[ターゲット地域のレポートを表示(※)]より、[広告表示につながった地域名(※)]または、[ユーザーの場所]を選択すると、国別、都道府県別、市区群別などの詳細データを確認することができます。このデータをもとに、新たにターゲット地域の設定や入札の調整を行うこともできますね。

※補足:

ターゲット地域のレポートを表示…ユーザーの所在地、または(検索内容や閲覧しているコンテンツから)ユーザーが関心を示していると思われる地域を表示
ユーザーの所在地…ユーザーの所在地のみが表示。関心を示している地域は考慮されない。

店舗型ビジネスで活かせるその他の機能

ターゲット地域設定の他にも、店舗型ビジネスに活用できる機能はいろいろとあります。以下に主な機能をざっと紹介していきます。

プレースメントターゲット

例えば、「吉祥寺のヨガ教室」。教室へ通うことが大前提となるため、該当のエリアがターゲットユーザーの生活圏内であるケースがほとんどでしょう。「ヨガ関連のサイト」へ広告を出稿するのも良いですが、「吉祥寺の地域情報サイト」など地域に特化したWEBサイトに広告を出すほうが高いコンバージョン率が見込めるのではないでしょうか。

また直接のコンバージョンにつながらずとも、「その場所にそのお店がある」ことを認知してもらうことで、「なんか習い事をしたいな」「少し運動を始めてみよう」という場合に想起してもらえる可能性も高まりますね。

住所表示オプション

広告表示オプションの住所表示オプションを設定することで標準のテキスト広告に住所や電話番号、営業時間、その他の情報を追加でき、店舗来店を促すことが可能です。(Google マイビジネスへの登録が必須です。)

参考:住所表示オプションを設定して、広告文に加えてお店の住所や地図を表示する

電話番号表示オプション


スマートフォンなどハイエンド携帯端末においてタップ可能な通話ボタンを広告に設置する機能です。(PCの場合は電話番号を表示のみ)
特に電話からの問い合わせや申し込みが多い、緊急の需要向けのサービスや美容院や飲食店などの予約を伴うサービスなどで有効に活用できますね。

電話発信コンバージョン

電話発信コンバージョンは、広告をクリックしてモバイルサイトを訪問したユーザーが、電話番号リンクをクリックした数をカウントする機能です。サイトでの電話番号リンクのクリックを電話発信とみなして計測します。

電話番号表示オプションが有効なサービスでは、こちらのご検討もオススメします。

参考:Google アドワーズ・Yahoo!スポンサードサーチ、電話発信コンバージョンの基本と設定方法

来店コンバージョン計測

こちらも2017年3月時点では、一定の条件を満たした一部の広告主のみ利用可能な機能ですが、広告のクリックがどれだけ実店舗への来店につながったかを測定する機能があります。現時点では検索連動型広告のみが計測対象となっています。

ここでのコンバージョン数は匿名の集計統計情報に基づいて、モデル化された数値が作成されるということで100%正確な数値ではないようです。しかし、これまでは分からなかった広告クリック後の来店の傾向が把握できるというのは広告の費用対効果を測るうえで非常に有効ですし、重要な指標になることは間違いないでしょう。

参考:実店舗への来店によるコンバージョンについて

ローカル在庫広告

画像引用元:ローカル在庫広告

2014年よりGoogle アドワーズではGoogle Marchant Centerと連携することで、ローカル在庫広告を配信することも可能です。ローカル在庫広告とは、在庫情報とともに商品画像、値段、店舗までの経路、電話番号、営業時間などの情報を表示させることで、来店を促すことが可能です。

参考:ローカル在庫広告

最後に

様々な機能を紹介させていただきましたが、来店型ビジネスにおいては管理画面上のコンバージョン数だけでなく、実際の来店数や売上がどのよう推移しているのかを運用者が把握しておくことは非常に重要だと感じます。毎日の来店数を共有してもらうことが難しいのであれば週に1回など、ある程度ルーティン化してしまうのも一つの手段です。

また、ご紹介させていただいた機能は必ずしも導入すればいい、というものではありません。商品やサービス、予算などによって今必要かどうかを適切に判断する必要があります。その際は、仕組みをしっかりと理解したうえで、検討するようにしたいですね。

Shigehiro Kaku

Shigehiro Kaku

アナグラム株式会社 クルー。大学在学中にリスティング広告に初めて出会い、その魅力に心を奪われる。その後、WEB集客を中心とした広告代理店に入社し、運用型広告のみならず、WEBディレクションや集客全般に関わるコンサルティング業務を経験。2016年にアナグラムに入社し、リスティング広告やFacebook広告のアカウント構築、運用、レポーティング等を行っております。