CriteoのCEO メーガン・クラーケン氏が語る、コマースメディアへの取り組み(ad:tech tokyo 2022)

CriteoのCEO メーガン・クラーケン氏が語る、コマースメディアへの取り組み(ad:tech tokyo 2022)
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コロナ時代の消費者行動の変化から、間近に迫ったサードパーティCookieの廃止、AIの進歩に至るまでここ数年、デジタルマーケティングの世界は大きく変化しています。2022年10月20日・21日に開催された「ad:tech tokyo 2022」は、そんな近しい未来のトピックを中心に展開されました。

前回・前々回はコロナ感染拡大防止のためにオフラインとオンラインで分けて開催されたこのイベントは、今回3年ぶりのリアル開催です。世界各地から集まったスピーカーも、ビデオ会議ではなくゲストとして実際に会場に登場していました。

そんな中、初日のキーノートでクリテオのCEOであるメーガン・クラーケン氏がデジタルマーケティングの新たなビジョンを語ったのが特に印象的で、以下でさらに詳しくご紹介していきます。

参考:コマースメディア: デジタル広告の未来とは | アドテック東京 公式サイト



コロナで世界は変わった

"Every moment is a shoppable moment" (訳:「全ての瞬間は買い物が発生し得る瞬間です。」)と、クラーケン氏は冒頭で宣言しました。確かになかなか大胆な発言ではありますが、コロナのパンデミックが人々の購買習慣に大きな変化をもたらし、その結果、以前よりずっと多くの人々がオンラインで買い物をするようになったことは事実です。そしてクラーケン氏によれば、ユーザーが「コンスタント・コマース」という、いわば常に買い物が可能な状態にあるのは、まさにこのような傾向によるものだと述べました。

このような背景から当キーノートの中で、クラーケン氏が焦点を当てたのは、デジタルマーケティングにおける偉大な第4の波(1990年代の静的バナー広告、2000年代の検索、2010年代のSNSに続く)ともみなされ、しかもコンサルティング会社のMcKinsey & Companyによると1兆3千億ドルのポテンシャルを持つとされる、コマースメディアでした。

参考:Commerce media: The new force transforming advertising | McKinsey

「壁に囲われた庭」を超えて

クラーケン氏によると、ショッピングジャーニーの73%は、GoogleやMetaなどのいわゆる「壁に囲われた庭」(英語:Walled Garden)の外にある、Criteo社が総じて「オープンインターネット」と呼ぶウェブコンテンツから始まっています。同時に、デジタル広告予算の66%はまだ検索とソーシャルの方向に流れているのが現状ですが、将来的にはコマースメディアのシェアが拡大する可能性があると、クラーケン氏は述べています。

ユーザーがすでに何かを買おうとしているときにリーチできるため、このチャネルはますます魅力的になると予想されるためです。コマースメディアの分野では、現在、特に「リテールメディア」という形で小売業が先行していますが、展望として旅行、自動車、金融など、様々な業種でのコマースメディア戦略も可能でしょう。

新たなるエコシステム

しかもCriteoがコマースメディアの展開に取り組んでいると同時に、ファーストパーティデータネットワークの確立に強い重点を置いているということも興味深い点です。こうしてSKUレベルのデータも活用できるため、精度の高いターゲティングの他に、予測のモデリングからレコメンド機能の展開にも期待できるように思われます。

そのような中、Criteoが2022年8月にアドテク企業のIPONWEB社を買収したことも、SSPとDSPの確保だけでなく、エコシステム全体でファーストパーティデータの活用を可能にする戦略的に重要なステップであったことは間違いありません。

参考:CRITEO REPORTS STRONG SECOND QUARTER 2022 RESULTS - Aug 3, 2022

多面的な変化

今回のad:tech tokyo 2022では、キーノートでもその後のセッションでも、「変化」と「変化に対するマーケターの対応」をテーマとしたものが多く見られました。特に、現在起きている変化は一度にいくつものレベルで起こるため、マーケティングに携わる者の全員にとっては大きなチャレンジになると言っても過言ではないのですね。

参考:プログラム | アドテック東京 公式サイト

例えば、コロナ禍によって人々の購買行動は著しく変化し、オンライン部門は大きな追い風を受けることになりました。これに伴い、AIや機械学習の重要性は高まっている一方でデータ保護やCookieの規制はますます厳しくなってきています。

メーガン・クラーケン氏のキーノートが興味深かったのは、これらすべてのレベルにおいて、今後の課題にどのようなシステムで臨むべきかを具体的に提案している点です。Criteo社の計画がどこまでこのまま実現できそうかについては、確かに推測の余地がありますが、長年、純粋にCookieベースのリマーケティングチャネルとしてのCriteoが、近年マーケティングとコマースの複合プラットフォームへと転換する方向に舵を切っていることは非常に印象的で、今後もエキサイティングな結果が待っていることは間違いないでしょう。

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