2021年9月9日、Yahoo!ディスプレイ広告(以下、YDA)において、2021年10月20日から提供が開始されるリンク先URL形式の新しい仕様が発表されました。
参考:【ディスプレイ広告】広告の新規設定項目の提供開始、およびその他機能改善について
リリース内容は大きく分けて以下の4点です。
- 4つの設定項目による新形式のリンク先URLが提供開始
- 最終リンク先URL・トラッキングURLのテスト機能の追加
- 新たに5つのトラッキング用パラメータが追加
- アプリ訴求目的のキャンペーンにて「SKAdNetwork計測」の項目が追加
本記事では、これらの詳細や注意点などを解説します。
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目次
4つの設定項目による新形式のリンク先URLが提供開始
新形式への仕様変更に伴い、以下4つの設定項目(最終リンク先URL形式)が提供開始となります。
項目名 | 定義 |
最終リンク先URL | 広告がクリックされた際に表示されるウェブページのURL。広告に設定。 |
---|---|
スマートフォン向けURL | ユーザーがスマートフォンから広告をクリックした際に表示される、スマートフォン用ウェブページのURL。PC用ウェブページとは異なるURLがある場合、広告に設定可能。 |
トラッキングURL | トラッキングを行う場合の広告効果測定用のURL。アカウント配下の各階層に設定可能。 |
カスタムパラメータ | 「最終リンク先URL」や「トラッキングURL」などに設定する、トラッキング用識別情報などの任意の文字列。キャンペーン配下の各階層に設定可能。※トラッキングURLとカスタムパラメータをまとめて「URLオプション」とする |
また、表示URLも設定方法に変更があり、表示URLは最終リンク先URLから自動生成されるようになります。
これまでのリンク先形式(旧形式)では「リンク先URL」の項目のみの提供となっていたタッめ、リンク先URLごとにトラッキングURLを設定する必要がありました。今回、新たに提供開始になった「最終リンク先URL」や「トラッキングURL」を用いることで、より効率よくトラッキングURLの設定ができるようになります。
階層別にトラッキングURLを管理できるように
以前は広告にパラメータを付与したい場合はリンク先URLごとにトラッキングURLを設定する必要がありました。
新たに追加されたトラッキングURL・カスタムパラメータの設定項目は、広告グループやキャンペーンなどの上位階層にも設定可能です。
これらの設定内容は下位階層にも有効となるため、たとえばトラッキングURLをキャンペーン単位で設定すると配下の広告グループ・広告にも適用されます。
遷移先URLとトラッキング用URLを別項目で管理できるようになると、設定にかかる時間を減らすことが可能です。提供開始後、ぜひ有効活用したい内容ですね。
最終リンク先URL・トラッキングURLのテスト機能の追加
設定したURLの有効性を事前に確認できる「テスト機能」も新たに追加されることが発表されました。
入稿している最終リンク先URL、もしくはトラッキングURLが正しい情報となっているかを確認することができます。
なお、テスト機能で表示されるURLは指定した階層エンティティの配下にある広告のうち最大10件までです。たとえば、広告が100件登録されたキャンペーンAのトラッキングURLの有効性をテストしたい場合、配下のトラッキングURLから10件のみ抽出される形になります。
リリース後は広告管理ツール上のアカウント/キャンペーン/広告グループ/広告設定画面の「URLをテストする」をクリックすることで設定に進むことができます。
新たに5つのトラッキング用パラメータの追加
新たに下記5つのトラッキング用パラメータ(※)が追加されました。
※最終リンク先URLやトラッキングURLに設定できるパラメータ
項目名 | 定義 |
{lpurl} | ・LPURL※1に置き換えます。・トラッキングURLの先頭でない限りエンコードされます。 |
---|---|
{lpurl+2} | ・2回エンコードしたLPURL※1に置き換えます。・複数回リダイレクトする場合に有用です。 |
{lpurl+3} | ・3回エンコードしたLPURL※1に置き換えます。・複数回リダイレクトする場合に有用です。 |
{unescapedlpurl} | ・エンコードされていないLPURL※1に置換します。 |
{escapedlpurl} | ・エンコードされているLPURL※1に置換します。 |
※1:LPURLとは、OSによって動的に変わるLPのURL(最終リンク先URLもしくはスマートフォン向けURL)を指します。
エンコードの例:”?a=b” → ” %3Fa%3Db”
これらはカスタムパラメータと別で設定ができるため、組み合わせることでより柔軟なトラッキングが可能となります。
アプリ訴求目的のキャンペーンにて「SKAdNetwork計測」の項目が追加
キャンペーンの目的が「アプリ訴求」かつ、iOSが配信対象の場合は「SKAdNetwork計測」の項目が追加されます。この際、広告効果測定ツール(AdjustまたはAppsFlyer)を選択できるようになります。
仕様変更にあたっての注意事項
今回の仕様変更にあたり特に重要な注意事項を解説していきます。
上位階層の審査が不承認になると広告が停止に
新しくトラッキングURLの設定や変更を行った際、ドメインの不一致やリンク切れが発生している場合は対象の広告が配信停止となります。新たにトラッキングURLを上位階層で一括編集する際は、配下のリンク先と齟齬がないかを確認しましょう。
また、上位階層の設定に1件でも不備があった際は、配下の広告全てが審査で否認となる場合があるので注意しましょう。
「リンク先URL」のパフォーマンスレポートが一新
本リリース後、パフォーマンスレポートには新たに「最終リンク先URL」の項目が追加され、プリセットでも「最終リンク先URLレポート」が提供されます。
新しく旧バージョンの「リンク先URL」項目を含めたレポートを作成することや、プリセットから「リンク先URLレポート」を選択することはできなくなります。
※すでに保存済みのパフォーマンスレポートは引き続き利用できます。
アプリ訴求目的の注意事項
「アプリ訴求」目的のキャンペーンではスマートフォン向けのURLを設定することはできません。
また、SKAdNetwork計測で選択した「ポストバック先ツール」と「トラッキングURL」の広告効果測定ツールが異なると、広告効果測定ツールのレポートで数値が取得できなくなるので注意が必要です。
実施スケジュール
最後に、機能提供開始・終了のスケジュールを確認しておきましょう。
2021年10月20日から新形式が利用可能となり、以降2022年5月までは旧形式と新形式が共存する並行利用期間となります。12月からは移行をスムーズに行える「データ変換機能」が提供され、既存の広告の情報を引き継いだまま新形式に切り替えることが可能となります。2022年5月からは新形式への強制変換が始まり、6月には旧形式での入稿ができなくなります。
いずれ強制変換が訪れるとはいえ、意図せずに広告のリンク先に変更が加えられるのは避けたいですよね。
年末にはデータ変換機能、強制変換前の2-3ヶ月前までには最適化案にて変換対象の広告が表示される予定のため、これらのツールを活用しながら早いうちに新形式への移行を済ませておくことをおすすめします。
※データ変換機能はキャンペーンエディター、Yahoo!広告APIでは利用できないためご注意ください
まとめ
今回のアップデートでは階層別にトラッキングURLの設定ができるようになり、広告配信の計測管理を効率化できるようになりました。
今までリンク先URLごとにパラメータを付与していたYDAの運用者にとっては、嬉しいニュースとなりましたね。
なお、強制変換は2022年5月から順次適用されますが、意図しない設定になることを避けたい場合は12月のデータ変換機能の提供開始時点で移行を進めておくことを強くおすすめします。