モバイルアプリはApp StoreやGoogle Play ストアでインストールすることが多いですが、最近ではInstagramのフィードで見かけた広告から興味を持ちインストールすることが増えました。インストールしたアプリはいずれも、広告で見かけなければインストールしなかったアプリがほとんどです。
新しいアプリに出会う場所となったSNSのひとつにFacebookがあります。Facebookモバイルアプリ広告は、アプリのインストール、利用(購入やゲームでのレベル達成など)を増やすのに適した広告です。Facebookを利用しているユーザーの属性を年齢,性別,興味関心等細かくターゲティングができます。また、Facebookに限らず、インストール数、アクティブユーザー数が年々増加傾向にあるInstagramのフィードやストーリーに配信できるのも大きな魅力です。
今回はFacebookモバイルアプリ広告の設定方法から配信までをご紹介します。
目次
Facebookモバイルアプリ広告とは?
Facebookモバイルアプリ広告を使うことでアプリをインストールする可能性の高い人へ広告を配信することができます。またインストール済みのユーザーに対して、アプリの利用を促進するための広告配信も可能です。 App StoreやGoogle Play ストアに直接リンクしているため、広告を見た人はすぐにアプリをインストールできます。また、1つのキャンペーンで、Facebook、Instagram、Audience Network等、配信面をまたいで広告を配信することが出来るのも特徴です。
広告設定する前に進めておくこと
モバイルアプリ広告のインストール数の測定や広告配信の最適化を行うには以下の2つの準備を前もって行うことが必要です。
- Facebookにアプリを登録
- Facebook SDK(もしくは外部のモバイルアプリ計測ツールのSDK)のアプリへの追加
アプリダッシュボードを使用してアプリを登録
Facebook へのアプリ登録方法は開発者サイトの手順を参考に設定します。アプリ開発者向けの内容となりますので以下URLの「アプリを登録する」の項目を参考に連携を取って進めていきましょう
山行:Facebookのモバイルアプリ広告を作成するにはどうすればよいですか。 | Facebook広告のヘルプセンター
Facebook アプリと広告アカウントを連携
次にFacebook アプリを広告配信に利用する広告アカウントを連携させます。
まずは、Facebook Developerにログインします。
画面右上のマイアプリをクリックします。
「設定>詳細設定>認証済み広告アカウントID」へ広告アカウントIDを入力し「変更を保存」をクリックします。
広告アカウントIDの確認方法
意外とよく聞かれるのが、「広告アカウントIDってどこに載ってるの?」という質問です。確認手順は次のとおりです。
まず、Facebook 広告マネージャを開きます。アカウントのドロップダウンメニューとブラウザのアドレスバーに表示されているURLの「act=」以降の番号から広告アカウントIDの確認ができます。
「Facebook広告のビジネス設定>アカウント>広告アカウント>対象のアカウント」 を
選択すると「承認済みのアプリ」と上記で登録したアプリが表示されます。この表示が確認できれば広告アカウントとの連携が完了です。
アプリにFacebook SDKを実装する
SDKとは
モバイルアプリに関わっていると、SDKという言葉をよく耳にしますよね。SDK(Software Development Kit、ソフトウェア開発キッド)は、あるシステムに対応したソフトウェアを開発するために必要なプログラムや技術文書などをひとまとめにしたものです。
今回のFacebookモバイルアプリ広告の場合では、Facebook SDKをアプリに追加することで、アプリのインストールや起動回数を追跡したり、広告配信に必要なFacebookに対応した機能をアプリに追加することができるようになります。
Facebook SDK実装方法はプラットフォーム別スタートガイドを参考にアプリ管理者と連携を取って進めていきましょう。
参考:
iOSスタートガイド(3. 開発環境を設定する)
Androidスタートガイド(1.Facebook SDKをAndroidアプリに統合する)
Facebook SDKを実装することで、アプリ内のイベントの測定が可能となりアプリのインストール、アプリの起動、アプリ内購入が自動で測定できるようになります。そのほかにゲームアプリで最初のステージクリア数を測定したい、ECサイトのアプリでカート追加数を測定したい等、状況に応じて測定したいイベントがある場合は、用意されている標準イベントを利用して追加で実装します。標準イベント以外にもカスタムでイベントを設定することも可能です。
標準イベント
- レベル達成
- アプリ内広告のクリック
- アプリ内広告インプレッション
- 支払い情報の追加
- カートに追加
- ウィッシュ(いいね)リストに追加
- 登録完了
- チュートリアルの完了
- 連絡先
- 製品のカスタマイズ
- 寄付
- 位置情報の発見
- チェックアウト開始
- 購入
- 評価
- スケジュール
- 検索
- クレジット利用
- トライアル開始
- 申し込みの送信
- 購読
- アチーブメントアンロック
- コンテンツビュー
カスタムイベント
標準イベントに用意されていないが設定が必要な場合カスタムイベントで設定でします。
例:アプリ内で開催しているキャンペーンの参加人数や、アプリ内購入のキャンセル数等
外部のモバイルアプリ計測ツール
また、Facebook SDKではなく、外部のモバイルアプリ計測ツールもお使いになれます。Facebook広告で利用可能な外部のモバイルアプリ計測ツールは以下の通りです。
ツール名 | サイトURL |
AppsFlyer | https://www.appsflyer.com/ |
VISUAL IQ | https://www.visualiq.com/ |
Detalicious | https://www.datalicious.com/ |
Neustar | https://www.home.neustar/ |
Adjust | https://www.adjust.com/ |
KOCHAVA | https://www.kochava.com/ |
branch | https://branch.io/ |
Kantar Millward Brown | https://www.millwardbrowndigital.com/ |
CyberZ | https://cyber-z.co.jp/ |
Integral Ad Science | https://integralads.com/ |
Singular | https://www.singular.net/ |
Localytics | https://www.localytics.com/ |
DoubleVerify | https://www.doubleverify.com/ |
moat | https://moat.com/ |
Meetrics | https://www.meetrics.com/ |
Comscore | https://www.comscore.com/ |
※実装手順は各SDKによって異なるため利用するSDKのサイトで 手順を確認しましょう。
※アプリの登録とSDKの設定をしない場合でも広告配信は可能ですが、設定していないと、アプリのインストールではなくリンクのクリックに広告が自動的に最適化され、広告で発生したインストールの測定が行われないため設定することをオススメします。以下アプリの登録手順とをまとめていますので参考にしてみてください。
モバイルアプリインストール広告の利用方法
Facebookのアプリ登録、SDKの実装が済んだ次は広告キャンペーンの設定方法について解説します。
モバイルアプリ広告を配信するの際に利用する広告アカウントにログインし、広告マネージャの左上にある[作成する]をクリックします。
キャンペーン名、広告セット名、広告名、キャンペーンの目的を設定します。モバイルアプリ広告が配信可能なキャンペーンの目的と選び方は以下のとおりです。
[アプリケーション]のFacebook アプリに登録したアプリをドロップダウンメニューでアプリを選択します。一つの広告セットでGoogle Play(Android)、iTunes(iOS)と複数プラットフォームへの配信を行うこちはできないのでAndroid、iOSどちらにも配信する場合は広告セットを2つ用意する必要があります。
次に広告セットの[ターゲット]でターゲット層を選択します。
たとえば、配信するモバイルアプリがRPGのゲームアプリの場合、
「趣味・関心>レジャー施設>ゲーム>ロールプレイングゲーム」といったようにロールプレイングゲームに興味・関心を持つ人へターゲティングすることが出来ます。
また、たとえばロールプレイングゲームの代表作である「ドラゴンクエスト」等ゲームジャンルだけではなく詳細な作品までターゲティングすることも出来ます。
ただし、細かくターゲットを設定しすぎるとオーディエンス規模が限定されDL数を増やすことが出来なくなってしまい効果が悪くなる場合があります。十分なオーディエンス規模まで拡大していくと良いでしょう。
そして広告セットの[予算と掲載期間]で予算、広告を配信する期間を設定します。
広告セットの[最適化と配信]で最適化の目標をどこに設定し配信するかを選択します。
設定可能な最適化の目標、詳細は以下の通りです。
キャンペーンの目的「アプリのインストール、トラフィック、コンバージョン」とそれぞれ設定する際に以下のような組み合わせで配信すると良いでしょう。
広告セットの[配置]で配信面と、端末条件を設定します。モバイルアプリ広告の配信が可能なプラットフォーム別配置は以下のとおりです。
※アプリインストールを目的とした配信では以下の配置はできません。
- Facebook:右側広告枠
- Audience Network:インストリーム動画
- Messenger:広告メッセージ
自動配置を利用することで、モバイルアプリ広告で配信可能な配置にすべてに配信することができ、効果の良い配置へ配信が最適化されます。キャンペーンの目的が[コンバージョン]の場合、配置ごとにクリエイティブのサイズを調整し狙った配信面に対して適切なサイズの広告を配信することができるので配置は基本的に自動配置を設定します。
アプリインストールが目的のキャンペーンはまだクリイティブごとのカスタマイズができないためInstagramのStoriesの配置のみ広告を配信したい等、配信先を限定したい場合は[配置を編集]を選択すると良いでしょう。
広告レベルで使用する広告素材の形式を選択します。設定可能な広告フォーマット、要件は以下のとおりです。
アプリのインストールを促す場合は、一枚の画像で配信するよりも広告の見せ方が豊富なカルーセル画像や動画フォーマットを使うことでアプリの魅力をより伝えることができます。
動画素材もFacebook 広告マネージャー上の動画作成キットを利用して簡単に作成することができるので参考にしてみてください。
次にFacebookページもしくはInstagramアカウントを広告にリンクします。
画像または動画、テキスト、見出し、アクションを設定します。それぞれ設定し確認後[実行する]ボタンをクリックすると広告の作成が完了し設定に沿った条件で広告の配信が開始されます。
※アクションは以下11種用意されており、アプリのインストールを目的として配信する場合は
ユーザーに分かりやすいアクション「ダウンロード」または「インストール」を設定するのがよいでしょう。
- フォローする
- 予約する
- ダウンロード
- インストール
- 詳しくはこちら
- 音楽を聴く
- ゲームをプレイ
- 購入する
- 登録する
- アプリを利用
- 他の動画を見る
Facebookモバイルアプリ広告の成功ポイント
モバイルアプリ広告は、ユーザーをウェブサイトへ誘導する広告と異なり、直接アプリストアへ誘導するため、広告クリエイティブが通常の広告以上に重要です。また、インストールは目的の入口でしかないため、インストール後の行動を含めた広告設計が重要となります。
モバイルアプリ広告で成果を出すため気をつけたいポイントは以下のとおりです。
- アプリの内容やアプリを使ってできることが伝わりやすい広告素材を作成する
- 静止画よりも複数画像や動画を使う
- Facebook SDK(もしくは第3者SDK)はモバイルアプリへなるべく実装する
- 広告経由でアプリインストールしたユーザーの動向を追う
スクリーンショットや、アプリストアの説明文等を用いてアプリの内容やアプリできることが一目で伝わるようなクリエイティブを用意しましょう。また、ユーザーの目を引きアプリに興味を持たれるように一枚の静止画よりも複数のカルーセル画像や15~30秒ほどの動画を用いて配信しましょう。
Facebook SDKをアプリに組み込むことでアプリ内のユーザーの動き(アプリ内購入数やアンインストール数)等の指標を確認できます。いくら低いインストール単価でインストール数を伸ばしていたとして、翌日にはほとんどのユーザーからアンインストールされていたらそのターゲティングは効果が良いとは言えないですよね。
モバイルアプリ広告の配信においてインストール数を増やすことは大きな目標ですが、その上にアプリ内購入数を伸ばすことや利用者数を増やすことなどの最終目標があると思います。広告経由でインストールしたユーザーのクオリティをみて運用することも重要となってくるでしょう。
幅広い層かつ詳細なターゲティングでの配信が可能
配信にあたってFacebookアプリの登録や広告アカウントと連携対応が必要であるなど設定内容は多少複雑です。一方でFacebook SDKで設定できるアプリ内イベントを複数設定しておくことで対象のイベントをアクションしたユーザーにだけ広告配信ができるなどキメ細かいターゲティングもできます。
また、性別、年齢、興味関心等のFacebookのオーディエンスデータを利用したターゲティングもでき30~60代が中心のFacebook、10~20代1が中心のInstagramとコアユーザーの年齢層が異なるサービスの幅広い層にリーチすることが可能です。
Facebookモバイルアプリ広告の利用を検討してみてはいかがでしょう。