とあるベンチャー企業が採用を停止するまでの軌跡

とあるベンチャー企業が採用を停止するまでの軌跡

「人を憎まず、仕組みを憎め」とはアナグラムが大切にしてきた考え方のひとつです。わたしたちは人の本質を光だと考え、性善説で組織を運営してきました。

自分が所属する組織に悪い影響を与えたいと思って働いている人は、本来ひとりもいません。

上手くことが運ばないときも、それは誰かが故意に悪意で引き起こしたものではない。であるならばまっさきに疑うべきは仕組みのほうだ。

こう考えて改善を図るのが、わたしたちの当たり前です。

せっかくの一挙手一投足が、余すところなくダイレクトに成果へ響くのを阻むのは何だろうか?これは組織運営に限らず、個人の活動においても欠かせない視点ですよね。

アナグラムが2022-23年にかけて採用フローに加えた変更は、まさしくアクションをより効果的に成果へと接続するための取り組みでした。その軌跡とともに、人がのびのび成果を出せる環境のヒントを紹介していきます。

アナグラムの採用を加速させた3つ変更点

2022-23年にかけて、わたしたちは大きく分けて3つの変更を採用フローに施しました。

  • 人事の分担を変更
  • 現場面接を廃止
  • 面接参加者を固定

その結果、ありがたいことに以前よりも入社につながるご縁が増え、組織の拡大ペースは上がっています。どれくらい好調かというと、運用型広告エキスパート職の採用を一時停止するに至ったほどです。

目に見えて成果は変わりましたが、おわかりいただけるように変更点はシンプルなものです。「別の担当者に変わった」とか「活用するスキルが変わった」とか、配置や能力などをすべて入れ替えるような複雑な変化があったわけではありません。

ただ、各々のアクションがより望ましい成果に結びつきやすくなる環境を整えただけです。それが大きなインパクトをもたらしました。

①人事の役割分担を一気通貫制に変更し、目標を明確に

規模が変わっても、それまでのやり方を踏襲する。どんな組織にも見られる光景です。慣れた方法には、数多の選択肢からそれが定着するだけの理由があったはずですし、前例に倣えば失敗の確率は下げやすい気もします。

一方でより望ましいのは、できればただ慣性に従うのでなく、より現状に即した方法を見つけ出して選びなおすことですよね。

では、どんな時に方法を見直せばよいのでしょうか?アナグラムではさまざまな「違和感」をひとつの目安にしています。

道に見失うような感覚や、いまいち成果につながらないもどかしさがあるとき、それはもっと健全な取り組み方が他にあるサインだからです。

考え方もバックグラウンドも異なる人同士がともに働くうえで、よい仕組みは指針となり、進むべき方向性を如実に指し示します。変更にはコストがかかりますが、馴染むころには以前よりも容易に結果が出せるケースも少なくありません。

人事内での役割分担を変更したのもこの理由です。かつては担当者が少なかった名残もあり、すべてのチャネルを選考プロセスで横断するように分担していました。

プロセス別にすべてのチャネルを横断する従来のスタイルは、抜け漏れが防ぎにくいだけでなく、第三者から見てボールの所在が曖昧な部分を残します。何よりも、各々がプロセス別の「対応」に責任を持つ以上、各チャネルに対して深く入り込み「成果」につなげるインセンティブが働かないことが大きな課題でした。

そこでチャネル別に担当を分け、一気通貫制へ変更。チャネルを縦断して1人が責任をもつ形式です。これで戦略と実行がセットになりました。

主体的に戦略を考え、実行し、手応えを感じながら改善のアクションを続けられます。結果として媒体に対する知見は深まり、媒体社やエージェント担当者との相互理解や連携も進みました。担当チャネルが明確になり、自分の力でもっと楽しく、もっとよくする力学が絶えず自然に働きます。

やりとりの相手が最後まで変わらないため、応募くださる方の体験の質も上がったのではないかと考えています。

結果に関わらずありがたいご返信をいただく場面は以前より多いです。担当者としても一貫したメッセージを伝えやすくなりました。

②調整難易度高めの現場面接を廃止し、意思決定スパンを短縮

併せて変更したのは選考フローです。目標を達成するための道のりは意思決定の連続であり、採用はその最たるものですよね。

関係者の判断を助けるものは何だろうか?委ねるタイミングはいつにすべきだろうか?障害になるものはどう取り除けるだろうか?問い続けながら整備する必要があります。

社内外問わず参加者がよりスムーズに判断できるように、わたしたちは従来の現場面接を廃止しました。

変更前には最大6名の上長候補が参加していた現場面接。日程調整が難航しがちで、一連の採用フローに2-3か月近くかかってしまうことも少なくありません。当然その間に辞退となるケースも出てきますよね。

採用においては、応募くださる方の貴重な時間を尊重すべきです。と同時にアナグラムでは、採用ひいては配属において当事者の挙手をベースとしてきました。これは自己決定と成長を引き出すための工夫であり、創業以来変わりません。

それゆえ現場面接を廃止するだけでなく、代わりに挙手のタイミングを入社後の研修時へとずらしました。選考期間を短縮しながらも、上長候補の挙手を元にした配属を両立しています。選考期間も2-3週間に収まるようになりました。

鮮度を保った意思決定を邪魔しない。そんなフローを用意することは、選考に関わるすべての人に対して示せる誠意の一つだと考えています。

③面接関与者を少数に固定し、すり合わせや連携が容易に

プロジェクトにおけるアクションの価値を高める戦略として「選択と集中」とはよく言われますよね。複数人の判断を元に結果が決まる採用においても、これは有効だと感じています。

以前は都度異なる現場のメンバーを交えて面接を実施していましたが、選考を通した面接の参加者を原則「継続して面接に参加できる層」に絞りました。

当時、上長候補は通常業務の合間を縫ってなんとか時間を捻出するのが当たり前。それでもすすんで面接に参加していたのは「この人のためなら労を惜しまず、ともに成長の道を歩みたい」と思う未来の仲間を自分で見つけるためです。

しかし業務や挙手の都合で、次の面接に参加するまで数週間空くこともしばしば。人を”見る”にはただでさえ経験が要りますが、普段はコンサルタントとしての仕事を全うしながら、並行して面接にも参加する状態です。短期間にたくさんの方とお会いするのも難しく、スイッチングコストも判断軸をチューニングする難易度も高い状態でした。

これでは応募くださる方やクライアント含め誰にとってもベストではない。そんな想いから現在は、職種やチャネルによって多少違いはあるものの、原則として代表/マネージャー/人事(クリエイティブディレクター兼デザイナー職においては+数名のマネジメント層)の決まったメンバーが継続的に参加する方式としています。

コア基準の言語化やすり合わせは以前よりスムーズです。アナグラムに合う/合わないのデータを精度高く蓄積できるようになったため、判断の質や内定受諾率が確実に上がりました。面接で場を作る際の連携や相談し合える信頼関係も深まったと感じています。

関与者を少数に改めた結果、より集中して各自のミッションに向き合いやすくなりました。相互のフィードバックも促進され、新たな視点や内なる気づきと出会う場面も多いです。

道を示し、決断を阻害せず、対話を促す仕組みがあれば、人は自分の力で気づき学ぶ

方向性や願いが明確に伝わる仕組みを整えること、個人の意思を尊重し細部は任せきること、有事には相談できる/してもらえる信頼関係でバックアップすること。

この記事で紹介してきた項目は、マネジメントにおいて大切にしたい姿勢とも合致します。

組織運営においてマネジメントというと、他者との関係を思い浮かべるシーンは多いですよね。ですがセルフマネジメントという言葉があるように、自分のパフォーマンスやマインドを”在りたい状態”に導いたり、タスクを管理したりするのもまた、立派なマネジメントです。組織には仕組みがありますが、個人も習慣をコントロールすれば、得たい未来にきっと近づけます。

のびのび実行したら自ずと成果が出て、他者によるマネジメントは必ずしも必要としない。そんな指針や状態を作り上げることは、個人にとっても組織にとっても一つのゴールといえるのではないでしょうか。

事前に決まった仕事を任せたり頼まれたりといった場面には、日常的に遭遇するものです。それでも人は自分で作った仕事こそ楽しんで働くことができ、その姿勢は成果を引き寄せやすくします。

仕事をまるっと変えることが難しくても、取り組み方一つで視界はパッと拓けます。なかなか上手く結果につながらないとき、それはあなたや誰かのせいとは限りません。まずは仕組みや習慣を疑ってみてください。突破口が見つかるかもしれません。

最後に、前述の経緯があり運用型広告エキスパート職は一時採用を止められるまでに至りましたが、ありがたいことに新たな課題が見つかり、現在は採用を再開しています!

クリエイティブディレクター兼デザイナー職も変わらず募集中ですので、気になる方はぜひ採用ページを覗いてみてくださいね。

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