Nielsenによれば、スマートフォンの利用時間全体のうち、80%をアプリが占めています。ひとたびアプリをインストールしてもらえれば、頻繁に目にされるスマートフォンの画面上に居座ることができ、いつでもどこでもユーザーとの接触機会を得ることができます。(もちろんただインストールされただけでは十分でなく、アプリを利用し続けてもらうのが重要で、かつ容易でないことも添えておきます。)
では、ユーザーは新しいアプリをどのように見つけているのでしょうか?
Googleによれば、「 アプリマーケット ( Google Play ストアなど ) 上で検索する 」という方の割合がここ数年で大きく増えており、全体でも多くの割合を占めていることがわかります。
参考:モバイルアプリの利用実態とアプリマーケティングを考える第 2 回 : 日本のアプリ利用の実態 - Think with Google 日本
ただし、少なくともアプリストアに訪れているのはアプリをインストールしようとしているユーザーです。積極的にアプリを探していないユーザーにアプローチするには他の方法も必要となってきます。
スマートフォンユーザーの可処分時間の多くを占める、利用頻度が高く利用時間も長いアプリのカテゴリは「検索」「ゲーム」「メッセージ・コミュニケーション」そして「ソーシャルネットワーク」があります。中でもFacebook、Twitterをはじめとする「ソーシャルネットワーク」は、他のカテゴリに比べて特定の目的に特化しておらず、すきま時間などにも多く見られているため、アプリのインストールなど衝動的なアクションが期待できるチャネルのひとつです。
今回はその中でも、他のソーシャルメディア上の広告とは一風変わったユニークなターゲティングも可能なTwitter広告のアプリインストールの仕組みと設定、考え方までのキホンをお送りします。
目次
Twitterアプリインストール広告とは?
Twitterアプリインストール広告は2014年より全世界に提供が始まったTwitterモバイルアプリプロモーションにおけるアプリインストールを目的とした広告で、TwitterのタイムラインやTwitterと提携しているプラットフォーム上にモバイルアプリの広告を配信し、広告をクリック後Google PlayストアやApp Storeのアプリページへ誘導することでアプリのインストールを促します。
設定したターゲティングやクリエイティブごとにアプリ広告の表示回数や、クリック数、リツイート数、また計測ツールを使用することでインストール数に限らず、アプリ内購入などの効果測定も可能なため日々の運用による最適化が重要な広告でもあることも特徴です。
設定方法
セルフサービス式でのTwitter広告アカウントの作成方法については下記の記事をご確認ください。
1.宣伝するアプリを登録する
Twitter広告の管理画面より、ツールタブから「アプリマネージャー」をクリック
「アプリを追加」をクリックします。
AndroidやiOSなど対応しているアプリのプラットフォームを選択し、URLまたはURLの末尾にあるID(※)を入力して宣伝するアプリを登録します。
※Androidの場合はURL末尾の[id=]以降、iOSの場合はURL末尾の9桁の数字がIDに該当
2.アプリカードを作成する
クリエイティブのタブより「カード」をクリックします。
「カードを作成」から、クリエイティブに静止画を使用する場合は「イメージアプリカード」を、動画を使用する場合は「ビデオアプリカード」をクリック。アプリのプレビュー動画などを活用すれば、より深く興味を持ったユーザーをアプリストアに誘導することができるため、インストール数の増加やインストール単価の低下が期待できます。
必要な項目を入力したら「作成」をクリックします。
メディアに関しては静止画、動画いずれも「1.91:1」あるいは「1:1」サイズの素材を入稿することができます。ただし、1:1サイズを利用するには現時点では上記お問い合わせフォームより申請が必要です。
3.ツイートを作成する
このツイートが実際にユーザーのフィードなどに表示される広告に該当します。
クリエイティブのタブから「ツイート」をクリックします。
「新しいツイート」をクリックします。
①カードのアイコンをクリックします。
②「アプリカード」を選択すると下に作成したアプリカード一覧が表示されるので、対象となるカードを選択します。
③アプリのインストールを促すためのテキストを入力します。
「予約設定をする」をクリックすると、ツイートする日(ツイートの配信を開始する日)を設定することも可能です。
4.キャンペーンを作成する
キャンペーンを作成から「アプリのインストール数または起動回数」をクリック
前述でアプリマネージャーに登録したアプリが表示されるので、プロモーションするアプリを選択します。
①キャンペーン名を入力します。どのようなターゲティングをしているかわかりやすいようなキャンペーン名にしましょう。
②キャンペーンの実行日を選択します。すぐに開始する場合は「今すぐ開始して、継続的に実施]を、配信期間が決まっている場合は[開始日と終了日を設定]を選択して日付を設定します。
③リーチするユーザー層を選択します。今回はインストールを目的とする配信なので、「アプリをインストールしていないユーザー]を選択します。
④目標コンバージョンイベントも同じくインストールを目的としているので「インストール」を選択します。この項目は配信後データを見るときにデータの表示項目に該当します。
⑤配信先を選択します。Twitterタイムライン上のTwitterユーザーのみに広告を表示させたい場合は「Twitterオーディエンスプラットフォームでリーチを広げる」のチェックを外しておきましょう。
TwitterオーディエンスプラットフォームとはTwitter社と提携するネットワークのことで、Twitter外のアプリやウェブサイトにも配信を広げたい場合は選択しておきます。Twitterが持つ興味関心データを基にしたターゲティングを活用して配信され、オーディエンスプラットフォーム上でもキャンペーンで設定している既存のターゲティングが適用されますが、テレビ、イベント、行動ターゲティングは現在のところオーディエンスプラットフォーム上ではサポートされていません。最初はチェックを外しておいて、さらにターゲティング以外のところで拡大していきたいというタイミングで適応するのが良いでしょう。
5.ターゲティングを設定する
アプリインストールにおいても、テイラードオーディエンスターゲティングやキーワードターゲティング、フォロワーターゲティングなど、通常のTwitter広告と同様のターゲティング機能が使用可能です。
各ターゲティングの詳細については下記の記事をご参考ください。
参考:セルフサービス式のTwitter広告の始め方
参考:Twitter広告、キーワードターゲティングの仕組みと設定、考え方までのスベテ
前項目で「アプリをインストールしていないユーザー」を選択していますが、キャンペーンをどのように最適化するかの選択でありテイラードオーディエンスに置き換わるものではないため、正確性を増すためここでもテイラードオーディエンスにてインストール済みのユーザーをターゲットから除外しておきましょう。
ターゲティングから「テイラードオーディエンスで設定したターゲットから特定のユーザーを除外する」を選択し、インストール済みのユーザーを除外します。
※後述していますが、アプリ広告でテイラードオーディエンスを利用するには外部の計測ツールが必須となります。
6.予算と入札方法を設定する
1日あたりの上限予算を入力し、キャンペーン全体の予算がある場合は予算総額も任意で記入しておきます。プロモーションの予算が固定で決まっている場合は予算総額も記入しておくとよいでしょう。そうでなく継続的に配信を予定している場合は入力する必要はありません。いずれも記入した予算を上回ることはなく、予算に達した時点で配信が停止されます。
1日あたりのコストのペーシングについては下記の2つより選択することができます。
- 標準配信:日別予算を、1日を通して均等に使う
- 集中配信:日別予算をできるだけ早く使い切る
入札オプションと入札額を設定します。アプリインストールを目的としたキャンペーンの場合、下記3つの入札オプションを選択することが可能です。
- コストパーアプリクリック(CPAC)入札:ユーザーのアプリクリックあたりで入札を行い、アプリクリックが行われた際に課金が発生。入札額は自動入札または目標コストにて手動で設定が可能。
- アクション最適化(OAB)入札:ユーザーのインストールあたりで入札を行い、アプリクリックが行われた際に課金が発生
- コストパーインストール(CPI)入札:ユーザーのインストールあたりで入札を行い、インストールが行われた際に課金が発生
OAB入札、CPI入札に関しては、計測ツールを使用してコンバージョントラッキングを設定していないと使用できないのでご注意ください。
クリック課金はApp StoreまたはGoogle Playストアのアプリページに誘導したクリックのみ、インストール課金はクリック後30日以内にインストールされた場合のみ課金が発生するため、いずれもリツイートなどは課金対象にはなりません。またリツイートされたツイートは“アーンドメディア”となるため、リツイートされたツイート経由のクリックやインストールも課金対象にはなりません。詳しくは下記記事をご確認ください。
参考:Twitter広告のリツイートされた分ってどうなるの?
また、CPI入札を行う際は下記2点の注意が必要です。
- インストールが行われたタイミングで課金が発生することから配信停止後30日以内は課金が発生する可能性がある
- 日別予算、予算総額ともに予算を増やすことはできますが減らすことはできません。
7.クリエイティブを選択する
作成したツイートを選択します。ここまですべて設定したら、保存をクリックして完了です。
アプリインストール広告で成果を伸ばすためには
クリエイティブは常に複数パターンを配信しましょう
Twitter広告では自動的にパフォーマンスの高い広告が高頻度で表示されるため、常に複数パターンの広告を同時進行で配信し、配信頻度の少ない広告を停止していくことで最適化をすることができます。テキストだけでなくアプリカードに使用する画像や動画も魅力的なアプリのスクリーンショットや動作中の動画など、目を惹くような素材を用意し、繰り返しテストを行いましょう。
特にTwitterはFacebookやInstagram などのSNSと比較すると流し読みをされる可能性が高いため、テキストの1行目や画像、動画でユーザーの目を惹くかどうかは非常に重要です。
プロモーションしたいアプリのフェーズによって入札オプションをうまく切り替えましょう。アプリのインストール数を重視する場合はCPAC入札を、コスト効率を重視したい場合はCPI入札を選択します。OAB入札はその中間に位置します。
Twitter特有のキーワードターゲティングを網羅する
Twitterでは「サッカー」や「野球」などの名詞だけでなく、「サッカーしたい」「野球楽しい」といった動詞や形容詞でのターゲティングも非常に有効です。例えばアプリのプロモーションの場合、「ダウンロードした」「インストールした」「課金した」などのキーワードターゲティングは良い成果をもたらす見込みがありそうですよね。そのためにも日頃からターゲットとなるユーザーのツイートを観察し、新たなキーワードを発掘しましょう。
コンバージョン計測には計測ツールが必須
Twitter広告管理画面上でインストール数やアプリ内行動(課金など)の計測を行うためにはTwitterが選定したモバイル測定パートナーと連携するか、Twitterが開発したAnswers by Fabric(無料ツール)を使用する必要があります。測定可能なツールは下記の通りです。
・Answers powered by Fabric
・Adjust
・AppsFlyer
・Apsalar
・Fiksu
・Grab Analytics
・Kochava
・Localytics
・Mobile App Tracking by Tune
※2018年1月現在
参考:アプリインストールまたはアプリエンゲージメントキャンペーンを作る
最後に
Twitterのユニークなターゲティング機能により、アプリストアの検索結果などではターゲティングできなかったユーザーを狙うことも可能になります。
たとえば、ゲームアプリであればすでにインストールしてプレイされている類似のアプリのタイトルや、アプリで使われる専門用語や派生したハッシュタグなどが考えられます。その他にも、「卒論終わったー」などのように、卒論を書き上げて卒業や就職を控えた学生をターゲティングすれば、卒業旅行を切り口とした旅行関連のアプリを訴求したり、就職後の一人暮らしを見据えて賃貸物件探しのアプリのプロモーションという手も考えられます。
また、サッカーファンはわざわざ検索エンジンで検索をせずとも、情報を発信しているアカウントをフォローして情報を得ている場合もあります。Twitterアカウントをもってるユーザーが必ずしも興味のあることについて情報発信をしているとは限らず、情報収集専用としているケースも少なくありません。そのような場合にはサッカー関連のアカウントを対象にフォロワーターゲティングを行うのが有効です。
Google アドワーズのアプリインストール広告はターゲティングからクリエイティブの生成、入札までを自動で行うユニバーサルアプリキャンペーンに置き換えられ、良くも悪くもキーワードなどのより小さい単位での調整を行うことは難しくなりました。
参考:Google アドワーズ、ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)の仕組みと設定、考え方までのキホン
一方、Twitter広告の魅力は、ツイート内容やフォロワーなど情報から非常に自由度高くユーザーの興味・関心や現在の状況に応じて、小回りの効いたアプローチができる点だと考えています。考え方次第で、他の媒体では実現できないターゲティングも可能となるTwitterアプリインストール広告にも取り組んでみてはいかがでしょうか。