Instagramフォロワー獲得のための広告運用のポイントと注意点

Instagramフォロワー獲得のための広告運用のポイントと注意点

企業がInstagramアカウントを運用する理由はさまざまですが、より多くのユーザーに商品やサービスを知ってもらいたい、さらに理解を深めてもらいたい、というのは共通した目的ではないでしょうか。

しかしながら、一生懸命にInstagramアカウントを運用しているものの、なかなかフォロワーが増えないという悩みを聞くことも少なくありません。また、フォロワーの獲得に広告の活用を実施している、あるいは検討しているという担当者も多いかと思いますが、やみくもに広告を配信しても思うようにフォロワーは増えないでしょう。

そこで今回は、広告を活用してInstagramフォロワーを獲得するために知っておきたいポイントと注意点を解説していきます。

Instagram広告には「フォロワーを増やす」目的専用の機能はない

まず、Instagram広告には「フォロワーを増やす」ことを目的とした広告キャンペーンや機能はありません。

そのため、この記事で紹介するのは、フォローをする可能性が高い方へできる限り配信を行える方法です。しかしながら有効に利用することで、広告主の目的にあったユーザーへアプローチを広げることも可能です。

それではさっそく、どのような方法がおすすめなのか見ていきましょう。

「Instagramプロフィールへの誘導」を最適化指標にする

2023年11月から、トラフィックを目的としたキャンペーンにて「Instagramプロフィールへの誘導」が最適化地点として選択できるようになりました。

前提として、フォロワー獲得のためにはフォローボタンがあるInstagramのプロフィール画面へユーザーを誘導する必要がありますが、この設定を使用することで、プロフィールへのユーザー遷移がより多く集まることが期待できます。

「Instagramプロフィール」を目標とした設定方法

それでは実際にInstagramプロフィールへのアクセス数を最大化するのを目標としたキャンペーンの設定方法を確認していきましょう。

利用方法は、まずキャンペーンを作成する際に「トラフィック」を目的として選択します。「Instagramプロフィール」を選択できるのは、トラフィック目的のキャンペーンのみとなりますのでご注意ください。

次に広告セットの設定に移ります。「コンバージョン - コンバージョンの場所」で「Instagramプロフィール」を選択しましょう。

この設定を使用すると、以下が固定で選択されます。

  • パフォーマンスの目標:Instagramプロフィールへのアクセス数を最大化
  • 広告の遷移先:Instagramプロフィールページ
  • コールトゥアクション(CTAボタン):「Instagramプロフィールを見る」が表示
  • 広告の配信面:Instagramに限定

ターゲットはフォロワーの類似オーディエンスがおすすめ

フォロワー獲得を目的としたInstagram広告の配信で様々なターゲティングを試しましたが、最も効果的だったのは“Instagramのフォロワーの類似オーディエンス”です。

類似オーディエンスは、抽出元のオーディエンスと、FacebookやInstagram内での行動履歴や属性が似た、共通の特徴をもつ新規ユーザーに広告を配信できます。抽出元のオーディエンスは、Instagramに関するエンゲージメントカスタムオーディエンス「このプロアカウントをフォローし始めた人」を利用すれば、より成果に近いアクションをしたユーザーに基づく類似オーディエンスを作成できるため、フォローしてくれる可能性が高まるでしょう。

フォロワー類似オーディエンスの作成方法は以下です。

① カスタムオーディエンスで、Instagramアカウントをソースにフォロワーオーディエンスを作成

② 類似オーディエンスを作成し、①で作成したオーディエンスをソースに設定

類似オーディエンスのソース(フォロワー)は1,000~5,000人が推奨されています。

また、類似オーディエンスの数は、推定リーチ数に応じて調整するのが良いでしょう。最初の目安としては、100万人前後をラインにしてみるのがおすすめです。初期設定の段階で推定リーチが少ない場合は「オーディエンスサイズ」項目のパーセンテージを広げ、多すぎる場合はパーセンテージを狭く設定します。

ただ、100万人が正解という訳ではなく、成果状況に応じて広げたり、狭めたりをテストし、最も効率よく数を確保できる設定を模索してみましょう。

また、類似オーディエンスについての詳細はこちらの記事もあわせてご覧ください。

フォロワー数が少ない場合は「興味関心ターゲティング」がおすすめ

現時点でフォロワー数が少ない場合、類似オーディエンスの質が低い可能性が生じます。類似オーディエンスで配信が少なかったり効果的でなかったりする場合は、興味関心ターゲティングの使用がおすすめです。

もしフォロワー数が足りない場合、まずは興味関心ターゲティングである程度フォロワーが拡大してきた後に、そのフォロワーをソースに類似オーディエンスを作成するのがよいでしょう。

参考:類似オーディエンスについて|Metaビジネスヘルプセンター

クリエイティブには「既存の投稿」の利用がおすすめ

クリエイティブは、Instagramアカウントによるオーガニック投稿、いわゆる「既存の投稿」の利用がおすすめです。

Instagramでは既存の投稿を広告として配信が可能です。もちろん、広告専用のクリエイティブを新たに作成するのも可能ですが、次のような理由から既存の投稿を広告として配信する方法をおすすめしています。

  • 広告用に新しくクリエイティブを作成する必要がない
  • 既存の投稿にも広告経由のエンゲージメントが加算される
  • ユーザーがあとから投稿を見られる

オーガニック投稿もフォローしているユーザーやフォローして欲しいユーザー向けの投稿を行っているため、フォロワーの獲得が目的であれば必ずしもクリエイティブを新たに作成する必要はありません。また、既存の投稿を広告として配信して得られたエンゲージメント(いいね、コメント、保存)は既存の投稿へ反映されます。フォロー後などに、広告の投稿をまた見たいというユーザーにとっても好ましいですよね。

もちろん、新たなフォロワーに向けて別のオファーや訴求を行いたい場合には、広告用にクリエイティブを作成するのがいいでしょう。

フォロワー獲得目的の広告配信時の注意点

ここまで、広告を使いフォロワーを増やす方法について解説してきましたが、いくつか注意したい点があります。内容によってはアカウントが停止されてしまう可能性もありますので、十分気をつけましょう。

最終的にフォロワーに何を望むのかを先に考える

フォロワーを増やすことそのものが目的になってしまっては本末転倒です。何のためにフォロワーを増やすのか、フォロワーが増えた後にどんなことを実施していきたいのかを明確にしておく必要があります。

フォロワーをそのゴールに向かって誘導する仕掛けを別途用意しておくなど、フォロワー獲得はあくまでゴール達成に向けたステップの1つでしかないことを意識しておくのが大切です

商品タグは広告利用不可

ECサイトのアカウントでは、オーガニックの投稿に商品タグを付けるケースが多いと思います。しかし、そのような商品タグが付いた投稿を広告として配信することは、Metaの仕様により広告クリエイティブとして選択できません。そのため、広告配信も前提とした投稿の場合は、そもそも商品タグを付けずに投稿しましょう。また、既に商品タグを付けた投稿も、編集で商品タグを削除すれば広告クリエイティブで選択できるようになります。

広告クリエイティブにはなるべくハッシュタグを利用しない

投稿にハッシュタグが多すぎる場合も広告で利用できないエラーが生じるので注意しましょう。Metaのヘルプには条件など詳細の記載は無いものの、筆者の経験では30個以下であれば広告で利用できています。

そもそもの前提として、ハッシュタグをタップするとそのタグが付いている投稿の一覧に遷移してしまい、広告の本来の狙いであるプロフィールページに遷移しないユーザーが増える可能性があります。意図しないユーザー遷移を促してしまうことにも繋がるため、広告で配信する場合はなるべくハッシュタグを付けないほうが好ましいでしょう。

フォローの見返りに金品を提供する投稿を配信しない

Instagramでは、フォロワー購入サービスなどで人為的にフォロワーを増やす行為や、フォローの見返りに現金・現金同等物(ギフト券など)を提供する行為を禁止しています。もしそういった投稿を配信すると、最悪の場合はアカウントが停止されてしまう危険があります。

参考:Instagram コミュニティガイドライン

「フォローでプレゼント」「フォローして当たる」なども「フォローの見返り」と捉えられるような表現も同様に避けるのが無難でしょう。

ガイドラインへの抵触を別としても、金品などのインセンティブを得るのが目的のフォロワーは、目的を達成すればフォローを解除したり、投稿にアクティブに反応することも期待できないため、本来コミュニケーションを取りたい方ではないことも多いでしょう。

魅力的なコンテンツの投稿を継続する

純粋にフォロワー数が多いことのメリットは冒頭に説明しました。ただ、せっかくフォローしてくれても、やっぱり無益なアカウントだったと思われてしまうとフォロワーの離脱に繋がります。

その観点からも、ある程度は投稿数が既に存在しており、「このアカウントをフォローすることで、今後どのような情報が期待できそうか」をフォロワー外のユーザーが想像できる状態になってから、広告を利用するのも一手かもしれません。

またInstagram内でコンテンツが表示されるアルゴリズムには様々なシグナルが影響していますが、「いいね!」やコメント、シェア、保存などのエンゲージメントが増えるとフォロワー外のユーザーの発見タブやフィードのおすすめに投稿が表示されやすくなります。そうしてリーチが広がることで、オーガニック経由でもフォロワーが増加する仕組みが強化されます。魅力的なコンテンツの投稿が、フォロワーの離脱を防ぎつつ、新規フォロワーの拡大にも活きてくるのです。

参考:Instagramのランキングを解説 | Instagramブログ

フォロワー獲得を目的とした広告の成果分析方法

紹介した配信の結果を分析する際に、押さえておきたい重要なポイントが2点あります。

広告経由でどれだけフォロワーが増えたか、正確な数字は不明

上記配信では、広告のエンゲージメント(「いいね」、コメント、リアクション、動画の3秒再生、クリックなど)やクリックまでは計測できるものの、その先のプロフィールページで、実際に広告経由で何人がフォローしてくれたのか、までは把握できません。恐らく、Instagramの思想として、フォロワー購入サイトなどを利用し、直接的にフォロワーを増やすことを禁止している都合上、広告経由で獲得できたフォロワー数を把握できないようにしているものと思われます。

そのため問題になるのが、広告をどう評価するかということです。広告管理画面では、エンゲージメント率やエンゲージメント数、クリック率、クリック数、クリック単価が確認可能なので、それを評価の軸としてもよいでしょう。しかし、実際にフォローに繋がっているのかを把握し、評価したいときはどうすればよいのか、と気になる方もいらっしゃるかと思うので次項目で解説します。

インサイトを活用しよう

広告管理画面からは広告経由のフォロワー数が分からないため、インサイトの活用が非常に重要になってきます。インサイトとは、プロアカウントで利用できるInstagramの分析ツールです。フォロワー数の推移(増加・減少・純増減)や、エリア・性別・年齢、アクションを実行したアカウント数や、どの投稿がより多くの反応を得られているかなど、数値の詳細を確認できます。遡れるのは過去90日までですが、多くの情報を分析できる、とても便利なツールです。

インサイトで確認できる情報の中でも、フォロワー獲得を目的とした配信を実施する上で特に重要なのが、フォロワー数の推移です。広告経由のフォロワーかどうかまで判別はできないものの、広告を開始した前後でフォロワー数の増減がどう変化したかは、インサイトを見れば分かります。

下図はあるアカウントにて、フォロワー獲得を目的とした広告を実施した際のフォロワー数の変化です。広告を開始する以前は、オーガニックで1日数名の増加だったものが、広告配信開始後、フォロワー数の増加幅が一気に拡大していることがわかります。

このように、広告を実施する前の平均フォロワー増加数と、広告を実施した後のフォロワー増加数との差分が、広告経由で獲得できたフォロワー数とみなすことができます。新規フォロワーの獲得単価(CPF・Cost Per Follow)も大まかですが導き出せるでしょう。

また、広告で配信する投稿を選定する際も、インサイトが役立ちます。インサイトでは、エンゲージメントやいいね数が多い「トップ投稿」「トップリール」を確認できます。多くの投稿を続けていれば、ユーザーからの反応が良いもの、悪いものの差が生じてきます。「いいね」がより多く集まっている投稿=反応が良い投稿を広告で配信すれば、フォロワー外のユーザーからも高いクリック率を期待でき、フォロワー数の拡大に繋げられるでしょう。

「トップコンテンツ」から、反応の良い投稿をランキング形式で確認できる。

まとめ

今回は、広告を利用しInstagramのフォロワーを増やす際のポイントについて解説しました。広告であれば、クリエイティブのABテストや配信ターゲットなども自由に検討・設定でき、オーガニック投稿では実施できない施策やユーザーの傾向なども把握できます。そこから得られた新たな知見をオーガニック投稿へも活かすことで、アカウントの更なる成長にも繋げられるでしょう。

実際に私が担当した企業のアカウントでも、広告の実施により飛躍的にフォロワー数が伸び、オーガニック投稿への反応も傾向が変化したといった経験があり、大きなインパクトがある施策であると感じています。

もし、Instagramのアカウントを運営しているものの伸び悩みを感じているようでしたら、本記事を参考に投稿の広告にチャレンジしてみてください。ご紹介したポイントを押さえ、アカウント・ビジネスの拡大を目指しましょう。

関連記事

運用型広告のレポーティングで「いい考察」ができない6つの理由
運用型広告のレポーティングで「いい考察」ができない6つの理由
続きを見る
運用型広告で陥りがちな100個のミス(2/3)
運用型広告で陥りがちな100個のミス(2/3)
続きを見る
運用型広告の成果を大きく伸ばす5つのヒント
運用型広告の成果を大きく伸ばす5つのヒント
続きを見る