成果を大きく伸ばすということは、大きな機会損失を見つけるということです。
そして、機会損失には2種類あると考えています。それは、目に見える機会損失と、目に見えない機会損失です。
7-8年前の広告運用の現場は「目に見える機会損失」に溢れていました。
たとえば、今となっては信じられませんが、デバイスの入札単価調整比率。「モバイルがPCと比べCPAが5倍高い…」など目にすることがありました。入札単価調整比率を設定するだけでCPAが大幅に改善します。
また、キーワード選定においても「”バイト 池袋””バイト 豊島区”(フレーズ一致)など地名掛け合わせキーワードを網羅しているのに、肝心の”バイト”という検索語句に出稿されない設定になっている…」ということもありました。キーワードを追加するだけでコンバージョンが大幅に増えます。
しかし、ここ2-3年で「目に見える機会損失」を目にする機会は減りました。一番の要因は自動入札や部分一致キーワードの導入が進み、広告運用の自動化が進んだためです。その次には業界のプレイヤーや情報が増え、広告運用のレベルも上がってきたこともあると思います。
そのため昨今の成果を大きく伸ばす機会は「目に見えない機会損失」の方にあると考えています。「目に見えない機会損失」には以下のような特徴があります。
- データに現れず直接の示唆は得られない
- 「そもそも…」の前提に関わる
- 「こういうもの」と思い込み関係者の盲点になっている
データに現れないため機械学習ができず、他社にも気づかれづらいです。(担当自身も見落としてしまう)しかし前提となる戦略にかかわるので成果への影響も大きい傾向があります。
本記事では「目に見えない機会損失」について、よく見る失敗パターンをいくつか選んで説明します。
目次
他社に真似しづらいビジネスの仕組みを活かす
いま順調に成長している会社は、既存のサービスと被らない絶妙なスペースを突くのはもちろん、特許やアライアンスなどを活かし他社に真似しづらいビジネスやサービスの仕組みを作っています。
- 特許技術を利用した製法で独自の顧客体験を実現
- 特定保健用食品や機能性表示食品などの認可
- 大手企業には真似できないニッチな業界に特化
- 日本で数社しか仕入れられない原料を使用
- 資本力をもとにしたインフラの網羅性
- 特定の地域に根ざしたサービスの提供
- グループ会社とシナジーがあり顧客をシェアできる
こうした他社に真似しづらい仕組みを活かし独自の便益を提供できることで、顧客にとって替えが効かないサービスとなります。
こういった仕組みを作りだすことはマーケティングの仕事に含まれますが、マーケティングミックスの4P(プロダクト / プライス / プレイス / プロモーション)で言うところのプロモーション領域のみで関わる広告担当者であっても、その仕組みを理解し広告戦略に落とし込む必要があります。
しかし、顧客に還元できそうな仕組みがせっかくあるのに、方針が合ってない広告をしばしば目にします。事情としては、連携不足でプロモーション担当者がマーケティング戦略を理解できていない、短期的な成果しか見ていない等があるようです。
たとえば、とあるクラウドソーシングサービスの、仕事を受注したい個人の集客をするとします。
企業のちょっとした事務やサポートを中心に取り扱い、特性上ごく小さな粒感の仕事が多いため、受注側としては「ちょっとしたスキマ時間で稼げて、単価も悪くない」をメリットと感じているとします。
このとき目先の会員登録CPAがいいからといって「副業で100万円」のようなガッツリ稼げる訴求は、短期ではなく中長期的に大きな成果を望むのなら行うべきではありません。自社の仕組みで担保された強みと関係が薄いですし、そもそも製品のパフォーマンスに一貫しません。しかし目先の成果しか見ていないと「副業で100万円訴求いいですね!」となってしまうことは少なくないのです。広告をいろいろな方向からテストするのは重要ですが、肝となる戦略から離れてしまっては上手く行きづらくなってしまいます。自社ならではの仕組みの土俵から出ずに、顧客にとっての魅力に上手く翻訳し表現することが、プロモーション担当の腕の見せどころだと思います。
広告コピーは模倣されやすいがビジネスの仕組みは簡単に真似できない
そもそも広告のコピーライティングやデザインは、誰でも見られるうえ簡単にマネできるので、目立つ広告はすぐにマネされて飽和し効率が落ちます。肌感覚にはなりますが、広告運用が上手い、メディア作りに長けているなどプロモーション領域の工夫だけで勝つことは年々難しくなっているように思います。
しかし、他社に真似しづらい仕組みに紐づく広告をきっかけに、顧客にとって替えが効かないサービスを提供し、リテンションが取れて売上や利益が積み上がる構造を作ることができれば、長く成果の出るROIの良い施策になりやすいでしょう。施策の真のROIは目先の1ヶ月ではなく時間軸を長く見ないと分かりません。
※もちろん自社の強みを顧客に還元しない判断もありえます。たとえば「仕入れコストが抑えられる」強みがあっても、自社の利益率を重視して値段に反映させないなど。しかし少なくとも自社がどの工程で利ざやを稼いでいるのか、バリューチェーンを理解し、顧客に還元する選択肢も持っておくことは重要です。
※サービスのパフォーマンスや仕組みへの一貫性は重要ですが、かといって広告とサービス内容の実態とが完全に一致している必要はありません。始める理由と続ける理由が異なるケースもあります。それでも、仕組みと相反しウソになってしまうような内容で集客するのは避けたいところです。
一見した弱みや何気ない特徴を独自性につなげる
一見した弱みや何気ない特徴を、独自性として解釈しお伝えすることで、大きく成果を伸ばせることがあります。
たとえば、アナグラムは昔人数が少なかった頃、新規のクライアントさまには「運用型広告を専門とする少数精鋭の会社です」と自己紹介していました。これを「うちの会社は、運用型広告しかできませんし、人数も少なくてリソースもありません…」と言うとなんだか頼りないですよね。
当社で支援している木村石鹸さまは、自社のヘアケアブランド“12 / JU-NI”の“正直な処方”が「小さなメーカーだからこそ」できたと説明します。これも特徴をうまく独自性に昇華する例です。
参考:「これは広告です」老舗町工場が正直すぎるSNS広告で売り上げ3倍 | 日経クロストレンド
ダイヤモンドの採鉱や卸売を行うデビアスグループは、ダイヤモンドは永遠と愛の象徴として婚約・結婚指輪の理想であるとキャンペーンを行い、『A Diamond is Forever(ダイヤモンドは永遠の輝き)』は20世紀で最も有名なキャッチコピーの一つとなりました。ダイヤモンドの硬度が非常に高く強い力のある石という何気ない特徴をうまく独自性につなげたのです。
「お金を使わず知恵を出せ」と言われますが、手持ちカードから独自性を作り出すのは、大きな投資が必要がなく、かつすぐにできる速効性がある施策で、まさに知恵だと言えます。ぜひ一度考えてみるといいのではないでしょうか。
いい気づきのある広告
単品リピート通販などのビジネスではプロモーションの戦術が発達しておりクリエイティブやランディングページなど優れた広告のテンプレートが存在します。しかし、これらのテンプレートはある程度コモディティ化しているサービスが前提となっており、これから世の中に打って出ていく新規性の高いサービスの場合、そのまま当てはめてしまうと上手く魅力が伝わらないことがあります。
たとえば、そもそも何のサービスなのか理解がない状態で、「初回限定価格100円」とだけ伝えてしまっても、顧客には伝わりません。通販コスメの勝ちパターンを、新規性の高いサービスにそのまま当てはめても、必ずしも上手くはいかないのです。
また、なぜそれが良いのか?顧客がすぐに理解できないケースだと、顧客にそのまま良し悪し判断を委ねる前に、まずはそもそもの価値判断の基準を教える必要があります。
アナグラムだと新規クライアントへの会社説明の際に「担当者が分業せず運用〜レポーティングまで一気通貫に支援します」と申し上げることがあります。しかし、これだけではなく、以下①②セットでお伝えして初めて本来の意味が伝わります。
①広告代理店には分業制と一気通貫制の2種類あります。
分業制の場合、分担しているのでまとまった作業をお願いしやすい反面、担当間での連絡や確認に時間がかかり、返信や施策実行がすぐにできない場合があります。 一気通貫制の場合、そういった伝言ゲームが発生しないので、即レス即対応で仕事を進めることができます。反面人手が限られるため、作業量が多すぎると対応ができない場合があります。②御社の場合は一気通貫制がフィットしそうです。
御社はこれから色々と検証し軌道に乗せていくフェーズのため、決まった作業をお願いするというより、検証スピードが重要です。一気通貫制がフィットしそうで、当社だとお力になりやすいかもしれません。①が価値判断の基準にあたりますが、①②どちらもお伝えしてはじめてアナグラムの良さが認識可能になります。
特にこれから世の中に打って出ていく新規性のあるサービスの場合は、なにか既存の業界に対するアンチテーゼが練り込まれているものです。そういったサービスこそ、そもそも「なぜ?」から、お話をするべきなのです。担当から直接お話を聞くと「それはすごい!画期的なサービスだ!」と思えるのに、そこが抜けていると、いまいちピンと来ないランディングページが出来上がってしまうのです。販促的なコンテンツを見てもらう前に、そもそも「なぜ?」の説明を数千文字の紙幅と熱量を込めてするべきかもしれないのです。
「分かっている」顧客にしか響かない広告になってないか?
前提となる知識や価値判断基準のお伝えが漏れてしまうと、自力で気づいている「顕在層」、いわば「分かっている」顧客にしか響かない広告になってしまいます。
もちろん顕在層にむけて検索広告やリターケティング広告を実施することは重要です。当然ですが広告を通じて、広報 / PRなど別施策で興味を持ってくださった方の背中を後押しできれば、売上は伸びます。
しかし、規模を広げるためにはサービスを知らない方、サービスの意味を理解していない方に向けても発信できる余地が無いかは検討したいところです。
たとえば、以下コピーライティングを見てください。
①「コスパのいいウォーターサーバー。初期費用0円。子育て応援キャンペーン実施中」
②「夜中にミルクを作るのが大変…。お湯が出るウォーターサーバー。赤ちゃんに安心の軟水」
①はウォーターサーバー検討層にぴったりです。
検索広告やカスタムセグメントのキーワード「ウォーターサーバー」、リターゲティングで成果が見込めるでしょう。
一方②は、今はウォーターサーバーを検討していない方にも発信ができます。
赤ちゃんのいる両親をターゲティングし、「そのお悩み、実はウォーターサーバーで解決できるんです」と発信できれば、反応が期待できるのではないでしょうか。いわば潜在層に向けた広告です。
潜在層向けの良い広告は、顧客自身でも解決策に気付くことが出来なかった潜在的な課題へのアンサーとなるため、顧客にとって役に立ちます。また、知らなかった知識やモノの見方を教えてくれます。つまり「ハッといい気づきを与えられる」広告です。
購入の前提となる知識や価値判断基準は、必ずしも広告でのお伝えではなく、広報 / PRだったり、あるいはセールスの工程で伝えるべき場合もあります。しかし、顧客が心からサービスを良いと思ってもらうために、どういった知識や価値判断基準のお伝えが必要かは整理し理解しておくといいでしょう。
顧客層を不必要に狭めない
たとえば「血糖値を下げる」機能性表示食品の広告を出すとします。
どのように広告戦略を考えますでしょうか?まずはペルソナを「太った50代以上の男性」と想定し、広告に太った50代以上の男性を登場させたり、会社の飲み会で…のような50代男性に当てはまりそうな場面を描写したくなるのではないでしょうか。
しかし本来の最大ターゲットは「病院でインスリンを処方されるほどではないが、血糖値が高いのが気になっている。日々の食事で改善していきたい」と思っているすべての方であり、たしかに50代男性は多めではありますが中には女性や痩せ型の人も多数含まれます。
50代以上の男性だけがピンとくる表現を多用してしまうと、不必要に対象を狭めておりコンバージョン数が減少する懸念があります。ターゲットに対して過不足ない抽象度、つまり女性も痩せ型の人も全員がピンとくる書き方や画像選定が求められるのです。
北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿さんの以下の記事でも大変わかりやすく解説されています。
「例えば、ある商品のターゲットのペルソナ設定で、1人の人物像をこのようにこまごまと決めたとしよう。
【Aさん】
・女性
・35歳
・既婚
・丸の内勤務
・埼玉県郊外の一戸建て
・夫は38歳
・子どもは小学2年生の女児1人
・3年前からヨガにハマっている
・半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている
このペルソナに向けて、「しわ対策化粧品」のマーケティング戦略を練るとどうなるか?
ターゲットが狭くなりすぎて、反応数が極端に減るのである。
(中略)
プロダクト(商品)のペルソナはUSP(その商品特有の強み)やベネフィット(利益)を起点に、最大公約数的に設定すべきであり、この場合は「しわに悩んでいる」を起点に考えなければならないのである。」
参考:「“35歳女性、丸の内勤務”では共感が減る」のはなぜか? “ペルソナ設定”の大いなる誤解|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。
ペルソナ設定はプロモーション戦略を立てる際に作る方が多いです。例えば1つのメディアのコンテンツを複数人で作成する際などに、方針をブラさないために、またリアリティがあり面白い文章を作るために、有効な指針になりえます。
ペルソナ設定は細かく作り込めば作り込むほどリアリティが上がって良いという考え方もありますが、木下さんの仰る通り広告に関しては逆で、作り込めば作り込むほど顧客属性を無駄に絞り込んでしまうリスクが高まります。
また経営危機下のUSJを再建させた株式会社刀代表取締役の森岡毅さんも、『確率思考の戦略論』の中で以下のように述べます。
この本質を理解していないマーケターが多いように思います。
ターゲティングや競合との差別化、などの手段が先に立ってしまって、大切な自社ブランドのMを不必要に狭めてしまっていることが多いのです。」
森岡さんが書かれているように、不必要に顧客層を狭め、機会損失している場面は目にすることが多いように思います。自社サービスが最善の選択肢になりえるターゲットを広すぎず狭すぎず正しく定義すること、そしてそこに過不足ない抽象度でプロモーションを展開することが重要です。
広告媒体や手法を不必要に狭めない
本来獲得が見込めそうな広告媒体なのにチャレンジできていないことがあります。新しい媒体へのチャレンジはリスクも伴いますが、仕組みや相性などから仮説立てて広げていくことは可能です。成果を最大に引き出すための媒体選定のポイントを解説します。
「ターゲティング精度」と「クリエイティブの情報量」の二軸で考える
シンプルな考え方を提案したいと思います。「ターゲティング精度」と「クリエイティブの情報量」の二軸で考えると漏れを減らすことができます。例をいくつかあげます。
(例)eコマースの広告で、LINE広告の画像(小)で獲得できている
eコマースの広告で、LINE広告の画像(小)(トーク欄上部の掲載枠)で費用対効果が合っているとします。そのときGoogle広告のファインドキャンペーンでも出稿が検討できるかもしれません。
まず「ターゲティング精度」を考えます。Google広告は最適化に利用されるシグナルがおそらくLINEよりも豊富でターゲティング精度は高いと推測されます。なぜならChromeブラウザ、YouTubeなどの閲覧履歴、マップの位置情報、Android端末、Gmailなど高い利用率の様々なサービスを通じてシグナルが収集されており、何よりユーザーのお困りごとが直接入力される強力な検索シグナルが参照されるからです。LINEも利用率こそ高いものの、シグナルを取得する連携サービスの利用率、種類はGoogle広告と比べると劣るように思われます。
次に「クリエイティブの情報量」を考えます。LINE広告の画像(小)では最大34文字盛り込めて画像は小さめに表示されます。Google広告のファインドキャンペーンでは文字数こそ少ないものの画像はLINE広告の画像(小)よりも大きく表示され情報量としては同様かそれ以上を盛り込むことができそうです。
となると、LINE広告の画像(小)で費用対効果が見合うなら、Google広告のファインドキャンペーンもやってみる価値がありそうです。
(例2)食品のeコマースの広告で、Instagram広告で獲得できている
別の例を見てみましょう。食品のeコマースの広告で、Meta広告のInstagram配信面でカルーセル広告を利用して、商品のシズル感と合わせてテキストでこだわりや想いを伝える広告で獲得できているとします。
この場合は、Google広告のディスプレイキャンペーンに展開して獲得できるかは怪しいと思います。
なぜなら配信できる広告のサイズが小さい広告枠も多く存在し、シズル感を伝えるのが難しいうえ、文字数も足りず十分な情報量を盛り込めないからです。
もちろんチャレンジ自体はしても良いと思いますが、少なくともこのクリエイティブの情報量の違いを懸念はしておいたほうがいいでしょう。
ターゲティング精度はシグナルから考える
クリエイティブの情報量は一目瞭然ですが、ターゲティング精度は目に見えず考えづらいところです。考える取っ掛かりとして、広告媒体にいちユーザーとしてどういった情報を明け渡しているのか?つまり最適化のシグナルから考えることをおすすめします。
たとえばFacebookには学歴や職業、役職などまで記載している方が多くおり、職業の繋がりでコミュニティができています。これらはすべて広告の最適化にシグナルとして利用されますので、たとえばエンジニア採用のエージェントの広告など職業が重要な場合はフィットしやすいと考えられます。
引っ越し見積もりのようなサービスであれば、引っ越し業者を探す方に一刻も早く電話することが重要になりますので、「引っ越し」などで検索した瞬間にリーチできる検索広告での上位表示が有効です。逆に顧客の属性や職業は重要度が低いのでMeta広告はフィットしません。検索広告で費用のほとんどを使うのが正しいポートフォリオになります。
40代以上のほぼすべての女性が対象になりえるようなサービスであれば、ほとんどの広告媒体で年齢のシグナルは加味できるためターゲティング精度はあまり問題になりません。とにかく様々な広告媒体でクリエイティブを磨き、出稿拡大&出稿単価を削減することが重要になります。
このように「ターゲティング精度」と「クリエイティブの情報量」の二軸で考え媒体プランニングをすると、新規媒体に対して合理的な仮説を持つことができます。逆に言うと「ターゲティング精度」と「クリエイティブの情報量」どちらも懸念がないのに新規広告媒体にチャレンジしないのは機会損失になっている可能性があるのです。
動画配信面は拡大余地がある
さまざまな広告主が本来可能性があるのに挑戦できておらず機会損失を生んでいると考えるのは、Google広告の動画キャンペーン(YouTube広告)やTikTok広告などに代表される動画配信面です。動画制作のノウハウが無かったり、制作費などのハードルの高さもあり、本来のポテンシャルをまだまだ発揮できていないと感じます。
中でも特にGoogle広告の動画キャンペーン(YouTube広告)は大変なポテンシャルを秘めています。
総務省『令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』によるとYouTubeが想像以上に多くの人に、長時間視聴されていることが分かります。
- YouTubeは10-40代で利用率90%を超えており、LINEに次ぐ高い割合。
- インターネットの利用項目別に、平日の全年代の平均利用時間を見ると、「メールを読む・書く」が最も長く40.8分、次いで「動画投稿・共有サービスを見る」が38.7分、「ソーシャルメディアを見る・書く」が37.9分。
- 休日の全年代の平均利用時間を見ると、「動画投稿・共有サービスを見る」が最も長く58.0分、次いで「ソーシャルメディアを見る・書く」が44.2分、「ブログやウェブサイトを見る・書く」が27.9分となっている。
- 令和元年と比べた増加量は、平日・休日ともに「動画投稿・共有サービスを見る」が最も大きい。
YouTubeの動画広告はGoogle 広告の検索シグナルを始めとした精度の高いターゲティングを利用できるうえ、インストリーム広告の場合掲載枠は大きく、動画なのでクリエイティブの情報量としても色々と盛り込み複雑な情報を伝えられるのです。そのため商材を選ばず成果を出せる可能性があります。
媒体選定については以下ブログにも詳しく書きましたので参考にしてみてください。
まとめ
広告の方針が立たず困ってしまうこともあるかと思います。しかし、すでに顧客がいるなら、見つけられていないだけで、取るべき方針はあります。
現に顧客がいるのです。
事業主自身が気づいていないようなサービスの魅力を、顧客は見出して使ってくださっているかもしれません。
あるいは、社内でドキュメント化されていなくても、現場のセールスの方が肌感覚で持っている「この話をしたら興味を持っていただける」の中にヒントがあるかもしれません。
誰かしらが気づいてくれているから、現に商売が成り立っているのです。
自分の頭だけに頼りすぎず、顧客や別チームのメンバーとの会話も大事ではないでしょうか。それを言葉にするだけでマーケティング方針になりえます。大きな価値があるのです。
ところで、Googleでは目標数値を前年より10%増ではなく、そこに0を一つ書き足し10倍の目標数値、つまり「10X」を目指すそうです。10Xするためには、これまでとは全く違ったやり方をする必要があり、大胆な手を打つ必要が出てきます。
実際に私の肌感覚ですが「10%ぐらいは良くなるかな?」ぐらいの仮説の施策だと、蓋を空けてみると成果へのインパクトが無いことがほとんどで、10Xするつもりで施策を考えてようやく、20%改善のような何らかの意味のある施策がひねり出せるものです。
広告担当自身が「うちの商品は大手と比べて機能が少ないし料金も高めだし何もいいことがない…」と思い込んでいると、出てくるアイディアも出てきません。
「成果が大きく伸びる"10倍ボタン”は必ずある。それはどこだ?」という気持ちで取り組み常にホームランを狙うことが大切だと思います。
広告アカウントにありがちな、より具体的な改善ポイントについては以下のブログも合わせて参考にしてみてください。