LINE広告では毎月のようにアップデートが行われていますが、2023年3月29日のアップデートでも、実に9項目の機能更新が行われました。今回のアップデートでは、新しく追加された機能・これまで提供されていた機能の終了の両方があることがポイントです。
新しく追加された機能としては、広告のCTR(クリック率)が同じターゲットに表示される他の広告とくらべてどの水準であるかを確認できる「CTRレベル」の追加などがあります。また、詳細ターゲティングの提供終了・インストリーム広告の設定不可など、配信できる対象やメニューに関わるアップデートもありました。
サービスに最適な広告配信を行う上で、最新のLINE広告でできること・できないことをチェックしておきましょう。
目次
新指標「CTRレベル」が確認可能に
2023年3月29日から、新しい指標「CTRレベル」が管理画面上で確認可能になりました。
LINE広告ではCTR(クリック率)の低い広告は、ユーザーに求められていない・成果が低くなりやすいと考えられ、表示回数が低下してしまいます。
「CTRレベル」を確認することで、同じオーディエンスに対して競合する他の広告と比較して予測されたCTRの水準が高いのか、あるいは低いのかを知る目安となります。
CTRレベルは、下記の5段階で表示されます。
- 平均以上-上位20%
- 平均以上-上位50%
- 平均以下-下位50%
- 平均以下-下位30%
- 平均以下-下位10%
たとえば、CTRレベルが「平均以下」の広告は優先してブラッシュアップしていくなど、広告の改善を進めていく上での優先順位づけにも利用できそうですね。
詳細は以下の記事をご覧ください。
詳細ターゲティングの追加と削除
LINEでは、アップデートごとに詳細ターゲティングのセグメントの追加・削除が行われています。2023年3月には、次の3つの発表がありました。
- 携帯キャリアセグメントの提供終了予定日が表示されるように
- セグメント追加に伴い、6月末までに一部セグメントを削除
- 新たに106個のセグメントを追加
特に、今後提供が終了する予定のセグメントについては早めに移行しておいた方が良さそうですね。
携帯キャリアセグメントの提供終了予定日が表示されるように
2023年5月31日、旧セグメントを使用した携帯キャリアターゲティングの提供を終了する予定です。旧セグメントとは、β版表記のない下記3つです。
- NTTドコモ
- au
- Softbank
今回のアップデートでは、旧セグメントを使用した携帯キャリアターゲティングの提供終了予定日の案内が、管理画面上で確認ができるようになりました。
携帯キャリアの各セグメント横の注意喚起マークをマウスオーバーすると「このセグメントは2023/5/31に利用できなくなります」とのメッセージが表示されます。
また旧セグメントの提供終了に伴い、代替えとなる類似のセグメントが提供されていますので、速やかに旧セグメントから新しいセグメントへの移行を行いましょう。
βの表記のあるセグメントが新しいセグメントになります。次のような移行が可能です。
旧セグメント | 新セグメント |
---|---|
NTTドコモ | NTT Docomo(β) |
au | au((β) |
Softbank | Softbank((β) |
セグメント追加に伴い、6月末までに一部セグメントを削除
アップデートごとに行われている詳細ターゲティングのセグメント追加に伴い、6月末に一部セグメントの削除が予定されています。いずれもBETA表記のない、従来から提供のあった下記セグメントが対象となります。
行動
- テレビ視聴頻度が高い
- テレビ視聴頻度が平均
- テレビ視聴頻度が低い
趣味関心
- ゲーム
- デジタル機器・家電
- スポーツ
- 職業・ビジネス
- ファッション
- 家・インテリア・園芸
- テレビ・映画
- 音楽
- 教育・学習・資格
- 金融
- 健康
- 書籍・マンガ
- 食べ物・飲み物
- 美容・コスメ
- 旅行
- エンタメ
- ショッピング
- 自動車:軽自動車/コンパクトカー/ハッチバック/セダン/スポーツカー/ステーションワゴン/ミニバンSUV(コンパクト)/SUV(ラージ)
削除予定のセグメントを使用して配信している場合は、6月末よりも前に類似のセグメントに切り替えを行いましょう。
なお、提供終了日になっても既存のセグメントの利用を継続していた場合、配信条件によっては広告が配信されなくなってしまいます。
削除対象のセグメントを配信対象として設定している場合
設定状況 | 詳細条件 | 影響 | 想定される挙動 |
---|---|---|---|
削除対象のセグメントのみ | 大 | 配信ステータスはそのまま、インプレッションが出なくなる | |
複数設定 (削除対象ではないセグメントと一緒に設定) | OR条件 | 中 | 削除されたセグメントのみ機能しない状態で、広告が配信 |
AND条件 | 大 | 配信ステータスはそのまま、インプレッションが出なくなる |
削除対象のセグメントを除外対象として設定している場合
設定状況 | 詳細条件 | 影響 | 想定される挙動 |
---|---|---|---|
削除対象のセグメントのみ | 大 | 除外設定が機能しない状態で広告が配信 | |
複数設定 (削除対象ではないセグメントと一緒に設定) | OR条件 | 中 | 削除された除外セグメントのみ機能せずに、広告が配信 |
AND条件 | 大 | 除外設定が機能しない状態で広告が広告が配信 |
それぞれ、削除対象のセグメントのみ、もしくはAND条件で利用している際には特に注意しましょう。
すでにベータ版のセグメントが多数リリースされています。
たとえば、旧セグメントの「ゲーム」を利用している場合には、ゲーム関連の新しいセグメントが複数提供されているため、そちらから選ぶことができます。
新たに106個のセグメントを追加へ
2023年3月29日のアップデートでは、趣味・興味に82セグメント、属性に18セグメント、行動に6セグメント、合計106個のセグメントが新たに追加されました。
詳細ターゲティングは、毎月新しいセグメントが増えています。自社のサービスや商材に合ったものが追加されていないか、定期的な確認を心がけたいですね。
インストリーム動画が設定不可に
2023年3月29日からLINE広告でもインストリーム動画の設定ができなくなりました。
広告フォーマットの設定画面から「インストリーム動画」の項目が削除されて、設定自体が不可能になっています。
引き続き、LINE VOOMに配信したい場合は、動画専用フォーマット「Vertical」の活用を検討しましょう。
「Vertical」は9:16の縦長サイズのフォーマットですが、LINE VOOM上では3:4の比率となり、上下が切れて表示されます。ユーザーが動画をタップすると、9:16の全画面表示に切り替わる仕様です。字幕などを入れる場合は初めから表示範囲内に入るよう、3:4の比率内に収めることを意識しましょう。
LINE広告で利用可能なクリエイティブサイズについて確認したい方は、下記のブログも参考にしてみてくださいね。
アプリの購入イベント最適化機能が正式リリースへ
2023年3月29日から、これまでBETA機能であったアプリの購入イベントに最適化する機能が本リリースとなりました。
アプリの購入イベント最適化は、アプリのエンゲージメントを目的としたキャンペーンで利用できます。アプリ内での購入イベントを最大化できるように入札単価が自動的に調節されます。
これまでのLINEのアプリ広告は、アプリインストールやアプリのオープンといった入り口の行動の促進に終始しがちでした。しかし今回、最終目的であるアプリ内購入の促進も最適化の対象として設定可能になったことで、アプリユーザーの入口から出口までの行動を一気通貫でアプローチ可能になりました。アプリのプロモーションでより一層、LINE広告を選択肢に入れやすくなりますね。
iOSの設定可能な最新バージョンが16.3までアップデート
2023年3月29日から、ターゲット設定のOSに、最新バージョンのiOSが追加されました。
これまでは 最新バージョンは16.1までとなっていましたが、今回のアップデートで16.3までのバージョンが選択可能になります。
管理画面の3つのUIアップデート
2023年3月29日より、管理画面がより便利に使えるようになるアップデートとして、下記3つが行われました。
- 掲載期間指定のデフォルト値に「過去14日間」が追加
- 「レポートをダウンロード」「設定値をダウンロード」が分かれて表示
- 広告作成画面・編集画面でCreative Labのリンクを表示
1.掲載期間指定のデフォルト値に「過去14日間」が追加
掲載期間指定のデフォルト値に「過去14日間」が追加されました。
直近の進捗を確認する上で、「過去7日間」だと短い、でも「過去30日間」だと長過ぎる・・・という場合は多いのではないでしょうか。これまで「カスタム」から指定するしかなかった「過去14日間」にすぐにアクセスできるようになるのは嬉しいですね。
2.「レポートをダウンロード」「設定値をダウンロード」ボタンが分かれて表示
2023年3月29日から、レポートのダウンロード画面にて、数値レポートをダウンロードする「レポートをダウンロード」と、配信設定をダウンロードする「設定値をダウンロード」が別々のボタンで表示されるようになりました。
これまでは「ダウンロード」ボタンを選んだ後、どちらのレポートを落としたいのか選択する必要がありましたが、今後はまず必要なレポートタイプから選択をすることができるため、押し間違いが軽減されるのではないでしょうか。
ダウンロードしたいレポートにすぐアクセスできるようになることで、操作性がアップするのも嬉しいですね。
3.広告作成画面・編集画面でCreative Labのリンクを表示
2023年3月29日から、広告作成画面や編集画面にCreative Labのリンクが追加されました。
これまで管理画面上でのCreative Labへのアクセスはヘッダーメニューの「共有ライブラリ」からしか行えませんでしたが、今後はCreative Labへワンタッチでアクセスできます。
Creative Labとは、LINE広告用の広告クリエイティブを無料で作成できるツールです。アセットをアップロードしてクリエイティブを自動作成したり、クリエイティブのトリミングを行ったりと、様々な機能があります。
いままでは、入稿前にLINE広告に合わせたバナーのトリミングを行いたい際には、事前に行っておく必要がありました。今後は編集画面内ですぐにCreative Labにアクセスできるようになるため、入校時にささっとトリミング機能を用いたサイズ追加を行ったりテンプレートを用いて広告クリエイティブにパターンを追加したいときに活躍しそうですね。
Creative Labの特徴や使用方法についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
まとめ
今回のアップデートでは、広告管理画面のUI改善やBETA機能の本リリースなど、新しく追加されるものが多かった印象ですが、特に重要なのはCTRレベルの追加ではないでしょうか。
競合している広告と比較された広告のレベルがわかるようになることは、ディスプレイ広告・動画広告が中心のLINEでは非常に重要なアップデートです。ターゲットのニーズに合わせた広告を出していく上で、確認必須な指標として積極的に活用していきたいですね。
また、詳細ターゲティングのセグメント削除やインストリーム広告の終了など、アップデートに伴って提供終了となるものもあります。最新の提供機能に合わせた更新を行わないことで、意図しない広告の停止も考えられます。運用中の広告で削除対象の機能を利用していないかについては細かく確認をし、代替機能への切り替えを必ず行いましょう。