
データフィード広告の配信にあたって、「対応プロトコル:FTP・SFTP」という表記を見つけたことはありませんか?
データフィードを媒体に連携するためのものとはわかっていても、FTP・SFTPとはそもそもどういうものかや、どうすれば利用できるかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、FTP・SFTPの基本情報とHTTPSとの違い、データフィード広告での利用方法までをご紹介します。


目次
FTP・SFTPとは?
「FTP」と「SFTP」、なんだか難しそう、名前も似ているけど何が違うの、という方も少なくないですよね。
実は、仕組みを理解すれば簡単で、ファイルのやり取りを効率的に行える便利な方法です。
まずは、FTP・SFTPがどのようなものか、なにができるのかや違いについて解説していきます。
FTPとは、ファイル転送のために決められたルールのひとつ
FTPは「File Transfer Protocol」のことで、インターネットや通信でファイルを転送するために決められた通信規格(=プロトコル)のことを指します。なお、SFTPもFTPをもとにしたプロトコルです。
FTPの通信は、「FTPクライアント」と「FTPサーバー」の2つで構成されています。
データのアップロードやダウンロードなどのやり取りを依頼するのがFTPクライアント、そのデータの保存場所がFTPサーバーと考えるとわかりやすいでしょう。このサーバーとクライアント間で通信し、データを受け渡しすることで、インターネット上でのファイルの転送が可能になっています。
FTPでできること
FTPを用いた通信では、下記のようなことが可能になります。
- ファイルをサーバーにアップロード、またダウンロードやバックアップを行う
- サーバーにアップされたファイルの一覧を見たり、操作したりする
データフィード広告では、この仕組みを活用して、媒体へ最新のデータフィードの共有を行っています。広告主のPCがFTPサーバー上のデータフィードを更新したのち、媒体がデータフィードを取り込むことで、最新の商品情報を広告へ反映できます。
迷ったら、より機密性の高いデータ送受信が可能なSFTPがおすすめ
よくFTPと並列して提示されるSFTP(SSH File Transfer Protocol)は、FTPと同等の機能を持ちつつも、より安全なデータ転送ができるプロトコルです。
SSHトンネルという暗号化プロトコルを使っているため、FTPよりも第三者からの不正なデータ盗用を防ぐことに長けています。
そのため、FTP・SFTPのどちらを使うか迷う場合には、より安全なデータ送受信のできるSFTPの利用をおすすめします。
「HTTPS」が用意されている場合は?
FTP/SFTP以外にも、Googleスプレッドシートに代表される「HTTPS」でデータフィードをアップロードできるケースもあります。
データフィードのアップロードがFTP・SFTPにしか対応していないおもな広告媒体は下記の2つです。
- Yahoo!動的リマーケティング広告
- LINE Dynamic Ads
上記以外の媒体では、HTTPSプロトコルを利用が可能です。
スプレッドシートなどは馴染みもあるため、「HTTPS」のほうが簡単そうだけど、どっちを選べばいいのという疑問が出てきますよね。
簡易なデータフィード更新にはHTTPS、細かい設定をしたいときにはFTP・SFTPを活用しよう
データフィード連携の手段としてFTP・SFTPもHTTPSも選べる場合、どちらを使うべきなのかわからない方もいるのではないでしょうか。
形式が違うため、それぞれに強み・弱みがあります。以下の表にそれぞれの特徴をまとめました。
HTTPS | FTP・SFTP | |
---|---|---|
プロトコル | HTTP:Webページを構成するHTMLなどのコンテンツの送受信に用いられる通信プロトコル | FTP:ファイルを転送するための通信プロトコル |
速度 | ◯ | △ |
設定 | ◯ URL共有のみでOKで簡単 | △ FTP・SFTPサーバーの用意が必要 |
大量のファイルの送信高度なファイル送信(履歴の記録など) | △ | ◯ |
向いている形式 | ダウンロードのみ | ダウンロードとアップロード |
HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)は、WebサーバとWebブラウザの間でデータを送信するためのプロトコル、HTTPに暗号化機能がついたものです。SSL/TLS (Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)をもって暗号化を行っているため、SFTP同様安全性の高い通信が可能です。
HTTPS通信は「Webブラウザ上でのデータの受け渡しに特化しているため、設定が簡単で速度も速いのが特徴です。一方で、各通信が単発のものとして行われるため、大容量ファイル転送に不向きであったり、ファイルの更新履歴を残したい場合には追加の設定を行う必要があるといったデメリットもあります。
取り扱い商品が多くなくデータの更新・アップロードに負荷のかからない単品通販や、データの更新が少ないデータフィードでは非常に使いやすいプロトコルです。
一方でFTP・SFTPは、設定にはサーバーの用意などが必要になる分、大きなファイルの分割ダウンロードや、ファイルの更新履歴の記録など細かい制御が可能になります。頻繁に商品の在庫状況が変動したり、多品目を取り扱う大型ECサイトのデータフィードの連携に向いているプロトコルです。
自社で取り扱うデータフィードのファイルサイズや、実現したい機能に合わせて、どのプロトコルを利用するか選びましょう。
FTP・SFTP連携の利用方法
FTP・SFTP連携を利用する場合には、事前に下記の準備が必要になります。
- FTP・SFTPサーバーの用意
- FTP・SFTPサーバーへ、データフィードをアップロードする手段の確認
ひとつずつ手順を解説していきます。
FTP・SFTPサーバーの用意
FTP・SFTP連携を利用する場合には、データフィードの置き場所となるFTP・SFTPサーバーを用意する必要があります。
基本的には、事業会社ごとにFTP・SFTPサーバーをすでに利用している場合が多いです。
そのため、利用にあたってはまず社内のサーバー管理部署に確認をしてみましょう。
社内で利用できるFTP・SFTPサーバーがない場合には、自社用のサーバーを構築する、あるいはサーバーをレンタルするといった方法でサーバーの用意が可能です。
自社用のサーバーを構築 | サーバーをレンタルする | |
---|---|---|
セキュリティ | ◯ | △ |
利用までの時間・手間 | △ | ◯ |
コスト | 開発コスト+保守運用コストがかかる | 月額の利用料がかかる |
セキュリティを重視するならサーバー構築、スピードを重視するならサーバーレンタルがおすすめです。
FTP・SFTPサーバーへデータフィードをアップロードする方法2つ
FTP・SFTPサーバーを用意できたら、続いてはファイルのアップロードを行います。
主な手段としては大きく2つあります。
対応しているプロトコル | 方法 |
---|---|
FTPのみ | 「エクスプローラー」からアップロード(Windowsのみ) |
FTP・SFTP | FTPクライアントソフトを使ってアップロード |
なお、FTPサーバーを利用する際には、FTPサーバー名・ユーザー名・パスワードが必要になるため、事前に確認しておきましょう。
「エクスプローラー」からアップロード(Windowsのみ)
Windowsを利用している方は、ローカルファイルシステムである「エクスプローラー」からFTP接続をすることが可能です。なお、この手段では「FTP」サーバーへの連携のみに対応している点に注意してください。
手順としては下記です。
①エクスプローラーを開き、アドレスバーに「ftp://(FTPホスト名)/」を入力
②ユーザー名・パスワードを入力し、ログオン
③FTPサーバーに入れたら、通常のWindowsフォルダと同様にドラッグ、あるいはコピー&ペーストでデータ操作が可能
FTP・SFTPクライアントソフトを使ってアップロード
クライアントソフトとは、クライアントが、サーバーと接続するために使用するソフトのことです。単純なデータのアップロード/ダウンロードに加え、データ転送の速度や複数サーバーへ同時に接続できるなど、機能性の高い操作が可能になる特徴があります。
データフィードの連携には、フリーのクライアントソフトで充分に対応ができます。クライアントソフトにも様々な種類があるため、選ぶときには、下記ポイントをチェックしましょう。
- 利用しているOSに対応しているか
- 使いやすいUIのものか
以下に主要なクライアントソフトと対応をまとめていますので参考にしてみてください。
クライアントソフト | 対応OS | FTP対応 | SFTP対応 |
---|---|---|---|
FFFTP | Windows | ◯ | |
WinSCP | Windows | ◯ | ◯ |
Filezilla | Windows・Mac | ◯ | ◯ |
Cyberduck | Windows・Mac | ◯ | ◯ |
まとめ
FTP・SFTPとは、データの送受信を可能にするプロトコル(通信規格)です。データフィードを広告媒体に連携する方法はさまざまありますが、その中でもFTP・SFTP連携は大量の商品情報を連携することに長けています。
もし、依頼を担当部署に引き継ぐなど、他担当者に説明する必要がある場合には、以下のポイントをおさえて確認ができるとよいでしょう。
- 目的を伝える:「データフィードを広告媒体に連携するためにFTPサーバーを利用したい」ことを伝える
- 媒体にデータフィードを連携する際に必要な下記2点を伝える
- ファイルのアップロード:FTP・SFTPサーバー上にデータフィードをアップロードし、定期的に最新のデータフィードに更新する
- 媒体連携時に必要なサーバー情報:FTPサーバー名・ユーザー名・パスワード
データフィード広告を運用する際や、HTTPS連携で商品数が多くエラーが頻発する際には、ぜひFTP・SFTP連携を活用してみてくださいね。
