
ユーザーの行動履歴に基づいて、興味関心ごとにマッチした広告を自動で配信することができるLINE Dynamic Ads(LINEダイナミック広告)は、商品点数の多いECや人材、不動産など様々な業種の広告主で活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
すでに、他の広告媒体ですでにダイナミック広告を配信している広告主は、データフィードをLINE Dynamic Adsにも転用を検討するかと思います。
しかしながらLINE Dynamic Adsには、他の広告媒体とは異なる独自の媒体仕様があるため注意が必要です。
本記事では、LINE Dynamic Adsをこれから始める方向けに、他の広告媒体と異なる仕様と、データフィードの作成時に押さえておきたいポイントを紹介します。
目次
LINE Dynamic Ads データフィードの他媒体との仕様の違い
LINE Dynamic Adsにも他の広告媒体と同じく、各業種用のフィードテンプレートが用意されています。
画像引用元:LINE-Dynamic-Ads_mediaguide_202211.pdf
- eコマース・通販(一部を除く)
- 航空券
- ホテル・ツアー
- 不動産
- 人材
どの商材にも該当しない場合は「eコマース・通販」のテンプレートを選択しましょう。
eコマース・通販商材のテンプレートであれば、Google広告やMeta広告、Criteo広告で配信しているフィードをそのまま転用することも可能です。
しかし、LINE Dynamic Adsのテンプレートに作り変える必要なく商品フィードをアップロードできる機能があっても、データフィードに何も手を加えず、そのままの転用はあまりおすすめできません。
なぜなら、入稿形式や、データフィードのカラムの中身が他の広告媒体とは異なる部分がいくつかあるためです。
この違いを把握しないまま他の広告媒体からデータフィードを転用すると、様々なエラーが生じる可能性があります。
ここからは、LINE Dynamic Adsのデータフィード作成にあたって覚えておきたい、LINE Dynamic Ads独自の仕様を解説します。
1つの広告アカウントに連携できるデータフィードは1つのみ
LINE Dynamic Adsで利用できるデータフィードは、1アカウントにつき1つのみです。Google広告やMeta広告のように、複数のデータフィードを連携はできないので事前に把握しておきましょう。
もし、商品属性の異なる商品が混在していたり、配信するオーディエンスごとに訴求したい商品を変えたいなどの調整が必要な場合は、データフィードを分けるのではなく、このあと紹介する「商品セット」機能を活用してみてください。
Googleスプレッドシートでのデータフィード連携は不可
Google広告やMeta広告などでは、Googleスプレッドシートを活用してデータフィードを広告配信媒体に連携することが可能ですが、LINE Dynamic Adsでは対応していないので注意が必要です。
LINE Dynamic Adsでサポートされているファイル形式とプロトコルにあわせて、データフィードを作成しましょう。
サポートされるファイル形式 | CSV、TSV、JSON |
サポートされるプロトコル | FTP、SFTP |
プロトコルとは、データのやり取りを行う際に用いられる通信規約や手順のことを指します。例えば、URLの冒頭部分にある『https://』や『ftp://』は、HTTPやFTPといった特定のプロトコルを表しています。
LINE Dynamic Adsでは、「ftp://~」「sftp://~」で始まるURLのみ連携が可能であり、Googleスプレッドシートなど「https://~ 」のURLからの連携は出来ない仕様です。
FTP・SFTPといったプロトコルを利用してのデータフィード連携については、FTP・SFTPソフトの導入で簡単に行えます。FTPサーバー、もしくはSFTPサーバーにデータフィードをアップロードし、URLを発行することでLINE Dynamic Adsでサポートされた連携方式のデータを用意することが可能です。
商品点数300万点を超える場合はJSON形式での入稿が必要
一般的なECサイトの商品点数は多くても10万点前後の場合が多いと思います。そのため、状況としてはかなり稀ですが、商品点数が300万点以上になる場合は、CSV・TSV形式での入稿が出来ない仕様ということも覚えておきましょう。
形式 | ファイル容量・商品点数上限 |
---|---|
CSV・TSV | ファイル容量上限︓8GB商品点数(⾏) ︓300万点(300万⾏) |
JSON | ファイル容量上限︓合計24GB ※複数ファイルのアップロード可(上限約100ファイルまで)商品点数(⾏) ︓合計1,000万点(1,000万⾏) |
JSON形式にすることで、合計1,000万点まで商品点数上限を引き上げられます。JSONファイルのアップロード方法は、以下ヘルプの「商品フィードの仕様書」を参考にしてください。
参考:LINE広告|LINE Dynamic Adsを利用する方法
最も重要な情報はタイトルの20文字以内におさめよう
LINE Dynamic Adのクリエイティブは「画像」、「タイトル」と「説明文」で構成されます。加えて、「タイトル」と「説明文」は入稿可能な上限文字数とは別に、広告として確実に表示される文字数がそれぞれ存在します。
テキストエリア | 上限文字数 | 表示文字数 |
---|---|---|
タイトル | 150文字 | 20⽂字 |
説明⽂ | 5,000文字 | 40⽂字 |
※表示文字数を超える部分は「…」で表⽰されます
※全⾓半⾓問わず1⽂字カウントされます
入力できる上限文字数は150文字ですが、広告として確実に表示されるタイトルは20文字しかありません。
また、説明⽂として表示される「description」カラムが表示されるのは一部の配信面のみとなっており、配信面によっては、「image_link」カラムで設定した商品画像と「title」カラムで設定したタイトルのみで生成されたクリエイティブが表示される可能性があります。
つまり、最大20文字のタイトル情報のみでも、ユーザーに情報が最低限伝えられるように工夫する必要があります。
特に、他の広告媒体で利用しているデータフィードを転用する場合は、タイトルの20文字で十分に商品情報が伝わるかを今一度、見直してみてください。
しかし、たった20文字でどのように伝えるべきなのか迷ってしまいますよね。そんなときには、各業種ごとのおすすめのタイトル案を参考に考えてみましょう。
- EC:割引率+価格
- 例)30%OFF ¥5,000
- 航空券:出発地+目的地+価格
- 例)東京~新千歳|¥10,000~
- 旅行:日数+行き先+価格
- 例)京都3日間|¥50,000~
- 不動産:立地+価格
- 例)〇〇区|▲▲駅3分 5,000万円~
- 人材:給料+地域+職種
- 例)月給25万円~/豊島区/介護士
商品セットの利用には、「custom_label」を活用しよう
LINE Dynamic Adsでは、他の広告配信媒体と同様に広告管理画面上でデータフィードを任意で切り分けられる「商品セット」を、広告グループ単位で紐づけて広告配信が可能です。
商品セットを活用することで、男性向けに男性商品のみを配信ができたり、新着商品のみを切り出して配信を強化するなど、細かい粒度での広告配信ができます。
しかしLINE Dynamic Adsでは、商品セットを切り分けるための条件検索に使えるカラムが商品タイプ(「product_type」に記載した内容)と、価格(「price」に記載した内容)そして、カスタムカラム(「custom_label_0〜4」に記載した内容))の3つの項目のみなのが、他広告媒体との違いです。
参考:商品セットを登録する
また、カスタムラベルも無限に利用できるわけではなく、custom_label_0〜4の5つまでしか設定ができません。そのため、カスタムラベルをどのように活用するかは、データフィードを作成する段階で決めておくとよいでしょう。
例えば、男性商品をまとめた商品セットを作りたい場合は、「custom_label_0」に「gender」カラムを転記しておきます。そして、広告管理画面上で”「custom_label_0」が「male」と一致する商品”をフィルタリングすることで、男性向け商品の商品セットを作成できます。
このように、データフィードをアップロードする前に、切り分けたい商品セットの商品情報を「custom_label_0〜4」に転記しておきましょう。
以下は、よく利用される商品情報カラムです。参考にしてみてください。
- gende(例:男性向けの商品を切り出す)
- sale_price(例:セール商品を切り出す)
- brand(例:人気のブランドの商品のみ切り出す)
計測用パラメータは「link」カラム内での付与が必要
LINE Dynamic Adsでは、キャンペーン・広告グループ単位での第三者計測用のパラメータを付与することはできません。
もし、 Googleアナリティクス4など第三者計測用パラメータを付与したい場合は、データフィード内の「link」カラムの商品URLの末尾にパラメータを直接記載する必要があります。つまり、商品単位で計測パラメータが紐づくため、広告グループやキャンペーンなどの粒度での計測はできません。事前に、どの粒度で広告成果を計測するのかを考えておきましょう。
他の配信媒体では、広告管理画面上で計測用パラメータが付与できるため、データフィード内でパラメータを付与している例は稀だと思います。そのため、他の配信媒体からデータフィードを転用する際は、事前に計測用のパラメータ付与が必要かをあらかじめ確認しましょう。
LINE Dynamic Ads独自の仕様を理解して、データフィードを活用しよう
LINE Dynamic Adsは、他の配信媒体と比較しても独自性の高い媒体です。そのため、普段からデータフィードに慣れている運用者こそ、他媒体からのデータフィードを転用する際には注意が必要です。
「仕組みとルールを知らなければ、効果的な施策は打てない」と言われるように、LINE Dynamic Adsに合わせたデータフィードを構築できるかが、配信後の成果にも大きく寄与します。
これからLINE Dynamic Adsの配信を検討している方はもちろん、すでに広告配信をされている方も、配信しているデータフィードのチェックにこの記事を活用してみてください。
