【保存版】ネットショップで売上を上げ続ける為に必要な13のtips

【保存版】ネットショップで売上を上げ続ける為に必要な13のtips
  • 最近、ネットショップの売上が横ばいで上がらなくなってきた
  • 色々と商品を作ってはみたものの全然売れていない
  • 次のうち手がわからない

仕事柄、ネットショップを運営されている方々のお悩みを聞くことが多く、これまでさまざまな相談にお答えしてきました。そんな中、「ネットショップの売上を上げていくプロセスには一種の法則性のようなものがあるのではないか?」と思い立ち、本対談の企画が浮かび上がりました。


今回は、ネットショップを経営されている方であれば一度は手に取ったことがあるだろう「売れるネットショップ開業・運営(通称:黄色本)」の著者である坂本悟史氏(コマースデザイン株式会社 代表取締役)と「いちばんやさしいリスティング広告の教本 人気講師が教える利益を生むネット広告の作り方」の著者、阿部 圭司(アナグラム株式会社 代表取締役)に「ネットショップで売上を上げるため必要なTips」について対談していただきました。


コマースデザイン株式会社
代表取締役 坂本悟史氏

楽天株式会社にてECコンサルタントとマーケティング業務を長年担当。
ネット上でのヒット商品・人気店舗を多数輩出した後独立し、2008年に、 中小規模ネットショップの支援に特化したコンサルティングを行う為にコマースデザイン(株)を設立。

アナグラム株式会社
代表取締役 阿部圭司

アナグラム株式会社 代表取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。現在はCPAの改善だけにとらわれず、ビジネスの最大化を目指す支援を行う。主な仕事は戦略策定、及び人事、経理、組織論などを担当。

※このインタビューは2019年7月に行われました


市場を小さく定義する

阿部(アナグラム):
今回このようなテーマを設定させて頂いたのは、我々にも非常に多くのネットショップを運営されている方から相談が来る中で、ネットショップというビジネスで売上を上げていくにはある程度法則性のようなものがあるなと感じてます。私の起業前にも坂本さんとはお仕事をご一緒する中でそういった話をよくしていたと思いますが、是非改めて現代版としてまとめていくと価値があるんじゃないかなと思い、今回の企画を立てました。今日はよろしくお願いします。

坂本(コマースデザイン):
昔もそういう話を良くしましたねぇ。今日はよろしくお願いします。

そうですね、売上を上げるためにはまずは市場として小さい市場の方が圧倒的に上げやすいという広い概念からお話しましょうか。

阿部(アナグラム):
坂本さんが良くおっしゃる、ニッチ商材ということですよね。それはなぜでしょう、競合がいないからですか?

坂本(コマースデザイン):
売上の天井も早く来るという面もありますが、競合が少ないし、小さく市場を定義するとトップにもなりやすい。中小企業であれば大企業がそもそも参入しないような市場を選ぶ必要がありますね。

阿部(アナグラム):
所謂、おいしい市場ってことですね。

坂本(コマースデザイン):
そうです。「氷河期世代のほうがうまくいく」という話がありまして、中小ネットショップ事業者の中で、先行者利益的に早々に事業を始めた人の方がいい時代があり一世を風靡したのですが、長期的な時間軸でみると実はそうではないことが最近現れてきています。

例えば、2000年代初頭に始めた事業者で現在経営が厳しくなっている事業者が多くなってきました。なぜなら、当時の売れるネットショップの条件は「売れる商品を売る」ということだったのです。つまり、蟹やワンピース、ロールケーキや訳ありチーズケーキなど、どこかで売れている商品をスピーディーに仕入れて売る方が売上を立てやすかったのですが、それもひと昔前の話になってしまいました。

もちろん、現在も売れる商品自体の市場は大きいですし蟹は今でも物凄く売れます。しかし、蟹を扱うネットショップが増えすぎて、需要と供給のバランスが崩れているのです。一方で、ぼくがネットショップに関わり始めた90年代からの時代変化で「メガニッチ」という概念があります。

阿部(アナグラム):
「メガニッチ」とはなんですか?


坂本(コマースデザイン):
かんぴょうの専門店等がいい例です。今、物凄く売れてるんですよね。

特にかんぴょうブームが来たわけではないのですが、楽天のレビューを見ると年配の人が子どもにかんぴょうを買ってくれと依頼しているんですよ。そして、口コミの評価がとても高く、小さいながらも確実に市場を形成しているんです。

つまり、かなりニッチに絞ってもお店が成り立つようになっているのです。なので、普通に商品を販売したり、商品ページを磨いたり、色々条件を整えて競合と比較するということも大切なのですが、戦う市場をずらしたほうが安定的な売上が上がりやすい場合もあるのだということは知っておいて損はないはずです。

阿部(アナグラム):
商材を絞るということですか?

坂本(コマースデザイン):
そうです。商材を絞り競争と受給のバランスを保っている広告主さんがアナグラムさんの広告主さんでも多いのではないかと推測します。または、規模の大きい広告主さんでパワーゲームでも勝てるところのどちらかだと思います。

つまり、規模の小さい店舗でも幅広い商品を扱うと、無駄に在庫を抱えてしまい結果、キャッシュが滞るという結果に陥ります。であれば、商品を絞り一時的に減収になったとしても継続的に増益につなげることはできますよね。加えて、商品を絞ることで戦略も作りやすくなります。

阿部(アナグラム):
市場を小さく定義することでマーケティングのし易さと管理の簡易化も見込めますね。

坂本(コマースデザイン):
そうですね。基本的な戦術の徹底ももちろん大事ですが、それ以前に市場を小さく定義することが、戦術論の手前で有効です。


阿部(アナグラム):
戦略の部分ですね。戦略が大事というのはもうおっしゃる通りで、我々にもよく来る質問の一つなんですが、売れない商品を運用型広告でどうにかしてくださいと。そもそも検索されていないような商品の場合、とりあえず広告を打ってもどうにもならないんですよね。それがリスティング広告であれ、ターゲティング精度の高いFacebook広告であれ、ほとんどのケースで同じです。

それが多品目扱っていると目も当てられないので、可能であればまずは良い商品だけに絞って、その商品が売れる空気づくりが必要になります。空気づくりは即ちPR(パブリック・リレーションズ)の領域であり、これは運用型広告で決して不可能というわけではないですが、空気づくりを広告で補おうとすると多大な広告費がかかってきますので、それを中小のネットショップが行おうとすると無理があります。

要するに、既に需要のある商品は運用型広告で売上を上げることが出来ますが、まだ需要がない商品は空気づくりから取り組まないとザルに水を溜めるような行為になってしまう、という話でありますね。

坂本(コマースデザイン):
わかります。何事にも正しい順番があるということですね。

「製品」ではなく「商品」を売る

坂本(コマースデザイン):
「製品」と「商品」は違うという話もあります。「製品」に対しての意味づけがあって初めて「商品」になるので、意味付けがされないとそもそも買い物の対象にはならないのです。

お米など、モノだけで需要があるものであれば売上は立ちますが、意味付けがされていなかったら単に「製品」というモノを売っているだけになってしまいます。つまり売れないモノも、意味付けができれば売れるようになるかもしれないということです。

例えば「阿寒湖のまりも」をネットショップで売る場合を想像してみてください。北海道に行き、観光の記念に阿寒湖のまりもは買うかもしれないですが、ネットショップでわざわざ阿寒湖のまりもを買う理由ってないですよね。ですが一般的な考えだと、阿寒湖のまりもは有名だから通販をしようと話が進み、結果全然売れなかったという話はざらにあります。しかし「阿寒湖のまりも」にちゃんと意味付けをすると売れる商品になるんです。

熱帯魚用品屋さんにまりもを卸してもらい、水槽を彩るアクアリウムグッズとして売るのです。北海道のお土産屋さんとは全く違う売り方ですけど、これで通販で阿寒湖のまりもを買う意味が成り立った1つの例ですね。

阿部(アナグラム):
「製品じゃなくて商品を売れ」「価値を売れ」というのはネット上に限らず商売全体で必要な思考ではありますが、ネット上になるとどうしても忘れられがちですよね。ちなみにこういった製品への意味づけってネットショップへの口コミやSNSなどのコメントに書かれて気づく場合が多いんですかね?

坂本(コマースデザイン):
口コミで書かれて気づくこともありますが、偏った売上データを見た時に気づく、後は誰かに言われて気づくパターンが多いかもしれません。店主が思っていなかった使われ方をして爆発的に売上があがり、その需要に気づいて更に売れ出す、なんてこともネットショップではあり得ます。

例えば、Amazonで売れている「食器洗い乾燥機」、実はプラモデルの塗装乾燥としてベストセラーになっていたりします。よくストーリーを語って売れといわれますが「思い込みによるストーリー」は逆効果で、むしろ危険です。需要に気付かなかったり、気づいたとしても「食器洗い乾燥機」をそのまま「製品」として売らないことも売上アップには必要です。「食器洗い乾燥機」例だと、プラモデルをやっている人おススメの食器洗い乾燥機として訴求すれば、製品を意味づけし商品にすることができます。

ユーザーの需要を継続的に探っていくことで、モデラー(プラモデル好きの人の総称)が使っている知られざるグッズを教えたり、その商品を買うことができるサイトとしての地位を確立すれば、実店舗への来店にも繋げることもできます。

レビューを読む

坂本(コマースデザイン):
ぼくが10年前にコンサルティングしたケースでいうと、色の変わるゴルフボールを売っている店舗さんがあったんです。

テレビ東京のトレンドたまごにも取り上げられた商品だったのですが、色の変わるゴルフボールっていわれても「だから、なに?」とぼくは思ってしまって(笑)

阿部(アナグラム):
ぼくもそのショップで購入した金箔のゴルフボール使ってますよ(笑) ゴルフ好きには鉄板ネタではあります。Par3で出すとみんな喜びます。

坂本(コマースデザイン):
それだけで掴みはOKですよね。話のネタにもなりますし。色の変わるゴルフボールはゴルフボールではなく、ゴルフ好きの人へのギフトやコンペの参加賞として「ゴルフコンペが盛り上がる景品」という意味付けの商品なんですよね。実際に売れている理由には、その製品の商品としての意味が混ざっているにも関わらず、その意味を自覚していないメーカーは少なくないです。

売上を上げるためには、レビューをみてその商品の意味を取り出すんです。その意味で買う人はゴルフボール以外の別の商品も買う可能性があるので。

阿部(アナグラム):
そう考えるとレビューは大事ですね。開発としてもレビューは大事ですが、他の人がその商品を買う理由をつくるのにも役立つはずなので。

需要と訴求を一致させる

坂本(コマースデザイン):
架空の和菓子のメーカーの例で考えてみましょうか。和菓子メーカーはこだわりの素材を使用し特殊製法で作った和菓子を売りにしているので、「こだわりの素材と特殊製法で作った和菓子」という訴求で販売していたとします。

しかし、実際に和菓子が売れていた理由は「賞味期限が長い」や「小分けで子供や友人に配りやすい」という理由だったりするんです。

阿部(アナグラム):
和菓子メーカーの立場からしたら想像もしていない理由だったでしょうね。ちょっと切ないですけど。

坂本(コマースデザイン):
そうですね。商品の売上が0でない限り、その商品を買っている人がいます。そして、買っている人がいる限り、買われた理由も必ずあるのです。

売り手が言いたいことよりも、実際に買ってくれている理由をヒアリングしてランディングページ等に載せることを「需要と訴求の一致」といっています

阿部(アナグラム):
売上を上げるためには、需要と訴求を一致させていくことを繰り返し続けていくということですね。需要の先読みができるとお客さんに言われる前に先読みして企画に落とし込んだり、売れ行きを分析して店構えやコンセプトを動かすこともできるようになりますね。

坂本(コマースデザイン):
そうなんです。しかし、モノを売るばかりでお客さんを見ていない人は、実際に何を評価されているのかを確認していないケースが多い。簡単に言うと「レビューを読みましょう」ということです。

阿部(アナグラム):
レビューを読んで、そこから需要を見つけて、見つけた需要をLP(ランディングページ)に落とし込むなり、広告戦略に落とし込むということですね。既に確立されたブランドやメーカーの場合、需要と訴求が一致していない場合でも、プライドが邪魔してどうしたら良いかわからなくなり結局放置ということにもなりうる。

坂本(コマースデザイン):
先ほどの食器乾燥機の例だと、実は商品として売り出されたのはだいぶ前なんです。現代であればもっと強い乾燥威力をもった食洗器が他メーカーからもたくさんでています。つまり、威力として劣るが、一周回ってその威力がプラモデルを乾かすにはちょうど良かったという逆転の発想ですよね。

意味付けを変えて製品の横展開


坂本(コマースデザイン):
「製品」+「意味」=「商品」の方程式はどちらかを差し替えることもできます。

先ほどの色の変わるゴルフボールの例を上げると、「商品」としての意味が「ゴルフコンペが盛り上がる」であればゴルフボールという「製品」以外にも別の製品で「ゴルフコンペが盛り上がる」商品を買うお客さんもいるのではないかと考えられますよね。一方でメーカー側だと、同じ製品で違う意味にする場合もあります。

阿部(アナグラム):
同じ製品で違う意味ですか…?

坂本(コマースデザイン):
例えばところてんって細長いですけど、ところてんをサイコロ状にするとあんみつになるんです。

阿部(アナグラム):
へぇー!おんなじものなんですか?知らなかったです(笑)

坂本(コマースデザイン):
ところてんのような惣菜も切り方を変えるだけでデザートになるんです。

ところてんのタレを変えてみたり、”ダイエットところてん”として売り出したり、期間限定のあんみつにしたりすべて同じ製品なんですけど、商品はどれも違う場合もあります。

岐阜県にある「御影石」を販売している墓石メーカーさんの面白い例があるんですけど、御影石をスライスすると音が良くなる「オーディオボード」になったり、夏には「ペットのためのひんやり石マット」にもなるんです。

阿部(アナグラム):
歴代続く墓石メーカーとしてだけの思考で変に凝り固まった脳みそだと、絶対にその発想はできないですよね。

坂本(コマースデザイン):
御影石も「オーディオボードにもなるし、夏暑い時にはペット用のひんやり石にもなります」とすべて詰め込んで1つの商品として売ったとしても多分、売れないです。加工して、違う意味付けをするとまったく違う商品として売ることができいるという例です。

阿部(アナグラム):
意味付けを変えて製品の横展開の例ですね。

そう考えると、いくつか横展開がうまくいったケースとして見てきましたが製造業などの技術の横展開もできますよね。技術があれば、その技術を使って別のものをつくれる。

モノの製造加工ができる人って、こだわりの強さが裏目に出て意味の製造加工があまり得意ではなかったりしますし。だからこそ、広告人は意味の製造加工が得意であるべきだし、それこそがさまざまな業界を跨いで見ることができる広告人の価値でもあると思います。そうすれば、これまでとは異なる層に物を売ることができますよね。

買うべき理由は用意できているか

坂本(コマースデザイン):
丁度この前とある県の特産物を集めた通販サイトのお仕事があり、その県在住者に向けて「A県の特産物を売ってます!」という訴求をしていました。その訴求だと、多くの人は「北海道の名物」とかの方が買いたいと思うのではないかなと感じてしまったんです(笑)

事実、その県の特産物を売っているのだとしても「なぜそれを買わなければならないのか」を説明できないと売上には繋がらない。そもそも、商売として始まってないとぼくは考えてますね。

阿部(アナグラム):
「県の特産物」と売り出すよりも「出張アリバイ工作用のお土産」とかの方が売れそうですけどね(笑)実際に商品として結構売れてます。

坂本(コマースデザイン):
(笑)
ぼくはもともとあったニーズに訴えかける訴求としてA県出身で今は県外に出ている人に対し「地元の名産を送ってあげる仕送り用」のアイデンティティ商品として売り出しました。

仕送りの品をスーパーで買いたいけど、生もので日持ちしなかったり、そもそもスーパーにいくことがめんどくさいというニーズがもともとあるなと感じていたので、じゃあオンラインストアで買いましょう!という提案が出来ると考えました。

つまり、事実としてA県産の特産物を売っていても、ユーザーからするとあまり意味がなく「買う理由」として弱い場合もあります。

阿部(アナグラム):
創業者はこの事実に気づかないケースが多いですよね。なぜなら、商品に対する思いが強いから。「正」であるが故にそちらに傾きすぎてしまう傾向があるように思っていて、毎度複雑な気持ちで見ています。一方で、思いがなさすぎる創業者も良くないですしバランスが難しいですね。

引き込み導線を作る

阿部(アナグラム):
ここまで、買うべき理由の用意や、潜在ニーズへのアプローチという話があがりましたが、それらを用意した後、具体的にどのように実行に移していけば良いのでしょうか?

坂本(コマースデザイン):
ランディングページからの導線も重要ですね。ランディングしたページから、そのページ以降への遷移を促すことを我々は「引き込み導線」といっています。そして、引き込み導線の根本的な考え方が「需要の抽象化」です。

例えば、中学でテニス部に入部することになる娘を持つ母親が、娘宛にテニスラケットを買ったとします。母親が買おうとしているのはラケットなんですけど、本当に買おうとしているのは「テニス部に入る子供のためのモノ」なんです。

つまり、「新入生テニス初心者用グッズ特集」ページでテニスシューズなど他のテニス商品を載せたコンテンツページへ引き込み導線をつくります。すると、テニスラケットの商品詳細ページにランディングした母親はラケットに加えて他の商品も検討してくれる可能性が高くなるんです。結果、テニスラケットとは違うものが売れることも往々にしてあります。

阿部(アナグラム):
なるほど。ページ遷移が増えることにより離脱が多少なりでるかもしれないけれど、抽象化された需要を持ちつつページを眺めているユーザーもいますからね。

坂本(コマースデザイン):
特にモールだと大事な考え方だと思います。

モールは基本、検索結果はランキングなのでユーザーは自分の求めている商品ではないとわかるとすぐに離脱してしまうんです。しかし、自分の求めている商品ではないと気づいたユーザーでも、別のこのページであれば自分の求めている商品があるかもと思ってくれたら離脱せずに遷移してくれます。これが引き込み導線であり、お客さんの求めている商品は何なのかをとらえ直すという考え方です。

外部の目をいれてみる

坂本(コマースデザイン):
先ほどの和菓子の例に戻ると「コスパが良い」というのが実際に買われている理由だとしても「コスパが良い和菓子」と直接的に訴求しても売れないですよね。その場合、実際の理由とは別に「誰にも変えるような値段で和菓子をもっとカジュアルに」というビジョナリーな話を添えることもできます。

阿部(アナグラム):
なるほど。そういうのはコンサルタントがやるべき領域になるのですかね。本人だとその発想自体難しくないですか?


坂本(コマースデザイン):
ぼくらは、コーチングとコンサルティングとカウンセリングが混ざったような感じだと思っています。

売上が減ったといわれたら慰めつつカウンセリングをしますし、何が減ってるんですかと尋ねられればデータをもとにコーチングもします。一方で、商品の欠品が売上が下がった要因だとわかれば在庫管理のところをコンサルティングしたりもしますね。

阿部(アナグラム):
アパレル系多品目のネットショップだと欠品の他にサイズごとの在庫も重要ですね。在庫はあるように見えても、特定のサイズだけがないとその商品は売れなくなってしまうということにも繋がります。

坂本(コマースデザイン):
そうです、需要量の発注や管理などの話ですね。

阿部(アナグラム):
外部の方だと外の世界を知っているので、他業界の横展開ができる場合もあります。全く違う業界であれば、うまくトレースできます。リスト商法が良い例で、色んな業界でうまくいく傾向があるので、やはり外部の目持つパートナーは大事ですね。

坂本(コマースデザイン):
自身が「作物が実る時期に戦争は起きない」という習慣の持ち主だと「まさかその時期に攻め込まれるとは」と寝首を搔かれる危険性もあります。戦争は農民同士でしていると思いこんでいると、織田信長が職業軍人を雇って攻め込んできてびっくりということにも。

だから、自分の慣れた世界だけでやっているよりは、変えられるところは変えてくれる外部の目は重要。なので、商品の意味付けと共に広告代理店やコンサルタントを有効活用したほうが良い場合もあります。

新商品を作る

阿部(アナグラム):
売上を上げることの大前提としては「いい商品がある」ということになるかなと思いますが、坂本さんは商品開発から関わることはあるんですか?

坂本(コマースデザイン):
たまにあります。ぼくに限らず、社員全員あります。例えば、味噌屋さんが普通の味噌を売るだけではなくアマノフーズさんとコラボして何かつくるというところに首を突っ込んだりもします。

流れの中で、我々から提案することもありますし、先方からもという場合もあります。普通の味噌をサブスクリプションで積み重ねていくにしても、マイナーな味噌だからどうしたもんですかね、という質問を頂きます。その答えとして「味噌ドレッシングとかどうですか」とか派生商品という考え方もあることを伝えると、先方も「じゃあ、やりましょうか」となりますね。

阿部(アナグラム):
我々もディスカッションを繰り返す中で、我々にしか見えないデータがあって、「こんな需要があるので、今開発している女性用の商品を男性用に展開してみませんか?」ということで仮説検証し、部署まで立ち上げたみたいな話はいくつかあります。

Web上でのニーズがリアルな開発には落とし込まれていないケースですね。需要があることはデータで証明されているので、安定的な売上をあげるまでにそう時間はかからず、関係者全員が幸せになる展開ですね。

坂本(コマースデザイン):
事業主と外部パートナーとの理想の形ですよね。

既存商品で末永く定期購入を続けてもらっても売上は横ばいです。その状況で売上を伸ばすのであれば薄い座布団を重ねていく考え方が必要なのです。

阿部(アナグラム):
新商品を作るというのも「薄い座布団を重ねていく感じ」で売上を作るために必要なことであるということですね。

キーワードを検索したユーザーの動機にアプローチできているか

阿部(アナグラム):
ここまで様々な売上を上げるTipsをディスカッションしてきましたが、売り方を変えるなどのコーチングなのか、ランディングページを変えるなどの分析なのかなど、実際に坂本さんが受ける相談では、どういったアクションをすることで売上があがることが一番多いのでしょうか。

坂本(コマースデザイン):
キーワードの次のところですね。検索キーワードから店舗のページにランディングしてもらう為に、そのキーワードを検索している人の動機を先回りして、そこに対してアプローチすることが売上を上げる為に重要です。

ユーザーへ「あなたが欲しいものはこれ」と如何に早く提示するかですね。特にモールは、買う前提でユーザーが検索しているにもかかわらず、買うことをユーザーに迷わせてしまうとせっかく自分のお店に来てもらっても「また来よう」とユーザーが帰ってしまいます。そこを「あなたの欲しい商品、これでしょ」と提示することでユーザーに気づいてもらい、買ってもらうまでを整えます。

具体的には、サムネイルやランディングした時のファーストビューからカゴまでがどうなっているかを確認します。加えて、ユーザーが「これじゃないかも」と思ったときに次こっちは?という引き込み導線をひいて、すべての要望が1つのお店で完結して決済までしてもらうのがポイントですね。

阿部(アナグラム):
そのあたりを最初に整えると、売上もわかりやすく上がっていくんですね。

坂本(コマースデザイン):
そうですね、このあたりを意識して自分のポジショニングを考えている人って多くはないです。そこで、第三者的に僕たちがアドバイスをしていくことで視野を広げて、自分だったらというようにお客さん自身が俯瞰して見れるようになってもらい、自覚し決断してもらうような仕組みをつくることを意識しています。

インフォメーショナルクエリの攻略

坂本(コマースデザイン):
お客さんの視界を想定した当該キーワードで出てきた広告が競合になりますよね。例えば「まくら 選び方」のような情報検索で競合となるコンテンツはどこかを想定してみます。

お客さんの視界の中に入る競合を想定して、パワーゲームで勝てれば良いのですが、現行の掲載順位が2位、3位の場合は訴求をずらしたり、何をすべきかを考えます。


阿部(アナグラム):
2019年7月現在で言えば、SEO的な文脈でも「まくら 通販」のようなトランザクショナルクエリのように行動するクエリはネットショップの場合、Amazonや楽天にほとんど上位表示を取られてしまっています。こうなってしまうと、中小企業だと楽天やAmazon相手にまともに戦っても勝てません。実質、オーガニックの流入が減っている事業主も多いですよね。

じゃあどうするのと考えると「まくら 選び方」「○○をするなら」などのインフォメーショナルクエリ、つまり、情報を探しているクエリへのアプローチがカギになります。

インフォメーショナルクエリからの流入を、如何に行動に繋げるか、転換させるのか、というアプローチが大事になります。

インフォメーショナルクエリからの流入が増加すれば訪問者が増えます。一方で、CVR(コンバージョン率)は低下します。これは直ぐに購入をしている人たちへのアプローチから、情報を探している人に向けてのアプローチへの変換でもあるので、当然といえば当然なのですが、企業としては流入数などをKPIなどにしている場合、購入数などに指標を変更しないと大変なことになりかねません。アプローチが変われば成果の指標も見直すべきですね。そういった柔軟な企業がうまくいってます。

また、オーガニックでAmazonや楽天に上位を占められている場合は、検索連動型広告だけではなく、ショッピング広告でしっかり上位に露出することも極めて重要です。

購入までの障壁を減らすことができているか

阿部(アナグラム):
売上を上げる為の最後のフェーズとして、権威やおまけなど、売上を上げるためによくあるのは値下げですよね。しかし、いきなりの値下げというのは基本的には愚策であって、最後の最後にやるものだと思いますがどうでしょう?

坂本(コマースデザイン):
イメージとしてパイプラインがあって、ユーザーの視界に入らない、視界に入っても買わないなどのドロップ要因を水漏れとするのであれば、その水漏れを防いでいくことが売上を立てていくイメージなのかなと。

弱いところを取り除いていくことなんですけど、最強の邪魔者は「今買う理由がない」こと。そこで、早割で安くしたり、プレゼントがもらえたりなどの意味づけをすることもTipsの1つですよね。

「後で考えよう」=「買わない」なので、ユーザーに今決断しなければならないという理由付けをつくることができれば、ドロップを減らすことに繋がります。早割が一般的な施策ではありますが、先行販売であれば特別限定版でプレゼントがもらえるというおまけやAmazonで本を売っている人が「今買えば特別動画をプレゼント」などのキャンペーンなどもありますよね。

Amazonが最近やり始めてすごく上手だなと思ったのが、特別オファーと題して漫画を何冊か読んだ後に、5冊セット今だけ●%オフでレコメンドしてくるんです。このオファーで、私は結局全巻買ってしまいました(笑)

検討プロセスの後半部分にある、お客さんが抜けていくドロップをすべて埋めているんですよ。「後で買おう」「後で考えよう」「ちょっとずつ買おう」というすべてをつぶしに来ていますね。

阿部(アナグラム):
なるほど、それらの障壁を取り除く方法は商品によってたくさん考えられますね。我々が見ている物の中ではAmazon Payがその最も足るものかもしれません。初めてのネットショップでの決済ってクレジットカードの入力から住所の登録など、物凄く面倒が多いですが、Amazon Pay一つでこれらが全て解決してしまい、結果的に大きな障壁を取り除いてくれてます。

坂本(コマースデザイン):
Amazon Payは最早おっしゃるとおりですね。また、典型的なのは「早割」「ボリュームディスカウント」Amazonの定期購入や特急便とかもそれですよね。

定期購入だとカゴの中身は決まっているので、月一を動かすことは出来ない。秒単位で変化する心理の揺れに対して、特急便があることで定期のカゴに追加で商品を乗せることができ、結果としてお客さんの買う機会を増やすことができているので面白い施策ですよね。

買わない理由を埋めていく

坂本(コマースデザイン):
障壁を取り除く上で、買われている理由はレビューを見れば声も届きやすい一方で、買われない理由は仕入れづらい。だから、そこは自分たちで「なぜ買わないのか」を周囲の人に聞きながら埋めることも必要ですね。

阿部(アナグラム):
社内で「買わない理由」などのディスカッションをされるんですか?

坂本(コマースデザイン):
売れていないのであれば、なぜ売れていないのかの理由をヒアリングしたりはします。

阿部(アナグラム):
なるほど、ひたすら買わない理由をつぶしていけばいいのですね。

坂本(コマースデザイン):
ディスカッション以外で強いて言えば、競合のレビューを見ることですかね。競合にお客さんが流れているのではないかという仮説をもとに、自社商品と競合商品の強みを対比することはできると思います。

しかし、競合が買われている理由を見すぎると、自身の判断が歪んで誤った判断にも繋がります。そのため、順番としては自社商品が買われている理由を把握することからですね。

阿部(アナグラム):
間違いないですね。まずは自社の状況をしっかりと把握したうえでより精度を上げるために競合を見ていくべきですね。

坂本(コマースデザイン):
ぼくたちは競合のレビューを見る時に、ラベルを付けます。

「美味しかった」「味が濃かった」などのレビューには「味」というラベルを付けます。一方で「小分け」や「開けやすい」「ぼろぼろこぼれない」というレビューには「利便性」というタグをつけてそのタグを束ねながらみていくと需要の傾向を掴みやすいです。タグ付けを行うことで、当初立てていた仮説が外れることも経験上多いですね。

阿部(アナグラム):
ぼくらにはない視点でとても貴重なお話をありがとうございました!

まずは無料でご相談ください


ネットショップと運用型広告という、一見似ているようで異なる業種の坂本さんと阿部さん。お二方のお話は共通する部分はありつつもお互いの着眼点において異なる点も多くあり、発見の多いインタビューでした。

上記で記載していること以外にもコンテンツにはならなかった話は沢山あります。もし、あなたがネットショップの売上についてお困りであれば下部の左側のボタンから坂本さんの会社、コマースデザインさんに相談してみて下さい。

もし、あなたがネットショップの運用型広告の成果にお困りであれば、下部の右側のボタンからアナグラムにご相談下さい。


<チェックポイント一覧>

市場を小さく定義する
「製品」ではなく「商品」を売る
レビューを読む
需要と訴求を一致させる
モノと意味のスライド
買うべき理由は用意できているか
引き込み導線を作る
外部の目をいれてみる
新商品を作る
検索したユーザーの動機にアプローチできているか
インフォメーショナルクエリの攻略
購入までの障壁を減らすことができているか
買わない理由を埋めていく

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