アサヒビール株式会社(THE DRAFTERS)
アサヒビール株式会社
新規事業部 次長 兼 デジタルマーケティング部 担当部長
西村 拓哉さま

大手ビールメーカーとして業界を牽引してきたアサヒビールさま。

本記事では、新規事業である家庭用生ビールサービス「ドラフターズ」のブランドマネージャーである西村さまに、弊社を選んだ決め手や、お取り組みの中で印象的だったことについてお話をお伺いしました。

このインタビューは、2023年8月に行われました。

聞き手:アナグラム株式会社
小山 純弥
仙波 勇太
池田 華子
金子 俊子(執筆者)

「ドラフターズ」とはどんなサービスか教えてください。

「ドラフターズ」は、氷点下の生ビール「アサヒスーパードライ エクストラコールド」が自宅で気軽に楽しめる定期サービスです。本格的な生ビールサーバーと、毎月ミニ樽の生ビールが届くことで、アサヒスーパードライ エクストラコールドならではの抜群のキレと喉越しをご家庭でも味わうことができます。

アサヒビールでは、創業以来ずっと卸さまへの販売を通して小売店・飲食店さま向けに営業を行い成長してきた会社です。ただ、ビール市場自体の緩やかな縮小やコロナ禍当時は外食控えもあり、お客様に直接商品を届けるD2C形態での事業も行っていくべきなのではないか?という課題意識から始まったのが「ドラフターズ」です。

アサヒビール史上初のD2C事業のため、社内に前例はまったくありませんでしたが、社外を駆け回って有識者を探しアドバイスを頂きつつ、手探りで試行錯誤しながら事業をスタートさせています。

サービス会員のコミュニティにも力を入れていて、会員限定のオープンチャットや、直接リアルで交流ができるオフラインイベントを実施している他に季節限定ビールのラベルデザインもユーザー投票で決めるなど、会員の皆さんによりファンになっていただけるような仕掛けを工夫しています。

オフラインイベントの様子

「ドラフターズ」での西村さんの役割を教えてください。

「ドラフターズ」事業のマネージャーとして、プロジェクトの構想から事業としてのローンチ、2年間で累計売上30億円、会員数を累計入会3万人に伸ばすところまで携わりました。

プロジェクト立ち上げ時には、出荷体制の整備から、ECサイトの立ち上げ、LINEプラットフォームの活用まですべて半年ほどの期間で構想と実装をやり、その他に各パートナー企業と連携しながら、サービス成長のためのプロモーションやCRM施策なども担当しました。現在はデジタルマーケティング部に帰任しています。

無理な営業をしない姿勢やビジネスフェーズの課題に寄り添った提案が決め手に

アナグラムにお問い合わせいただいた経緯をお伺いできますか?

以前からアナグラムさんのブログや代表の阿部さんのX(旧Twitter)は見ていたので、アナグラムさんのことは知っていました。

当時は家庭用のビールサーバービジネス自体の認知がまださほど高くない状況でしたし、「ドラフターズ」はアサヒビールとしても全くの新サービスなので認知から新規顧客の集客まで設計していく必要性は感じていました。そこで両方を一気通貫でお任せできるようなパートナーとしてアナグラムさんにお声がけしました。

数ある広告代理店の中で、アナグラムを選んだ理由は何だったのでしょうか。

ドラフターズではカートシステムやCRMツールなど様々なパートナー企業と協力していますが、基本的には「ブランドのことをきちんと考えてくれるか」「求めるサービスレベル・提案の質を満たす会社かどうか」などいくつかの項目で評価し、フラットに採点して協業先を決定しています。

アナグラムさんにいただいたご提案に関して、しっかり我々のビジネスフェーズとその課題を把握している内容だと強く感じていてその結果、是非ご一緒にやっていきたいと思えたのです。

その他に重視していたポイントがあればお伺いしたいです。

実は、アナグラムさんがブログやSNSで積極的に情報発信していたことも、決め手のひとつでした。

情報発信している事自体、「最新情報をキャッチアップしていて、ノウハウがある会社」とも考えられますし、発信している内容も「どんな会社で、どんな人が働いているのか」「一緒にやっていけそうか」の判断材料にしていましたね。

また、無理に営業的なアプローチをしない姿勢にも好感を持ちました。代表の阿部さんのSNSからアナグラムの経営姿勢は知っていたのですが、それが社員にしっかり浸透していると感じたことも後押しになったんです。

デザイナーと直接の対話が、商品の魅力を引き出すクリエイティブに

取り組みの中で特に印象的だったことはありますか?

広告運用に関しては、常に2歩・3歩先を見越した提案をしてくれたことが印象的です。

配信面の追加や媒体の新機能など、こちらからお願いする前に提案・実行してくれますね。例えば、Metaの「Advantage+ショッピングキャンペーン」はアナグラムさんから「試験的に配信したい」という提案があり、配信してみたところMetaのCPAが15%ほど下がったので驚きました。

アナグラムさんでは、社内で「この施策を試したらうまくいった」などの情報交換が盛んだそうですね。社内でのノウハウ共有がしっかりしていることも高い提案力につながっているのかなと思います。

順調なときこそ次の打ち手を準備し備えておくことが重要ですが、アナグラムさんはこちらから指示しなくても先回りした提案をしてくれたのがありがたかったですね。

また、御社のデザイナーさんと直接やり取りしながらクリエイティブ制作を進められたことも良かったです。ドラフターズは「家庭用生ビールサービス」ではありますが、広告では家電のような見せ方ではなく、スマートフォンのようにスタイリッシュな印象にしたいという想いもありました。このイメージを伝えるにあたってデザイナーの方に私自身の言葉で直接お話しできたのはとても良かったですね。

サーバーの機能なども、ブランドマネージャーである私自身の言葉で説明しないと伝わらない部分が多いサービスだと感じています。例えばドラフターズで提供している「どこでもサーバー」は保冷機能付きのビールサーバーで、電源がない屋外でも冷えた生ビールを楽しむことができます。バーベキューやキャンプで楽しんだり、ホームパーティーに手土産感覚で持っていくのにも最適です。

ただ、広告でこの内容をそのまま説明しても、ドラフターズをまだ知らない方には魅力を感じていただきにくいでしょう。そこで、アナグラムさんとの取り組みにおいては私がデザイナーの方に直接商品説明を行い、その上でクリエイティブを制作いただきました。

完成したバナー
 

新規事業ということもあり、最初はどんなクリエイティブならサービスの魅力をユーザーに理解してもらえるのかわからない状況でした。デザイナーと直接コミュニケーションを取りながら進めたことで、我々が伝えたいドラフターズの良さが十二分に発揮されたクリエイティブになったと感じています。

LP制作でデザイナーがヒアリングに出てきてくれることはありますが、バナーに至るまでデザイナーが直接フロントに出てきて、ヒアリングから制作まで担ってくれる会社は少ないのではないでしょうか。こちらの意図を汲みつつ、商品の魅力を引き出すクリエイティブや訴求軸を数多く提案いただけたので、満足しています。

今後の「ドラフターズ」の展望について聞かせてください。

ドラフタ―ズは2023年10月から日本事業を統括する持株会社であるアサヒグループジャパンに事業移管しました。ドラフターズ事業部を設立し成長を図るためです。同時に私もアサヒビールに帰任し次のミッションにチャレンジしていきます。


現代では個人の嗜好が分散しているので、特にマスプロモーションだけでは難しい時代になってきていると感じています。ブランド側ではなく、そのファンによって中長期に育成されていく要素が強くなってきました。

だからこそ「ドラフターズ」で築いたようなコミュニティで、お客様と直接繋がり、生の声を聞くアプローチは我々にとってもますます重要になるでしょう。

「ドラフターズ」などで得られるデータやノウハウを蓄積してアサヒビールの多様なお客様全体にももっと楽しい価値を還元していきたいと考えています。

Voice Of AdOps担当者の声

誰もが知るアサヒビールさんが始める新規事業に関わることができ、緊張感もありながらとてもやりがいを感じられました。また、広告も含めて広い知見をお持ちの西村さんから「事業にかける想い」を直接伺うことで、サービスの解像度を一段も二段も引き上げていただき有り難かったです。

アナグラムのクリエイティブチームは広告運用の知見をしっかりと持ったデザイナーが揃っていることもあり、媒体や配信面に合わせた質の高いクリエイティブを制作できることが強みです。クリエイティブチームとの連携を高く評価いただき、とても嬉しく思います。

今後もサービス成長のため、実施したい施策が複数あります。インパクト・工数など優先順位を考えながら、さらに事業を伸ばしていくための施策をご一緒に考えていければと思っています。

アサヒビール株式会社
ドラフターズ