接骨院などの店舗型ビジネスでは、そのエリアに住んでいる方や、エリア内に職場などがある方がコアなユーザー層となるため、商圏も限られてきますよね。
もしくは、電車通学を想定している駅チカの学習塾では、その沿線に住んでいるユーザーがその学習塾へ通学可能なターゲットとなりうるでしょう。
Yahoo! ディスプレイ広告(運用型)(以下、YDA)における、地域ターゲティングの方法には「地域名指定ターゲティング」と「半径指定ターゲティング」の2種類のターゲティング方法があります。
都道府県・市区郡単位でのターゲティングとなる「地域名指定ターゲティング」では、商圏を柔軟に指定できないケースがありますが、そんなときに利用したいのが「半径指定ターゲティング」です。
例えば、半径指定ターゲティングであれば、対象の店舗もしくはその沿線の各駅から半径数kmをターゲティングすることができ、より柔軟に地域を指定した広告配信ができます。
今回はそんな痒いところに手が届く半径指定ターゲティングの機能の詳細やメリット・注意点など、それぞれの機能についてご紹介いたします。
半径指定ターゲティングとは?
半径指定ターゲティングとは地域ターゲティングのひとつであり、特定の地点からの半径距離を指定することで、その半径エリアにいるユーザーまたは半径エリアを定期的に訪れるユーザーに対して広告を配信できる機能です。
従来のYahoo! ディスプレイ広告(運用型)の地域ターゲティングは各都道府県・市区郡単位でそれぞれ指定する方法のみでしたが、半径指定ターゲティングは「店舗Aから半径5kmをターゲティング」とするなど、より柔軟な地域ターゲティングを実施することが可能です。
詳細な設定内容は以下の表です。
内容 | 詳細 |
---|---|
設定単位 | 広告グループ単位 |
設定方法 | ピンで指定 スポット名、住所、郵便番号、緯度経度のいずれかを入力し、候補の中から指定 日本国外・海上は範囲設定できない(設定しても配信されない) |
広告配信対象 | 指定された半径エリアにいるユーザー その半径エリアを定期的に訪れるユーザー |
距離範囲 | 最小1km ~ 最大80km |
入札価格調整率 | 指定したターゲティングごとに設定可能 |
他ターゲティングとの併用 | 他種別ターゲティングとの併用は「AND条件」 地域名ターゲティングとの併用は「OR条件」 |
参考:https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30255699.html内のPDFより
半径指定ターゲティングを使用する際のメリット
半径指定ターゲティングには主なメリットが3つあります。
- より柔軟な地域ターゲティングでの配信が可能
- 指定した地域ごとに入札価格調整率設定が可能
- 他ターゲティングと併用することで、より詳細なターゲティングが可能
より柔軟な地域ターゲティングでの配信が可能
従来の地域名指定は都道府県・市区郡単位での指定でしたが、半径指定ターゲティングでは指定した住所やスポット名、郵便番号などから半径5kmといったターゲティングを設定できるため、より柔軟に地域のターゲティングを実施できるようになりました。
指定した地域ごとに入札価格調整率設定が可能
設定した地域ごとに入札価格調整率が設定できるため、距離に応じて入札価格に強弱をつけることが可能です。
参考:【ディスプレイ広告(運用型)】地域ターゲティングにおける対象地域の指定方法追加について - Yahoo!広告
他ターゲティングと併用することで、より詳細なターゲティングが可能
他種のターゲティング方法(デバイス、性別、年齢、オーディエンスリスト、オーディエンスカテゴリーなど)や地域名ターゲティングなどと併用ができるため、組み合わせることでより詳細なターゲティングが可能です。
例えば、学習塾などの店舗型サービスであれば「塾」などのキーワードで検索した方へのサーチキーワードターゲティングと半径指定ターゲティングを組み合わせて使用することで、より確度の高いユーザーへアプローチが可能となりますが、ターゲティングを制限しすぎてしまうと配信が全くされなくなる可能性もありますので注意が必要です。
他ターゲティングと組み合わせて使用する場合は、地域名ターゲティングとの併用は「OR条件」、地域名ターゲティング以外の他ターゲティングとの併用は「AND条件」となります。
設定パターン | 設定例 | 判定 |
---|---|---|
性別ターゲティング + 半径ターゲティング |
男性 | 男性 “AND” 店舗A 半径3km |
店舗A 半径3km | ||
地域名ターゲティング + 半径ターゲティング |
東京都港区 | 東京都港区 “OR” 店舗A 半径3km |
店舗A 半径3km | ||
性別ターゲティング + 地域名ターゲティング + 半径ターゲティング |
男性 | 男性 “AND” 東京都港区 “OR” 店舗A 半径3km |
東京都港区 | ||
店舗A 半径3km | ||
サーチターゲティング + 地域名ターゲティング + 半径ターゲティング |
サーチキーワードリスト | サーチキーワードリスト “AND” 東京都港区 “OR” 店舗A 半径3km |
東京都港区 | ||
店舗A 半径3km |
参考:https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30255699.html内のPDFより
半径指定ターゲティングが有効なビジネス
半径指定ターゲティングが有効となりやすい場面としては、特定の地点を基点として細かい粒度で地域を限定して配信したい時などが挙げられます。
例えば、小売店や不動産、ジム・スポーツクラブ、自動車ディーラー、学習塾など特定の地域の範囲内を主な商圏とする店舗型ビジネスなどはイメージしやすいでしょう。
半径指定ターゲティングの設定方法
それでは、実際の半径指定ターゲティングの設定方法を見ていきましょう。
①左のタブから「地域」→「編集」をクリック
②設定したい「キャンペーン」と「広告グループ」を選び「決定して進む」をクリック
③「地域を指定して配信」→「半径で指定する」でクリック
④「”スポット名、住所、郵便番号、緯度経度”で検索」か「ピンで選択」のどちらかで基準となる場所を選ぶ
⑤基準の場所から「半径◯kmをターゲティング」とするか数値を入力し「追加」をクリック
⑥半径指定を設定し終えたら「設定」をクリック(半径指定は最大で100件まで設定可能です)
以上で設定は完了です。
指定した地域の入札価格調整も可能
続けて設定した半径指定に「入札価格調整率」を設定する方法を解説します。
①半径指定を設定した広告グループの「地域」タブをクリックし、設定したい「入札価格調整率」の項目をクリック
②「引き上げ率」「引き下げ率」を選択し、数値を入力
以上で半径指定に「入札価格調整率」を設定することができました。
また、半径指定ターゲティングを消去したい場合は左側の「チェックボタン」で消去したい半径指定を選択し、「一括操作」→「ターゲティング設定を消去」で消去することができます。
半径指定ターゲティングを使用する際の注意点
ここまではメリットをご紹介してきましたが、一方で半径指定ターゲティングを使用する際は以下の点に注意が必要です。
- 地域名指定、半径指定で重複している範囲での入札価格調整率の優先度は調整率が高い方の設定が優先される
- 広告配信対象となるのはどのようなユーザーとなるかを把握しておく
- 半径指定ターゲティングの設定は自動入札の入札価格の最適化には利用されない
地域名指定、半径指定で重複している範囲での入札価格調整率の優先度は調整率が高い方の設定が優先される
ターゲティングした地域・半径ごとに入札価格調整率の設定が可能ですが、複数の入札価格調整率を指定した場合は、ユーザーの位置情報に一致する地域・半径の設定から最大の入札価格調整率が適用されます。
地域指定と 入札価格調整率 |
ユーザー情報 | 適用入札価格調整率 | |
---|---|---|---|
東京都千代田区 | 0% | 東京都千代田区内 + 店舗Aから半径”5km” |
+20% |
店舗A 半径3km | +50% | ||
東京都千代田区内 + 店舗Aから半径”2km” |
+50% | ||
店舗A 半径10km | +20% | ||
参考:https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30255699.html内のPDFより
広告配信対象となるのはどのようなユーザーとなるかを把握しておく
都道府県などの地域名指定の広告配信対象は「指定された地域にいるユーザー」または「指定された地域に関心・関連のあるユーザー」であるのに対し、半径指定ターゲティングで配信されるユーザーは「指定された半径エリアにいるユーザー」または「その半径エリアを定期的に訪れるユーザー」に広告が配信されます。そしてこれらはどちらかのユーザーを指定することができないです。
ターゲティング | 地域名ターゲティング (地域名で指定する) |
半径指定ターゲティング (半径で指定する) |
---|---|---|
指定方法 | 都道府県・市区郡 | 指定した地点から半径1km~80km |
広告配信対象 | 指定された地域にいるユーザー 指定された地域に関心・関連のあるユーザー |
指定された半径エリアにいるユーザー 半径エリアを定期的に訪れるユーザー |
また、ターゲット対象となるユーザーに関しては、Yahoo! 社がユーザーの同意に基づき取得した位置情報のみを利用しています。
半径指定ターゲティングの設定は自動入札の入札価格の最適化には利用されない
半径指定ターゲティングは入札価格調整率を設定しない限り、自動入札の最適化(自動入札で指定場所に近いほど入札を高くする等)には利用されません。
そのため、細かく制御したい場合は、距離ごとに入札価格調整率を変えて設定することが必要となります。
まとめ
半径指定ターゲティングを使用することで、自店舗だけでなく、駅などの特定の場所を基準にターゲティングを実施することが可能です。
特に店舗型のビジネスをされている方は地域名ターゲティングでは実施できなかった細かなターゲティングができることで、より商圏に基づいたアプローチが可能となるのではないでしょうか。
ただ、地域名・半径指定ターゲティングの対象となるユーザーはYahoo!社の位置情報取得に同意したユーザーのみであるため、半径指定を絞りすぎるとボリュームが少なくなってしまう注意点もあります。
また、半径指定であれば「指定された半径エリアにいるユーザー」の他にも「半径エリアを定期的に訪れるユーザー」も含まれていたりするので、実際に配信されるユーザーの対象はどのような定義なのか把握しておくことも重要です。
店鋪型のビジネスや地域性が重要なビジネスでYDAを配信されている方は、注意すべき点を把握しつつ、ぜひ一度使用してみてください。