TikTokで自社の提供している商品やサービスの広告出稿を検討したものの、次のような課題から取り組みを始められないという企業もいらっしゃるのではないでしょうか。
「TikTokと自社ブランドの世界観が合わず、ブランドドメインでLPを展開するのが難しい」
「期間限定のイベント集客の広告を検討しているが、新しくLPを作るのは大変…」
そんな時に検討してほしいのがTikTok広告のインスタントページです。今回はインスタントページの概要から設定方法までを丁寧に説明します。
目次
TikTok広告のインスタントページとは
インスタントページとは、TikTok広告の遷移先のウェブサイトを簡単に作成できる機能です。広告の遷移先が用意できない場合にLPとして活用できるだけでなく、TikTok外のウェブページへ遷移する前にクッションページとしてインスタントページを挟むなど、活用の仕方は様々です。
また、インスタントページの特徴の1つに、ページの表示速度が速いことが挙げられます。通常のウェブページと比較して約11倍も速いといわれ、ページの表示速度が遅いことでのユーザーのブラウザバックによる離脱を最小限に抑えることが期待できます。
加えて、8つのテンプレートが用意されており、LPを作ったことがない方でも広告管理画面、またはツールタブから手軽に作成できます。
インスタントページの利用できる範囲
インスタントページが利用できる広告のキャンペーン目的は「トラフィック」「ウェブサイトのコンバージョン」「リーチ」または「動画視聴数」など広い範囲で設定可能です。
しかし、アプリプロモーションを目的とした広告配信には利用できない点だけご注意ください。
また、以下条件下で利用が可能となっています。
利用条件 | 詳細 |
---|---|
キャンペーン目的 | トラフィック、ウェブサイトのコンバージョン、リーチ、動画視聴数 |
プレースメント | TikTok、Pangle |
スプリットテスト(A/Bテスト) | 利用可能 |
Spark Ads | 利用可能 |
カード | ディスプレイカード、ギフトコードカード |
オーガニック投稿をそのまま活用できるSpark Adsや、スプリットテスト実施の際にも利用できるので運用者のアイディア次第で活用の幅は広がりますね。
インスタントページの作成方法
では、さっそくインスタントページを作成していきましょう。
まず、広告配信するキャンペーンを作成し、広告セットの設定画面からインスタントページの設定を行います。キャンペーンの作成手順はこちらのブログを合わせて参照ください。
①キャンペーン目的ではトラフィック、ウェブサイトのコンバージョン、リーチ、動画視聴数のいずれかを選択してください。
②最適化を行うロケーションで「TikTokインスタントページ」を選択します。
③プレースメントを選択します。
「自動プレースメント」と「手動プレースメント」の2つから選択可能です。
手動プレースメントでインスタントページを活用する場合、利用条件にも記載されている通りTikTok、Pangleのどちらかあるいは両方の選択が必要です。グローバルアプリバンドル「のみ」の選択は広告管理画面の仕様上できません。
④広告セットでターゲティングの設定が完了したら広告作成画面にて、カスタムページの「+作成」をクリックし、インスタントページを設定していきます。
⑤インスタントページのページビルダーからテンプレートを選択します。
テンプレートは配信の目的に応じて8種類から選択可能です。フォーマットによっては独自に利用できる機能も提供されています。一方で、適したテンプレートがない場合は「カスタマイズ」を選択することで、1からインスタントページを作成することも可能です。
「テンプレートを使う」と「カスタマイズする」場合、それぞれの説明をしていきます。
テンプレートを使う
「商品紹介ページ」のフォーマットはShopifyアプリとの連携が必須のため、Shopifyアプリを利用していない場合は利用できないなど、フォーマットごとに違いがあるので事前に以下、表で確認をしておきましょう。
フォーマット名 | 詳細 | 独自に利用できる要素、機能 |
---|---|---|
カスタマイズ | 画像、CTAボタン、テキストなど自由にカスタマイズが可能なフォーマット | |
商品紹介ページ | 商品画像と値段、サイズなど、商品の詳細を載せるのに適したフォーマット | Shopifyアプリとの連携(必須) |
お問い合わせ | ユーザーがソーシャルメディアアプリ、または電話でお問い合わせが可能なフォーマット | ソーシャルメディアアプリ、または電話発信のCTAボタン |
販売商品 | 商品やサービスの情報を記載するフォーマット | |
ブランドストーリー | 商品やブランドのストーリーを伝えるのに適したフォーマット | |
紹介とブランド宣伝 | ブランドやサービスを紹介するのに適したフォーマット | |
映画トレーラー | 映画や動画の宣伝などに適したフォーマット | 映画の詳細 |
多目的地 | 複数のウェブサイトやアプリ遷移させる場合に適したフォーマット |
アパレルECなどShopifyアプリと連携して商品画像や価格などのデータをインスタントページで掲載したい場合は「商品紹介ページ」を選択してください。
また、問い合わせに電話コンバージョンを設定しているビジネスであれば、電話での問い合わせが可能な「お問い合わせ」のフォーマットを利用するなど表を参考に、ご自身のビジネスの目的に合わせて選択してください。
カスタマイズする
「カスタマイズ」では、画像やCTAボタンなど、上記8つの要素を追加したり、順番を入れ替えながら作成ができます。
「カスタマイズ」以外のフォーマットを選択した場合でも、上記8つの要素は必要に応じて足すことも可能なので、それぞれを組み合わせてご自身でインスタントページを作成することが可能です。
「カスタマイズ」でインスタントページを1から作成する場合は、この後の章で「成果をあげるインスタントページ活用のポイント」について詳しく解説しているので合わせてご確認ください。
成果をあげるインスタントページ活用のポイント
インスタントページを初めて作成する人は、「何を」「どのように」設定すれば良いのか迷ってしまうこともあると思います。そこで、成果につながるインスタントページを作成するポイントをご紹介します。
CTAボタンは目立せる
ユーザーにどのような行動を後押しするのかを伝えるCTA(Call to Action)ボタンは、コンバージョン率にも大きな影響を与える要素の1つです。そのため、インスタントページと同系色で揃えるよりは、目立つ色を設定することでインスタントページに埋もれず、ユーザーの目に留まりやすくなります。
例えば、以下2つのインスタントページを見比べてみてください。
サイトの同系色である青色のCTAボタンよりも、赤色のCTAボタンの方が目に留まりやすく、文字も目に入りやすくないでしょうか?
CTAボタンは「色」と「テキスト」、「ボタンスタイル」の3つの要素でカスタマイズする仕様です。インスタントページを作成する際は、ページに埋もれずに、目立つ色のCTAボタンでユーザーの行動を後押しできているか、という視点を意識してみてください・
また、CTAボタンはテキストだけではなく、画像を設定することも可能です。
テキストだけではなく、画像で多くの情報を伝えたい場合や、いくつかのデザインでABテストを試したい場合は、画像を使用したCTAボタンを設定してみることも検討してみてください。
動画ファイルサイズはできるだけ軽量化を
ファイルが大きいほどページの読み込みに時間がかかり、ユーザーのページ離脱のリスクを高めます。そのため、動画のファイルサイズ100MB以下、動画の長さは2分以内に収めることが推奨されています。
お手持ちの動画のファイルサイズが大きい場合は、こちらのブログも参照ください。
配信レポートを確認し、インスタントページのコンバージョン率に課題がある場合は一度ファイルサイズが重くなりすぎて表示速度を阻害していないかを確認してみてください。
作って終わりではない。レポートを確認して常にバージョンアップを
インスタントページは広告をクリックしたユーザーが最初に訪れるページです。インスタントページの良し悪し次第では、コンバージョン率に大きな影響を与えます。
そこで、インスタントページの改善を図りたいときに活用できるのがレポート機能です。カスタムレポートからインスタントページの配信実績を確認できます。
たとえば「閲覧時間が極端に少ない」場合は、インスタントページ上部のコンテンツを見たユーザーが、自身の求めていることと異なると判断し離脱している可能性が考えられます。そのため、ページ上部のコンテンツを入れ替えることで、ユーザーの閲覧時間の改善に繋がるかもしれません。
また、インスタントページに掲載している「動画の視聴時間が極端に低い傾向」があれば、ページの上部に掲載位置を変えるなど、より多くの人に動画を観てもらう工夫ができますよね。このように、レポートを確認し、ユーザーの行動をイメージしながら、ユーザーの求めている内容を伝えることができているかを見直すきっかけにしてみてください。
インスタントページの閲覧時間以外にも、CTAボタンのクリック数などページの構成要素ごとの成果の分析が可能です。インスタントページは、1度作って終わりではなく、分析結果を基により良いページを作っていけるといいですね。
レポート作成手順
①ヘッダーの「アナリティクス」をクリックします。
②「カスタムレポート」を選択してください。
③「作成」ボタンを選択します。
④「カスタムレポート」をクリックします。
⑤「ディメンション」タブのアセットから、項目を選択します。
インスタントページ単位での結果を見たい場合は「ページID」を、個々のコンポーネント単位(画像、動画、CTAボタンなど)の結果を見たい場合は「コンポーネントID」を選択してください。
ページ単位では、インスタントページのページ閲覧数はもちろん、ユーザーがインスタントページを閲覧した合計時間、閲覧率、CTAボタンのクリック数が確認可能です。CTAボタンのクリック数は、インスタントページ内に複数のボタンがある場合、すべてのボタンのクリックの累積がカウントされる仕様です。細かい指標の定義はヘルプも合わせてご確認ください。
また、コンポーネント単位でデータ指標を分析したい場合、インスタントページを作成する際に各コンポーネントに固有の名前をつけていないと、レポーティングでコンポーネント単位のデータ指標が表示されなくなるため、注意しましょう。
インスタントページの活用で、LPのPDCAをスピーディー回す
インスタントページを活用することで、新たにLPを1枚作るよりも圧倒的に手間を減らして配信ができます。加えて、Tik Tokの媒体と自社ブランドの世界観が合わずに自社ドメインでのLP制作に躊躇してしまっていた広告主にとっても、インスタントページは広告配信の可能性を広げてくれるのではないでしょうか。
インスタントページは作成して終わりではなく、ページ内のコンポーネント分析も可能なため、分析した内容を生かして別のインスタントページを作成するなどの検証スピードも上がりそうですね。
TikTok広告は入口でもあるクリエイティブに意識が行きがちですが、ユーザーのモチベーションに合わせたページを挟むことで現状の成果を改善することも可能です。このブログをきっかけに「自分ならどのようなインスタントページの活用ができそうか」を考えてみてください!