Google アナリティクスの「セッション」とは?定義や仕様、注意すべきポイント

Google アナリティクスの「セッション」とは?定義や仕様、注意すべきポイント

Google アナリティクスの代表的な指標の一つとして「セッション」があります。セッションを分析することはWebサイトのアクセスを分析する第一歩となるため、その理解は非常に重要です。しかし、他にもユーザー・ページビューといった似た指標や、独自の仕様があり、理解するには骨が折れますよね。

本記事では、Google アナリティクスのセッションの概要や他の指標との違いなどを分かりやすく解説します。


セッションとは

セッションとは、「ユーザーがサイトに訪問してから離脱するまでの一連のプロセス」のことです。サイトへの「訪問数」と言い換えることも出来ます。


例えば、Aさんがアナグラムのサイトにトップページから訪問し、ブログページにアクセスしてブログを読みカテゴリページに遷移し、その後離脱しました。この場合の「ユーザーAのトップページ訪問からカテゴリページまでの一連の流れ」を「1セッション」とカウントします。

ユーザー・ページビューとの違い

セッションと似た指標に「ユーザー(数)」と「ページビュー」があります。これらの指標はよく混同してしまいがちな指標です。それぞれの違いをみてみましょう。

ユーザー

サイトに訪問した固有のユーザーのことです。セッションが一度切れると再訪問時には2回目のセッションが記録されますが、ユーザーは1とカウントされます。

ページビュー

ページが読み込まれた回数のことです。上の例ですと、トップページから入って、ブログページとカテゴリページを続けて閲覧した場合、セッションは1ですが、ページビューは3回記録されます。トップページをブラウザの「更新」ボタンで更新した場合も、ページビューは3回記録されます。

セッションが終了する条件

セッションの定義がわかりにくいのは、サイトからの離脱以外にもセッションが終了する以下の3つの条件があるためです。ではどんな場合にセッションが終了するのか、それぞれ見ていきましょう。

1.30分間操作が行われなかった場合

Aさんはブログページを見ている途中で、電話がかかってきたため、30分以上その場を離れました。その後、席に戻りブログページからカテゴリページに遷移しました。

この時、ページの遷移はありませんが、同じページを開いたまま30分間操作が行われなかったため、セッションはその時点で一度終了となります。

操作とは、複数のページビューや設定しているイベントの発生、ソーシャル インタラクション、e コマース トランザクションなどが含まれます。

参考:アナリティクスでのウェブ セッションの算出方法 - アナリティクス ヘルプ

上記の例では途中でセッションが終了しているため、次の2つのセッションが記録されます。

  • セッション①「トップページに訪問してからブログページへの遷移」
  • セッション②「カテゴリページに訪問してからそのあと」

セッション終了までの時間を任意で設定

ちなみに、セッションが切れる時間は任意の時間を設定することも出来ます。

左のメニューから「管理」をクリックします。

「トラッキング情報」→「セッション設定」の順にクリックします。

1分から4時間の間で設定し、「完了」をクリックします。

例えば、1ページのコンテンツの量が多く30分以上滞在しているような場合には、長めの時間を設定することで途中でセッションが切れてしまわないようすることが可能です。

ただし、この設定を変更することは稀ですので、基本はデフォルトの30分で十分なケースがほとんどです。

2.日にちをまたいだ場合


Aさんはブログページを23時59分に開き、日をまたいで0時1分にカテゴリページを開きました。

この時、日にちをまたいでいるため途中でセッションが終了し、以下の2つのセッションが記録されます。

  • ①「トップページに訪問してからブログページへの遷移」
  • ②「カテゴリページに訪問してからそのあと」

3.キャンペーンのソースが変わった場合

Google アナリティクスではユーザーのキャンペーンソースが変わるたびに新しいセッションとしてカウントされます。

キャンペーンソースは、検索エンジンや参照元サイト、カスタムキャンペーンのパラメータが該当します。

以下でそれぞれ解説していきます。

参照元サイト

参照元サイトとは、サイトに流入してきた元のサイトのことです。Googleのオーガニック検索経由でしたら「google / organic」、Yahoo!のオーガニック検索でしたら「yahoo / organic」となります。


Aさんは最初は検索広告をクリックしてアナグラムのサイトを訪問しました。その後離脱し、検索エンジン改めて「アナグラム株式会社」と検索して自然検索経由でアナグラムのサイトに訪問しました。

この時、参照元のソースが広告(cpc)から自然検索(organic)へと変化したため、次の2つのセッションが記録されます。

  • ①「トップページに訪問してからブログページへの遷移」
  • ②「検索して再び訪問してから」

キャンペーンのタグ

キャンペーンのタグ(カスタムURL)が変わった場合においてもセッションが終了します。

例えば、、1回目に検索広告(utm_medium=cpc)経由で訪問し、その後30分以内にディスプレイ広告(utm_medium=display)から再訪問した場合、別々のセッションとなります。

Google広告の自動タグ設定

Google広告において、自動タグ設定を利用している場合は注意が必要です。こうした場合、広告がクリックされるたびに一意のキャンペーン値(gclid 値)が生成されます。それぞれのクリックが独自の gclid 値を持つため、クリックのたびに新しいセッションがスタートします。

ノーリファラー

では、キャンペーンソースがない状態(参照元を渡さないアプリからの訪問やブックマーク、URLを直接入力した場合など)で訪問があった場合、セッションはどう算出されるのでしょう?

この場合、キャンペーンソースが更新されることはありません。つまり、30分以内であればセッションが新たに始まることはなく、同一のセッションとして扱われます。

※レポートによっては、最後に判明した参照元とするケースと、ノーリファラーとして処理するケースがあります。上記は遡っても参照元が判明しないことを前提としています。

参照元が変わってもセッションを切らない方法

この参照元が変わるとセッションが切れてしまう仕様ですが、問題が起こってしまう場合があります。

たとえば、ECサイトでカートなどの部分だけ外部ツールのカートシステムを利用していて、そのカートシステムにGoogle アナリティクスのトラッキングコードを埋め込み、クロスドメイントラッキングを設定すればセッションは切れずに引き継がれます。

クロスドメイントラッキングの設定方法については、次の記事をご覧ください。

参考:Google アナリティクスで複数のサイトをまとめて計測する、クロスドメイントラッキングの解説と設定方法

しかし、カートシステムなどにGoogle アナリティクスのトラッキングコードを埋め込むことが出来ない場合、外部のASPサイトに移動して戻ってくる際に、セッションが切れてしまい、別のセッションと認識されます。すると、カートシステムに遷移する前のセッションと購入に至ったセッションが別のセッションと認識されてしまい、正確な成果測定が出来なくなってしまうのです。

こうした場合に、特定のドメインからの訪問でセッションを切らない設定が役に立ちます。

画像引用元:Google アナリティクスのデモアカウント

左下の歯車アイコンの「管理」をクリック→「トラッキング情報」→「参照元除外リスト」と遷移します。

「+参照の除外を追加」からドメインを入力して完了です。

参考:Google アナリティクスの参照元除外リストの使い方:Amazon Payなどの外部決済サービス導入時に要注意

セッションの使用を理解して適切に設定することで、より正確にサイトでのユーザーの行動を把握することができるようになりますね。

セッションが終了する条件のFAQ

ここまでセッションの定義とセッションが終了する3つのパターンを見てきましたが、この場合はどうなんだろう?と疑問がでてくるかと思います。そこでセッションが終了する条件についてよく挙がる疑問にお答えします。

Q.ブラウザやタブを閉じるとセッションは切れるの?

A.切れません。

一旦ブラウザやタブを閉じても、30分以内にもう一度ページを開いてかつ、ページビューやイベントが30分以内に発生されればセッションは継続されます。

Q.タブブラウザで複数タブを開いていた場合はどうなるの?

A.各タブで最後に読み込まれたタイミングから30分経過するとセッションが切れます。

複数タブで開いていた場合、セッション数は合わせて1回と換算されます。よって最後にページを読み込んでページビューが発生した時点から何もせずに30分経過するとセッションが切れます。

Q.複数ウインドウで開いていた場合はどうなるの?

A.複数ウインドウが同じ種類のブラウザである場合、複数タブで開いていた場合と同様に、各タブで最後にページが読み込まれたタイミングから何もせずに30分経過するとセッションが切れます。

ただし、複数ウインドウが違う種類のブラウザ、例えばGoogle ChromeとFireFoxである場合、別セッションとしてそれぞれにが1セッションとカウントされます。

Google アナリティクスのセッション数とGoogle 広告のクリック数が一致しない?

「Google 広告のクリック数と、Google アナリティクスでのセッション数が合わない…!」

広告運用者の方なら一度は経験があるのではないでしょうか。こちらの原因は3つに分けられます。

①計測仕様が異なる

広告のクリックとGoogle アナリティクスのセッションの計測タイミングには違いがあります。

広告のクリックはクリックされた瞬間に計測されますが、Google アナリティクスのセッションはページ内のGoogle アナリティクスタグが読み込まれた瞬間に計測されます。

そのため、広告をクリックした瞬間に「戻る」ボタンなどで離脱した場合、Google アナリティクスのタグが読み込まれる前に離脱したということになるので、クリックのみが記録され、セッションが記録されないという事態が起こります。

また、セッションは30分間は持続されますが、広告のクリックは30分以内であっても1回ごとに計測されます。よって、「戻る」ボタンなどで検索エンジン画面に戻って再び同じ広告をクリックした場合、広告クリックは2回記録されますが、カスタムURLが変わらない場合はセッションは1となります。

②リダイレクト

ランディングページでリダイレクトがあると、Google アナリティクスのコードが正しく起動せずに参照元を認識できないケースもあります。

たとえば、広告のリンク先 [http://www.sample.com/index.html] からサーバー リダイレクト(301 コード、302 コード)や JavaScript により、[http://www.sample.com/page2.html] にリダイレクトするよう設定されている場合、ランディング ページに関連付けられたキャンペーン情報はリダイレクト時に失われます。

参考:Google 広告とアナリティクスでデータに矛盾がある - アナリティクス ヘルプ

リダイレクトを含むウェブサイトをランディングページとする際には、Google 広告の自動タグ設定も同様に、正常に機能するか確認することをオススメします。

参考:Google 広告の自動タグ設定が正常に機能するか確認する - アナリティクス ヘルプ

③Google アナリティクスの仕様

広告をクリックしてからセッションが切れて、Directで再訪した場合に、最後に判明している参照元に遡るから広告をクリックしていなくても広告経由の訪問があったように見えるので注意が必要です。

広告のクリック数とGoogle アナリティクスのセッション数は似ているようであくまで別々の指標であることを覚えておきましょう。

まとめ

セッションは、Google アナリティクスで最も頻出し、最も活用する機会の多い用語の一つです。セッションを理解することで、Webサイトのアクセス解析を詳細に行うことができ、ひいてはその分析結果を元に広告運用での戦略立案に結び付けることができます。しっかりと定義や仕様を押さえておきたいですね。

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