
※本記事は2024年7月に提供終了となった「ユニバーサルアナリティクス」についての記事です。GA4では同機能は提供されておりません
ECサイトであれば、どの商品が収益につながったかは容易に把握できますが、たとえばそれ以外のページがどれだけ収益に貢献しているかは判断が難しいですよね。ECサイトだけではなく、お問い合わせがゴールのWebサイトでも対象のページが目標にどれだけ貢献しているかというのは判断が難しい項目のひとつです。
そんなときはGoogle アナリティクスの「ページの価値」を確認すれば、そのページの目標への貢献度を確認することができます。
今回はGoogle アナリティクスの「ページの価値」の設定方法や活用法について解説します。


ページの価値とは
ページの価値とは、ECサイトでの商品購入(eコマーストランザクション)やサイト上で設定されているコンバージョンを達成するまでに経由したページに対して、割り当てられる価値のことを指します。
ページの価値を参考にすることで、コンバージョンや商品を購入するまでに経由されたページを数値化して、ページ同士を相対的に比較して収益に貢献するページを見つけ出すことができます。
ページの価値の算出方法
ページの価値は以下の計算式で算出することができます。
(eコマースの収益+目標の値) ÷ 任意のページのユニークページビュー数

上の表を例にすると、ページBはセッション1にしか存在せず、該当セッションで500円の売上が発生しているのでページBの価値は500円となります。
ページAはセッション1とセッション2の両方に存在しており、この2つのセッションから生まれた価値は1,100円です。この場合、ページAの価値は(1,100円 ÷ 2=550円)となります。
セッション1中のページAは2ページビューですが、ページの価値はページ別訪問数(※)で計算するので同一セッションでのページビュー数は関係ありません。
※ページ別訪問数の単位はセッション数となるため、同じセッションで同じページを何度表示しても、1 回として記録されます。つまり、ページ別訪問数とは対象のページを閲覧したセッションの数です。
ページの価値の設定方法
ページの価値をGoogle アナリティクスで確認するには設定が必要です。設定を行わないとページの価値はいつまでも0円のままですのでご注意ください。
ページの価値を設定するには2種類の方法があります。
- ECサイトの場合:eコマース設定から行う
- それ以外の場合:目標に値を設定する
順番に説明していきます。
eコマース設定
eコマース設定は、Google アナリティクスでの設定と、eコマースタグの実装が必要になります。
ここではGoogle アナリティクスの設定方法のみ解説いたします。
eコマースタグの実装方法は、直接実装とGoogle タグマネージャーを使用して実装の2種類方法がありますが、いずれも煩雑な作業が伴うため社内のシステム担当と相談しながら進めることをおすすめします。
ウェブサイトやアプリに e コマース トラッキングを追加:eコマーストラッキングの設定
Google アナリティクスの設定

①管理をクリック
②eコマースの設定をクリック

③eコマースの有効化をオンにする
④保存をクリック
目標に値を設定
Google アナリティクス上で目標を設定した場合、以下の手順で目標ごとに値を設定できます。

①管理をクリック
②目標をクリック

③値を設定したい目標をクリック
④目標の詳細をクリック
⑤値オプションをオンにし、値を設定
⑥保存をクリック
通貨単位を変更
また、初期設定では通貨単位がドルになっているので、以下の手順で円表記に直すことをおすすめします。

①管理をクリック
②ビューの設定をクリック
③通貨を日本円にする
④保存をクリック
ページの価値の注意点
ページの価値を活用する際の注意点は、ページの価値を比較する時は同じ階層同士で比較すること、セッション数が極端に少ないページは参考にならない場合がある点です。
また、ページの価値は、目標に近いページほど価値が高くなる傾向にありますので、違う階層で比較すると誤った判断をしてしまう可能性があります。
ユニークページビュー数が少ないページは価値が高くなりやすいため、ある程度ページビュー数がある上でページの価値が高い物を選ばないと、インパクトの小さい施策ばかりになってしまい、失敗してしまうこともあるでしょう。
「ページの価値」の活用方法
ページの価値を参考にすることで、より確度の高い仮説が立てられるようになります。
「ページの価値」活用方法を、サイト改善と広告運用の2つの観点からご紹介します。
サイト改善例
ページの価値を参考にすることで、ユーザーが求めているページや、コンバージョンに繋がりにくいページを把握しサイト改修の仮説を立てることができます。
価値の高いページのリンクバナーをトップページに設置する
価値の高いページは、そのページに訪れたユーザーが他のページと比較してコンバージョンする可能性が高いと言えます。
もし、よくある質問をまとめたページが他の同階層ページよりも価値が高い場合、何か疑問を抱えたユーザーが疑問を解決したのちに、コンバージョンしている可能性が高いです。
逆に言うと、よくある質問ページを見つけられず、疑問点が解決できないまま離脱してしまったユーザーがいるとも考えられますので、よくある質問ページのリンクバナーをトップページの見えるところに設置することでよくある質問に誘導し、コンバージョンに繋げることができるかもしれません。
ただし、誘導を行った場合ユニークページビュー数が増えてページの価値が下がる可能性もありますので、ページの価値の変動についても合わせて確認した方が良いでしょう。
価値が極端に低いページは、設計上次のアクションに繋がりにくい作りになっていないか確認する
価値が極端に低いページは、そのページに訪れたユーザーがコンバージョンしにくい設計になっている可能性があります。
価値の低いページに十分な動線が確保できているか、次のアクションがしづらい設計になっていないか、チャットボットやポップアップ、フローティングバナーがページの利便性を悪くしていないかを確認することをおすすめします。
同じページでもデバイス別で価値に極端な差がないか確認する
同じページでもデバイスによって価値が極端に違う場合があります。価値の低いデバイスで読み込みスピードが遅くなっていないか、画像や文章の表示やレイアウトが崩れていないかを確認することをおすすめします。
ECサイトの場合、サイト内検索で頻繁に検索されている価値の高いページを特集ページとして作成する

ECサイトの商品詳細検索でユーザーがどのような検索をしたときにコンバージョンするかをページの価値を参考に確認します。
例えば上の画像だと、2,000円~2,999円の商品で検索されていることが多く、他のページよりも価値が高いことが分かります。
このECサイトのユーザーは2,000円台の商品を探していることが多いので、例えば2,000円台の商品をまとめた特集ページを作成し、トップページにバナーを設置することでもコンバージョンの増加が見込めるかもしれません。
広告運用での活用例
ページの価値はサイト改善に使われることが主ですが、広告運用においても活かすことができます。
価値の高いページのオーディエンスリストを作成
価値の高いページに訪れたユーザーが多ければオーディエンスリストを作成し、リマーケティングで再度訪問を促すことにより、コンバージョンする可能性が高いユーザーにアプローチすることができます。
例えば、カート離脱やフォーム離脱のオーディエンスリストもこれに当たります。
サイトリンクで価値の高いページを指定する
価値の高いページはコンバージョンへの貢献度が高いページなので、できるだけ簡単にたどり着けるようにしたいです。
例えば、Google 広告のサイトリンクや、Yahoo!検索広告のクイックリンクオプションに設定することでユーザーにストレスなく価値の高いページへ誘導することができます。
ECサイトで一番人気の商品ページをサイトリンクに設定することによって、ショップ名で検索したユーザーもスムーズに人気商品のページにたどり着くことができるでしょう。
まとめ
ページの価値は、各ページの評価を可視化し相対的に良し悪しを判断できる項目です。
自分の仮説が正しいか、サイトのUI変更後ページの価値に変動がないかなどを確認する一つの手段にもなります。
また、ページごとの評価が数値化されているので社内での議論やデザイナーとの打ち合わせをスムーズに進めるための判断材料にもなります。
今まで使ったことない方や、これからも特に使う予定がないという方でも、まずはeコーマストラッキングもしくは目標への値設定だけでもしておくことをおすすめします。
