検索広告の配信において、ユーザーがどのようなキーワードを検索したときに広告を表示するかは重要です。「あなたの欲しいものはこれですよね?」とユーザーの探している情報を提示できれば、効果的な広告配信が可能です。
ただ、そのような配信を行うためには、検索行動からそのユーザーの検索意図を読み解く必要があります。たとえば「まくら 通販」と検索しているユーザーと「まくら 選び方」と検索しているユーザーとでは、同じ「まくら」について検索していても、検索した目的や意図は異なりますよね。
今回は、ユーザーの検索意図を知るために大切な「検索クエリ」について、キーワードとの違いや検索意図による検索クエリの分類、検索広告での活用方法について分かりやすく解説していきます。
目次
検索クエリとは?
検索クエリとは、Google検索などの検索エンジンでユーザーが検索する際に使用した語句のことです。
冒頭でも少し触れましたが、検索広告では、ユーザーが実際に検索する語句(=検索クエリ)をイメージしターゲティングをおこなうため、検索クエリからユーザーがどのような目的で行動しているかを理解する必要があります。
ただ、いきなり検索クエリからユーザーの検索意図を読み取ると言われても、どう考えていけばよいかよくわかりませんよね。
そこでまず、2012年に元GoogleサーチクオリティチームトップのMatt Cutts(マット・カッツ)氏が検索クエリを分類した「検索クエリの3つの分類」をもとに、実際にどのような点から判断していく事ができるか、整理していきましょう。
参考:Is freshness an important signal for all sites? - YouTube
キーワードと検索クエリの違い
検索広告では検索クエリと似た用語に「キーワード」もでてきます。一見よく似ていますが、立場や目的によって使われ方が異なっています。まず「キーワード」と「検索クエリ」の違いを簡単に整理していきましょう。
たとえば、枕をオンラインで購入しようと思い、検索エンジンで「枕 通販」と検索します。この「枕 通販」が検索クエリです。この場合、検索広告にて設定する「枕」などの語句をキーワードといいます。
検索クエリと検索広告の検索語句の違い
こちらもよく似た用語で、「ユーザーが検索時に使う語句」という意味では同じものを指します。
ただし、Google 広告では「検索語句」が用いられ、Google検索の検索結果(自然検索)の分析ツールであるサーチコンソールでは「(検索)クエリ」という名称が採用されています。(さらにややこしいのは、Yahoo!広告の検索広告では、「検索クエリー」が用いられていることです)
このように同じ語句を指し示す用語でも、使うひとや見ているツールによって使われる用語が変わることがあるため注意が必要です。
検索クエリの確認方法
では、検索クエリをどこで確認ができるか、主要なサービスをご紹介していきたいと思います。
検索広告における検索語句レポートでの確認
検索広告を提供しているGoogle 広告やYahoo!広告(検索広告)のレポートでチェックすることができます。
サーチコンソール(Search Console)での確認
サーチコンソールでは、サイトがGoogle検索結果に表示される頻度やサイトが表示されたときの検索クエリ、検索クエリに対して検索ユーザーがクリックスルーする頻度などの「サイトのGoogle検索トラフィック データ」を確認することが可能です。
また、サイトに流入した検索クエリ(ユーザーがサイト訪問した時に入力したキーワード)ごとの検索結果でのクリック数、表示回数、クリック率、掲載順位、などが確認できるため、検索広告のアカウント構築の際やSEO対策にも活用ができます。
検索意図に応じた検索クエリの分類
検索クエリを、ユーザーの検索意図から大きく以下の3つに分類しています。
- トランザクショナルクエリ(取引型)
- ナビゲーショナルクエリ(案内型)
- インフォメーショナルクエリ(情報型)
では、3つの分類をそれぞれ説明していきます。
ナビゲーショナルクエリ
ナビゲーショナルクエリとは、特定のページやサイトへ行くことを指すため“Go”クエリとも呼ばれます。特定のサイト名やその掛け合わせなど、アクセス先が明確になっています。
トランザクショナルクエリ
トランザクショナルクエリとは、“Do”クエリとも呼ばれ、商品の購入や資料請求といった具体的な行動を目的として用いられるものを指します。
インフォメーショナルクエリ
インフォメーショナルクエリとは、Knowクエリとも呼ばれ「情報収集」を念頭においた際に用いられるものを指します。
そのため、購入や資料請求、お問い合わせに直結するとは言えないものの、ユーザーと商品やサービスの情報が接触する部分のため、重要視されています。
すべての検索クエリがこの3つに分類できるわけではありません。たとえば、「アナグラム株式会社」と検索いただく場合、公式サイトを調べるナビゲーショナルクエリだと考えられます。一方でアナグラム株式会社がどういう企業なのか知りたい「インフォメーショナルクエリ」かもしれませんし、問い合わせをしたい「トランザクショナルクエリ」かもしれません。このように複数の型に該当するケースも少なくありません。
ただ、普段なにげなく行っていることをこのような型に当てはめて分析してみると、検索行動の1つをとっても実際にユーザー考えていることや目的はさまざまであることが、見えてきたのではないでしょうか。検索クエリをターゲットとして配信する検索広告においては、この検索クエリをどのように捉えていくかなど、もう少し実践的なお話をしていきます。
検索広告における検索語句の分類の活かし方
検索語句の中でも、検索する目的に応じて異なる検索がされていることや、その分類についても整理ができたと思います。
では、どのようにリスティング広告(検索広告)に活かしていくかを考えていきましょう。
検索広告でまず狙うべきは「トランザクショナルクエリ」
トランザクショナルクエリは、具体的な行動目的として用いられるため、購買行動などの目的が顕在化しています。
たとえば、アパレルECの場合、「アウター 通販」「メンズ コート 購入」のような、購買行動を前提にしたトランザクショナルクエリは、成約に結び付きやすく、まず優先的に狙うべきですよね。
ただ、効果が見込める分、競合他社も同様に入札を行います。ネットショップの場合だと競合の多くは常に上位掲載をしている大手ECサイトとなり、太刀打ちが難しくなるケースも少なくありません。
このような場合に意識しておきたいのが「インフォメーショナルクエリ」です。
「インフォメーショナルクエリ」の活用方法
「インフォメーショナルクエリ」は、「〇〇を知りたい」など情報収集を目的としているため、トランザクショナルクエリとは異なり、すぐに購買に至らない可能性が高いですよね。
しかし、情報を探しているひとに先駆けてアプローチできるというメリットもあります。
インフォメーショナルクエリからの流入を増やせれば訪問者は増えますが、トランザクショナルクエリほどのコンバージョン率は期待できないでしょう。求めているコンテンツが異なるため、広告文や場合によっては新しいランディングページを用意したり、「購入」など直接的な指標をKPIとしない、などの見直しも必要となります。
インフォメーショナルクエリで検索しているユーザーの態度変容を促しいかにして行動につなげるか、柔軟に考えるとアプローチの幅も広がります。
広告管理画面の検索語句レポートから確認
検索広告を配信後に確認可能なのが「検索語句」です。検索クエリと同様に検索ユーザーが検索エンジンで何かを調べる際に用いたものですが、検索広告の掲載結果によって分かるものを「検索語句」と呼ばれています。
広告の配信結果にどのような検索語句に配信をして、コンバージョンに至ったか、獲得単価はいくらなのかという点まで見ることができます。そのため、検索広告の配信後は広告の管理画面にて、検索語句を確認しつつ、入札や除外設定などを行っていくと良いです。
参考:最高のキーワード洗い出しツール、検索語句レポート活用術
まとめ
ここまで、検索クエリからユーザーの検索意図を考え、そのように検索連動型広告に活かしていくかについて、説明をしてきました。ただ、ユーザーの検索行動に関しては、もちろん広告だけに限った話ではなく、SEOなどでも重要視されてきています。
一方で人は自分がほんとに欲しい物が分かっていないことも多いですよね。検索語句や検索クエリをチェックすることはもちろん大事ですが、その裏にある検索意図まで考えが及ぶと広告やコンテンツでの訴求の幅も大きく広げれますのでぜひ取り組んでみてくださいね。