取り扱う商品やサービスが多岐にわたる業種で利用されるダイナミック広告のイメージが強いCriteoですが、クリエイティブ機能や広告フォーマットは日々進化しています。
そこで、Criteoでダイナミック広告を既に活用している方に検討していただきたいクリエイティブフォーマットの1つが「Criteo ショーケース広告(Showcase Ads)」です。
ダイナミック広告の要素を残しながら特定アイテムの配信強化や、セール期間の新規顧客の集客強化などの目的に合わせた配信が可能なCriteo ショーケース広告。今回は、ショーケース広告の特徴はもちろん、出稿方法から活用ケースまでを解説します。
ダイナミック広告とは?という方はまずこちらの記事をチェックしてみてください。
ショーケース広告とは?
ショーケース広告とはカタログアイテムと呼ばれる製品ごとの画像とバナー画像を組み合わせて配信できるCriteoのクリエイティブフォーマットの1つです。
「ロゴ」「カタログアイテム」「ブランディングバナー」の3つの要素で構成されており、バナー部分は動画または、静止画のいずれかの掲載が可能です。カタログアイテムを動的に表示するダイナミック広告とは異なり、カタログアイテムと一緒にバナーを掲載できる点が、ダイナミック広告にはないショーケース広告の特徴です。そのため、バナー部分でセール期間の提示や送料無料などサイトの強みを訴求したり様々な活用ができます。
また、カタログアイテムとバナーを同時に表示するという特徴は、ダイナミック広告のロゴゾーンクーポン、フルフレームクーポン(以降、クーポン機能)でも実施は可能です。クーポン機能とはダイナミック広告にてロゴエリアや広告バナー全体と任意のバナーを交互に表示させるオプション機能です。
ショーケース広告と比較するとアイテムエリアが広く、一度に多くのカタログアイテムを掲載できるメリットがあります。そのため、すでにブランド認知がされており、商品の購入検討のフェーズにいるユーザーにおいては、購入の後押しに繋がるクーポン機能の活用がおすすめです。
しかし、クーポン機能はレスポンシブ機能がなく、すべての配信枠のバナーサイズに応じて最大17種類の画像入稿が必要です。一方、ショーケース広告で必要な画像アセット数が3枚からと少なくとも多くの掲載面へ配信できることも魅力の1つですね。
例えばアパレルECの場合、商品画像のみのカタログアイテムだけではサイズや着用時のイメージが伝わりにくい場合もありますよね。ショーケース広告ではカタログアイテムと一緒に常にバナーを表示できます。そのため、カタログアイテムだけではなく、バナーでアイテムの着用イメージや送料無料など購入の後押しとなる訴求をユーザーに伝えられる場合は、ショーケース広告の活用をおすすめします。
バナーエリアの活用方法は多岐に渡ります。広告配信の目的に合わせてバナーエリアの見せ方を考えてみましょう。
ショーケース広告の活用方法
ショーケース広告を利用すると、サービスのメリットや特徴、キャンペーンや新商品情報など、ユーザーの購買行動を一押するような情報を追加できます。
広告配信のターゲティング設定とバナー内容の関連性も意識してクリエイティブを作りましょう。ここでは、実際の活用例を交えて説明していきます。
ブランドイメージの強調
バナーエリアの画像や動画はそれぞれ「ブランディングバナー」と「ブランディングビデオ」と呼ばれます。カタログアイテムと同時にバナーを掲載することで、ブランドイメージはもちろん、ブランドメッセージを画像や動画で伝えることができます。
ブランドイメージやコンセプトに興味を持ってもらうことで、商品への興味を引き立てることが期待できます。さらに、まだブランドを知らない新規ユーザーに対してもブランドイメージを伝えることで、サイト遷移後のギャップ低減にも繋がります。
また、アパレルのECサイトでは、バナーエリアに実際の着用イメージを載せることで、単なるアイテムの写真だけでは伝わりにくい実際のコーディネートの雰囲気なども伝えられます。
キャンペーンや新商品のアピール
バナーエリアでセールなどのキャンペーンや新商品・人気商品の訴求を行えば、検討段階のユーザーはもちろん、まだ検討段階にない潜在層への購入の後押しを行えます。
ダイナミック広告の場合、どのアイテムを表示させるかはCriteoの機械学習に判断が委ねられるため、広告運用者側でのコントロールができません。
しかし、ショーケース広告のバナーエリアを活用することで、キャンペーンや新商品のアピールなど特定のアイテムの露出の強化が可能になります。また、ダイナミック広告と比較するとバナーエリアではテキストを含めて自由に表現できることも大きな特徴です。
サービスや商品の特徴やメリットを分かりやすく提示
バナーとカタログアイテムのカテゴリーを関連させることで、ダイナミック広告よりも広告の見え方はもちろん、ユーザーに与える情報量をリッチにできます。
例えば、「母の日特集」というバナーを使用し、母の日のプレゼントアイテムのみに表示アイテムを絞ったり、「ペット可物件」というバナーを使用し該当物件をカタログアイテムとして表示するなどの活用方法も考えられます。
バナーエリアで目的を提示することで、ユーザーのニーズに沿ってサイト来訪を促すことができます。また、カタログアイテム枠では実際のアイテムイメージを伝えられるため、サイト来訪時のギャップ低減に繋げることも可能です。
プレゼントや引っ越しを頭の片隅で考えているが実際の検索行動は行っていない、潜在層の需要喚起にも繋げられるのも大きなメリットの1つといえます。
配信準備に必要なもの
それでは、実際にショーケース広告の配信準備をすすめていきます。ショーケース広告を配信するためには以下の4つを準備しましょう。
用意するもの | 概要 | 仕様 |
商品カタログ | サイト上のすべての商品またはサービスに関する情報を含むファイルのこと。 | CSVまたはXML形式にてCriteoの仕様に沿って準備しましょう |
---|---|---|
ロゴ | 通常はサイトで使用しているロゴ。正方形、横長、縦長の3つの異なるバージョンのアップロードが可能。 1サイズの入稿のみでも配信は可能ですが、配信先によってはロゴが小さく視認性が損なわれる可能性もあるため、3サイズ全てを入稿することを推奨します | ファイル形式:.jpgと.pngのみ対応 ファイルサイズ上限:5MB サイズ(幅と高さ):媒体推奨は600~1200px以内 |
ブランディングバナー(画像) ※画像または動画どちらかが必須 | 広告で使用するバナー画像 | ファイル形式:.jpgと.pngのみ対応 ファイルサイズ上限:1MB アスペクト比:1:1 / 2:3 / 1.91:1 推奨の画像サイズ ・1200x1200px ・800x1200px ・1200x628px |
ブランディングビデオ(動画) ※画像または動画どちらかが必須 | 広告で使用する動画 | ファイル形式:mp4 ファイルサイズ上限:25MB 解像度:720p以下 最長時間:30秒 推奨時間:15秒 アスペクト比 ・横型16:9 ・縦型9:16 ・正方形1:1 |
遷移先 | バナー画像の遷移先 | 文字数上限:400字 |
参考:デジタル広告フォーマット | JP - Criteo.com
ブランディングバナーとブランディングビデオは広告管理画面上で規定の比率へトリミングを行えます。そのため、手持ちの素材が1つのみでも広告管理画面からトリミングを行えば広告配信自体は可能です。
1枚の画像で広告管理画面から比率をカスタマイズしたが、見切れてしまっている例
しかし、上記画像赤枠キャプチャのように切り取られた画像が見切れたり、意図しないトリミングになる可能性もあるため注意が必要です。トリミング後は、広告プレビューで実際の配信イメージを確認するようにしましょう。
配信設定
上記4つの素材が揃ったら、広告管理画面からショーケース広告の配信準備をしていきます。
1.Criteo 広告管理画面右側の「クリエイティブライブラリ」を選択し「新しいクリエイティブ」をクリック
2.広告名を設定し、クリエイティブのフォーマットで「Showcase」を選択
3.ブランディングバナー、遷移先、ロゴ、を入稿
リダイレクト先URLはパラメータのついていないURLを設定をします。計測用のパラメータの付与は後述の手順12で設定が可能です。
4.色・高度なカラーオプションを設定。各項目で6桁のカラーコードを指定
5.フォント、行動を促すフレーズ(CTA)を設定
項目 | 概要 | 仕様 |
フォントオプション | 各項目のテキストスタイルを設定 | 各項目、下記が選択可能 ・太字 ・斜体 ・下線 |
---|---|---|
行動を促すフレーズ(CTA) | CTAボタンのフレーズを設定 | 8文字未満が推奨 複数設定することも可能ですが、その場合はCriteo側で自動選出されます |
6.画像の表示ルールを選択
画像の表示ルールでは、「画像全体を表示」もしくは「画像を拡大」のどちらかを選択します。
Criteoは多様な配信面を持っており、バナーサイズによってカタログアイテムエリアのアスペクト比も変動します。そのため「画像を拡大」を選択した場合、アイテム画像が見切れる可能性があるため注意が必要です。
事前にすべてのフォーマットをプレビューから確認することをおすすめします。設定画面右上の「すべてのレイアウトを表示」から各バナーサイズのプレビューが可能です。
7.高度な表示オプションを設定
高度な表示オプションでは、タイトルや価格などカタログアイテム枠で使用されるカタログ項目の表示ルールを設定できます。項目ごとに推奨設定、必須表示、非表示のいずれかの選択が可能です。
設定項目 | 詳細 |
推奨設定 | 表示あり、なしを媒体側が自動で判断 |
---|---|
必須表示 | 指定項目を常に表示させる |
非表示 | 指定項目は広告に表示しない |
推奨設定にすると、媒体側が広告掲載枠に合わせてさまざまな表示パターンを試してより多くのユーザーからアクションを獲得できるように最適化されます。そのため、クリエイティブの多様化とリーチ最大化に繋がるとされています。
各種フィールドの表示設定については、人材業界などイメージ画像単体で意図が伝わりにくい無形商材の場合、タイトルフィールドを必須項目として指定することをおすすめします。画像単体では伝わりにくい求人内容とタイトル表示を必須とすることで画像のビジュアルと求人内容のテキストをセットで伝える事で、クリック率改善に繋がった事例もあります。
「ユーザーにとって必要な情報は何か」という観点で設定を考えてみてください。
8.新しい商品セットを作成
既に商品セットがある場合や、カタログ内の全アイテムを配信対象とする場合はこの手順はスキップして問題ありません。
ショーケース広告で配信するカタログアイテムを絞り込んだり、任意のカテゴリー単位で露出のコントロールを行う場合は「カタログ設定」>「商品セット」から商品セットを作成します。Criteoではレコメンド精度の観点からタグとフィードのデータが一致するように、フィードには全商品を含めることが推奨されています。そのため、広告ごとにカタログアイテムを絞り込んだり、配信の強弱を付けたい場合には商品セットを作成しましょう。
商品セット設定のルール作成画面から、フィード項目のブランド、カテゴリー、カスタムラベル、商品ID、価格の項目の条件をそれぞれ設定が可能です。配信するアイテムを絞り込んだり、配信するアイテムの露出のコントロールを行いたい場合は、カスタムラベルやブランド名からフィルタリングを行い商品セットを作成していきます。
9.「クリエイティブのライブラリ」で保存したショーケース広告の「広告配信を開始」を選択
10.クリエイティブ名、紐づけるキャンペーン、広告セットを選択
11.商品セットを選択し、商品フィルターの詳細設定
商品フィルターの詳細設定では、手順8で設定した商品セット単位で配信に使用するカタログアイテムのフィルタリングが可能です。
「商品セットのフィルタリング条件」では配信する商品セットを絞ることができます。例えば、セール対象アイテムなど特定カテゴリーのアイテムをバナーに合わせて商品カタログ枠に表示可能です。
活用方法は絞り込むだけではありません。例えば、人気商品や配信を強化したい商品群がある場合は「商品セットの強化」から特定商品セットの強度を設定できます。
強度設定は「低」「中」「高」の3段階から選択が可能で、それぞれ「15%」「35%」「50%」と広告が表示される可能性を調整できます。設定する強度が高いほど、選択した商品セットの商品が広告に表示される可能性が高くなります。つまり、強度を高くすればするほど、商品との関連性が薄いユーザーへも配信が増えることと同義になるため、目的に応じて強度設定は調整しましょう。
いずれの場合も、あらかじめ商品セットを作成する必要があるため、未作成の場合は手順8を参考に「カタログ設定」に移動して作成してください。
12.広告トラッキングにてパラメータを設定
トラッキング設定では、「一般的なトラッキング」と「広告用をのトラッキング」の2つから選択します。
ショーケース広告を1つのパラメータで計測する場合は「一般的なトラッキング」を選択します。一方、ブランディングバナーやカタログアイテムそれぞれの成果を分けて計測したい場合には「広告要素をトラッキング」を選択しましょう。
また、広告セット単位でトラッキングパラメーターを設定している場合でも、この画面で設定したトラッキングパラメーターに上書きされて計測されるので注意してください。
13.広告のスケジュールを設定
開始日を未来の日付に設定することで、配信開始日を予約して入稿できます。開始日を未来の日付に設定した場合は、広告セットのステータスがONになっていることを合わせて確認しておきましょう。
開始日を設定しても広告セットのステータスがOFFになっていると、配信が開始されないのでご注意ください。
14.広告配信開始をクリックして準備完了
配信準備が完了しても、入稿した広告の審査や配信エンジンの関係ですぐに配信が開始されるわけではありません。広告管理画面の仕様上、配信開始してから1〜2日ほどかかるケースもあるため、開始時のスケジュールは余裕をもっておくといいでしょう。
配信が開始されないからと、入札額や日予算を一気に引き上げてしまうと配信が開始された途端に配信ボリュームが一気に増え、配信トラブルに繋がる可能性もあります。そのため、配信開始直後はこまめに配信状況を確認することをおすすめします。
ショーケース広告を活用してユーザーに合わせたコミュニケーションをとろう
リターゲティング配信でのダイナミック広告のイメージが強いCriteoですが、表示アイテムの指定やクーポン機能など細かいオプション機能やクリエイティブフォーマットは多岐にわたります。
ショーケース広告は、ダイナミック広告単体ではアクションを促すことが難しかったユーザーの購入検討フェーズに合わせて広告の見せ方を変えるだけではなく、バナーや動画を活用し訴求を増やすことも可能になります。ショーケース広告を活用し、ユーザーに合わせたコミュニケーションを行うことで、ユーザーの興味を惹きつけるところから、購入までのフルファネルでのアプローチも可能です。
また、既存の商品カタログがあれば、バナーを用意すれば管理画面上で簡単に配信を開始もできるので、季節イベントや広告配信の目的に合わせて、活用を検討してみてください。