マーケティング未経験のWebデザイナーが運用型広告の会社に入社して起きた4つの変化

マーケティング未経験のWebデザイナーが運用型広告の会社に入社して起きた4つの変化
この記事は最終更新日から約1年が経過しています。

私は前職で、主にコーポレートサイトを制作するデザイン業務の仕事をしていました。

企業の顔となるWebサイトのデザインに携われたことは非常に良い経験となりましたが、クライアントの希望に沿ったデザインをすることがゴールで、バナー広告やランディングページなど、購入数や問い合わせ数といった数値化された指標を目的とするデザインの経験はありませんでした。

そんな私がマーケティング支援会社であるアナグラムにデザイナーとして入社して、多くの苦労や学びがありました。自分自身のBefore・Afterを振り返り、どのような変化が起きたのかを振り返ってみます。


目的から逆算して制作するようになった

アナグラムに入社して任されたのは、広告バナーの制作や、自社SNSで配信するための図解画像制作です。どちらもコンバージョンやエンゲージメントなど、定量化された指標があります。

それまで、定量化された指標のあるデザイン制作に携わってこなかった私は、興味を持たれていない前提でどのように目を引くかや、掲載する情報を取捨選択するといった、広告において大切なマーケティング視点が不十分でした。

とりあえずPinterestで参考になるデザインを漁っていたものの、目的意識が曖昧なために、ピンとくるデザインに出会えずいつまでも結論を出すことができない状態に……。当然、多くのバリエーションを提案しても、その中に「これは成果が出るはずだ」と胸を張って言えるものを自分自身でも見つけることができずにいました。

そこで、改めて「何のためのデザインなのか」から考え直すことに。目的から逆算し、ターゲットに合ったメッセージの表現の仕方や、強調するべきものが目立つレイアウトなど、目的に合わせた基準をもって参考サイトを見に行くようにしました。

配信されてからも結果を確認し、良かったものも、そうでなかったものも振り返りを行い、「何が原因だったのか」を考え次の制作に活かします。

数字に現れるものが全てではないかもしれませんが、結果を確認できるようになったことで、自身の仕事の結果を振り返ることが現在では当たり前になりました。

成果につながるクリエイティブのためのマーケティング視点については、こちらの記事で紹介しています。

困難なことは分割して考えるようになった

制作において「このデザイン、もっと良くなるのではないか?」「でも、どこをどう改善したらいいかわからない……。」と思うことはないでしょうか。

私はよくこの状況に陥り、デザインに迷走してしまうのが課題でした。

アナグラムに入社してから、マーケティングや広告運用では改善ポイントを因数分解で考える習慣があることを学び、デザイン制作の面においても応用できる部分があると気づきました。

因数分解思考についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

これは私が入社当初に作成したバナーのBefore・Afterです(題材は変更しています)。マーケターに向けて、RPA(Robotic Process Automation)の導入により業務の自動化を提案するのが狙いです。

<Before>

しかし、どこか古臭く、コピーに合っていないように感じます。このような場合、どうやって改善点を導き出せば良いのか。

その手法の一つが、課題解決フレームワークの「ロジックツリー」です。ロジックツリーとは、大きく複雑な問題を小さく単純な問題に分解し、原因や解決法を導き出す方法です。

たとえば、「健康的に痩せたい」という問題をロジックツリーで表すとこのように分解できます。

これをデザインに応用すると、レイアウト、配色、フォント、あしらい、デザインの基本原則が成り立っているかなど……。問題を分解してリストアップしていき、原因や問題解決策を論理的に導き出します。そして近いテーマの参考デザインを集め、そのデザインにあって自分のデザインに足りないものは何なのか、比較します。

このバナーでは、各部分の改善点を導き出しました。

  • 配色……最先端技術によりポジティブな改革のイメージを与えるよう、明るい配色に変更。
  • レイアウト……目立たせるものの優先順位を見直し、大きさ・配置を調整。
  • イラスト素材……「自動化」がわかりやすいよう、ロボットのイラストが含まれる素材に変更。右肩上がりになるグラフのイメージを入れる。
  • フォント……RPAを強調し、メカニックなフォントを使用。

これにより改善されたバナーがこちらです。

<After>

改善前と比較すると、クリエイティブの狙いとコピーに合った、先進的でポジティブな提案のイメージに近づきました。

このように、ただ漠然と全体的に「ダサい」「センスがない」と捉えるのではなく、言語化して分解することで、抽象的な課題から具体的な課題を洗い出し、改善へと繋げることができるようになりました。

バナーデザインの見直し方について、更に詳しく知りたい人は是非こちらの記事をご参考ください。

読書(インプット)の方法が変わった

運用型広告の領域はアップデートの頻度が高く、トレンドもすぐに移り変わっていきます。常にインプットが求められると同時に、アウトプットとしてすぐに実務へ活かせるかがより重要です。

インプットの方法のひとつとして、アナグラムでは読書が推奨されています。マーケティングも運用型広告も知識・経験がほぼ皆無だった私は勉強の日々で、課題図書や上長からの推薦図書などの書籍に目を通しました。

ここでひとつの問題がでてきました。書籍をはじめから終わりまで読んでいくことは思いのほか時間がかかます。「いまの読書ペースだとアウトプットに活かせるのはいつになるのだろう……」と途方にくれてしまったのです。そこで、より効率の良いインプットのために、読書方法に2つの変化を加えました。

書籍の要点だけを摘み取る

これまでは本を手に取ったら、まえがきからあとがきまで、順番に全てを読まなくてはならないと思い込んでいました。しかしその読み方では、入社後に求められる読書量をこなすことは私には難しかったのです。要点だけを抑え、いざ必要になったときにじっくり読み返す方が効率がよく、結果的により幅広い情報を短期間で無理なくインプットできるようになりました。

アウトプットを見越した読み方に意識を切り替えた

さらに、読み終えた本の要点を他人に説明できる状態を目指したり、いま抱えている課題を解決するヒントを求めて読んだり、とにかく読み終わって終わりではなく何らかの行動につなげることを読書の目的として捉え直しました。

インプットひとつとっても、なんとなく取り組むのではなく工夫を加えることで、効率を向上しつつ、吸収した知識を行動の変化に反映できている実感があります。

身近な広告を見る視点が変わり、考察の癖がついた

動画サイトの再生前に流れる広告、SNSのプロモーション、テレビCMなど……。

これまでは特に何も考えず流し見しており、興味を持ったとしても、ビジュアルやデザインのテクニック部分のみでした。しかしマーケティングを学びはじめてから身近な広告を見る視点も変化しています。

入社当初、ランディングページを改善するとき、ニュース記事のようなデザインに仕上げるという案件を担当しました。これはニュース記事内の広告をクリックしたユーザーに、違和感なくランディングページを見てもらいたいという意図があります。

たとえばテレビ番組を視聴しているとき、その番組と同じテイストのCMが流れたのを観たことはありませんか?もしくはドラマの出演者が、間に流れるCMにも出演するのを見かけたことはありませんか?

これはその番組を見ているユーザーに違和感なく、チャンネルを変えずに見続けてもらう意図があるのではないかと推測できます。

このように、これまで流し見しがちだった広告やCMも、自分が発信する側の一員になり、「誰に向けているのか」「どうしてこの媒体で」「なぜこのような見せ方で」という考察ができるようになりました。それにより、「どういう意図のものが、どういう表現のされ方をしているのか」制作において参考にできるものの幅も広がったのです。

まとめ

アナグラムに入社してマーケティングを学び始めた事により、要求されたものを作るだけでなく、なぜこのクリエイティブが必要なのか?と目的から逆算して考えられるようになり、制作の意識の変化に繋がりました。また、日常で見る広告に対し考察するよう変化が起き、マーケティングの因数分解思考がデザインの改善においても活かせることに気づきました。

結果としてデザインで迷走することが以前に比べ減り、クライアントの希望に沿ったデザインに仕上げるだけでなく、目的に対して一歩踏み込んだアウトプットができるようになったと実感しています。

もし、デザインで迷走しがちなデザイナーの方がいらっしゃったら、マーケティングの視点を取り入れると、制作においても方向性がクリアになり迷うことも減るのではないかなと思います!

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