一気通貫でも孤独じゃない。頼るほど成長スピードが上がる”チーム制”

一気通貫でも孤独じゃない。頼るほど成長スピードが上がる”チーム制”

人に頼ること、あなたは得意でしょうか?どんな仕事も1人きりでは成立しませんから、その時点で「頼る」スキルはあらゆる人にとって言わずもがな重要ですよね。特にこの記事タイトルに興味を持ってくれた方であれば、多かれ少なかれ「頼る」というフレーズに紐づいた成功/失敗の体験や、あるいは心にひっかかる部分をお持ちなのではないでしょうか。

アナグラムでは原則1社に対し1人のコンサルタントが専任でマーケティング支援を担当します。しかし社内では助け合いの連続で、いかに周囲に頼れるかが支援の成否を左右すると言っても過言ではありません。

参考:大事なことは「自立」ではなく「自律」だった話

この記事では、「一気通貫の業務体制でありながら、なぜチーム制を採用しているのか」背景に込められた狙いについて、元コンサルタントで現人事の筆者の視点から紹介します。


施策の決裁者も実行者も常に自分。なのになぜチーム制?

 アナグラムの支援スタイルは、「1社につき1担当者」の一気通貫制です。課題をすり合わせ、どんな施策を実行するか決め、実際に手を動かし、結果をレポーティングしつつ、さらにアクションを重ねる。この一連の流れを1人のコンサルタントが最初から最後まで担います。

こう説明されると、仕事が1人で完結している印象を受けるかもしれません。ともすれば、なんだか孤独そうにも感じますよね。実際、初めてのことでも自力で調べながら進められるのであれば、1人で仕事を進めるのも100%不可能とはいえないでしょう。

しかしながら、アナグラムでは個人プレーを推奨しているわけではありません。チーム制も採用し、困った時に相談できる最小単位として同職種のメンバー同士でチームを組んでいます。矛盾するようですが、一気通貫の業務体制でありながら、各々がチームメンバーでもあるのです。

なぜこのような体制を取っているのか?それはマーケティング支援において、高い水準でのコンサルティング提供と守備範囲の拡大、このどちらもを両立するためにほかなりません。

クライアントの成果向上に対する最善策を選び続けるため

クライアントのビジネスを成功に導く上で、迅速な意思決定や施策実行、打ち手の幅広さとマーケテイング知識の深さ、いずれも欠かせないですよね。

知識は多いほど武器が増えますが、1人ですべてを知るのは当たり前ながら不可能です。だからこそ、適切なタイミングで集合知へ即アクセスできる環境に身を置くことは大きな意味を持ちます。

一方で、担当者が複数になると、責任の所在がぼやける分他人事に陥りやすくなり、情報も錯綜しやすくなります。反対に「(担当者が)自分しかいない」という状況は究極に自分事化しやすく、情報も正確に保ったまま整頓しやすいでしょう。

情報源は、適切に取捨選択できるリテラシーさえあれば、多いほどよい一方で、込み入った相談や意思決定は、登場人物が少ないほど齟齬やノイズが生まれにくい。1社1担当者の一気通貫制とチーム制の両立は、このジレンマや弱点を相互にカバーしうるのです。

1社1担当者制により、的確かつスピード感のある提案ができる

担当者が1人であれば、多方面でクライアントのコミュニケーションコストを下げやすくなります。この「又聞きを生まない仕組み」に加えて、意思決定権も原則現場の担当者に委ねられているため、商談から議論を持ち帰ることなくその場で迅速かつ的を射た提案もしやすいです。

何かを相談したいと思ったとき、誰に相談するかを迷ったことはありませんか?挙句、不本意に相談事をあたためてしまったり、そのせいで対応が遅れたり、相談するのすら面倒になってしまったり、といった悪循環に、心当たりがある方もいるでしょう。筆者はあります。

ところが担当者が一人であれば、「誰に相談すべきか」で悩む時間は0になりますよね。両者の信頼関係次第では、頭に浮かんだばかりでまだ輪郭がおぼろげな段階でも、話してみようと思ってもらえるかもしれません。

また、ただでさえ、人は誰でも見たいように出来事を切り取って解釈してしまいがちです。自覚的であれ、それぞれのバイアスから完全に自由になることはできません。バイアスは人の数だけありますから、関係者が増えるほど、元のニュアンスを保存する難易度は上がります。伝言ゲームと同じですね。

一人が担当することで、情報を正確に早くキャッチしやすく、その分、課題に的確に響く施策も提案しやすくなります。

チーム制により、担当者以外の知恵も還元することができる

案件化前のヒアリングから、契約書の締結、日々の広告運用、レポーティングまで。仕事の最初から最後までを1人で担うとなると、初めての経験は日常茶飯事。領域を限定せずに様々なことを学び続けることは必須です。また、1社に深く向き合うために1人当たりの担当数を原則5社までに絞っているため、多様なビジネスモデルや打ち手を同時に検証し知見として吸収するにも限界があります。

そこで、互いに頼り、学びあう最小単位としての「チーム」です。クライアントの業界や広告媒体ごとに分かれているのではなく、人同士の相性と、受け入れ側の挙手をベースに配されたチームに属し、そのコミュニティから得る収穫も併せてクライアントに提供しているのです。

グロースハック(他のコンサルタントが担当するクライアントを分析し、課題解決策をプレゼンし合う)も、ヘルプチャンネル(問題の大小を問わずslack上で詳しいメンバーを指名して質問できる)も、同じく知見の平準化や補完のための仕組みです。

参考:現場のコンサルタントが裁量を持って意思決定するための組織と仕組み

チームの垣根を超えれば社内には数十人のコンサルタントがいます。担当クライアントこそみな違いますが、それぞれが日々知恵を絞り、課題解決に向き合っている。当然、メンバーの数だけ、それぞれの経験から学んだノウハウがあります。クライアントの成果向上に向けて、この知識を結集させない手はありませんよね。

重要なのは、いまこの瞬間、自分にどれだけ力量があるかではありません。社内の知見やリソースをいかに活用してクライアントに還元できるかです。

一気通貫、1社1担当社制によって的確かつ迅速な意思決定を促しつつ、チーム制によって疑似的な複数人での支援体制を作り出す。これが、一見相反する2つの仕組みを共存させる意図です。最終的に決めるのは担当者ですが、その過程で知恵と思考を貸してくれる仲間をいくらでも増やすことができます。

企業に対する印象の大部分を占めることを指して、「(担当者は)会社の顔」とよく言い表されるのを耳にしますが、この記事で伝えたい意味に限定していえば、担当者はあくまで「表立つ立場として、企業の総力を代表する存在」としての”顔”なのです。

一気通貫、1社1担当者制でも孤独じゃない

「アイデアとは、複数の問題を一気に解決するものだ」

ゲームプロデューサーであり、『ドンキーコングシリーズ』や『スーパーマリオシリーズ』の生みの親として知られる宮本茂さんの言葉です。

そこで「分業」と「一気通貫」に目を向けてみます。二者択一で語られることが多い両者ですが、本当にどちらか一方だけしか選べないのでしょうか?筆者はNOだと考えます。

この2つに限ったことではないですが、議論の的としてAとBが比較されるとき、往々にしてどちらにもそれぞれに利点と弱点があるもの。宮本さんの言葉を借りれば、そこで両者の利点を両取りし、弱点を補い合う「選択肢C」を生み出すことこそが、きっと”アイデア”であるはずです。片方を取ったら自動的に片方は手に入らないと、心のどこかですぐあきらめてしまう必要はありません。

同様に、業務を1人で担うことからも、周囲を頼りチームで進めることからも、それぞれに異なる多くの学びが得られます。アナグラムの仕事は仕組み上1人で完結しますから、真面目に成長を願う人ほど、1人でやりきろうとしたり、頼ることに抵抗を感じたりすることがあるかもしれません。事実、自力を高めることも立派なスキルです。

しかし、1人で出来ることがいくら増えようと、他者が不在のまま完結する仕事など世の中にないですよね。必ずサービスを提供する相手が存在しますし、出来ることが多いからこそ多くの仕事や人との接点が持てるともいえます。

目の前の課題に対し、何を実行し、しないのか。選択と集中の精度・練度を高めるためにも、他者の思考や経験に触れ学ぶ機会は重要です。アナグラムではそれを互いに提供しあっています。1人でも食べていける力を重視する組織でありながら、その道のりは全く1人ではないのです。

関連記事

【月のまとめ】2023年10月公開の記事ランキング
【月のまとめ】2023年10月公開の記事ランキング
続きを見る
知識労働がもっと楽しくなる止揚(アウフヘーベン)のススメ
知識労働がもっと楽しくなる止揚(アウフヘーベン)のススメ
続きを見る