【運用型広告アップデートまとめ】2024年11月

【運用型広告アップデートまとめ】2024年11月

あっという間に12月中旬です。慌ただしく年末年始のキャンペーンの準備をされている方も多いのではないでしょうか。

この記事で紹介しているアップデートは、毎月約80以上あるアップデートの中から、特に注目しておくと広告運用に携わる方の役に立つのではないかというものをピックアップしています。忙しい中、休憩ついでに目を通してもらえるとうれしいです。

それでは、11月の主要な媒体アップデートを確認していきましょう。


目次

Google広告の注目アップデート

今年を振り返る機会も増えるこの時期に、今年のアップデートをまとめた記事が出ています。様々な機能が新たに発表される中で終了するサービスもありました。詳しく見ていきましょう。

今年発表された新機能のまとめ記事が公開

2024年に発表されたGoogle広告の新機能やアップデート情報をまとめた記事が公開されています。今年のアップデートを網羅的に振り返りたい場合におすすめです。

画像引用元:2024 Google Ads Recap - Google広告ヘルプ

記事では、計測環境や検索広告、P-MAX、デマンド ジェネレーション キャンペーン、YouTubeなどGoogleプロダクトの新機能を幅広く紹介しています。

今回の発表で特に印象的だったのは、「計測部門」の発表が最初に行われた点です。今年7月、Googleは「ChromeブラウザでのサードパーティーCookie廃止を撤回する」と発表しました。しかし、撤回した一方で、計測に関してはファーストパーティデータの活用を推進するアップデートが目立ち、推奨している印象を受けます。

この流れを見ると、Cookieによる計測が継続されるわけではなく、徐々にファーストパーティデータを中心とした環境整備が進んでいくのではないかと考えられます。

対象 : 今年のGoogle広告の新機能を振り返りたい方
公式ヘルプ : 2024 Google Ads Recap - Google広告ヘルプ

電話専用広告がレスポンシブ検索広告形式にアップグレード

広告に直接ビジネスの電話番号を表示することができる「電話専用広告」が、レスポンシブ検索広告にアップグレードされます。

現在、電話専用広告を配信している場合、キャンペーンページでビジネスの名前を設定して、新たに最終ページURLを設定することでアップグレードされます。

なお、一定期間が経過すると電話専用広告の新規作成はできなくなります。アップグレードの自動移行日は公表されていませんが、最終ページURLが設定されていない場合、自動移行されないため注意が必要です。

対象 : 電話専用広告を利用しているアカウント
公式ヘルプ : 電話専用広告をレスポンシブ検索広告にアップグレードする - Google広告ヘルプ

オンライン医薬品販売店、遠隔医療の宣伝ができるように

ヘルスケアと医薬品に関するポリシーが変更され、オンライン医薬品販売店、オンライン薬局、遠隔医療(オンライン診療)で処方薬に関するサービスを宣伝できるようになります。この変更は2025年1月に施行予定で、施行後に承認申請の受付が開始される予定です。

承認申請には、「薬局として有効なライセンスを所有し、厚生労働省に登録されている」などのいくつかの条件があります。広告掲載のプランを立てる際は、ポリシー詳細を確認してから進めましょう。

対象 : オンライン医薬品販売店、オンライン薬局、遠隔医療(オンライン診療)で処方薬に関するサービスの宣伝予定がある方
公式ヘルプ : ヘルスケアと医薬品に関するポリシーの更新(2025 年 1 月) - Google広告ポリシーヘルプ

カスタマーマッチのポリシーが変更。より厳格にルールを制定

広告主が保有している顧客データを活用した広告配信ができるカスタマーマッチは、2025年1月13日にポリシーが更新予定です。広告配信がユーザーへの同意なしに行われたりするなどのポリシー違反が続いている場合、カスタマーマッチの利用ができなくなったり、アカウントの強制停止がある旨が明記されました。

顧客データの活用を適切に行なっている場合、今回のポリシー変更による影響はないです。

なお、事前の警告なくアカウントが直ちに強制停止されることはありません。アカウントが強制停止される場合、7日前までに警告が届きます。

対象 : カスタマーマッチを利用しているアカウント
公式ヘルプ : カスタマー マッチ ポリシーの更新(2025 年 1 月) - Google広告ポリシー ヘルプ

Ads Creative Studio が終了に

YouTube動画広告のクリエイティブ作成・管理ツールとして利用されてきたAds Creative Studioが、2025年3月末でサービスを終了することが発表されました。

終了までのスケジュールは以下です。

  • 2024年10月28日~:新規アカウントの作成不可
  • 2025年1月17日~:新規プロジェクトの作成・既存のプロジェクトの複製不可
  • 2025年3月末:サービス終了

2022年7月に提供開始されたAds Creative Studioですが、約2年半で終了となります。今後は新たな成長分野に投資を集中させていく方針です。Google Marketing Live 2024では、Canvaなどのクリエイティブ制作ツールと連携が可能であることも発表されています。

Ads Creative Studioを利用している場合、サービス終了までの期間で、新たなクリエイティブ制作や管理の方法について話ができるといいですね。

対象 : Ads Creative Studioを利用しているすべてのアカウント
公式ヘルプ : Ads Creative Studio planned to sunset in Q1 2025 - Ads Creative Studio Help

Yahoo!広告のアップデート

Yahoo!広告は、従来版のコンバージョン測定タグのシステム終了が公表されたので対応も含め、見ていきましょう。

※ここでは 「ディスプレイ広告」はYahoo!ディスプレイ広告(運用型)を指します。

【検索広告】オークションランクの構成要素における指標の変更

検索広告において、「オークションランクの構成要素を計算する指標の見直し」と「オークションランク、広告の品質のヘルプの表現変更」が発表されました。2025年1月から順次適用開始です。

オークションランクの構成要素を計算する指標の見直し

オークションランクがどのように決まるかは、入札価格や広告の品質、その他のいくつかの構成要素が公開されていますが、それらの構成要素を計算する指標は公開されていません。今回の変更では、後者が対象です。

画像引用元:【検索広告】オークションランクの構成要素における指標の変更について 資料内P6 - LINEヤフー for Business

今回、オークションランクの構成要素の変更はありませんが、「オークションランクの構成要素を計算する指標」が変更になります。

この変更により、すべてのアカウントで掲載順位、クリック数、クリック率、インプレッションシェア損失率などの指標に変化が生じる可能性があります。特別な対応は必要ありませんが、これまで通り、ユーザーに必要な情報を届けられるよう取り組みを続けていくことが重要です。

オークションランク、広告の品質のヘルプの表現変更

「広告の品質」の決定要素に代わり、「広告の品質向上に重要な要素・影響がない要素」を公開します。

ヘルプ内の表記変更のみのため、オークションランクの構成要素自体に変更はありません。

オークションランクの構成要素
画像引用元:【検索広告】オークションランクの構成要素における指標の変更について 資料内P8 - LINEヤフー for Business

広告の品質の決定要素
画像引用元:【検索広告】オークションランクの構成要素における指標の変更について 資料内P9 - LINEヤフー for Business

本変更に対して特別な対応は必要ありませんが、変更後の広告の品質の決定要素は、今まで明記されていた内容がまとめられて表記されているため、その点を考慮してヘルプを確認することがおすすめです。

【検索広告】従来版のコンバージョン測定タグ、サイトリターゲティングタグシステム終了に

従来版タグにおいて、機能サポート終了から一定期間が経過したためシステムが終了になります。  

2025年2月28日(金)以降、従来版のタグが設定されたウェブサイトでは、ドメインへのリクエストがエラーになり、JavaScriptの動作に影響が出る可能性があります。

画像引用元:【Yahoo!広告】従来版のコンバージョン測定タグ、サイトリターゲティングタグのシステム終了について - LINEヤフー for Business

上記のドメインが含まれるタグがある場合、予期せぬ自体につながることも考えられるため、タグの削除ができているか念のため確認しておくことをおすすめします。

タグの確認が必要な場合、広告管理画面で案内が通知されています。タグマネージャーやソースに旧タグが残っていないかチェックしましょう。

また、Chromeのデベロッパーツールでの該当のドメインへの通信がないかの確認も行っておくとより安心です。

【検索広告】「™」「Ⓒ」「®」の3つの記号が新たに広告で使用可能に

広告や広告表示アセットで使える記号として、「™」「Ⓒ」「®」が追加されています。また、「ハイフン・イコール」記号種別が新設され、1つのアセット内で3つまで使用可能になりました。

追加された3つのマーク

  • 「™」:トレードマーク、ティーエムマーク。商標登録前から使用でき、商標登録を示すマークですが、必ずしも商標登録されているとは限りません。
  • 「Ⓒ」:シーマーク。著作権があることを示すマーク
  • 「®」:アールマーク。商標登録されたロゴ、文字などを示すマーク

ハイフン・イコールは、全角と半角のハイフン(‐、-)と全角のイコール(=)が含まれ、レスポンシブ検索広告では1つのアセット内で3つまで使用可能です。

対象 : 検索広告を利用しているすべてのアカウント
公式ヘルプ : 【検索広告】広告に使用可能な記号の拡大について - LINEヤフー for Business

【検索広告】検索連動型ショッピング広告でPC・タブレット向け配信とデバイスターゲティングの対応開始

検索広告(ショッピング)の検索連動型ショッピング広告で、PC・タブレットへの配信と、デバイスターゲティングが2024年12月11日~ 可能になります。これで、スマートフォン含むすべてのデバイスへの配信ができます。

画像引用元:【検索広告(ショッピング)】検索連動型ショッピング広告のPC・タブレット向け配信とデバイスターゲティング対応について資料内P5 - LINEヤフー for Business

PC・タブレットへの配信は、スマートフォンと比較すると並びや表示数に違いがあります。PC・タブレットへの配信はスマートフォンへの配信に比べて、リストやグリッドが多く配信されますので広告効果の向上が期待できるでしょう。

画像引用元:【検索広告(ショッピング)】検索連動型ショッピング広告のPC・タブレット向け配信とデバイスターゲティング対応について資料内P4 - LINEヤフー for Business

ターゲティングは、キャンペーン設定で行いPC・タブレットのチェックボックスをオンにします。すでに作成済みのキャンペーンは、スマートフォンのみが有効に設定されます。適用日以降にPC・タブレットのデバイスターゲティング追加をご検討ください。

Meta広告のアップデート

Meta広告では、引き続き様々な自動化が推進されています。特に今月はクリエイティブ関連のアップデートが目立ちました。

Instagramリールに画像アニメーション機能がリリース

Advantage+ クリエイティブの生成AIが動画にも拡大され、Instagramリールで、1つの静止画像から動画クリエイティブを生成できるようになりました。

動画引用元:Advertising Week 2024: Unlock Video Performance with GenAI and Creator Marketing - Facebook Business News

活用には、広告の編集から「Advantage+ クリエイティブ」の「画像アニメーション」機能をオンにしている必要があります。静止画でパフォーマンスの良かったものを動画にするなど、活用を検討できますね。

対象 : 静止画クリエイティブを活用している
公式ヘルプ : Advantage+ クリエイティブについて - Meta広告ヘルプ

デフォルトのアトリビューション設定にエンゲージビューが追加

ウェブサイトコンバージョンキャンペーンのデフォルトのアトリビューション設定に、エンゲージビューが適用されました。

広告セットの結果の単価目標でオプションを非表示を開くと設定が確認できます。

エンゲージビューアトリビューションは、動画広告を10秒以上視聴(動画の長さが10秒未満の場合はその97%以上を視聴)した後で1日以内にコンバージョンに至った利用者を対象にしています。

【今まで】7日間のクリックスルー+1日間のビュースルー

【これから】7日間のクリックスルー+1日間のエンゲージビュー+1日間のビュースルーがデフォルト

※動画アセットを使用していないキャンペーンのレポートには、エンゲージビューは表示されません。

なお、エンゲージビューは新規でキャンペーン作成した場合に適用されるため既存のキャンペーンへの影響はありません。

LINE広告のアップデート

Google広告では、Canvaなどの制作ツールとの連携が推進されていますが、LINE広告でもAdobe Expressでのクリエイティブ作成と広告アカウントへの連携が益々しやすくなっています。

Adobe Expressエディターを使用し動画クリエイティブの作成が可能に

Adobe Expressエディターを使って、LINE広告とYahoo!広告向けの動画クリエイティブを作成できるようになりました。作成した動画クリエイティブはAdobe ExpressからLINE広告・Yahoo!ディスプレイ広告にリンクすることができます。

動画引用元:Adobe Expressで動画クリエイティブが作成できるようになりました! - LINE Creative Inspiration

画像引用元:Adobe Expressで動画クリエイティブが作成できるようになりました! - LINE Creative Inspiration

LINE広告・Yahoo!広告ともに、3種類のサイズに対応した動画クリエイティブを作成できます。

LINEのノート機能内に広告枠が追加

トークルームからノートを選択。ノート上部に広告配信枠があります。

ノート上部に広告の配信枠が追加されています。ノートは、チャットルーム内でテキストや写真を投稿できる機能で、情報をまとめておきたい場合など掲示板のように活用されています。特に、20代女性の利用が盛んです。

広告グループの編集で「広告の配信」から「ノート」の選択ができ、静止画(Card)、静止画(Square)、画像(小)の3種類の広告フォーマットが選択できます。

対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : LINE広告 配信面 - LINEヤフー for Business

クロスターゲティング機能が終了、ビジネスマネージャーに移行へ

クロスターゲティング機能(オーディエンスの公開・LINE Tagの共有機能)の提供が終了します。

クロスターゲティング機能はビジネスマネージャーのオーディエンス共有機能に統合されます。引き続き、オーディエンスやLINE Tagのデータを他のLINE公式アカウントや他のプロダクトと共有可能です。

終了までのスケジュール

  • 2025年1月末:新規受付の停止。管理画面から表示がなくなり、新規で設定することができない。
  • 2025年3月末:機能の提供終了。
画像引用元:クロスターゲティング機能(オーディエンスの公開・LINE Tagの共有機能)の提供終了に関するご案内 資料内P7 - LINEヤフー for Business

クロスターゲティング機能の提供終了した際、共有されたオーディエンスやLINE Tagを、LINE公式アカウントやLINE広告での配信に設定している場合は、配信が停止する場合もあるので注意が必要です。

配信が停止されないよう、クロスターゲティング機能で共有したオーディエンスは配信設定から解除し、ビジネスマネージャー経由で共有されたオーディエンスで配信設定できるよう準備をしておきましょう。

対象 : オーディエンスの公開・LINE Tagの共有機能を活用しているLINE公式アカウント、LINE広告のアカウント
公式ヘルプ : クロスターゲティング機能(オーディエンスの公開・LINE Tagの共有機能)の提供終了に関するご案内 - LINEヤフー for Business

TikTok広告のアップデート

カルーセル広告は他の広告媒体でも活用できますが、画像1枚でカルーセル広告が作成できるのはTikTok広告だけではないでしょうか。

カルーセル広告で静止画1枚でも配信可能に

カルーセル広告は静止画を複数並べて表示するフォーマットですが、今後は静止画1枚でも広告を配信することができるようになりました。

キャンペーン目的は、トラフィック、ウェブサイトのコンバージョン数、アプリプロモーション、商品販売、リード生成で利用可能です。

対象 : すべてのアカウント
公式サイト : カルーセル広告について - TikTokビジネスヘルプセンター
※公式ヘルプでは画像2枚から設定可能と記載されていますが、広告管理画面上では画像1枚で設定可能になっています。(2024年12月4日時点)

Microsoft広告

Microsoft広告はGoogle広告との連携の幅が広がっています。単にGoogle広告のターゲティングや広告をコピーするだけでなく、Microsoft内のユーザーデータの活用が進んでいる印象です。詳しく見ていきましょう。

Google広告の動画キャンペーンをインポートできるように

Google広告で使用している動画キャンペーンをMicrosoft広告にインポートできるようになりました。日、週、月の単位で定期的なインポートをスケジュールできます。

動画引用元:Copilot enhancements and other updates for November - Microsoft Advertising Blog

なお、Google広告の動画キャンペーンで使用される動画ファイルはインポートできません。これらのキャンペーンを配信するには、使用する動画をアップロードする必要があります。

対象 : Google広告で動画キャンペーンを活用していて、Microsoft広告を実施しているアカウント
公式ヘルプ : Copilot enhancements and other updates for November - Microsoft Advertising Blog

インプレッションベースのリマーケティングが利用可能

インプレッションベースのリマーケティング機能が公開されました。検索、ネイティブ、ディスプレイ、動画、CTV など、さまざまなチャネルで表示された広告のインプレッションがリストに含まれます。

アカウント内で対象となるキャンペーンまたは広告グループを選択すると、オーディエンスリストが自動的に生成されます。このリストを他のキャンペーンや広告グループと関連付けることで、広告を見たユーザーにリマーケティングを配信することができます。

入札単価調整を適用できるので、紐づけたリストの入札に強弱をつけることもできます。

例えば、ディスプレイ広告や動画広告で接触した人のリストを検索広告のキャンペーンで使用することも可能です。活用方法はさまざまなシーンが考えられますね。

対象 : すべてのアカウント
公式ヘルプ : Unlocking the power of impression-based remarketing - Microsoft Advertising Blog

まとめ

11月には、いくつかの媒体から機能の提供終了のお知らせがありました。なにかをやめる決断は、今までの労力が無駄になったように感じ難しいこともあります。しかし、既存の機能提供を終了することで、成長分野により力を入れやすい体制を整えられるのではないでしょうか。

年末年始は一年の振り返りとともに、新しいことを始めたくなる時期でもあります。新しいことに取り組む前に、何かを辞める決断をすることで、よりスムーズに次の一歩を踏み出しやすくなるかもしれませんね。

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