みなさんは、広告の管理画面上に「タグとデータフィードの一致率が低下している」と表示されてびっくりしたことはありませんか?
ダイナミック広告を配信する上で、「タグとデータフィードの一致率」をモニタリングすることはとても重要です。しかし、この言葉が指している事象の意味や対処法がわからない方も多いと思います。
この記事では、「タグとデータフィードの一致率」とはなにかという解説から、改善のメリット、主要媒体の一致率確認方法までをご紹介します。
目次
タグとデータフィードの一致率とは
タグとフィードの一致率とは、タグで送信している商品IDと、データフィードに含まれる商品IDがどの程度一致しているかを割合で示した値を指します。
ダイナミック広告では、ユーザーがサイト上で商品を閲覧・購入した際、サイトに埋め込んだタグによって商品の情報を取得し、広告媒体に送信しています。
タグで送られた商品情報は、事前に広告媒体に入稿されたデータフィード内で照合されます。
こうすることで、広告媒体は「ユーザーが見た/購入した商品」を正しく理解し、商品のレコメンドなどの学習に活かすことができるのです。
この「タグで取得した商品情報」と、「データフィード内に存在する商品情報」がどれだけ正しく一致しているかを表すのが、「タグとフィードの一致率」という指標です。
もちろん、一致率の値は100%に近ければ近いほどいいのです。
一方で、一致率が下がってしまうと配信における様々なデメリットが発生します。
一致率の低下によるデメリット
タグとデータフィードの一致率が低下すると、実際にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
広告のパフォーマンスが低下する
先に触れた通り、広告媒体はタグで発火したアイテムの情報をフィードで確認し、広告での商品のレコメンドに活かしています。
広告媒体が参考にする商品情報は多岐にわたります。
アイテム単位の商品IDだけではなく、商品のカテゴリやブランド、更には商品価格といったデータまで蓄積して、ユーザーごとに好みそうな商品を選び出し広告に表示しているのです。
一致率が低く広告媒体が正しい情報を参考にできない場合、上記の学習がうまく進まず、レコメンド精度が低下していきます。
その結果、ユーザーごとに最適な商品をおすすめできなくなり、クリック率やコンバージョン率の低下につながっていくでしょう。
正しいデータをより多く広告媒体に送り、また媒体内のデータフィードで照合できてはじめて、精度の高い学習が可能になります。
ダイナミック広告の最大の強みであるパーソナライズドされたレコメンド機能を最大限活用するためには、一致率はできるだけ高く保ちましょう。
広告の配信ができない
タグとフィードの不一致率が高い場合、CriteoとRTB Houseでは広告配信の審査がおりない場合があります。
理由は、前述のデメリット「広告のパフォーマンスが低下する」に関連しています。
CriteoとRTB Houseは、特に配信エンジンの学習精度に強みを持っている媒体です。だからこそ、正しくデータの取得ができていない場合、エンジン学習に悪影響が出てしまい、きちんと成果が出せないことが想定されます。そのため、媒体側が先んじてストップをかけているのです。
一致率の低下で考えられる要因
一致率の低下を防ぐべき理由がわかっても、改善方法がわからないと対処できません。
以下では、実際に「タグとデータフィードの一致率が低下している」と警告が出た場合に、タグやデータフィードのどこに問題があるのか、パターンを整理します。ぜひ改善の参考にしてみてください。
データフィードに問題がある場合
タグからは正しく商品データを送れているのに、データフィードに商品データが正しく含まれていないがゆえに、一致率が低下している場合です。
以下に当てはまる事象が起きていないか確認してみましょう。
必須のデータフィードカラムが欠損している
媒体に必須のデータフィードカラム(商品ID、価格など)が正しく揃っていない場合、一致率も低下します。
タグで商品IDを正しく取得していたとしても、そもそも商品IDのカラムがデータフィードに存在しないとき、照合自体ができず一致率は0%となってしまいます。
まずは、データフィードが正しく設定されているか確認しましょう。
最新の情報がデータフィードに反映されていない
データフィードの生成・媒体への連携を手動で行っており、新しい商品情報がデータフィードに反映されていない場合にも、一致率は低下します。
タグでは、ユーザーがサイト上で起こした行動に応じて絶え間なく商品データが送られてきます。新商品の追加などがあった場合も、常にデータフィードを最新に保てるようにしておきましょう。
おすすめは、自動でデータフィードの更新・連携ができる dfplus.io などのデータフィード管理ツールの導入です。ぜひ併せて検討してみてください。
すべての商品がデータフィードに存在していない
キャンペーン商品のみを配信したい、よく売れる商品だけを配信したいなどの考えで、意図的にサイト上にある商品をデータフィードから除外していませんか?
この場合も、タグで送られる商品データがデータフィードに存在しないと、一致率が低下してしまいます。
対策としては、広告に表示したくない商品もデータフィードに入れておき、「配信に活用しない」ためのカラムを使うことをおすすめします。
- Google
- 「excluded_destination」で非掲載先の設定を行う
- 参考 : excluded_destination [非掲載先]
- Yahoo
- 「Display Settings」で配信オン/オフを設定する
- 参考 : 動的ディスプレイ
- Facebook、Criteo、RTB House、LINE
広告媒体でデータフィードの取り込みがエラーになっている
データフィードが正しく生成できていたとしても、広告媒体で正しくデータを取り込めていなければ、タグとの照合はうまくいきません。
データフィードがしっかりと広告媒体に取り込めているかの確認もこまめに行いましょう。
タグに問題がある場合
タグで正しい商品情報を取得できていない
データフィードに正しく商品情報が設定されていても、サイトからタグで送信する商品情報が間違っていたら、一致率は低下してしまいます。
それぞれの階層で発火するタグについて、取得している商品情報に間違いはないか確認しましょう。
主要媒体のタグ確認方法は以下ページに整理しています。
是非参考にしてみてください。
広告管理画面上での一致率確認方法
広告媒体では、管理画面上でタグとデータフィードの一致率を確認できるものが複数あります。
一致率の低下が起きている場合には早期発見・対処に繋げられるため、下記確認方法を参考に日常的な確認を行っていくことをおすすめします。
Googleでは、「ツールと設定」>「オーディエンスマネージャー」>「データソース}>「Google広告タグ」>「詳細」>「マッチ率」で一致率を確認できます。
ヒット数などと推移を比較することもできるので、グラフの並列機能をうまく活用するのをおすすめします。
Criteo
Criteoでは、「タグ/イベント」のタブからタグとフィードの一致率を確認することができます。
各イベントのステータスを一覧で確認することもできますし、イベント名のクリックで実際の一致率も確認することができます。
「最適化」や「エラー」の警告が出ている場合は、意図的な設定となっているかどうか、しっかりと詳細を確認しましょう。
Facebook では、「コマースマネージャ」からタグとフィードの一致率を確認することができます。
「コマースマネージャ」>「イベント」を選択すると、タグイベントごとの一致率を確認することができます。
各イベントで、一致率が「良い」の緑ゾーンを推移していれば問題なしです。
最後に
今回は、タグとデータフィードの一致率について、概要と改善方法をご紹介しました。
ダイナミック広告において、タグとデータフィードの一致率を高く保つことがいかに重要か、お伝えできたでしょうか。
また、一致率にかかわる変数は多く、発火しているタグ、データフィード、媒体でのデータフィードの取り込み状況など、確認するべきポイントは多岐にわたります。
一致率の低下が発生した際には、焦らずにひとつずつ考えられる要因を検討していきましょう。