広告主のサイトを訪問したユーザーなど、過去に接点を持ったユーザーに再びアプローチしたいと思ったことはありませんか?
Meta広告では、広告主のウェブサイトやアプリ、Mataのサービス上のアクション、顧客情報など、ユーザーの行動履歴や顧客情報を活かした「カスタムオーディエンス」と呼ばれるターゲットリストを作成が可能です。
カスタムオーディエンスを利用すれば、広告主のビジネスをすでに知っているユーザーへの配信あるいは除外、そのユーザーに類似した興味関心をもつユーザーへの広告配信などさまざまななケースで役立てられます
この記事では、カスタムオーディエンスの種類や活用方法、注意点を解説していきます。
カスタムオーディエンスの種類
カスタムオーディエンスには、広告主のウェブサイトやアプリ、SNSの投稿など、ユーザーの関わり方によって4つの種類が用意されています。
種類 | 詳細 |
---|---|
ウェブサイトカスタムオーディエンス | 任意のウェブサイトを訪問したユーザー |
アプリアクティビティカスタムオーディエンス | アプリ内で任意のアクションを行ったユーザー 例:アプリ内で課金をしたことがないユーザーなど |
カスタマーリストのカスタムオーディエンス | Facebook・Instagramを利用しているユーザーのうち、広告主が保有しているユーザー情報(メールアドレスや電話番号など)に当てはまるユーザー |
エンゲージメントカスタムオーディエンス | 広告主のFacebook・Instagramコンテンツ内でアクションしたユーザー 例:オーガニック投稿やInstagramの投稿にいいねをしたユーザーなど |
カスタムオーディエンスは、ひとつの広告アカウントで最大500まで作成が可能です。
カスタムオーディエンスの活用方法
では、実際にどのような活用方法が考えられるのでしょうか。見てみましょう。
広告主の商品やサービスをすでに知っているユーザーへの広告配信をコントロールする
カスタムオーディエンスの基となる、広告主のウェブサイトやアプリ、SNSの投稿などで何かしらのアクションをした人は、商品やサービスに興味を持っている可能性が高いと言えます。
カスタムオーディエンスを活用してアプローチすることで、広告主の商品やサービスに関心がある可能性が高い見込み顧客に対してアプローチが可能です。
また、広告配信の対象から除外も可能なため、すでに広告主のビジネスを知っているユーザーへの広告配信をより柔軟にコントロールできます。
似た特性を持つ新規ユーザーへ広告を配信する
カスタムオーディエンスを使用して、類似オーディエンスの作成も可能です。
類似オーディエンスを活用すれば、抽出の元となるカスタムオーディエンスに含まれるユーザーとMetaサービス上での行動が似ているユーザーに広告を配信できます。
また、Meta広告のターゲティングは、登録したユーザーの性別や年齢、登録情報、趣味・関心などパーソナルな情報をもとに行うため、Meta広告の類似オーディエンスはターゲティング精度が高いと言われています。
参考:類似オーディエンスについて|Meta ビジネスヘルプセンター
Facebookの実名制を基本とした正確なデータベースによるターゲティング精度の高さを活かしながら、顧客と似た特性を持つユーザーにアプローチが可能です。
カスタムオーディエンスの作成方法
作成方法は、カスタムオーディエンスの種類ごとに異なります。最初に、共通の手順を説明していきます。
広告マネージャを開き、画面左の「オーディエンス」を選択します。
「オーディエンスを作成」から「カスタムオーディエンス」を選択してください。
ここからは、カスタムオーディエンスの種類ごとに作成方法が異なります。まずは、「ウェブサイトカスタムオーディエンス」と「アプリアクティビティカスタムオーディエンス」の作成方法を紹介します。
ウェブサイトカスタムオーディエンス、アプリアクティビティカスタムオーディエンスの作成方法
前提として、ウェブサイトカスタムオーディエンスを作成するためには「Metaピクセル」、アプリアクティビティカスタムオーディエンスの作成には「Meta SDK(※)」を事前に対象のサイトやアプリに設定しておく必要があります。
※Meta SDKをアプリに追加すると、アプリのインストールや起動回数などのイベントログをMeta広告配信の最適化やコンバージョン計測に利用できるようになります
Metaピクセルの設定方法は、下記の記事をご参考ください。
Meta SDK実装方法は、プラットフォーム別スタートガイドを参考にアプリ管理者と連携を取って進めていきましょう。
参考:iOSスタートガイド(3. 開発環境を設定する)
参考:Androidスタートガイド(1.Facebook SDKをAndroidアプリに統合する)
今回は例として「過去30日以内にウェブサイトに訪れたユーザー」のウェブサイトカスタムオーディエンスの作成方法を説明します。
ウェブサイトカスタムオーディエンスを作成する場合は「ウェブサイト」を、アプリアクティビティカスタムオーディエンスを作成する場合は「アプリアクティビティ」を選択して「次へ」をクリックします。
ここでは、カスタムオーディエンスの条件を設定します。
「ソース」は、広告アカウントで利用しているピクセルを選択してください。「イベント」ではユーザーを絞り込むための条件を設定、「リテンション」ではイベントの有効期間を入力します。
「リテンション」の日数は、商品やサービスの購買サイクルに応じて決めましょう。たとえば、購買サイクルの短い消耗品などであれば1〜30日間、購買サイクルの長い自動車などであれば、30〜180日間など、広告で取り扱う商品やサービスに合わせて決められるとよいですね。
「イベント」で設定できるユーザーを絞り込むための条件は、次の通りです。
イベント | 詳細 |
---|---|
ウェブサイトにアクセスしたすべてのユーザー | ウェブサイトにアクセスしたユーザー全てを対象に設定 |
特定のウェブページにアクセスした人 | URLやイベントを指定して、特定のページにアクセス、あるいはイベントを達成したユーザーを対象に設定 |
ウェブサイトに滞在した時間別のビジター | ウェブサイトで滞在時間が長かったユーザー上位5%、10%、25%を対象に設定URLを指定して、特定ページにアクセスしたユーザーを対象に設定も可能 |
また、「さらにユーザーを追加」を選択することで、複数条件で設定も可能です。
複数条件で設定する際、「いずれか」を選択するとOR条件、「すべて」を選択するとAND条件で設定されます。条件を組み合わせることでとても柔軟なオーディエンスリストの作成が可能になりますね。
最後に「オーディエンスを作成」をクリックしたら、ウェブサイトカスタムオーディエンスの作成は完了です。
カスタマーリストのカスタムオーディエンスの作成方法
次に、広告主が保有している顧客情報を活用する「カスタマーリストのカスタムオーディエンス」の作成方法を説明します。
活用したい顧客情報(メールアドレスなど)は、事前に洗い出しておくとスムーズです。
「カスタマーリスト」を選択して「次へ」をクリックします。
「顧客リストの準備方法」という画面が出ます。既にアップロード可能な顧客リストがある場合は「次へ」を選択します。
顧客リストをこれから作成する場合は、「ファイルテンプレートをダウンロード」よりテンプレートを入手可能です。
画像引用元:広告マネージャより ※ダウンロードしたテンプレートファイル
メールアドレスなど、メインの識別情報は少なくともひとつ含める必要があります。しかしながら、よりユーザーとのマッチ率を高められるよう、可能な限り他の識別情報も含めるのがおすすめです。
なお、リスト内の情報はハッシュ処理されてからMeta側に送信されますが、広告代理店で顧客情報を預かるのが難しい場合は、クライアント側で作成できるように配慮しましょう。
参考:How to Format a Customer List When Creating a Custom Audience | Meta Business Help Center
次に、顧客リストを追加します。
リストのアップロードは以下の方法で登録可能です。前者はcsvファイルを使用し、後者は直接データを貼り付ける方法です。
- リストをアップロード
- コンマ区切り値を貼り付け
カスタマーバリューとは、平均注文額や注文数量など、顧客の価値を数値化したものです。設定しておくと、価値の高い顧客のカスタムオーディエンスの作成や、最も価値が高い顧客に基づく類似オーディエンスを作成できます。
参考:About the Customer Value Column | Meta Business Help Center
カスタマーバリューの有無を設定し、「次へ」をクリックすると顧客リストのアップロードが開始します。
「マッピング済み」の一覧に作成したオーディエンスが表示されていれば、顧客リストのアップロードは成功です。
なお、プライバシー保護の観点から、100人以上のリストを作成できるよう注意が必要です。念のため、列の項目が、アップロードした項目と合っているかを確認しましょう。「インポート・作成」をクリックしたらカスタマーリストカスタムオーディエンスの作成は完了です。
もし「要アクション」がある場合は、アップロードした顧客リストに誤りがある可能性があります。ファイルを修正して再度アップロードしてください。
エンゲージメントカスタムオーディエンスの作成方法
ウェブサイトやアプリ上での行動、カスタマーリストなど広告主側の情報以外にも、Meta側の情報を利用したオーディエンスリストを作成できるのが「エンゲージメントカスタムオーディエンス」の利点です。
今回は例として、「自社のInstagramアカウントのプロフィールにアクセスした人」に基づくカスタムオーディエンスを作成していきましょう。
Metaのソースから「Instagramアカウント」を選択します。
ソースは、広告アカウントで利用しているピクセルを選択してください。イベントのプルダウンから「このプロアカウントのプロフィールにアクセスしたすべての人」を選択します。
「リテンション」にはイベントの有効期間を設定、「オーディエンス名」を入力して「オーディエンスを作成」をクリックしたらエンゲージメントカスタムオーディエンスの設定完了です。
エンゲージメントカスタムオーディエンスについて、もっと知りたいという方は次の記事もご参考ください。
カスタムオーディエンスの配信・除外設定
カスタムオーディエンスを作成できたら広告配信に利用できるように設定を行っていきます。配信・除外の設定は広告セット単位で設定が可能です。
カスタムオーディエンスの配信設定
まずは、作成したカスタムオーディエンスを広告配信の対象として設定する方法を紹介します。
①広告マネージャーでキャンペーン作成後、広告セットの画面で「+作成」をクリックします。
②「Advantage+オーディエンス」項目の「元のオーディエンスオプションに切り替える」を選択します。
③「元のオーディエンスを使用」を選択します。
④カスタムオーディエンスの検索窓をクリックするとオーディエンスの一覧が表示されるので、「カスタムオーディエンス」のタブより配信対象となるカスタムオーディエンスを選択できます。なお、ひとつの広告セットでオーディエンスを複数選択した場合は、and条件で設定されます。
また、カスタムオーディエンスを設定すると、「Advantageカスタムオーディエンス」の項目が表示されます。
チェックを入れたままだと、設定したカスタムオーディエンス以外のユーザーにも配信が拡大されます。設定したカスタムオーディエンスに絞って配信したい場合はチェックを外しましょう。
カスタムオーディエンスの除外設定
次に、配信対象から特定のカスタムオーディエンスを除外する方法を紹介します。
「カスタムオーディエンスの配信設定」の手順①~③に進みます。
カスタムオーディエンスの検索窓の下の「除外条件を追加」をクリックします。
表示された「以下の条件の少なくとも1つに一致する人を除外」の検索窓をクリックして表示されたプルダウンより「カスタムオーディエンス」のタブを選択、除外したいカスタムオーディエンスを選択してください。
カスタムオーディエンスの注意点
詳細な条件の設定もできる便利なカスタムオーディエンスですが、一方で効果的に利用するためには次のような点に注意しておきましょう。
オーディエンスのサイズが小さいと十分に配信できない
Meta広告は、カスタムオーディエンスのサイズが小さいと十分な広告配信が行えない場合があります。
実際に十分な配信ができないときには、広告セットの設定画面で、推定のオーディエンスサイズを確認しましょう。
オーディエンスが狭い場合には、対象のオーディエンスを見直すとともに、必要以上に配信を狭めるような設定がされていないかもあわせて確認するのがおすすめです。
広告セット間のオーディエンスの重複に注意
Meta広告は、複数の広告セットでオーディエンスの重複があると、パフォーマンスが最も高い広告以外は配信されない仕様になっています。
せっかく設定したのに配信されなかったなんてことが起きないように、オーディエンスの重複も事前に確認しておきましょう。
確認方法は次のとおりです。
広告マネージャーの「オーディエンス」を開き、比較したいオーディエンスの横にあるボックスにチェックを入れ、「…」より「オーディエンスの重複を表示」を選択するとオーディエンスの重複度を確認できます。
参考:About overlapping audiences | Meta Business Help Center
オーディエンスが重複している場合は、新しい広告セットから既存のオーディエンスを除外、または広告セットを統合するなどを行うと良いでしょう。
18歳未満のターゲティングができない
Metaでは10代のユーザーのプライバシー保護と安全を守るための取り組みを行っており、日本を含む、多くの国では18歳未満のユーザーへのターゲティングは制限されております。
カスタムオーディエンスもその対象で、18歳未満をターゲットとした広告は配信できないので注意しましょう。18歳未満を含めてターゲットにしている場合は、自動的に成人のみに配信されます。
10代をターゲットとする広告制限について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
まとめ
カスタムオーディエンスは、商品やサービスに高い関心を持つ見込み顧客から、顧客と類似した特性を持つユーザーまで、柔軟にアプローチできるため、Meta広告で欠かせない配信手法です。この記事を通じて、これまで想像できなかった配信手法の特徴が明確になったのではないでしょうか。
カスタムオーディエンスを活用したことがない方は、ぜひこの機会に利用を検討してみてくださいね。