Facebook広告の運用で見るべき指標とその注意点

Facebook広告の運用で見るべき指標とその注意点
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広告マネージャで初期表示されている「パフォーマンス」という指標の組み合わせレポートではインプレッション、リーチ、クリック数や購入数といった最低限の情報が確認できますがそれらの指標だけでは広告運用には不十分です。たとえば広告の成果が落ちてきた場合に、原因や打ち手の見極めは難しいでしょう。

分析を行うときは、重要な指標を見落とさないように、レポートのカスタマイズをしておきたいところです。

また、Facebook広告の指標の中には仕様を誤解しやすく注意が必要なものがあります。

この記事ではレポートをカスタマイズする際に含めるべき指標と、誤解しやすい指標の注意点を紹介していきます。


いつも確認しておきたい指標

まずは、取り扱う商材やビジネスを問わず確認していくべき指標を紹介します。

フリークエンシー

ユーザー1人あたりに対する広告の平均表示回数です。

広告をきっかけとして行動を起こしてもらうには一定数以上の接触が効果的である一方で、同じ広告が何度も表示されれば不快に感じて非表示にされてしまったり、クリック率が低下する原因になります。

ユーザーにとって価値のない広告と見なされれば、インプレッション単価の高騰やインプレッション数の減少にもつながる恐れがあります。

フリークエンシーの増加とともに広告のパフォーマンスが低下しているのであれば、同じ広告が表示され続けたことで関心が低下している可能性があります。そんな場合は広告クリエイティブやターゲットの変更を検討してください。

CPM(インプレッション単価)

CPMはインプレッション1,000回あたりの平均費用です。広告アカウントの課題を特定するのに役立つ重要な指標です。コンバージョン単価を分解するとクリック単価とコンバージョン率の2つに分割でき、クリック単価はさらにCPMとクリック率に分割できます。

コンバージョンを目的としたFacebook広告の配信ではクリック課金ではなくインプレッション課金が採用されているので、クリック率やコンバージョン率が変わらないとするとCPMとともにコンバージョン単価も変動します。

コンバージョン単価の高騰にCPMが関わっていて、フリークエンシーも比例して増加していることが分かれば、次に取るべき行動はクリエイティブの変更だと判断できます。

広告を適宜入れ替えているのにCPMが高くなってしまっている場合は、他社の入札調整により広告を掲載するのに必要な金額が上がっている可能性があります。オークションの変動は配信ビューというツールのオークションの競争度で確認できます。

Facebook広告「配信ビュー」で適切な打ち手を見極めよう

このように、CPMと他の情報を組み合わせて見ていくことで、広告パフォーマンス低下の原因を突き止めるのに役立ちます。

また、CPMの相場は配置によって大きく変わることも覚えておくとよいでしょう。たとえばFacebookやInstagramのフィードと比べると、InstagramストーリーズやAudience NetworkはCPMが安い傾向にあります。

そのため、広告セットや広告単位の平均CPMやCPCだけで広告のパフォーマンスを判断するべきではなく、配置ごとの内訳も見ていくことをおすすめします。

 

誤解しやすい指標

次に、広告運用の中で重要な指標ながら、計測の仕様を誤解してしまいやすいものを紹介します。

リーチ

インプレッションが広告が表示された「回数」なのに対し、リーチでは「人数」を確認できます。

リーチで確認できるのはレポートの期間中に広告を見た人数であることに注意が必要です。

レポートの期間 リーチ
2020年1月 10,000
2020年2月 9,000
2020年1月~2月 12,000

たとえば上の表のように、1月と2月のリーチ数の合計は19,000なのに、レポートの期間を1月~2月にすると19,000より少ない数字になることがあります。

これは、同じ人に1月、2月にそれぞれリーチした場合、1月のレポートと2月のレポートではそれぞれに1として計測されますが、期間が1月~2月になれば1人のユーザーが2として計測されるわけではないからです。1月~2月で累計19,000リーチだと思っていると実態とかなり差が出てしまうので、期間ごとのリーチ数を見る際は注意してください。

配信ビューというツールで広告セットの通算でのリーチ人数も確認できます。広告セットの潜在リーチ(ターゲットの母数)と比較して、広告セットの潜在リーチに対して広告がどの程度行き渡っているか、適宜確認しておきましょう。

Facebook広告「配信ビュー」で適切な打ち手を見極めよう

クリック

Facebook広告のクリックは何種類かありますが、特に重要な以下2つを解説します。

  • クリック(すべて)
  • リンクのクリック

クリック(すべて)

「クリック(すべて)」では広告のリンク先に設定したページへのリンクはだけでなく、広告へのいいね!などをクリックした回数も含んでいます。ヘルプでは以下が明記されています。

  • リンクのクリック
  • 関連するビジネスページのプロフィールやプロフィール写真のクリック
  • 投稿へのリアクション(「いいね!」や「超いいね!」など)
  • コメントやシェア
  • メディア(写真など)をフルスクリーンに拡大して表示するためのクリック
  • キャンペーンの目的に沿ったアクションとみなされるクリック(ページのエンゲージメントキャンペーンを支援するページへの「いいね!」など)

リンクのクリック

広告に設定したリンク先へのボタンをクリックした回数です。クリック(すべて)との違いとして、いいね!などを含みません。

なお「リンク先」はウェブサイトやアプリストアに限らず、リード獲得フォームやインスタントエクスペリエンス(キャンバス、コレクション)といったFacebook内のコンテンツも対象になっています。

「コンバージョン数÷リンクのクリック数」でコンバージョン率計算すると、より直接的な効果に近い数値が確認できるのでお勧めです。

参考:「クリック(すべて)」と「リンクのクリック」の違いを理解する

コンバージョン

Facebook広告のコンバージョン数について必ず知っておきたいのが、クリックスルーコンバージョン(広告をクリックした人によるコンバージョン)の定義です。

Facebook広告のクリックスルーコンバージョンは、リンクのクリックではなくクリック(すべて)を行った後で発生したものを対象としています。つまりFacebook広告ではいいね!などをしただけで、Facebook広告から直接リンク先に遷移していなかったとしても、その後検索など別の経路でコンバージョンに至った場合はクリックスルーコンバージョンとして計測されるのです。


この仕様を知らずにいると、Google アナリティクスなど別の計測ツールとの数字の乖離に悩まされます。どちらもコンバージョンに至るまでにFacebook広告で接点をもったという点では変わりませんし、Facebook広告ではCookieだけでなく同じFacebookユーザーか判断して計測する仕組みがある点で正確なのですが、Google アナリティクスなどを使用している場合はこの計測の仕様を覚えておきましょう。

カスタマイズしたレポートの保存とデフォルト設定

目的にあわせてこれらの指標を設定したら「プリセットとして保存」するのがおすすめです。加えて、広告管理画面に表示されるデフォルトに指定しておくと、次から設定の手順を省くことができます。

列をカスタマイズしたら「プリセットとして保存」にチェックして実行をクリックします。


「デフォルトに指定」をクリックすると、次にその広告アカウントを開いた時に自動的に選択されます。

最後に

広告アカウントの分析を行うときは、まずレポートの設定からはじめることをおすすめします。筆者は広告アカウントを分析する際の1割の時間はレポート設定に費やしています。正しい数字の把握が分析の質を左右してしますため、省略してはいけない重要な工程だと考えているからです。

もし今回紹介した指標の中で初めて知った指標があれば、ぜひ運用に取り入れてみてください。Facebook広告では今回紹介したもの以外にもたくさんの指標があり、使用できるものはすべてレポートのカスタマイズ画面で確認できます。いつの間にか新たな指標が増えていることもあるので、時々見直してみると良いでしょう。

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