Facebook広告に広告予算の使用方法をコントロールする「コストコントロール」オプションに新しく「平均目標達成単価上限(Cost Cap Bidding)」が追加されました。
参考:Maximize Campaign Results with Cost Cap Bidding | Facebook Business
Facebook広告では、コンバージョンの獲得などの目的に合わせて、自動で広告配信の最適化が図られます。Facebook広告の配信最適化は非常に優秀であるため、高いパフォーマンスを出すことが多いのですが、デフォルトでは設定予算内で可能な限り獲得を増やすように広告の配信が行われます。そのため、獲得単価が想定よりもはるかに高いのに、コンバージョンの獲得を優先して設定予算を使い切ってしてしまうなど、意図せぬ動きになってしまうこともあります。
広告を運用する立場からすると、コンバージョン獲得あたりの費用の目標値などを定めているケースも多く、予算内で獲得数を最大化させるだけではなく、一定の獲得単価の下で獲得数を最大化させるなど、予算の使用をコントロールしたいところです。
こういった要望に対して用意されているのが、コストコントロールのオプション機能なのです。このコストコントロールに今回新しく”平均目標達成単価上限”というオプションが追加されました。
※随時実装となっていますので、まだ反映されていないアカウントもあります。
目次
3つのコストコントロール方法による違い
今回のアップデートにより、「コストコントロール」は下記の3つから選択できるようになっています。- 入札価格上限
- ターゲット単価
- 平均目標達成単価上限(NEW)
少しわかりづらいと思いますので、個別に説明していきます。
コストコントロールを設定しない場合
コストコントロールを選択しない場合は、「最小単価」での広告配信となります。設定されている予算をすべて使う前提で、指定した結果を最大化するように調整がなされます。
「予算はきまっているけれど、どのくらいの費用対効果を目標とすればいいかわからない」「予算をすべて使って獲得数を増やしたい」という場合に向いています。
①入札価格上限
入札価格上限はその名前の通り、入札に上限を設ける設定です。「最小単価」のように何も設定していない状態ですと、予算内で獲得を最大化させるために必要であれば、上限なく入札が上がっていきます。そのため、競合の入札などによっては、想定よりもはるかに高い入札が行われてしまい、CPCやCPAが高くなってしまう恐れがあります。そういった事態を考慮して、あらかじめ入札の上限を設定しておくためのオプションが入札価格上限となるのです。
ここで一点注意なのですが、入札の上限設定であるので、獲得単価の平均は上限設定単価よりも低くなりやすいです。
コンバージョンだと少しイメージしづらいのでクリック単価で説明すると、平均クリック単価が20円とするとき、各クリックの価格は10円のものや、40円のものなど様々な価格が平均されて20円ということになります。入札上限価格でクリックの上限を30円と設定すれば、1クリックに対して30円を超えて入札されなくなるので、クリックはすべて30円以下になります。
コンバージョンの場合も同じなのですが、インプレッションでの課金なので少しイメージしにくいかもしません。コンバージョンの場合は、どの程度コンバージョンする見込みがあるかと考えて、設定した上限単価より獲得単価が高くなりそうなユーザには入札しないというイメージでとらえるとわかりやすいかと思います。
②ターゲット単価
ターゲット単価は、設定した単価になるように配信調整が行われる設定です。入札価格上限との違いは、入札価格上限はあくまで上限であって、平均単価が低くなるのであれば、なるべく低くなるように入札調整がされますが、ターゲット単価では、設定している単価よりも低くなる可能性がある場合でもなるべく設定されている単価に近づくように調整されます。
※指定された単価の±10%程度に収まるように調整されます。
コンバージョンの獲得を目的として、ターゲット単価を3,000円と設定していると、仮に2,000円でコンバージョンを獲得できる見込みがあっても、平均のコンバージョン獲得単価が3,000円に近づくように配信調整されます。
同じ獲得単価でデータを比較検討するなどの理由で、あくまで単価を一定にしたいときに使用するオプションとなります。
③平均目標達成単価上限
平均目標達成単価上限では、最小コストの最適化イベントを先に獲得することで平均値を上限よりも低く抑えることを目指します。ヘルプページによれば、コスト上限に近い高額な最適化イベントを獲得するのは、単価が低い最適化イベントがなくなったときだけです。
入札価格上限との違いは入札価格に上限をかけるのではなく、平均単価に上限を設けているという点です。クリックで例えると、各クリックはどんなに高くなってもいいから、平均クリック単価は上限を超えてはいけないということになります。
クリック目的で平均目標達成単価上限を30円とすると、各クリックはいくらでもいいが、平均が30円を超えてはいけないということになります。
平均目標達成単価上限ではコンバージョンの場合もわかりやすいですね。平均のコンバージョン獲得単価が設定した値を超えてはいけないという設定になります。なので、平均目標達成単価上限を3,000円と設定していれば、平均コンバージョン単価が3,000円を超えない範囲で獲得を最大化するようになります。
ターゲット単価との違いは、指定した単価を下回ることが許されているということです。ターゲット単価ではなるべく指定した単価に近づけるように広告の配信が調整されますが、平均目標達成単価では、あくまで平均単価の上限として設定しているので、それよりも低い単価で獲得ができる見込みがあるなら、より獲得単価を下げて獲得が最大化されるように調整されます。
コストコントロール使用時の注意点
コストコントロールを使用する際には、配信データが十分に溜まっていないとうまく機能しないことがあります。入札価格上限や平均目標達成単価上限を選択しても、上限が低すぎて広告が配信されなかったり、広告配信開始時からいきなりターゲット単価を設定すると、データが十分に溜まっていないので、しばらくして広告が全く配信されなくなるということも起こり得ます。
コストコントロ―ルで上限を設定することも大事ですが、実現不可能な獲得単価を設定してしまっては配信できなくなってしまうのです。そのため、広告配信開始から間もないころは、予算を上げすぎず、コストコントロールオプションを外すか、入札価格上限や平均目標達成単価上限を少し高めに設定しおいて、目安となるような配信データをためることがベストプラクティスに繋がっていきます。
コストコントロールオプションの使用に関しては下記のページもご参照下さい。
参考:コスト上限に関するベストプラクティス | Facebook広告のヘルプセンター
設定に頼りすぎず、データをしっかりと見て運用を
今回のアップデートでは、これまで入札単位でしか上限が設定できなかったものが、平均単価の上限で設定できるようになったので、より目標とする獲得単価にあわせた費用の調整が感覚的に使いやすくなったと言えそうです。
ただし、平均単価の上限設定しているから大丈夫と思って放置していると、広告費を使用できていなかったりといった問題が出てくるので、設定に頼りすぎず、データをしっかりと見て運用していくことは忘れないようにしたいですね。