Meta社(旧Facebook社)は、2022年1月19日以降、Facebook広告の詳細ターゲット設定のデリケートなトピックの削除を行うと発表がありました。併せて、広告コントロールの拡張への取り組みについてもアナウンスしています。
参考:Removing Certain Ad Targeting Options and Expanding Our Ad Controls|Meta for Business
本記事では、今回のアップデートの詳細と、今後の影響と対策について解説します。
詳細ターゲット設定のデリケートなトピックを削除へ
2022年1月19日以降、Facebook広告の詳細ターゲット設定において、健康、人種、民族、所属政党、宗教、性的指向に関連した原因、組織、人物を参照するトピックが削除されます。削除されるトピックの例は次のとおりです。
- 健康上の原因(例:「肺がんの認識」「世界糖尿病デー」「化学療法」)
- 性的指向(例:「同性結婚」「LGBT文化」)
- 宗教的慣習とグループ(例:「カトリック教会」「ユダヤ教の祝日」)
- 政治的信念、社会的問題、原因、組織、人物
詳細ターゲット設定は、Facebookのプラットフォーム上での行動や、ユーザーの興味・関心にもとづいたターゲティングになります。ユーザーの身体的特徴や個人の属性にもとづくターゲティングではありません。
しかし、これらのトピックは、一部のユーザーにネガティブな体験をもたらす用途で使用される可能性があると、公民権の専門家や、政策立案者および他の利害関係者からの懸念が寄せられています。本アップデートは、これらの意見に答えるかたちでの決定になります。
また、今回のアップデートで削除予定のトピックをターゲティング対象として設定している場合は、次のような影響が出るため注意が必要です。
- 2022年3月17日より前に対象の広告セットを一時停止している場合、削除予定のトピックを削除しないと広告セットをオンにすることができない。ただし、広告の編集は可能。
- 2022年3月17日以降、対象のトピックを使用しているキャンペーンや広告セット、広告の編集はできなくなる。
- 2022年3月17日以降、対象のトピックを使用している広告セットは複製できなくなる。それより前の2022年1月19日から複製できなくなるトピックもある。
- 2022年3月17日以降に対象のトピックを含むターゲティング設定に変更を加えるとエラーが出る。
広告主は、2022年3月17日までに、対象のトピックが含まれる広告セットを削除するか、広告セット内で対象のトピックを削除する変更を行う必要がありますね。
また、2022年1月19日から、削除対象のトピックをAPIを介して特定できます。詳細はこちらをご参考ください。
参考:Updating Meta’s Detailed Targeting options starting January 19, 2022|Meta for Business
削除されるトピックの代替手段を見出す
しかしながら、今回のアップデートは、削除となるトピックを前向きな社会変化を生み出す活動に役立てている広告主にもマイナスに働く可能性があります。
そこでMeta社は、今後も引き続きターゲットに広告が届くように代替の手段をいくつか提案しているので紹介します。
参考:Removing Certain Ad Targeting Options and Expanding Our Ad Controls|Meta for Business
エンゲージメントカスタムオーディエンスを使用する
寄付の促進を目的とした団体や、顧客と交流したい中小企業は、エンゲージメントカスタムオーディエンスを利用することで、自団体や自社のFacebookページをお気に入り保存した人や、ニュースフィードに投稿した動画を視聴した人などにアプローチができます。
自団体や自社のFacebookコンテンツに何らかのアクションを起こした人たちは、すでに広告主の目的やブランドへの関心が高いため、エンゲージメントカスタムオーディエンスで再度アプローチすれば自団体への寄付や、自社と交流してくれる可能性が高いです。
参考:エンゲージメントカスタムオーディエンスについて|Facebook広告のヘルプセンター
エンゲージメントカスタムオーディエンスをもとに類似オーディエンスを作成して配信する
エンゲージメントカスタムオーディエンスにもとづいた類似オーディエンスを作成することで、さらに配信ユーザーを広げることが可能です。
自社のFacebookコンテンツに何らかのアクションを起こした人(エンゲージメントカスタムオーディエンス)とFacebook内での行動が似ていたり、共通の特徴をもっていたりする新規ユーザーに広告を配信できます。
参考:類似オーディエンスについて|Facebook広告のヘルプセンター
ウェブサイトカスタムオーディエンスを使用する
ウェブサイトカスタムオーディエンスと、ウェブサイトカスタムオーディエンスにもとづいた類似オーディエンスもおすすめです。
ウェブサイトカスタムオーディエンスを使用すれば、自社のウェブサイトに訪問したことのある、既に自社のWebサイトや商品に関心のあるユーザーに広告を配信できます。
参考:ウェブサイトカスタムオーディエンスについて|Facebook広告のヘルプセンター
地域によるターゲット設定を使用する
地域性のあるサービスの場合は、地域によるターゲット設定を使用すると良いでしょう。
地域によるターゲット設定を使用すると、国、地域、都市などの場所にもとづいたオーディエンスの絞り込みが可能です。店舗の商圏の範囲内や、オンラインストアであれば商品の配送エリア内にいるユーザーに広告を配信する場合に活用できます。
参考:地域によるターゲット設定について|Facebook広告のヘルプセンター
広告コントロールの拡張で安全性や信頼性のさらなる向上を図る
Meta社は、広告システムを簡素化することで、広告主とユーザーにより多くの価値を提供し、悪用の可能性を減らすために、定期的にターゲティング設定オプションを確認して更新・削除をしています。
参考参考:Simplifying Targeting Categories|Meta for Business
しかし、ターゲット設定オプションの更新を行っても、ユーザーが関心のない広告コンテンツが表示される可能性はあります。
そこでMeta社は、特定の種類のコンテンツについて、ユーザー自身が表示する広告の数を管理できるように広告コントロールの拡張にも取り組んでいくと発表しました。
現在、ユーザーは政治、子育て、アルコール、ペットに関連する広告の表示を減らす選択ができ、2022年のはじめには、ギャンブルや減量など、より多くの広告コンテンツをユーザーが管理できるようになります。
まとめ
Meta社では、ユーザーにネガティブな影響を与える可能性のあるターゲティングオプションについて、今後も改善を続けていくと考えられます。
特定のオーディエンス設定が利用できなくなることに懸念を抱く方もいるかもしれませんが、カスタムオーディエンスや類似オーディエンスなどを使用することで引き続き自社の商品やサービスに関心のあるユーザーに広告を届けることが可能です。
ひとつのターゲティングに固執せず、ターゲットとなるユーザーの関心事はなにかを考えることで、新しいターゲティング方法を模索し続けることが重要になってくるのではないでしょうか。