
店舗集客の手段としてWeb広告は選択肢の1つかと思いますが、利点があいまいだったり、上手くいくのか不安だったりする方もいるのではないでしょうか。
今回は、店舗集客にWeb広告がオススメな理由から、成功させるポイント、注意点まで、基本の考え方をまとめました。


目次
店舗集客にWeb広告の活用がオススメな理由
店舗周辺でのチラシ配布やポスティング、既存顧客からの紹介キャンペーンなどのさまざまな集客手段があるなかで、Web広告を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか?
ほかの手段と比較したWeb広告のメリットは以下の3つです。
- ターゲティングの精度が高い
- 少額から広告を配信できる
- リアルタイムで効果を測定・最適化できる
Web広告は、広告媒体が収集するユーザー情報から、地域ターゲティングはもちろんのこと、ある場所や物事に興味関心がある、Webサイト内で特定の行動をした、といったユーザーに絞って広告を見せることができます。ターゲティングごとに広告メッセージを柔軟に出し分けることも可能です。
また、1日数千円といった少額から広告を出稿し、配信結果をほぼリアルタイムで確認することができます。そのため数時間単位での軌道修正や、成果が良い場合はさらに投資を増やすといった調整が行えます。
チラシやポスティング以上に細やかで精度の高い広告出稿ができるのが、店舗集客においてWeb広告を活用するメリットです。
一方で、チラシやポスティングにもWeb広告にはない利点があります。例えば、実物が手元に残るため一度の配布で何度も思い出してもらえたり、身近にある店舗であると実感してもらいやすかったりします。
また、Web広告はクリック単価がオークションにより都度決まるため、競合性が高かったり適切な運用ができないと費用対効果が悪化する恐れがあります。その点、紙のチラシがあれば印刷や配送などの費用が急激に高騰するリスクは比較的低いでしょう。
集客手段にはそれぞれにメリット・デメリットがあるため、目的に合わせた使い分けや併用が効果的です。
店舗集客をWeb広告で成功させる3つのポイント
効果的に扱えれば、効率的に店舗集客ができるWeb広告を行ううえで、押さえておきたい3つのポイントを解説していきます。
「来店見込みのあるユーザーと接点をもち、行動を喚起する」という他の集客手段にも通ずる考え方のため、ぜひ身構えずに読んでください。
①配信したいユーザー像から広告媒体や配信方法の選定する
Web広告といってもGoogleやYahoo!JAPANで検索したときに表示される検索広告や、InstagramやXを閲覧していると流れてくるSNS広告などさまざまですよね。どのような広告媒体や配信方法を選ぶのかは、成果に大きく影響する重要なポイントです。
店舗集客を目的とした広告配信においては、特に以下の2つを押さえて優先度を決めるのがオススメです。
- 配信地域のコントロール性
- ユーザーにリーチするタイミング
それぞれ解説します。
配信地域のコントロール性
広告を配信する地域をどのような区分で指定できるのかや、地域ごとに配信の強弱調整を行えるかといったコントロール性が、広告媒体を選定するうえで非常に重要です。
例えば、Google 広告では都道府県、市区町村単位での指定(人口が少ない一部地域は指定不可)と、特定の地点からの半径を指定でき、商圏に合わせて柔軟に組み合わせることができます。またポスティングのように住所情報だけではなく、ユーザーの所在地・頻繁に訪れている地域・関心を示している地域に配信することが可能です。
また、Meta広告では店舗所在地を追加することで、店舗の近くにいるユーザーに広告を表示することができます。
参考:Meta広告マネージャで店舗所在地機能を利用した広告を作成する | Metaビジネスヘルプセンター
店舗集客ではいかに来店できるユーザーに効率良くリーチするのかが重要なため、広告媒体の選定ではどのように配信地域を設定できるのかを確認するようにしましょう。
ユーザーにリーチするタイミング
もう1つ、店舗集客において重要なのがタイミングです。
あなたはWeb上で店舗をどのように知ったり、来店を検討したりしますか?例えば美容室を探す場合、Google 検索で「池袋 美容室」と入力する、TikTokで「#ピンクカラー」と検索する、ときには複数サイトやアプリを行き来しながら悩む…
そんなときに「池袋駅徒歩5分 カラーが得意な美容室」という広告が目に留まれば、興味をもってもらえそうですよね。
広告媒体や配信方法はユーザーにリーチしたいタイミングに広告を出せるかどうかを判断材料の1つとすることをオススメします。
Web広告全般にいえる媒体選定のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
②「移動」を踏まえて広告配信する地域を決める
顧客はどこから来店するのでしょうか?いわゆる商圏を把握することは、Web広告に限らず集客全般において重要ですよね。
次に、Web広告で店舗集客を実施するうえで肝となる、配信地域の決め方について解説します。
ユーザーはどこから来店するのか考える
サービスやターゲットによっては、店舗へ向かう出発地点は自宅だけではない点に留意しましょう。
平日夜に職場から、子どもの送り迎えのついでに、週末家族で行楽地に行った帰りに…などのシチュエーションの想定により、店舗付近に「住んでいる」人以外をターゲティングする選択肢をもつことができます。
店舗への需要からユーザーが許容できる移動距離を考える
出発地点から店舗までの距離の許容度は、店舗への需要の高さによって異なります。
店舗の需要は、業種によって異なる要因で決定されます。例えば、「脱毛サロン」や「美容院」などの業種では、店舗の距離や競合店舗の密集度が需要に大きく影響します。
さらに、営業時間や価格帯、そして顧客に提供する独自の価値(例:特別なサービスやリピーター特典など)も、需要を左右する重要な要素です。したがって、需要は単に業種や競合の存在だけでなく、これらの複合的な要因が絡み合った結果として決定されます。
例えば、コンビニエンスストアは現在地からもっとも近い店舗を利用することがほとんどかと思います。一方、コンビニエンスストアよりも多い美容院だと、カラーリングが評判の店舗であれば、自宅から5駅先でも通いたい人はいるでしょう。
業種や競合店舗の近接度などの1つの指標のみから商圏を判断すると、知らないうちに機会損失となっていることがあります。出店経緯や他社と差別化を図っている部分など、その店舗ならではの特徴から改めてユーザーが許容できる移動距離を検討してみてはいかがでしょうか。Web広告を活用して検証を行うことも可能です。
地形や来店人数から移動手段を考える
都市部と地方、また地形などの地域性の違いや、来店人数によって移動手段は異なります。公共交通機関が少ない地方では、自家用車を使う機会が多く、店舗までの距離と所要時間はおおよそ比例しています。
一方、都市部では電車やバスなど公共交通機関が主であるため、単純な店舗までの距離と所要時間が必ずしも一致しないケースも少なくありません。
例として、駅利用者=電車移動者の来店が見込める、荻窪駅徒歩5分にある店舗を集客する際の配信地域を検討してみましょう。
「店舗から半径5km以内に配信するのはどうか」という仮説を立てると、下井草駅周辺が対象に含まれます。荻窪駅と下井草駅は路線がつながっておらず、電車移動だと遠回りとなり約25分かかります。
一方、荻窪駅から10km以上離れた国分寺駅は、乗り換えなしで約18分。サービスによっては、十分に来店可能性があります。
配信地域の見直し方は「狭める・広げる・細分化する」の大きく3つです。今回の例だと、細分化する・広げる方法が考えられます。
細分化する場合、店舗から半径1.5km以内(徒歩20分程)+店舗から半径20km以内の、荻窪駅に乗り換えなしで行ける駅周辺半径1.5km以内を商圏とします。
広げる場合は、国分寺駅周辺が含まれるよう店舗から半径15km以内に広げたうえで、広告媒体の機会学習による最適化で来店見込みの高いユーザーに積極的に広告を配信するという手もあります。
既存顧客のデータは活かしつつ、新規開拓の可能性を想定する
集客方法が違えば、顧客の属性も違う場合があります。
例えば、今までは集客活動が店舗周辺にポスティングする方法のみであった場合に、「既存顧客の8割は店舗から半径1km以内に住んでいるというデータなので、Web広告でもそれを商圏としよう」と考えてしまうのは機会損失となる場合があります。実際にはもっと遠くに住んでいる人にも来店してもらえる店舗であるのに、既存顧客からターゲット像を描いてしまい、新たな可能性を模索する機会を生み出せないのです。
既存顧客のデータは活かすことも重要ですが、鵜呑みにせず、改めてWeb広告の配信地域となる商圏を検討することで、施策による収穫や気付きを増やすことができます。
③広告メッセージは「来店しやすい」ように
広告メッセージを決めるうえで、サービスをよく知る事業者側だからこそ、「ユーザーにはどう伝わるのか?」という視点は見落としがちですが欠かせません。
店舗集客においては、広告メッセージに来店の決め手となる肝心な情報が含まれているかどうかがポイントです。情報が多すぎても重要な情報が他に紛れて伝わらなかったり、ユーザーが途中で飽きて離脱してしまったりする恐れがあるため、優先度をつけることも重要です。
Web広告で店舗集客を行う場合に、含めておきたい情報は以下の2つです。
- 店舗の場所
- 来店ハードルを下げる情報
店舗の場所
店舗集客では、来店できる人に広告を見てもらう、広告をクリックしてサイトを訪問してもらうことが重要ですよね。そして、ユーザーに店舗が行ける場所にあることを認識してもらうことも同じくらい重要です。
そこで、市区町村名や最寄り駅名、駅からの距離を広告文に含める等で、来店できる人に、来店できる場所にある店舗であることを伝えましょう。
以下は、検索広告に店舗の場所を含めない場合と、含める場合の比較です。
例)北参道周辺の美容院
検索語句:北参道 美容院
before: ヘアサロンAnagrams|ご予約はこちら
after: 北参道徒歩2分のヘアサロン|【Anagrams】ご予約はこちら
来店ハードルを下げる情報
Web広告施策では、予約フォームの送信などWeb上でユーザーにアクションしてもらうことに意識が向きがちですが、その先のKPIとなる来店を見据えたコミュニケーションを行うことも重要です。
例えば、入会時の身分証明書や、ジムのシューズ、脱毛のシェービングなど、事前準備や持ち物を記載することで、来店イメージがもてるうえ、来店時にスムーズにサービスを提供できます。強みとして「手ぶらOK」を訴求することも有効です。
また、店舗住所やマップ、アクセス方法なども、来店の判断材料となったり、ハードルを下げたりするために広告メッセージとして含めると良いでしょう。
Web上で店舗集客するうえでの注意点
Web上で店舗集客を行ううえで、注意しておきたい点が2つあります。
①店舗のキャパシティを加味する
Web広告で店舗集客を行う際の注意点として、店舗のキャパシティを把握し、連携しながら配信を行うことが重要です。
例えば、脱毛サロンやエステといった回数券を購入してもらうサービスにおいて、スタッフ人数や施術台数のキャパシティを超えた集客は、待ち時間を増やしたり、無理に回転数を上げなければならなくなったりとサービスの品質低下につながり、解約率上昇やクレームの増加を招きます。
また、Web広告経由でどのような人が来店しているのかにも気を配れると良いでしょう。来店後にサービスとのミスマッチが多かったり、店舗にとって積極的に来店してほしい属性とは異なっていたりする場合、広告のターゲティングやメッセージを見直したほうが良いかもしれません。
上記はどれだけ安く広告コンバージョンにつながっているとしても、結果として費用対効果の悪いお金の使い方ということになります。
Web上の申し込みフォームの段階で、ユーザーが来店を希望する店舗や日時に空き店舗がなく、せっかく興味をもってくれたのに来店につながらないというケースもあります。なぜか申し込みが少ない…という場合には、予約が埋まっている店舗周辺へ広告配信をしてしまっていないかなど、いま一度広告設定をチェックしてみてください。
店舗集客において店舗状況の把握と連携は必要不可欠です。特に店舗を管理する人と広告を運用する人が異なる場合にはぜひ情報交換を行うことをおすすめします。
②来店までのフォローも大切
申し込みフォームの送信などでユーザーの来店の意思が確認できたら、来店までの期間にフォローを行うことも重要です。
フォーム送信直後の入力情報の確認メールでは予約日時にミスがあれば早めに気付いてもらえますし、前日には店舗への行き方を改めて送ることで道に迷わず来店してもらえるほか、リマインドの役割も果たします。やむを得ない理由で来店できなくなった場合も、リマインドによりキャンセルの連絡を入れてもらえる確率を上げることで店舗のオペレーションはしやすくなりますよね。
「フォーム送信は発生しているのに来店は増えない…」といった場合は、広告メッセージの見直しのほか、送信後のコミュニケーションが改善できそうかも検討してみてください。
まとめ
今回は、店舗集客をWeb広告で実施するうえでのポイントと注意点を解説しました。
ターゲットのいる地域と媒体、来店につながるタイミングに出稿することと、来店につながる広告メッセージであることがWeb広告での店舗集客において重要です。また、店舗のキャパシティを加味した運用、広告コンバージョンから来店までのコミュニケーションにも配慮しましょう。
Web上のユーザーや行動は直接見られないですが、他の集客方法と同様に、「来店見込みのあるユーザーと接点をもち、行動を喚起する」ことが出来ているのかを意識した広告配信が、成果への近道です。
まずは、数ある集客手段の中でWeb広告を実施するかどうか、本記事を参考に検討してみてください。
