配信前にミスを防ぐ!バナーデザインが完成した時に広告運用者が確認すべきポイント

配信前にミスを防ぐ!バナーデザインが完成した時に広告運用者が確認すべきポイント
この記事は最終更新日から約2年が経過しています。

新しい広告バナーが完成!デザイナーから上がってきたバナーデザインを確認する時にこんな経験をしたことはありませんか?

「入稿前にミスに気がつかず、誤字のまま配信してしまった」
「なんとなく違和感があるけど、何が悪いのか分からなくてデザイン担当者に指摘できなかった」

制作しているデザイナー本人はテキストの誤りに気づきにくかったり、そもそも発注の意図やイメージがうまく伝わっていなかったりと、思わぬミスが発生しがちです。

今回は、バナーデザインが完成した時に意図通りのバナーになっているか、抜け漏れがないかをスムーズに確認するために、広告運用者が確認しておくべきポイントを紹介します。

バナーデザインが完成した時に見るべきポイントは、大きく分けると次の3つです。

  • 要件を満たしているか
  • 法的に問題がないか
  • 配信目的にあっているか

以下では、それらの項目をさらに細かく分けて9つのポイントとしてご紹介します。


要件を満たす

どんなに良いバナーでも、最低限のルールを守っていなければ配信できません。まずは要件をしっかり満たしているか確認しましょう。

1. テキストの表記

ミスとしてよくあるのが誤字脱字です。特に漢字は、誤って自動変換されたものをそのまま使ってしまったり、勘違いで異なる漢字を正しいと思って入力していたり、送り仮名が抜けていたりなどミスが発生しやすいため注意が必要です。

併せて、文字が潰れていたり、見切れてしまっていないかもチェックして下さい。

2. レギュレーション

ここでのレギュレーションとは、バナーデザインにおける、守らなければならないルールのことを指します。具体的には以下の3つのような内容が挙げられます。

広告媒体の入稿規定

広告媒体やプロダクトには、それぞれ入稿のルールが定められています。これを守らなければ配信自体ができない可能性があります

また掲載面によっては入稿はできても、上下が切り取られてしまったり、重要な要素が隠れるなど、意図せぬ表示のされ方になることがあります。事前に「上限〇%に重要な要素は入れない」など媒体が提示しているセーフエリアを考慮して制作した上で、チェック時にも各媒体のシミュレーターやプレビュー機能で確認しておくと安心です。

入稿規定は変更されることもあるため、媒体のヘルプページに掲載されている最新の情報と照らし合わせるようにしましょう。

広告主ごとのルール

広告主のレギュレーションは独自のルールが設けられていることがあり、普段意識していない点にも気を付ける必要があります。

具体的には、ロゴの使い方やデザインのトンマナ(「トーン&マナー」の略。ブランドのコンセプトや雰囲気に一貫性を持たせるため色やフォントを指定するなど)、バナー内のテキスト量、表現などさまざまです。

ガイドラインがない場合は、以下のように早い段階で軌道修正できるように動くとスムーズに制作ができます。

  • 事前にレギュレーションが定められていることが多い「ロゴ」「トンマナ」「表現」のルールがないかを確認する
  • 最初は納期を長めに取って構成案、ラフ、初稿と細かく確認を取るようにする

また、似た商材の制作を行っている場合、他のレギュレーションと混同しやすいのでその点にも注意しましょう。

まずは一度、すべてのレギュレーションに目を通し、忘れてしまいそうな制限事項があれば事前にまとめておくと抜け漏れが発生しにくくなります。

3. 表現

個人の外見的特徴をコンプレックスとして打ち出すなど、広告ポリシーとして禁止されている表現は当然避けなければなりません。しかし、それ以外でも広告主のブランドイメージを損ねていないか、誰かを傷つけたり不愉快にしていないかは改めて確認しましょう。

主観だけではなく、「見込み顧客、既存顧客、関係者、ターゲットではない不特定多数の目から見てどう映るか?」という多角的な視点を持つことが重要です。

法律や規約を遵守する

広告表現や素材には、使用する際の法律が定められています。違反すると、消費者も広告主も不利益を被ることになるため、十分に注意する必要があります。

4. 情報の正確性

誤解が生じたり信頼性を損ねないために、バナー内に記載されている情報は正確である必要があります。おもに関わってくる法律は「景品表示法」と「薬機法」です。

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

一般消費者の利益を保護することを目的とした法律です。商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制したり、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限する内容になっています。

バナーでは、実績やエビデンス、キャンペーン期間などに誤りがあると景品表示法に抵触する可能性があるため注意しましょう。

参考:不当景品類及び不当表示防止法 | e-Gov法令検索

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

医薬品等の製造、表示、販売、流通、広告などについて細かく定めた法律です。品質や有効性、安全性を確保することを目的としています。

バナーに関連する部分としては、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器に対して、明示的・暗示的に関わらず、虚偽・誇大広告を禁止するルールが定められています。

いわゆる健康食品については、直接薬機法の制限を受けるものではありません。しかし、医薬品のような効果効能を謳った場合、無承認無許可医薬品と捉えられ、 薬機法に抵触するため気を付ける必要があります。

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | e-Gov法令検索

5. 権利侵害の有無

バナー内の要素には、様々な権利が絡んでいます。権利者の利益を損ねる使い方をしてしまうと法に触れる可能性があるため、しっかり確認しましょう。おもに関わってくる法律は「著作権法」と「商標法」です。

著作権法

著作権法は、著作物の利用に制限を設けることで、著作者の権利を保護することを目的としています。バナー制作においては、使用する写真やイラスト、ロゴ、音楽などが主な著作物に該当します。キャッチコピーや文章自体は、創作性が高いものは著作物として認められることがありますが、ありふれたものは認められません。

参考:著作権法 | e-Gov法令検索

著作権に関して注意すべきポイントは以下の2つです。

商用利用の可否
前提として、広告バナーに使用する素材は、商用利用OKな素材でなければなりません。著作権フリーの素材でも商用利用は不可というケースもあるため、しっかり確認しましょう。

使用素材の制約
クライアントから提供された素材ではなく、外部サイトの素材を使用する際は特に注意が必要です。使用できる期間や条件、方法などを守れているかをチェックして下さい。

例えば、素材サイトのPIXTAには以下のような禁止事項が定められており、違反していた場合は購入しても使用できません。

・ロゴ、サービスマーク、その他商標、意匠等の権利が発生するものへの使用

・被写体に、吹き出し、字幕等を利用し又は虚偽の年齢・氏名その他プロフィールを関連付けること等によって、イメージ画像としてではなく、被写体が特定の営業、商品若しくはサービスを利用等しているような印象を与える使用

・風俗産業、ポルノ、アダルトコンテンツ、出会い系サイト他それらに準じるものでの使用

利用規約 - 写真素材 PIXTAより一部引用

フリー素材サイトのいらすとやでは、禁止事項のほかに、以下のように使用枚数に応じたルールも定められてます。

以下の場合、有償にて対応させていただきます。
素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)

ご利用について - いらすとやより一部引用

見知った素材サイトでも、思わぬ規約違反をしてしまうリスクがあるため、一度は必ず利用規約に目を通すようにしましょう。

商標法

商標法は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するための法律です。

バナーで他社の商標(社名・商品名・サービス名など)を使用する場合は、その商標が登録されているかどうかを確認し、その使用が認められた場合に限り使用することができます。

参考:商標法 | e-Gov法令検索

配信目的にあっているか

要件を確認したあとは、配信目的に合ったバナーデザインになっているかを確認しましょう。つい見栄えの良し悪しに目が行きがちですが、一番重要なのは広告の配信目的を果たせるかどうかです。

6. ターゲットの注意を引けるか

まずはバナー自体を目に留めて貰わないと、どんなにコピーやデザインが優れていても行動を促すことはできません。動画なら冒頭、静止画ならパッと目に入ったときに、「なんだろう?」「自分に関係ありそうだ」と1秒で興味を引くものになっていることが重要です。

構成案を作る際に、何かしらの興味を引く要素は含めているのを前提として、「引きとなる要素が瞬時に視認できるデザインになっているか?」という点を意識しましょう。

7. 情報がパッと理解できるか

次にチェックしたいのは、伝えたい情報がパッと理解できるかどうかです。

例えばメインコピーが他の要素と馴染み過ぎていたり、サブコピーの方が先に目に付いてしまうと、誰に向けた話をしているのかよく分からずスルーされてしまう可能性が高くなります

また、情報量自体が多すぎると優先順位を付けても雑多な印象になるため、実際にデザインを見て理解しにくいなと思ったら、要素を削ることも検討しましょう。

ずっと同じバナーを見ていると目が慣れてしまい、「ターゲットの目に留まるか?」「情報をパッと理解できるか?」を判断しにくくなるので、少し時間を置いてから確認するのがオススメです。

8. アクションを促せるか

次に、ターゲットに起こしてほしいアクションを促せているかどうかを確かめます。

アクションを促す要素としては、大きく分けて以下の2つが挙げられます。

アクションを促すためのコピー
「もっとみる」「〇月×日まで」「初回〇%OFF」など

アクションを促すためのデザイン
ボタンのようにタップしたくなるもの、矢印や吹き出しをボタンの近くに添えるなど

媒体の配信フォーマットには、CTA(Call To Action)ボタンがデフォルトで入っていることが多かったり、見出しにアクションを促すためのコピーを入れることができるため、バナー内では省くという選択肢もあります。

バナー内の方が要素の視認性が高いので、より強くアクションを促したい場合は、バナー内外の両方にアクションを促す要素を入れることをオススメします。

PinterestアドやGoogle ディスプレイネットワークの300×250サイズ、Yahoo! ディスプレイ広告のブランドパネル広告などCTAが付いていない広告枠もあるため、実際にどう表示されるのかを考慮した上でチェックしましょう。

9. 配信面に合っているか

最後に、配信面に合っているかをチェックしましょう。複数の媒体で広告を配信する際は、同じバナーを流用するケースもありますが、それぞれのメディアでの表示のされ方やユーザーのモチベーションは異なります。最大限の成果を出すには、配信面に合わせた訴求や情報量、デザインにする必要があります。

押さえておきたいのは「視認性」と「フォーマット」です。

視認性

同じサイズのバナーでも、配信面によっては小さく表示されて要素が見づらく、成果が落ちることがあります。特に、PC画面では問題なくても、画面の小さいスマホで見ると小さいということはよくあるので、ターゲットが実際に見る環境を踏まえて確認しましょう。

表示面に対しての情報量が多く、各要素が小さいと感じた場合は、内容を絞るなど工夫が必要です。

例えば、LINE広告のSmall image(画像小)なら、以下のように要素を分解して広告パターンを作成する例が紹介されています。

画像引用元:広告の表示機会がアップして費用は抑制?いま、活用すべき「Small image(画像小)」|LINE for Business

フォーマット

配信面に自然に馴染むフォーマットにすることで、広告を条件反射的にスルーしてしまうユーザーにも見てもらえたり、情報をより理解してもらいやすくなるなどのメリットがあります。

例えばTikTok広告なら、以下のようなポイントを意識した、UGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)のようなオーガニック投稿に合わせたバナーを推奨しています。

画像引用元:ユニークでインパクトのあるTikTokコンテンツを作るためのおすすめガイド

実際にUGCライクなテキストありのバナーの方が、そうでないものよりもCVRが約141%、6秒視聴率が約129%になったという調査結果もあり、成果にも関わる重要な要素と認識しておきましょう。

画像引用元:TikTok運用型広告で効果的なクリエイター活用方法を公開

まとめ

ミスのない意図通りのバナーデザインを修正なしで作れるのは理想的ですが、ヒューマンエラーをゼロにしたり、発注者とデザイン担当者の間で最初から認識を一致させることはほぼ不可能です。

まずは、制作前に認識のすり合わせを十分に行った上で、今回ご紹介したような観点をチェックリスト化し、スムーズに制作を進められる仕組みを作りましょう。

制作前のすり合わせに関しては、以下の記事で紹介しているポイントを意識して進めるのがオススメです。

ぜひこの機会にルールや進め方を見直し、制作から配信までをよりスムーズに行えるよう意識してみて下さい。

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