Web広告で成果を上げるために、LP(ランディングページ)はとても重要な要素です。
しかし、「伝えたいことは固まっているのに、いざ作ろうとするとどんな構成にすれば良いのかわからない」「作ってみたものの成果が出ない」という方も多いのではないでしょうか?
実は、LPに伝えるべき情報は盛り込まれているのに、伝える順番や書き方が惜しいために成果が伸びないというケースは数多くあります。
そこで本記事では、基本的なLPの構成から成果を上げるために意識すべきポイントまで、詳しく解説します。
※記事LPやアンケートLPなどさまざまな形式がありますが、今回は商品の購入やお問い合わせといったコンバージョンを直接的に促す縦長のランディングページ、いわゆる「商品LP」を想定しています。
目次
商品LPの基本構成
商品LPは「ファーストビュー」「ボディ」「クロージング」の大きく3つのパートに分けられます。
まずは、それぞれのパートにどんな役割や特徴があるか見ていきましょう。
ファーストビュー
ファーストビューは訪問者がLPに到着したときに最初に目にする部分です。
Webサイトの訪問者は3秒以内に自分に必要なサイトかどうかを判断すると言われているため、ここでユーザーの心を瞬時に掴まなければなりません。魅力的なキャッチコピーやビジュアルで興味を引き、続きを読みたくなるように工夫することが重要です。
ボディ
ボディはLPの主要な情報を詳しく伝える部分です。商材の詳細を知りたいと思っているユーザーに対して、具体的なベネフィットや必然性などを伝えて意欲を高めます。
また、実績や顧客の口コミ、成功事例、根拠なども併せて提示し訪問者に信頼感を与えることも大切です。
クロージング
クロージングはLPの最後の部分です。訪問者の背中を押し、行動を促す役割を果たします。
ここまで読み進めたユーザーはかなり意欲が高まっているものの、あと一歩を躊躇している状態なので、今すぐコンバージョンしたくなる内容やCTA(Call To Action)ボタン、不安を払拭する内容を伝えるようにしましょう。
LPの各パートで押さえるべきポイント
LPの構成を考える際、成果を上げるために全体を通して注意する点と、ファーストビュー・ボディ・クロージングの各パートで押さえるべきポイントを具体的に解説していきます。
全体を通して押さえるべきポイント
構成を考える上で、常に念頭に置いておきたいのは「最後まで読み進めてもらう工夫をすること」と「伝える情報の順序をターゲットに合わせる」ことの2点です。
最後まで読み進めてもらう工夫をする
いくら書いてある内容が良くても、読まれなければ意味がありません。最後まで読み進めてもらうためには、以下を意識しましょう。
一文が長かったり難しい言葉がたくさん使われていると、スムーズに読むことができず、離脱に繋がってしまいます。できるだけシンプルにまとめる、同じ語尾や難しい表現は避けるなど、読むストレスを減らすことがポイントです。
続きが読みたいと思わせる
「こういう悩みはありませんか?」「実はそれ、〇〇が理由なんです」といったように、続きが気になってつい読み進めてしまう文章になっているか意識しましょう。感情の起伏がある、テンポが良い、ストーリー性があるなど、訪問者の心を動かす書き方にすることが大切です。
伝える情報の順序をターゲットに合わせる
読み進めてもらう工夫をしても、内容自体に興味が持てなければ離脱されてしまいます。そのため、「ターゲットが求めている情報の優先順位」と「商品の良さが伝わりやすい順序」の2つを意識して構成を考えましょう。
顕在層向け、潜在層向けのLPの構成を例に挙げると、以下のようになります。
ある程度欲しいもののイメージが明確化しているユーザーが、検討するにあたって必要となる情報を中心に伝えて購入を促す
潜在層向け
自分で行動を起こすほどではないが悩みを抱えているユーザーに対して、悩みに共感し、問題を提示して行動への意欲を高めた上で、解決策として商材を出す
また、同じ顕在層向けでも、商材が違えば適切な順序も変わります。
口コミや実績を上部に配置し、気分がある程度高まった状態で、改めて商品の必要性やベネフィットを伝える
潜在層向け×会計ソフト
経理担当者のよくある悩みとその解決策に紐づけて特徴を説明し、求めているスペックを満たしていることを伝えた上で、比較や実績のコンテンツで後押しする
これらはあくまで一例で、同じファンデーションというカテゴリでも、何を求めてユーザーが選んでいる商品なのかによって伝えるべき順序も変わります。
型に沿ってコンテンツを作成し並べるのではなく、ターゲットや商材の種類、強みに応じて柔軟に構成を組み立てることが大切です。
ファーストビューで押さえるべきポイント
LPの顔であるファーストビューでは、「魅力的なキャッチコピーやビジュアルで興味を引き、続きを読みたくなるように工夫することが重要」とお伝えしましたが、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
訪問者に共感する
LPを訪問した人が自分に必要なサイトか一瞬で判断できるように、ファーストビューには「これは自分の悩みに合っていそう」「自分もこうなりたい」と思えるような情報を盛り込みましょう。例として、以下2つのアプローチ方法があります。
現状の問題を提示し、「自分のことを分かってくれている」という信頼感を与えます。むやみに不安を煽るのではなく、親近感の持てる表現で寄り添うようなイメージです。
理想の提示
買うことで得られるポジティブな未来を提示します。商材を紹介するというよりは、その商材があることによって得られる体験や感情を想起させるようなイメージです。
たとえばファーストビューで問題提起をしたあとに、ボディやクロージングで理想の提示をする……といったアプローチもできます。以下のように、商材に合わせて内容や割合を調整しましょう。
問題提起を中心にしつつ、購入後の明るい未来も描けるような内容にする。
スイーツ/家具/ファッションなどの「憧れを実現するための商材」
理想の提示が中心。問題提起は、味や見た目以外の付加価値(健康にいい、生活の不便を解消するなど)があれば必要に応じて取り入れる。
ボディで押さえるべきポイント
ボディはLPの主要な情報を詳しく伝える部分です。ここでも売る側が伝えたい順番で商品の魅力を伝えるのではなく、「訪問者がこのタイミングで何を考えているか」を徹底的に考える必要があります。
信頼性を高める
たとえ広告をクリックしたユーザーでも「本当に?」と疑いながらLPを読み進めていることも少なくありません。バナーやファーストビューで訴求している内容を信じてもらえるような情報を入れ、安心して購入できるようにしましょう。
具体的には以下のような内容です。
累計販売数、利用者数、ランキング、売上シェア、取扱店舗、設立年数など
顧客の声
満足度、口コミ、インタビュー記事、事例紹介など
第三者によるデータ/意見
専門家や有名人の推薦、第三者機関からの認定、資格、メディアへの掲載歴、受賞歴など
類似したものが多い商材の場合は「これなら失敗しなさそう」と思えるかが購入の決め手になりやすいです。認知度が低い商材や企業の場合は「ちゃんと届くのか」「書いてある内容は本当なのか」といった不安を感じやすいので、いずれのケースでも証拠となる情報を分かりやすく示すことが重要になります。
もし現時点で書ける内容が少ないという場合は、既存顧客へのアンケートを実施して満足度を測ったり、実験や調査をして必要なデータを用意するのも一手です。
広告媒体の規定や薬機法、景品表示法などのルールを遵守した上で表記しましょう。
商材の便益を伝える
商材の紹介パートでは、こだわりのポイントや成分、技術、生産秘話などを深掘りしながら伝えましょう。ただし、単に強みや特徴を並べるだけでは不十分です。あくまでユーザーが求めている便益を軸に、それに結びつく商材の具体的な特徴を伝えることを意識し「今抱えている悩みを解決できそう」「コレが欲しい」と思ってもらえるようにしましょう。
× 「重さ99gの折り畳み日傘」
〇「スマホより軽い、持ち歩ける日陰」
× 「リチウムイオンバッテリーの新技術。フル充電で最大12時間」
〇 「電源の無いカフェでも気にせず作業」
クロージングで押さえるべきポイント
ここまで読み進めたユーザーはかなり意欲が高まっているものの、あと一歩を躊躇している状態です「。本当に買っていいのか」「今すぐ買うべきなのか」と迷っている訪問者の背中を押し、行動を促しましょう。
必然性を担保する
どんなに便利でユーザーの悩みを解決できるものだったとしても、購入されないケースはよくあります。訪問者が値段に見合う価値を感じなかったり、他にもっと良い解決手段があるかもしれないと保留にしたり、理由はさまざまです。
クロージングパートでは、買った時/買わなかった時に起こりうる未来や、他の手段と比較してどう優れているのかなど、ユーザーの思考を先回りして解決することで購入の必然性を担保できるようにしましょう。
しかし、商材によっては、他とスペックだけを比較しても勝てないこともあります。その場合は、以下のような対策をするのがおすすめです。
ユーザーにとって便益があるが見落としている新しい視点をこちらから提示し、売りたい商材が最適だと思えるように比較軸を定義する
例えば、パーソナルジムの広告を配信するとします。ジムに通ったことがない方の場合、家からの距離や値段で比較するため、格安ジムの方が良いと思われて思われてしまうかもしれません。
そんな時に、「パーソナルジムの方が効果的なトレーニングや食事管理までサポートしてくれるので変化を感じやすく、モチベーションが続きやすい」など新しい視点を提示することで、コンバージョン率を上げることができるかもしれません。
ただし、景品表示法第5条で、自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示などは不当表示として規制されています。
あくまで一般消費者に誤認を与えない範囲で、客観的な数値や事実に基づき公正に表現して下さい。
LPへ誘導するユーザーを商材の必然性を感じて貰いやすい人に絞り込む
同じくパーソナルジムの広告を例に挙げます。上記のように比較軸を定義してパーソナルジムの良さをLPで訴求しても、「とにかく値段を安く抑えたい」という方には響きづらいですよね。
許容CPA内で獲得できているのなら問題ありませんが、もしそうでなければ、以下のようにクリエイティブや運用面で調整を加えることも検討しましょう。
- 広告クリエイティブの時点で「コスパより”短期間での効果実感”を重視したい方に」など反応するユーザーを限定する
- 媒体のターゲティング設定でユーザーの属性を絞り込む
行動を促す
「今すぐは買わなくてもいいかな」「買って失敗したらどうしよう」という訪問者に対して、行動をしっかり後押しするとコンバージョン率が上がりやすくなります。
具体的な手法としては、行動を促すボタン(CTA)、マイクロコピー、追伸などさまざまありますが、大きく以下2つのアプローチに分類できます。
- 購入のモチベーションを上げる
- 購入のハードルを下げる
ユーザー目線での嬉しい情報や懸念点を洗い出し、「今買わないと損だ」と思ってもらえるように伝え方を工夫しましょう。
成果を上げるために!制作前のチェック項目
LP制作で成果を上げるためには、構成が固まったらそのまま制作に入るのではなく、内容を何度も見直し、調整してブラッシュアップすることが大切です。
各パートのポイントを踏まえて構成を考えたら、制作に入る前にユーザーの気持ちになって以下の項目をチェックしてみましょう。
コンセプトがズレてないか?
LPを制作するときは、「このターゲットに対してこれを伝えたい」といった目的やコンセプトがあるはずです。しかし、試行錯誤しながらライティングしていると、いつの間にかコンセプトからズレてしまうことがよくあります。
ファーストビュー、ボディ、クロージングの3箇所で、誰に、何を、どのように伝えるかの「何を」の部分が変わっていないかを改めて確認したり、横に企画内容をまとめたものを並べながらライティングするなどして、伝えたいことがきちんと伝わるように意識しましょう。
「感情」と「論理」に訴えられているか?
マーケティングの世界では「人は感情で買い、論理で正当化する」と言われています。
例えば、ふらっと立ち寄った店で木の器を買ったあと、「どうして買ったの?」と聞かれると、「ちょうど割れにくい食器が欲しかったし、安かったから」といった理由が出るかもしれません。でも、論理的に考えると、他にも割れにくくて、より安い食器はたくさんあります。実際は「パッと見てステキだと思った」など、まず先に感情が動いたから買っていたはずです。ですが、人は自分の行動を合理化・正当化しようとする性質があるため、後付けでも購入するための言い訳が必要なのです。
つまり、行動を促すには、感情に訴えかけることで気持ちを高め、論理的な訴求でその決断を後押しするという、両方をバランスよく組み合わせることが大切です。
ターゲットに合った文章のトンマナになっているか?
LPを制作する際は、デザインと同じく文章のトンマナ(「トーン&マナー」の略。そのクリエイティブの雰囲気、統一感)にも気を付けましょう。
極端な例を挙げると、セキュリティソフトのLPなのに、普段話すようなカジュアルな言葉遣いで書いてあったり感嘆符や絵文字を多用していたりすると、違和感が生じますよね。
書きやすい文体で書くのではなく、「ターゲットにとって馴染みのある文体は?」「どんな印象を与えたいか?」から逆算して、適した文章のトンマナになっているかを確かめるのがおすすめです。
想定している顧客像になりきってみた時に、最後まで読もうという気になれるか?
LPを制作している側は商材への理解があり、日中の頭が冴えている時間帯に文章を見ているため、読む負荷を感じにくいです。しかし、顧客の立場から見るとどうでしょうか?
例えば、育児中の方が想定顧客なら、広告に接触するのは家事・育児が落ち着いた夜の時間帯に、疲れた状態でぼんやりスマホを眺めている時が多いかもしれません。そんなタイミングで初見の情報や文字の量が多いなど、認知負荷が高いLPが表示されても、なかなか読む気になりませんよね。
制作した直後はそういった判断が正常にできないため一旦寝かせてみて、仕事で疲れが出てくる午後のタイミングに改めて読んでみるなどして、できる限り顧客に近い状態でチェックしましょう。
各種法律・媒体規定などに抵触していないか?
薬機法、景品表示法、特定商取引法、媒体規定などは年々厳しくなっており、内容も更新され続けています。意図せず消費者の利益を損ねてしまったり、作ったのに配信できない……とならないよう、改めて各種法律・媒体規定などに抵触していないかを確認して下さい。
特に、広告媒体の規定は各社方針が異なり、「媒体AではOKだが、媒体BではNG」というケースもあるため、注意が必要です。
型はあくまで参考に。ユーザー起点で設計しよう
基本的なLPの構成について解説しましたが、これらはあくまでユーザーに伝えたいことを伝えやすくするための一つの手段に過ぎません。型に無理やり当てはめるのではなく、困っている人や商材を渡したら喜んでくれそうな人が目の前にいると想像し、「どう話せば喜んで買ってもらえるか?」という視点から考えましょう。
また、広告クリエイティブと同様に、LPもA/Bテストを繰り返すことでより成果が出しやすくなります。「一度作って配信したけど、思うような結果が出なかった」という場合はもちろん、一回で望む成果が出たとしても、優先順位をつけながら継続的に改善をしていきましょう。
改善の優先度が高い箇所はこちらのブログで詳しく解説しているので是非チェックしてみてください。