言葉では表しきれないイメージ、たとえば「こんな感じのインテリアにしたい」であったり「こんなファッションのコーディネートが好き」という情報を探す際に、検索エンジンではどうやって探したらいいか分かりづらかったり、なかなか好みのものが見つからないなど、目的の情報を見つけるのが難しいことがあります。
そんなときに役に立つサービスのひとつが「Pinterest(ピンタレスト)」です。
今回は、まずPinterestというサービスの特徴を確認しながら、注目を集めるPinterest上で掲載できる広告について何ができるのか、詳しく見ていきましょう。
目次
Pinterest(ピンタレスト)とは?
公式サイトの言葉を借りればPinterestとは、「レシピやインテリア、ファッションなど生活をもっと楽しくしてくれるアイデアを発見・整理するツール」です。
参考:Pinterest について | Pinterest help
Pinterest上にはユーザーや企業によってさまざまな画像や動画が投稿されています。これらは「ピン(Pin)」と呼ばれます。
自分の興味あるピンの見つけ方はおもに次の2つです。
ホームフィード
Pinterestアプリを開いて最初に表示される画面です。タップや保存したピンにより独自の機械学習がなされ、ユーザーに興味のあるであろうピンが表示されるようになります。
また、ピンをタップした際にはピンのしたに「似ているピン」などのおすすめが表示され、さらに関連しそうな情報を探索できる仕組みも用意されています。
検索
また、欲しい情報を探すために検索機能も提供されています。検索後には検索窓の下に関連キーワードが表示されるため、より詳しい情報を探すことができます。
キーワードだけではなく、優れた画像解析の技術によって、撮影したカメラ画像から似ているアイテムを探すことも可能です。言葉にならない雑誌のファッションや店舗で見かけたインテリアなど、アイデア次第で活用の幅も広がりますね。
参考:Pinterest レンズ | Pinterest help
探したピンを自分のアカウントに保存したり、「ファッション」や「レシピ」など自由にボードに整理したりできるのも大きな特徴のひとつです。
参考:ピンを探しやすくするサブボード | Pinterest Japan 公式ブログ
余談ですが、気になったバナー広告などを収集しているWeb広告業界の方などもいらっしゃるので、ビジネス向けにも活用されているケースも少なくありません。
アイデア次第で、さまざまな使い方ができます。公式ブログでも活用方法が紹介されているので、気になった方はぜひ目を通してみてくださいね。
参考:使い方 | Pinterest Japan 公式ブログ
どんな人が使っている?
Pinterestは世界では4億人以上が利用しています詳細なデータは発表されていませんが、日本の月間アクティブユーザー数は870万(2020年12月ニールセン調べ)とされています。
数千万人のユーザー数を誇るTwitterやInstagramなどのプラットフォームに比べるとその規模はまだ大きくないものの、コロナ禍やテレビCMの公開などもあり、Z世代(23%)やミレニアム世代(30%)、男性(43%)のユーザーも増加し、検索数も増加がみられるなど、利用が拡大していることが伺えます。
※参考:コロナ禍に「Pinterest」が急成長した理由--前年比で利用者1.6倍、料理レシピ探しにも
参考:ひらめきを行動につなげる「Pinterest アド」、登場 | Pinterest Business
また、画像や動画を組み合わせ、複数ページで投稿できる「アイデアピン」という形式も用意されており、クリエイターにとっても魅力的な情報発信の場のひとつとなっています。
どんなものが探されているの?Pinterestの特徴
Pinterestにはさまざまな情報がありますが、なかでも「ファッション」「インテリア」「ビューティー」「フード」などが人気のカテゴリーとなっています。
サービス開始当初は、「家の建て替え」「リフォーム」などのライフイベントに関する検索に使われていたそうですが、現在ではより日常の身近なアイデアを見つけに来るユーザーが増えている傾向があります。
参考:広告もアイデアに。Pinterestが“ユーザー軸”で見据える、次の一手
非指名検索率が97%、あらたなブランドとの出会いを求める
また、大きな特徴のひとつが「非指名検索率が97%」というものです。Pinterestによれば、上位検索の 97% がブランド指定のない 2~3 語のキーワード(例「スニーカー 白 メンズ」など)となっているとのこと。
参考:Pinterest が日本で広告事業を開始。また Shopify とのパートナーシップも拡大いたします。|ピンタレスト・ジャパン合同会社のプレスリリース
つまり、何かを購入したいと思っているけれど、具体的な商品やどのブランドにするかを決定していないユーザーが積極的に使っているツールと言えます。
そのため、商品の購入やサービス利用の検討初期の段階にいるユーザーにアプローチできるプラットフォームとなっています。
Pinterest アド(Pinterest 広告)とは?
Pinterest上に広告を掲載できる運用型広告が「Pinterest アド」です。「Pinterest広告」とも呼ばれることもあります。
米国を始め海外のいくつかの国では先行して提供されていましたが、2022年6月1日より、日本でも提供を開始しています。
参考:ひらめきを行動につなげる「Pinterest アド」、登場 | Pinterest Business
先ほどご紹介したPinterestの特徴でもある、まだ購入先が決まっていない検討初期の段階のユーザーにアプローチできる魅力的な媒体のひとつです。「ひらめきを行動につなげる」というキャッチフレーズもこの特徴がよく表されているのではないでしょうか。
Pinterest アドの種類
新しい情報を探索するプラットフォームであるため、Pinterestアドは広告でありながらも、Pinterestのコンテンツのひとつだと位置づけられます。そのため、広告フォーマットに関しても通常の投稿(ピン)と同様に多様なものが用意されています。また、通常の投稿を広告として利用することも、広告用に新規で作成することもできます。
では、どのような広告フォーマットが利用できるのか、Pinterestアドの種類をチェックしていきましょう。
広告フォーマット | 詳細 |
---|---|
画像 | 画像ピンはデフォルトのアドフォーマットで、1 枚の画像で作成されます。 |
カルーセル | 2〜5 枚の複数の画像で作成され、ユーザーは一枚一枚をスワイプして表示できます。 |
動画 | スタンダード動画ピンとも呼ばれ、通常のピンと同じサイズの動画が利用できます。 |
ワイド動画 | ワイド動画アドとは、ユーザーのモバイル画面全体に表示される動画です。 |
コレクション | モバイルデバイスのフィードで、3 枚の画像とその上のメイン画像の形で表示されます。 |
アイデアピン | 複数の動画、画像、リスト、カスタムテキストを組み合わせて 1 件のピンとして表示できます。オーガニック投稿としてのみ作成可能。 |
ショッピングアド | 「Pinterest カタログ」と呼ばれるデータフィードを利用したダイナミック広告です。 |
画像のレギュレーション
- 20 MB 以下の .JPG 形式または .PNG 形式
- アスペクト比が 2:3 より大きいピンの場合、ユーザーのフィードに一部しか表示されない可能性あり
動画のレギュレーション
- 2 GB 以下で、H.264 エンコードまたは H.265 エンコードの .MP4、.MOV、.M4V 形式
- 動画の長さは 4 秒〜15 分
- アスペクト比は 1:2(幅:高さ)以下、1.91:1(幅:高さ)以上
- 推奨アスペクト比:スタンダード動画は正方形(1:1)または縦長(2:3 または 9:16)、ワイド動画は正方形(1:1)またはワイドスクリーン(16:9)
各フォーマットの詳しい仕様は以下よりご確認ください。
参考:プロダクト仕様を確認する | ビジネス向け Pinterest ヘルプ
なお、ショッピングアドを利用する場合には、商品カタログ、いわゆるデータフィードや適切なPinterestタグの設置が必要になります。とくに多品目の商品を取り扱っているECサイトでは、最新の価格と在庫状況、商品名と説明文を広告に表示でき、広告主のウェブサイトの商品ページに直接リンクしてもらうことが可能になるため、積極的に活用したい機能です。
参考:カタログの利用を開始する前に | ビジネス向け Pinterest ヘルプ
参考:Pinterest タグのインストール | ビジネス向け Pinterest ヘルプ
参考:イベントコードを追加する | ビジネス向け Pinterest ヘルプ
キャンペーンの目的と利用可能な広告フォーマット
なお、Pinterestアドでは目的に応じて以下のキャンペーンタイプが用意されています。
認知度を高める
- ブランド認知度
- 動画視聴回数
比較検討を促す
- 検討促進
コンバージョン数を増やす
- コンバージョン数
- カタログ販売
キャンペーンの目的によって利用可能な広告フォーマットが変わってきますので、以下の表を参考に広告の用意をするのがおすすめです。
キャンペーンの目的 | 広告フォーマット |
---|---|
ブランド認知度 | 画像、カルーセル、動画、ワイド動画、コレクション |
動画視聴回数 | 動画、ワイド動画 |
比較検討 | 画像、カルーセル、動画、コレクション |
コンバージョン | 画像、カルーセル、動画、コレクション |
カタログ販売 | ショッピング、コレクション |
Pinterest アドのターゲティング
Pinterestでは、Pinterest上のさまざまなアクションを基にフィードに出てくる情報が、それぞれにカスタマイズされていきます。
広告ではPinterestユーザーの興味関心などをターゲティングに利用可能です。また、広告主のウェブサイトでの行動、広告主の保持している顧客情報を広告配信に利用する仕組みも用意されています。
ターゲティングオプション | 仕組み |
---|---|
オーディエンス | 広告のウェブサイトに訪問したことのあるユーザーの他、Pinterest の広告主のコンテンツでこれまでに何らかのアクションを取ったことのあるユーザー、顧客リストからオーディエンスを作成して指定が可能です。 |
アクトアライクオーディエンス | いわゆる類似オーディエンスで、既存のオーディエンスと行動が似ている新しいユーザーにリーチします。 |
インタレスト | 関連したトピックを選択することで、特定のトピックに関心のあるユーザーにリーチします。 |
キーワード | Pinterest で検索する際のキーワードまたはフレーズを指定してターゲティングできます。また、対象の除外も可能です。 |
属性 | 「性別」「年齢」「場所」「言語」「デバイス」を選択してオーディエンスを絞り込めます。 |
プレースメント | Pinterest で広告を表示させたい場所を、ホームフィード、検索結果、関連するピンから選択が可能です。 |
拡張 | 設定で選択したのと似ているキーワードとインタレストを検索しているユーザーも、自動的に広告のターゲットに設定できます。 |
インタレストのカテゴリは幅広いものがあり、さらに各カテゴリには非常に詳細なサブカテゴリが用意されています。
一方で詳細に指定しすぎてしまうと極端に配信対象が限られることが考えられますので、お目的に応じて選択いただくのをおすすめします。
まとめ
ここまで読んでいただいた方には、Pinterestが非常に魅力的なサービスであり、Pinterestアドが出稿を検討する価値のあるプラットフォームであることがご理解いただけたのではないでしょうか?
他にも、減量広告の全面禁止などを発表しており、ユーザーファーストな企業姿勢も魅力のひとつです。
参考:ピンタレスト が減量広告を全面禁止、それは何を意味するか? :「目先の広告収入より、ユーザーを大切にする」 | DIGIDAY[日本版]
自動入札の仕組みやエンハンスドマッチ、コマースツールの充実など、すでに広告プラットフォームとして必要な仕組みはかなり整っています。サービス自体も多くの改善が継続しているため、これからますます注目なサービスのひとつですね。