メールマーケティングとは?効果を上げるために知っておきたい7つの誤り

メールマーケティングとは?効果を上げるために知っておきたい7つの誤り

メールマーケティングは、コンテンツの表示の仕方ひとつとっても制約がなく、色々できてしまうからこそ、「なんとなくやっている」という会社が少なくないのではないでしょうか。

また、メールマーケティングのノウハウは世の中にたくさんありますが、どれを実施した方が良いのか、はたして自身の会社にとってもベストなのか、判断するのも難しかったりします。

そこで今回は、メルマガ配信・一斉メール配信サービス「配配メール」を提供している株式会社ラクスのマーケティング・クラウド事業部で事業部長を務める安藤さんに、メールマーケティングで失敗しないための考え方を伺いました。

※このインタビューは2019年12月に行われました

株式会社ラクス
マーケティング・クラウド事業部 事業部長
安藤 健作氏

2006年に株式会社ラクス入社。現在はマーケティング・クラウド事業部事業部長としてメールマーケティングサービス「配配メール」の総責任者を務める。メールマーケティングの正しい理解と運用を広めるため、各所にて記事の執筆やセミナー登壇、Twitterで啓蒙活動を実施。Twitterのアカウントは @comune1128


メールマーケティングの3つのメリット

まずは、メールマーケティングのメリットについて伺いました。

安藤さんは、「メールマーケティングの素晴らしいところは、インターネットを利用するほとんどの人が個人のメールアドレス持っているということです。SNSだとアプリをインストールしないと使えないため、アプリを利用しているユーザーにしか情報を届けられませんが、メールだとそれがありません。」と話します。メリットとして挙げたのは次の3つです。

1.情報がストックされる

たとえばSNSだと情報がタイムラインで流れてしまうが、メルマガなら受信ボックスにとどまっているので、「セールの案内が来ていたな」と思ったら受信ボックスをあとで探して見にいくことができます。何かをきっかけにストックされている情報にユーザーのタイミングでアクセスできるのはメルマガの効果が良いと言われる理由のひとつでもあります。

2.何度でもPDCAが回せる

PDCAを何度も回して効果検証を行っていく際、一般的なデジタル広告だと効果検証のたびに費用が発生してしまいますが、メルマガは効果検証のために翌日にもう1回メルマガを配信したとしても追加で費用がかかることはありません。

3.コンテンツの表示形式がプラットフォームに依存しない

コンテンツの表示形式に関して制約がほぼないため、表現が比較的自由です。たとえば、画像をいっぱい使っても問題ないので、遷移先であるランディングページのテイストに合わせたメルマガや動画を使ったメルマガなども作成できます。


しかしながら、ただメールを送るだけでは一方通行な「メルマガ」でしかありません。安藤さんはメルマガとメールマーケティングの違いとして、「メルマガは情報提供が主な目的ですが、メールマーケティングでは態度変容を目的としています」と言います。

では、このような自由度の高いメールを使って効果的なマーケティングを行うためには、どのような点に気をつけるべきでしょうか。

「メールマーケティング」を行う際に、最低限これだけは知っておきたい7つの誤りをご紹介します。

メールマーケティングの7つの誤り

1.配信リストは多い方がいい

とにかくたくさんの方に見てもらいたい!と、配信リストを増やすためにやっきになっているというケースも多いのではないでしょうか?しかしながら配信リストの数が多ければ良いというのは間違いだと安藤さんは言います。

「配信リストは多い方がいい、というのは実は間違いなんです。メールマーケティングの目的は『態度変容』なので、態度変容を起こしてくれる人がリストの中に多くいなければ意味がありません。」

安藤:
BtoCでもBtoBでも、とにかく配信リストを増やそうとしてメルマガの内容や対象のサービスに興味がないお客さんをどんどんリストに追加していっても、読者の方は興味がないのでアクションを起こさない。BtoBでよくある名刺交換したからメルマガを送る、あれがまさにそうですね。

一度にたくさんの方に送ったほうが、反応してくれる数も多くなりそうですが、興味のない方が態度変容を起こすことはないため、そのメールは結果的に無駄になってしまいます。配信対象は大いに越したことはありませんが、中身の伴わない「リストの数」だけを追ってしまっていないか再度確認をおすすめします。

2.購読解除を減らすために配信頻度を抑えるべき

頻繁にメルマガを配信すると購読を解除されてしまうのではないか?このように購読解除を恐れて配信頻度を減らす思考に陥ることがありますよね。ですが、これは全くの誤解だと安藤さんは言います。

「購読解除される理由って届いた情報に興味がないからで、仮にメルマガを出す頻度を抑えて購読解除を免れたとしてもその後に態度変容を起こす人にはなり得ないんですよね。」

また、メルマガを受け取る側は配信頻度をそこまで気にしていない理由として次の3つを挙げています。

  • メルマガの受信を通知させている人は少ない
  • メルマガは自分で受け取りを許可しており、その情報が欲しくて登録している
  • 自分が受け取っているメルマガの配信曜日と時間を把握していない人のが多い

『自分がお気に入りのブランドからメルマガが配信される曜日と時間の把握状況』についてアンケートを取った結果

安藤:
メルマガを受け取る側は気にしてないんですよ。件名見ておもしろそうだと思ったときに開かれるんですね。開かれなかったメールっていうのは、基本的には、読者にとっては存在しなかったのも同じです。

目先の購読解除を恐れて配信頻度を減らそうとするのは間違いです。ユーザーは自分にあったタイミングで気になる件名のメールを開封しているため、配信頻度が低いとそもそも開封のチャンスすらなくなってしまいます。購読解除を回避するために配信頻度を抑えていた方は、配信頻度をいま一度検討してみてください。

解除率があまりに高いようであれば、以下の3つに原因がないかチェックしてみるのをおすすめします。

  • セグメントとコンテンツが合っていない(例:男性に女性向け商品)
  • 時間の経過で不要になったコンテンツ(例:成人を迎えるお子さんをお持ちの方にベビー用品のお知らせ)
  • 情報の押しつけ(例:名刺交換しただけなのにメルマガを送る)

結局は必要のない情報が届くため講読解除がされていることに向かい合うところからはじめたいですね。

3.開封率は高ければ高い方が良い

せっかく作ったメールだからこそ多くのひとに開封して読んでもらいたいですよね。ただ、開封率は高ければ高いほうがいいと考えるのは時として大きな誤解を生みます。

「開封率が15%を超えているのなら、今度はパーセンテージではなくて、だれが開いているかが大事になってくる」と安藤さんは言います。

安藤:
メルマガを出して、1回目、2回目ともに開封率が17.6%でしたと。8割ちょいの人には接触できていないんだなと思ったんですけども、それをユニークユーザーに直したんですね。一体どれくらいの人がユニークなんだろうと見たら、開封者のうち2回とも開いていたという人は実は6割しかいなかったんです。残りの4割の人はその回だけ開いている。実際の開封率を見ると、30%近くあったんです。開封率があまり変わらないなと思っていても、毎回同じ人がメールを開いている訳ではなくてタイミングごとに開いている人は異なります。

同じ開封率でも毎回同じ方が開封しているとは限らないというのは盲点ですよね。

そのため、たとえば開封率を15%から30%に上げようという努力は無駄になることの方が多く、開封率が一定のKPIを達成しているのであれば、開封してもらえる接点を少しでも多く持てるようにするほうがよいと言います。

なお、開封率が低い場合には以下のポイントに気を付けて取り組むのがおすすめとのことです。

  • タイトル(中を見たくなるようなワード“緊急性、独自性、超具体性、有益性”が書かれている)
  • 配信時間(自社のWebサイトが最も閲覧されている曜日と時間に配信する)
  • 差出人名(社名+個人名で送る)

開封率に課題がある場合、まずはこの点を再検討してみるのがおすすめです。

4.HTMLメールは嫌われる

まだまだテキスト形式でメルマガを送っているという会社も多いと思います。しかし安藤さんは、「HTMLメールが嫌われると思うのは間違い。HTMLメールで送らないともったいない。」と言います。その理由の一例としてあげたのが、CTA(Call To Action)の効果の差です。

テキストメールの「お申し込みはこちら」でクリックさせるURL形式とHTMLメールの「お申し込みはこちら」がハイパーリンクになっている形式、HTMLメールでボタン画像形式では、効果は1:3:8くらい違います。つまり、テキストメールよりもHTMLメールのメルマガの方がCTAにおいては、最低でも8倍効果が違うのです。文字の強調もできず画像も入れられないテキスト形式とHTMLとでは、表現力に大きな違いありそれが数字としてでた結果ではないでしょうか?

とくにBtoB案件の場合に顕著ですが、HTMLメールが用いられないことがあります。たしかに一部の環境ではHTMLメールに対応していない環境で受信される方もいらっしゃいますが、その割合はいまやわずかです。

これまでHTMLメールを使っていなかった場合はぜひ検討をおすすめします。

5.メルマガ内のコンテンツはじっくり読まれている

メルマガ担当者は、コンテンツが読まれていると思っているからこそ、メルマガのコンテンツ作りに日々勤しんでいると思います。しかしコンテンツ自体がメルマガ内で読まれていると思うのは、実は間違いかもしれません。

安藤:
75%の読者がメールを読む時間は「7秒」なんですよ。(※)文字数にすると、1文字ずつきっちり読むとしたら、70文字なんですね。とはいえ、全部を見ているとは思わないので流し読みだと、2倍の速度で見たとしても140文字ですよね。読者は、ツイート1回分しか読んでないです。メルマガのコンテンツは、基本的にはじっくり読まれていないと思った方が良いです。

※2019年9月 ラクス株式会社 自社調べ

「CTAを押した人は、二度とメールに戻ってこない」とも安藤さんは言います。

伝えたいことが3つあったとして、一番上のCTAをクリックしてサイトへ遷移した場合、多くの場合では2番目3番目のコンテンツをみるために再びメールに戻ってくることは稀ですよね。

そのため、CTAは基本的にひとつ、2つ目以降は翌日など別のタイミングにするのがおすすめとのことです。じっくり読んでもらいたいものであればランディングページへのリンクを案内するなど、メルマガの本文だけで態度変容を促せることは基本的にはない前提でメルマガの内容やコンテンツへの動線を考えるのがよさそうです。

6.ファーストビューを大切にしていない

Webサイトでは、自分にとって必要なコンテンツかどうかを判断してもらうために、ファーストビューがデザインの要ですが、メルマガにおいてもファーストビューは大切だと言います。

「メルマガを出す目的をどこに置いているかにもよりますが、メールを見る時間自体は7秒と長くないのであれば、いかに早くリンクをクリックしてWebサイトのコンテンツを見ていただくかが重要ですね。」

安藤:
最後まで読んでくれている人はほとんどいなくって、最初のCTAだけすらっと見て離脱しているケースがほとんどです。やっぱりファーストビューにCTAが入っているかが大事なんですよね。

もしかしたらじっくり読むという時代も来るかもしれないですけど、いまの流れ的にも現時点では、その検証に時間を使うのはもったいないと思います。

自身を振り返っても、企業からのメールを上から下まですべて読んでいることは稀だと、ハッと気づかされました。企業によってはGIF画像とCTAのみのメルマガを送るケースも増えているそうです。相手の状況を考え、もっともストレスなく情報を受け取ってもらうにはどうしたらよいか、それを考える上でもファーストビューに何を置くかは最重要課題と言えそうですね。

7.最低限のKPIを押さえていない

「最低限のラインとして、見るべきKPIと目標数値はある程度持っておかないとダメです。でないと変化に気づけなくなってしまいます。」

費用対効果が合わないからメルマガを止めますという方もけっこう多いそうですが、じゃあなにをもって費用対効果が合わないと思われたんですか?と聞くと、そもそも目標を設定されていなかったりするそうです。

メールへの反応数字で測れるからこそメールをマーケティングのツールとして扱えるため、やはり何をKPIと置くのかはメールマーケティングにおいても目標を達成するのには必要不可欠ですね。

無理なくできることから気軽にはじめよう

最後に、これからメールマーケティングをはじめる方に向けて、失敗しないための考え方を伺いました。

安藤:
SNSマーケティングも一緒なんですけども、態度変容は複数のタッチポイントを経験した人が起こすものであって、メールマーケティングもそのひとつとして捉えないとダメってのがあるんですよね。だから、メルマガだけ配信してこれだけで売上を上げていくというのはもちろん出来ることはできるんですけども、というよりは、いろんなマーケティングミックスのひとつとして考えていってほしいです。

メルマガだけでなにか態度変容起こそうっていうのは難しいので、1番わたしがこうよく言うのは、「気軽に」ですね。

あまりパーソナライズとか考えなくとも多くの場合は問題ありません。もちろんできればセグメントを分ける、細かくパーソナライズするほど、ヒット率は高くなると思うんですが、継続するのには無理が出てきます。

無理のない範囲で、たとえば1メール1コンテンツだけ作ると考えれば、1回に作る時間ってそれほどかからないはずなんですよね。それでもいいんです。メールのクオリティを突き詰めて考えるよりは、頻度を高くした方が成果は出やすいので、継続することが大切です。

まとめ

「なんとなく」メルマガをやっている会社はまだまだ多く、マーケティングを意識してメルマガを配信をしている会社は少ないといいます。

しかし一方で、世の中にたくさんあるメールマーケティングのノウハウのうち、どのノウハウが自社にとってベストなのか判断がつかなかったり、PDCAを回すための指標や基準が分からない故に行えなかっただけではないでしょうか。

メールマーケティングの目的は態度変容だと安藤さんは言います。態度変容を起こす人に合ったコンテンツを作成し、最低限必要なKPIを設定して検証を行えば、効果的なメールマーケティングをはじめることができるのではないでしょうか。

安藤さん、貴重なお話をありがとうございました!


株式会社ラクス:https://www.rakus.co.jp/
配配メール:https://www.hai2mail.jp/

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Ranko Okada

Ranko Okada

アナグラム株式会社 クルー。広告代理店で運用型広告やOOHメディアの販売と運用を担当。その後、旅行系のWebサービスの会社で運用型広告の運用やサイト分析、アクセス解析の設計を担当。より専門的に運用型広告に携わるためと「検索」が好きでアナグラムに参画。

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