リスティング広告運用者に伝えたい、教科書や社内マニュアルには載っていない12のこと

リスティング広告運用者に伝えたい、教科書や社内マニュアルには載っていない12のこと
この記事は最終更新日から約6年が経過しています。

この春からリスティング広告部署に配属された方々であれば、この8月で約4ヶ月目となり、1年の3分の1をリスティング広告の中で過ごしたことになります。その中でも多くのことを経験したことでしょう。

「検索クエリの意図を読むことが楽しくて仕方ない!」といった風にリスティング広告を大好きになった方もいれば、毎朝アカウントにログインすることすらストレスに感じている方、CPAが下がらず、売上も上がらない、そんな時にクライアントや上司のプレッシャーに押しつぶされてしまいそうな方、つまり前者とは対照的な方も少なからずいるかもしれません。

そんな方々に夏休みの期間にでも一度読んでほしいなと思い、過去の記事をリライトしました。

※筆者:Keiji Abe
※以下はSEM-LABOの記事を現代版でリライトしたものです。
http://sem-labo.net/blog/2015/04/02/0982/

改めてリスティング広告を扱うお仕事につかれていかがでしょうか?さまざま思いや葛藤があるかもしれませんが、みなさんはリスティング広告という、インターネット時代を象徴するような広告を手がける事になったわけであり、それは今後のキャリアプランを描く上で圧倒的に有利に働くことを覚えておいてください。

何故かって?リスティング広告のことを本質的に理解することができれば、さまざまな思考、多角的な視点を手に入れることができ、多くのマーケティングに精通することができるようになるからです。それは僕が保証します。

更に言えば、リスティング広告経験者はどの求人媒体を見ても売り手市場です。これらはリスティング広告に限らず、Facebook広告やTwitterプロモ広告、DSPなどの昨今の運用型広告市場の拡大が要因ですね。そしてこの流れは今後更に加速していくと言い切ってよいでしょう。

運用型広告の基本思考はリスティング広告を学ぶことで思考の転換が可能です。逆に、リスティング広告以外の運用型広告を学んだ後にリスティング広告を学ぼうとすると、機能や仕組みの複雑性及び、歴史的背景を理解する必要があるため、なかなかうまく行きません。

リスティング広告を学ぶことのメリットはいくつかありますが、基本的にはマーケティング思考、経営思考、ポートフォリオ思考、顧客目線、テクノロジーの理解、時代の流れ、広い意味でのコミュニケーション能力などなど、多くの学びがあるはずであり、リスティング広告を本当の意味で成功させるには、これらの要素が1つでも欠けるとうまくいくことはないでしょう。

これらのことから、あなたが今後どんなキャリアを目指す上でも、リスティング広告を学ぶことには意味がある!とおぼえておいてください。そして今のインターネットがあるのはリスティング広告の恩恵なんですから、誇り高き職種の1つだと胸を張って言い切りましょう。長々と前置きましたが、ではいきます。

1.仕組みとルールに誰よりも詳しくなりなさい

スポーツを上達させるには仕組みを知り、ルールを知る必要があります。リスティング広告に限らず、新しいことを学ぶ為にもこれは同じで、まずは仕組みとルールを把握することからはじめなければなりません。なんとなく初めてそこそこの成果が出ることだってあるでしょう。ただし、ビジネスで大事なことは再現性と持続性です。その2つを担保するためには、仕組みとルールを知る努力を怠ってはいけません。

2.数多くのアカウントに接しなさい

経験者は兎も角、未経験者であるのであれば、可能な限り数多くのアカウント、ビジネスに意識的に接するようにしましょう。量が質を凌駕するというのは本当です。こと新人においては量をこなし、経験値を高めることに慢心しなければ成長は出来ません。だから、誰よりも働いて、誰よりも多くのアカウントに接しなさい。

そしてある程度の数をこなすことができるようになれば、次は質を求めなさい。「足るを知る」という言葉があります。これはつまり、月額数千万円のアカウントを運用したことが有る人間で無いとその苦しみや喜びはわからず、本当の意味でリスティング広告を成功に導くことはできないという意味です。仮に月額30万円のクライアントに正しいことをしようと思ったら、より大きなアカウントを運用した経験がなければならない、という意味です。上には上があります。現状で満足せず、小さくまとまるな、ということです。

3.顧客に会いに行きなさい

インターネットの世界はブラウザ上で完結しているわけではありません。本当に大切な情報はクライアントが持っていたり、その顧客が持っていることがほとんどです。顧客に会いに行きなさい。現場を目の当たりにしなさい。体験しなさい。ほとんどのケースで答えはブラウザ上には落ちていません。仮に分業制で直接顧客に会えないとしても、商品を手に取ったり、現場に出向くことはできるはずです。

4.前進しなさい

「CPAが高騰した…。」必ず一度はこの現象に出くわすでしょう。このケースの場合、95%以上の人は「入札単価を引き下げる」という選択肢をとります。ただし、CPAを下げるために入札価格を引き下げることは自殺行為だと知りなさい。レーシングでは急角度のコーナリングでアクセルを踏み込めと教えられます。スピードに慄き、ブレーキを踏もうものならスピンしてしまうからですね。

人間は弱い生き物です。CPAが高騰すると半ば反射的にブレーキを踏むが如く入札価格を引き下げます。ただ、これは自分で自分の首を絞めていることだと理解しなさい。大事なのは、恐怖に打ち勝つ強い意思と、アクセルを踏み込む事、つまり前進することです。

参考:全てのリスティング広告プレイヤーは因数分解思考を手に入れよう

5.ボキャブラリーを高める努力を意識的に行いなさい

「マーケターは例外なくモテる」と教えられましたが、多少のズレはあれどあながち間違った表現ではありません。ではどんな人がモテるのか?といえば、男子に限ってはイケメンが必ずしもモテるのではなく、ボキャブラリーの豊富な人がモテるのです。若干話しが反れましたが、検索キーワードの洗い出し、コンテンツターゲットの洗い出しや最高の広告文を生み出すことができるのは、これまでに培ったボキャブラリーが土台となるはずです。

読書、飲み会、合コン、アクティビティなどなど。貯金をするくらいならボキャブラリーを高められる体験にお金を使いなさい。人間は知らないものをアウトプットすることは出来ませんから、意識的にボキャブラリーを高める努力をすることが重要です。

6.大局観をもちなさい

リスティング広告という狭い枠だけで物事を考えてはいけません。世の中にはコンテキストがあり、流れがあります。その時代の潮流を読み、ユーザーの息吹を感じなさい。物事を決断するときには何らかの引き金が有るはずです。それを探り当てるために、時には1歩でも3歩でも引いた視点で物事を見る必要があります。

鳥の目、虫の目、魚の目、さまざまな視点を持ちなさい。そのために大局観は必要不可欠な存在です。

7.浅く広くよりも、深く狭く

新人のうちから闇雲にさまざまなジャンルに手を染めるのではなく、可能な限り特定の物事に狙いを定めて深く理解することに努めなさい。浅く広い知識をひけらかすような人間よりも、1つのことを極めた人間のほうが多くのことを知っており、結果的に信頼を勝ち取ります。

逆説的ではあるけれど、浅く広い人よりも1つのことを極めた人間の方が多くのことを知っています。それは極める過程で必要とされる知識が枝葉のように広がっていき、結果的に多くのことを知らなければ乗り越えられない大きな壁などがあったからです。皆さんにもそういう人の心当たりがあるはずです。

8.「やってみないとわからない」という思考を捨てなさい

マーケターの成長は「どれほど仮説を立て続けたか」に依存するといっても過言ではないでしょう。それほどに仮説を立てるという行為は重要なんですね。

リスティング広告にはさまざまなテクノロジーがあり、それらが日々加速している上に、多くの要因が成果に関わってくることを承知の上で申し上げると、「やってみないとわからない」という思考は捨てなさい。全ての施策・行動には常に仮説を持たせ、その仮説が何故外れたのか?何故当たったのかの検証を行いなさい。特に後者はほとんどの担当者が出来ていません。その行動の繰り返しが必ずあなたを大きく成長させるはずです。

「やってみないとわからない」という思考は、考えるのを諦めた人間の言葉です。答えは必ずあると信じて考え続けなさい。

9.初めから外部要因のせいにするのをやめなさい

「検索数が減りました」、「インプレッション数が減りました」、「ランディングページが…」、「競合が…」、成果が悪くなる時にさまざまな要因があるでしょう。ただし、初めから外部要因のせいにするのはただの思考の怠慢であり、考えるのをやめている証拠です。

まずは手元を疑ってかかり、要因をしっかりと見極めた上で、正しい答えを導き出すことが重要です。いつだって物事には正しい順序があるのだから。

10.リスティング広告に依存するな

あなたにとってリスティング広告は目的かもしれませんが、クライアントにとっては成果を上げるための手段の1つでしかないことを知りなさい。

金槌をうまく使える人は、すべてのものを釘と見てしまう。
by Abraham Harold Maslow

Maslowが言うように、リスティング広告をある程度理解しだすと、どんな問題でもリスティング広告で解決しようとしてしまいます。ただし、リスティング広告よりも正しい選択肢があるのであれば、自信をもってそちらを推薦できるのが本当の意味で優れたマーケターだと理解しなさい。

11.君は君の作ったアカウントではない

リスティング広告ではアカウント構成や広告文、チューニングやディスプレイネットワークで利用する配信手法の選択など、成果を大きく分けるポイントが数多くあるため、運用者によってポートフォリオの組み方が異なってくることもあります。仮にそれによって矢面に立たされることがあったとしても私はあなたにこれだけは知っておいて欲しいと思います。

君は君の作ったアカウントではないということ。大事なことだから何度でも言いますが、君は君の作ったアカウントではないのです。

自分の価値を自分の作成したアカウントと結びつけてはいけません。指摘する側は決してあなた自身を否定しているのではないということを理解しましょう。ほとんどのケースでより成果を角度の高いものへと補正しようとしているだけであって、多くの場合は建設的な議論を望んでいます。その意識を忘れないで欲しいと思います。

※仮に人格を否定するようなチームであれば、今すぐそのチームを去りなさい。

12.良い習慣を作りなさい

努力は大事だけれど、努力は継続するものではありません。だからこそ、良い習慣を作りなさい。習慣は人間を成長させるための最も大きな要素の1つです。習慣ほど威力の有る行為はありません。

「早起きをして読書を始める」というのは努力です。毎日7時起きだった人が毎朝5時に起きて読書をするのは並大抵のことでありませんから、ほとんどの人は途中で諦めます。習慣の性質を知る人は、5時に起きる根源的動機を持ち出し、それを達成する為に習慣化する術を見つけ出します。これにより、「早起き=努力」だったものが、「早起き=習慣」になるため、継続的に早起きすることができるようになるはずです。

もう一度言います。努力は継続しません。良い習慣を作ることに全力を注ぎなさい。

まとめ

最後に1つだけ僕の最もお気に入りの言葉をプレゼントします。

Paul Graham

醜いものを許せないだけでは十分ではない。どこを直せばよいのか知る嗅覚を得るためには、その分野を十分に理解していなければならない。しっかり勉強しなくちゃならない。

「もっといい方法があるはずだ」この声を無視してはいけない。それを追求するんだ。それが偉大な仕事へのためのレシピだ。
by Paul Graham

ユーザーの変化、テクノロジーの進化、デバイスの多様化、時代の流れ、変化の大きい業界だからこそ、これまでの成功体験に依存するのではなく、もっといい方法が有るはずだという探究心が最も大事なんだと思います。

是非、頑張ってくださいね!

all-of-google-ad-extensions_footer

関連記事

リスティング広告のアカウント分析でとっても大切な3つのこと
リスティング広告のアカウント分析でとっても大切な3つのこと
続きを見る
【セミナーレビュー】運用型広告運用者の為のスキルアップセミナー Vol.3
【セミナーレビュー】運用型広告運用者の為のスキルアップセミナー Vol.3
続きを見る