経営統合でLINEヤフー株式会社となったことにより、Yahoo!ディスプレイ広告(以下、YDA)とLINE広告の相互配信も進んでいます。
LINE広告では、LINE公式アカウントの友だちを増やすための方法として「友だち追加広告」を活用している企業も多いのではないでしょうか。LINEならではの広告メニューと思いきや、なんと2024年10月からはYDAからも「友だち追加」配信ができるようになっています。
でもわざわざYDAから配信する必要はあるの?と思う方も多いですよね。この記事では、YDAから友だち追加広告を配信をするメリットから、利用条件や設定方法まで詳しく説明していきます。
目次
YDAで友だち追加広告を配信するメリット
YDAを経由してLINEの友だち追加広告を配信するメリットは大きく次の2つです。
- Yahoo!広告のターゲティングが利用できる
- Yahoo!広告側のデータが利用できる
LINE広告にもさまざまなターゲティング方法が用意されていますが、Yahoo!広告でのみできるターゲティング方法もあります。たとえばサーチキーワードターゲティングなどが挙げられます。スキンケアアイテムのアカウントの場合、自社の売れ筋アイテムでもある「オールインワンジェル」を検索した人というターゲットリストを作成し、配信することも可能です。
YDAでの友だち追加広告の特徴や注意点
YDAから友だち追加広告を配信するメリットがあるものの、LINE広告経由の場合と異なる利用条件や配信面、広告フォーマットなどさまざまな特徴があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
YDAで友だち追加広告を利用するための条件
YDAでLINEの友だち追加広告を配信する利用条件として、以下2点の注意点をご確認ください。
①広告主情報が日本国内のアカウント
現在のところYahoo!広告の広告主情報が「日本国内のアカウント」に限定されています。広告主情報が海外のアカウントについては今後提供を予定とのことです(詳細は未定)。
➁「代理店」契約のアカウントの場合、広告取扱基本規定へ同意が必要
Yahoo!広告の運用を広告代理店に任せており「代理店」契約のアカウントの場合は、2024年10月1日に改定予定の広告取扱基本規定へ同意いただくことで利用可能になります。詳細はヘルプ「広告アカウントの承継等の手続きについて」を参照してください。
日本国内 | 海外 | |
---|---|---|
「広告主」契約アカウント | 利用可 | 利用不可 |
「代理店」契約アカウント | 契約当事者変更を行ったアカウントから順次利用可能 | 利用不可 |
広告データ利用基準に遵守しているか確認
オーディエンスリストの作成にあたり、広告データ利用基準を遵守しているか審査があります。LINE公式アカウントが認証されていても、友だち関連リスト作成後に審査が入るので、そこで広告グループの配信が否認される場合もあります。審査否認となった場合は「友だち追加」目的以外のキャンペーン配下で、該当リストが配信対象の広告グループが停止されますので、下記データ利用について事前に確認しておきましょう。
第3章 データの利用
1. 慎重に扱うべき個人に関するデータを利用したターゲティングの禁止
8. 未成年者への保護
特に以下のような一部の商品・サービスについては広告データ利用基準に基づくデータ審査に抵触する可能性が高いため、 友だち関連リストを配信対象としてターゲティングに利用できない場合があります。
※広告データ利用基準項目例および商品・サービス例は、例示の限りではありませんのでご注意ください
YDAでの友だち追加の配信面
現在、YDAで友だち追加広告を配信する場合の配信面は「LINE NEWS」面のみになります。今後、さらに配信面の拡大が予定されているとのことです。
広告フォーマット
YDAの友だち追加広告のフォーマットや広告クリック時の挙動は、LINE広告経由の配信と同じです。
レスポンシブ(画像)
アスペクト比1:1/1.91:1ともに対象
※アスペクト比 1:1の最低ピクセルサイズは 「600 ピクセル×600 ピクセル」です。
レスポンシブ(動画)は現時点では未対応。今後順次対応予定のようです。
広告クリック時の挙動
上図のように広告をタップするとポップアップが出て、友だち追加するかの確認が表示され、ポップアップ上の「友だち追加」をクリックすると友だちに追加されます。広告表示パターンとして、上図のようなポップアップの表示なしに直接友だち追加が可能な場合もあります。
現時点(2024年12月現在)でレスポンシブ(動画)は未対応、今後順次対応予定のようです。
友だち追加数の実績はレポートの『クリック』の項目で確認
友だち追加数については通常のYDAとは異なり、パフォーマンスデータやパフォーマンスレポートの『クリック』の項目で確認できます。上図のように広告をタップした「広告タップ数」はカウントされず、友だち追加のために『クリック』したアクション=友だち追加数としてカウントされます。レポートのコンバージョンの項目には計上されないので注意です。
利用できる入札戦略
Yahoo!広告「友だち追加広告」で利用可能な入札戦略は以下の3つです。
入札戦略 | 内容 |
---|---|
友だち追加数の最大化(目標値あり) | 友だち追加単価の目標値を維持しながら、できるだけ多くのLINE公式アカウントの友だちを 獲得できるように入札価格を自動的に調整します。 |
友だち追加数の最大化(目標値なし) | キャンペーンで指定した1日の予算の範囲内で、 LINE公式アカウントの友だち追加数が最大になるように入札価格を自動的に調整します。 |
個別友だち追加単価 | 1友だち追加あたりの最大入札価格を指定し、 指定した入札価格を上限として、入札を行う配信です。 |
それぞれどのようなケースの際に選べばいいのか、以下に例を挙げます。
まず、おおよそどのくらいの獲得単価が妥当なのか推測できる場合は、「友だち追加数の最大化(目標値あり)」を選択します。獲得単価の推測が確かでない場合は、「友だち追加数の最大化(目標値なし)」で配信をし、ある程度獲得単価が把握できてきたら目標値ありに変更するという手法も有効です。
「個別友だち追加単価」はこの中で唯一自動運用ではなく、手動運用になります。一定の配信量を確保する必要がある場合やオークションに勝ちたいときなどは、入札単価を高く設定し、成果をみながら入札単価を変更し配信するという手法で用いることがあります。
友だち追加広告作成の流れ
通常のキャンペーンと異なり、YDAの「友だち追加広告」の設定に進む前に、まず事前準備が必要です。
YDAの「友だち追加広告」設定方法事前準備
事前準備として下記2点の対応をします。
- ビジネスマネージャーの開設
ビジネスマネージャーとは、LINEヤフーやパートナー企業、クライアント企業が持つデータを収集・統合し、データ管理、データ分析、オーディエンスの共有や作成に活用できるツールのことです。
今回は、LINEの友だちを増やす広告をYDAで配信するので、LINE公式アカウントやYDAアカウントをビジネスマネージャーに接続し、データを連携する必要があります。まだ作成されていないという方は、以下を参照して開設しましょう。
ビジネスマネージャーは開設から利用可能になるまで5営業日程度のお時間がかかります。
- LINE公式アカウントの作成とビジネスマネージャーへの接続
友だち追加広告を配信する前に、前提として友だちになってもらう「LINE公式アカウント」が必要です。
LINE公式アカウントの作成済みの方で、ビジネスマネージャーへの接続がまだの方は、接続の手順を参考に設定しましょう。
LINE公式アカウントのビジネスマネージャー組織への接続手順
事前準備が完了したら、次にYDAで「友だち追加広告」を配信するための設定を行います。この設定は、大きく分けて以下の4ステップに分かれます。
- ビジネスマネージャーとYDAアカウントを接続
- LINE公式アカウントとYDAアカウントを接続
- 「LINE公式アカウントの友だち」のオーディエンスリストを作成する
- 「友だち追加」目的のキャンペーン作成
それぞれ設定方法について、説明していきます。
①ビジネスマネージャーとYDAアカウントを接続
ビジネスマネージャーとYDAのアカウントを接続する前に、「ビジネスマネージャー」と「YDAアカウント」に登録されている企業情報が正しいか確認しておきましょう。
2つの情報が異なる場合、接続時の審査において否認となる可能性があるので、正しい情報が登録されているアカウントでの申請、 または新しいYDAアカウントを開設し、正しい情報を登録した上で再度申請する流れになります。
企業情報に問題がなかったら、次にビジネスマネージャーとYDAアカウントの接続に進みます。
1.YDA管理画面 ツールメニュー「アプリ・ツール接続」より、ビジネスマネージャーの「接続申請」を選択します。
2.YDA管理画面で「ビジネスマネージャーの組織ID」を入力し、「確認画面へ進む」ボタンを押し、次の画面で内容を確認し問題なければ「申請」ボタンを押します。
※ビジネスマネージャーの組織IDは、ビジネスマネージャーの管理者へお問い合わせください。
3.発行された「管理者認証用URL」をビジネスマネージャーの管理者へ共有します。認証用URLの有効期間は168時間なので注意です。
4.認証用URLへアクセスすると、LINEのビジネスマネージャーが立ち上がります。内容を確認し、問題なければ「接続を申し込む」ボタンを押します。認証審査は5営業日ほどで完了します。
5.YDAの管理画面の「ビジネスマネージャー接続」でステータスを確認し、ビジネスマネージャーとの接続が完了すると、ステータスが『接続済み』と表示されます。
②LINE公式アカウントとYDAアカウントを接続
LINE公式アカウントとYDAアカウントを接続の設定をする前に、事前に下記4点を確認しておきましょう。
- YDAアカウントに紐づけ可能なLINE公式アカウントは1つのみです。
- 接続対象のLINE広告アカウントとYDAアカウントが同じビジネスマネージャーに 接続されている必要があります。
- LINE公式アカウントとYDAアカウントは1度接続すると解除ができません。
- 一部のLINE公式アカウントはYDAアカウントと接続できません(※)。
(※)LINE公式アカウントおよびその他のサービスのアカウントがビジネスマネージャーに接続されていることが利用条件ですが、利用条件を満たしていても下図の「LINE公式アカウント接続」項目が表示されない場合は提供対象外のアカウントに見なされている可能性があるので、詳しくはLINE DATA SOLUTIONにお問い合わせください。
事前確認事項について問題がなかったら、LINE公式アカウントとYDAアカウントの接続設定に進みます。
LINE公式アカウントとYDAアカウントの接続は、ビジネスマネージャーで行います。
1.ビジネスマネージャーの「LINE公式アカウント接続」メニューより、接続するLINE公式アカウントを選択します。
2.接続中のアカウントにある「アカウントを接続」ボタンを押します。
3.接続するYDAアカウントが表示されるので、「選択」ボタンを押し、内容を確認して問題なければ「接続」ボタンを押します。
4.ビジネスマネージャー上で「接続中のアカウント」の箇所に、接続したYDAアカウントが表示されていれば接続完了している状態です。
③「LINE公式アカウントの友だち」のオーディエンスリストを作成する
「LINE公式アカウントの友だち」のオーディエンスリストを作成するにはYDAの管理画面で設定します。
1.YDA管理画面のオーディエンスリストの管理画面で「オーディエンスリストを作成」ボタンから、「LINE公式アカウントの友だち」または「LINE公式アカウントをブロック中の友だち」を選択します。
2.オーディエンスリスト名の箇所に、何のリストか分かりやすい内容を入力し、「作成」ボタンを押します。
友だち関連リストの注意事項
また、友だち関連リストについては、以下の注意事項があるので確認しておきましょう。
- 友だち関連リストは、作成してからデータ連携までに最大3日ほどかかる場合があります。
- 1つの広告アカウントに対して、有効な状態の友だち関連リストはそれぞれ1件のみ作成可能です。(※データ連携停止により利用不可となったオーディエンスリストは除く)
- 友だち関連リストは、MCCアカウントのオーディエンスリスト共有はできません。
- 友だち関連リストを利用した組み合わせリストも、 MCCアカウントのオーディエンスリスト共有はできません。
- 友だち関連リストを基にした類似ユーザーは作成できません。
- ブロックリストからLINE公式アカウントを削除したユーザーや長期間LINEにログインしていないユーザーは、 友だち関連リストには含まれません。
④「友だち追加」目的のキャンペーン作成
「友だち追加」目的のキャンペーン作成はYDAの管理画面にて設定します。
1.YDAの管理画面の「キャンペーン作成」より「友だち追加」を選択し「決定して進む」ボタンを押します。
2.キャンペーン、広告グループの設定項目を入力し、作成します。
※広告グループを作成すると、「LINE公式アカウントの友だち」リストが自動で除外設定されます(解除はできません)。
キャンペーン・広告グループの設定の詳細は、以下ヘルプページをご確認ください。
3.レスポンシブディスプレイ広告の設定項目を入力し、作成します。
Yahoo!広告の「友だち追加配信」では、上図のとおり設定できない項目や設定値が固定されている項目があるので注意が必要です。
※レスポンシブディスプレイ広告について、詳しくはこちらの記事でも紹介しています。
除外設定できるユーザーサイズの下限値撤廃
これまでYDAにおいて、「高度なセグメント」「広告アクションユーザー」のオーディエンスリストは、ユーザーサイズが小さい(1000件未満)場合、除外対象としてターゲティングできませんでしたが、この制限を撤廃になりました。「友だち関連リスト」においても、この制限はありません。ただし、いずれのリストについても配信対象としてはターゲティングできません。
ビジネスマネージャーの接続停止に注意
YDAアカウントやLINE公式アカウントがビジネスマネージャーと接続停止になったり、LINE公式アカウントが削除・停止となった場合は、友だち追加広告の配信が停止、再開不可になります。またLINE公式アカウントの友だち関連のオーディエンスリストが利用できなくなるなどの影響があるので、注意が必要です。
接続が停止する場合
- LINE公式アカウントが削除、または停止となった場合
- YDAアカウントとビジネスマネージャーの接続が停止した場合
- ビジネスマネージャーとLINE公式アカウントの接続が停止した場合
接続停止による影響
※1:広告管理ツールのキャンペーン一覧やオーディエンスリストの管理画面などで、それぞれ警告マークが表示されます。
※2:友だち追加目的以外のキャンペーンに設定している場合、自動で配信停止はしません。
まとめ
すでにLINE広告で友だち追加広告を配信している場合も、Yahoo!広告は「Yahoo!JAPANのデータ」を活用したターゲティングができ、オークションの状況も異なるため、ユーザーが被らず親和性のあるユーザーに広告配信ができる可能性があります。
もしYDAを実施していてLINEの友だち追加を促進したいという場合には、YDAを使っての友だち追加広告の利用も検討してみてはいかがでしょうか?