興味や関心のある広告を見てうれしい発見がある一方、あまり見たくないような広告に遭遇することはないでしょうか?
Googleは、ユーザー自身でGoogleの検索結果やYouTube、Discoverに表示される広告のカスタマイズやプライバシーの管理ができる「マイアドセンター」という機能を提供しています。
今回は「広告の透明性」の向上に対して行われている取り組みのひとつとして提供されているマイアドセンターの概要やメリット、使い方を紹介します。
マイアドセンターとは?
マイアドセンターとは、広告のカスタマイズとプライバシー設定の管理を自ら行うことで Google検索結果、YouTubeやDiscoverに表示される広告を調整するための機能です。
また、デリケートな広告を制限したり、広告の配信に使われるユーザー情報の設定も確認できます。
マイアドセンターは、Googleアカウントでログインのうえ、以下よりアクセスしてご利用いただけます。
参考:マイアドセンター
例えば次のようなことができます。
- ユーザーの興味・関心に関連するトピックや企業やサービスの広告の表示頻度を変更する
- アルコールやギャンブル、ダイエットなど、デリケートなトピックに関する広告を極力表示されないようにする
- 広告の表示に利用するユーザー情報(性別、年齢、属性など)や、利用可能なアクティビティ(YouTubeの履歴や使用している地域)の設定を変更する
ユーザーと広告主のメリット
マイアドセンターは、ユーザー自身が表示される広告の管理を行うことで、Googleのサービスを安全に使うための機能です。マイアドセンターを使って、ユーザーは自分が見たい、または見たくないといった情報をGoogleに伝えることで、不要な広告の表示頻度を下げることができます。
また、マイアドセンターの利用者が増えることで広告主にもメリットがあります。マイアドセンターではユーザー情報の設定も可能なため、ユーザー自ら情報を正しく設定すれば、より正確なターゲティングができるようになる可能性があります。
ユーザー自身が不要な広告を調整することで、広告主側は不要な広告配信や何度も同じ広告が表示されてしまうことによるネガティブな印象を避けることが期待できます。
アドマイセンターの使い方
マイアドセンターでは、次の4つの設定が可能です。
- 広告のカスタマイズ
- プライバシーの管理
- 広告の詳細を確認
- パーソナライズド広告自体をオン/オフにする
広告のカスタマイズ
「広告のカスタマイズ」では、注目のトピックと企業やサービス、デリケートなトピック(アルコールやギャンブル、ダイエットなど)ごとにタグが分かれており、それぞれ表示頻度の調整ができます。
注目のトピックはヘアケアや自動車、音楽など、注目の企業やサービスはAmazonや楽天、日産などが表示されています。
表示頻度を減らしたい場合は赤枠内の「-」を、増やしたい場合は「+」を選択することで表示頻度の調整が可能です。表示頻度を減らすことはできますが、非表示にはできないのでご注意ください。
例えば、靴の購入を検討していたが目的が達成されたため、広告が不要となった場合などに表示頻度を減らす、といった使い方ができます。
また、左上のフィルタ条件より、最近変更したもの、広告を減らすを選択したもの、広告を増やすを選択したものに絞って確認できます。
フィルタ名 | フィルタ内容 |
---|---|
最近 | 最近変更を加えたもの |
注目 | 注目を浴びているもの |
広告を増やす(+) | 広告を増やすを選択したもの |
広告を減らす(-) | 広告を減らすを選択したもの |
次は、デリケートなトピックを紹介します。デリケートな5つのトピック(2023年10月時点)から、各トピックに関連する広告を極力表示されないようにできます。
各トピックの右側のバーを移動することで変更可能となりますが、必ず表示されなくなるわけではない点に注意が必要です。
プライバシーの管理
「プライバシーの管理」では、広告表示に利用されるユーザー情報(性別、年齢、属性など)やカテゴリの設定を変更ができます。
ユーザー情報は、Googleアカウントに設定した情報が表示されます。設定していない場合はGoogleが推定した内容となるため、実際のユーザー情報とは異なる場合もあります。
例えば、40代の男性なのに、明らかに若い女性をターゲットにしている広告が表示される機会が多いと感じる場合、正しい属性に変更することで、自分に合った広告が表示されやすくなります。
また、「プライバシーの管理」ではGoogleサービス上の行動履歴の広告利用を許可するかどうかの設定も変更できます。
設定は次のカテゴリごとにオンかオフか変更できます。
- ウェブとアプリのアクティビティ
- YouTubeの履歴
- Googleを使用した地域
例えば、YouTubeの履歴をもとに広告が配信されることに抵抗がある方は、ここで設定をオフにすることでYouTubeの履歴を利用した広告が配信されなくなります。
広告の詳細を確認
「広告の詳細」は、一部のGoogleサービス(検索やYouTubeなど)で実際に広告が表示されている時にその広告の情報を確認できる機能です。
例えば、一部のGoogleサービス(検索やYouTubeなど)で表示させたくないと感じるような広告が表示された場合に、その広告をブロックできます。
表示された広告の「︙」または情報アイコンを選択するとマイアドセンターが開きます。
この画面では、以下の設定が可能です。
- 広告をブロックする
- 広告に関する問題を報告する
- 広告主についての詳細を確認する
- その広告の表示に使用された情報を確認する
「広告をブロックする」や「広告に関する問題を報告する」は、目に余る広告に触れて実際に使用したことがある方もいるのではないでしょうか。不要な広告を表示させないようにしたり、Google広告のポリシーに違反していると思われる広告を申告できます。
「広告主の詳細を確認する」では、ビジネスの名前やロゴなどの広告主の情報を確認できます。この情報は「広告主適格性確認プログラム」に対応した企業のみ情報が表示でき、信頼できる広告主かどうかの判断基準のひとつになります。未対応の場合は「広告主の身元が未確認」と表示されます。
「その広告の表示に使用された情報を確認する」では、パーソナライズド広告をオンにしている場合、どのユーザー情報に基づいてその広告が配信されたのかを確認できます。例えば、過去に閲覧されたウェブサイトやGoogleアカウントに設定されている年齢層、性別に基づいて広告が配信された場合は、その旨が表示されます。
筆者は「気になっていた商品が広告で出てきた!なんで?」と感じる時など、広告がどんなユーザー情報に基づいて表示されたのか気になったときに確認しています。
また、マイアドセンターではありませんが、Googleパートナーのサイトやアプリに表示される広告の情報は「この広告主について」という機能から確認できます。マイアドセンターと同様に広告の表示についてカスタマイズできるため、合わせて使用することでより詳細に広告を管理できます。
広告の閉じるボタン、または「AdChoices」や「Ads by Google」を選択します。
「この広告について」を開くと、選択した広告の表示の停止と報告ができます。
パーソナライズド広告自体をオン/オフにする
マイアドセンターでは、パーソナライズド広告を一括でオフにすることも可能です。
パーソナライズド広告をオフにすると、Googleアカウントに登録されている情報やサイトやアプリでの情報が使用されなくなるため、より関連性の低い広告が表示される場合があります。
パーソナライズされた広告とされていない広告で使用する情報は以下のような違いがあります。
- マイアドセンターでおこなった設定
- Googleアカウントで設定した情報やGoogleが推定した年齢や性別などの情報
- Googleサービスの使用中にGoogleアカウントに保存されたアクティビティ(検索した内容や視聴した動画など)
パーソナライズされていない広告で使用される情報
- 時間帯、アクセスしているウェブサイトのトピック、おおまかな現在地、現在検索中の内容などの要素
参考:パーソナライズされた広告の仕組み - マイ アド センター ヘルプ
まとめ
ユーザーが広告のカスタマイズとプライバシー設定ができるようになったことで、ユーザーが見たくないと感じる広告の配信が抑制できたり、広告によってネガティブな印象を与える機会が少なくなったりするのが理想ですが、この機能が広く認知されて誰もが使うようになるのはまだ先のことでしょう。
広告主や代理店側が短期的な売上を追い求めるがあまり、ユーザーが嫌な思いをするような過激な表現をしてしまうことは、ユーザーからの信頼やイメージを損ない、ビジネスにとっても大きな損失にもなりかねません。
ユーザー側で管理できるから、と考えるのではなく、誰かにとって見たくない広告配信をしていないか考えていきたいですね。