2025年の運用型広告業界は、生成AIの本格導入とプライバシー規制対応という2つの大きな変化の中にあります。GoogleのAI Max for Search、MicrosoftのCopilot広告、Yahoo!とLINEのデータ連携強化など、各媒体が戦略的な進化を遂げました。
本記事は、2025年1月から11月までに発表された主要プラットフォームのアップデート情報を媒体別に整理したまとめです。Google広告、Yahoo!広告、LINE広告、Meta広告、X広告、Microsoft広告の6媒体を中心に、広告運用者が押さえるべき変更点を解説していきます。
辞書的に活用できる構成のため、必要な媒体の情報を素早く検索できます。冒頭の横断トレンドでは業界全体の動きを俯瞰でき、年間戦略の立案にも役立つでしょう。
目次
2025年の横断トレンド
まず、個別の媒体アップデートに入る前に、2025年の運用型広告業界全体を特徴づける4つの横断トレンドを見ていきましょう。これらのトレンドは媒体を問わず共通して見られる動きであり、今後の広告運用戦略を考える上で重要な指針となります。
生成AI機能の全面的な展開
2025年は生成AIが運用型広告に本格統合された年です。各媒体が独自のアプローチでAI機能を実装しており、クリエイティブ制作や配信最適化のハードルが大きく下がりました。
GoogleはAI Max for Searchで検索意図理解型への転換を実現しています。P-MAXでは除外キーワード上限が10,000件に拡大され、チャネル別レポートも追加されました。Microsoftは「Copilot」を統合し、会話型AIに自然に溶け込む広告体験を実現。Brand kit機能により、ブランドガイドラインに準拠した素材の自動生成も可能になっています。
Metaは動画領域でVideo Expansion機能を実装しました。既存動画から最適な長さのバージョンを自動生成する仕組みです。Yahoo!の「AI拡張」は異なるアスペクト比のクリエイティブを自動生成し、LINE広告ではURL入力だけで広告画像を自動生成できるURL to Image機能が登場しました。
主要媒体のAI機能まとめ
| 媒体 | 主要AI機能 | できること |
|---|---|---|
| AI Max for Search、P-MAX強化 | 検索意図理解、除外KW10,000件、チャネル別分析 | |
| Microsoft | Copilot広告、Ads Studio | 会話型広告、ブランドガイドライン準拠の自動生成 |
| Meta | Video Expansion、AI Trends | 動画の長さ自動調整、トレンド分析 |
| Yahoo! | AI拡張 | 画像のアスペクト比自動変換 |
| LINE | LINE Creative Lab統合 | URLから広告画像を自動生成 |
運用者の役割は細かな調整作業から戦略的判断へシフトしています。AIはデータ処理とパターン発見に優れる一方、ブランド戦略やクリエイティブの方向性決定は依然として人間の役割です。
プライバシー規制対応の進化
サードパーティCookieの制限が進む中、各媒体はファーストパーティデータの活用を強化しています。特に日本市場では、Yahoo!とLINEの統合によるデータ連携が注目を集めました。
LINEヤフーの「Connect One」構想により、Yahoo!ディスプレイ広告でLINE公式アカウント・LINE広告のオーディエンスデータが活用可能に。LINE公式アカウントで構築した友だちリストをYahoo!ディスプレイ広告のターゲティングに使用でき、逆方向として、Yahoo!ディスプレイ広告からLINE面への直接配信も拡大しています。
iOS環境では各媒体が計測精度向上に取り組んでいます。X広告はAppsFlyerと提携し、LINE広告はSKAdNetwork計測での自動入札に対応しました。Google広告はクロス環境アトリビューションを強化し、ウェブとアプリをまたいだユーザー行動の追跡が可能になっています。Microsoft広告はインプレッションベースのリマーケティングを拡充し、最大20件のキャンペーン/広告グループ横断でリスト作成ができるようになりました。
Metaは2025年4月からインクリメンタルアトリビューション機能をグローバル展開。テストグループとコントロールグループで広告の真の効果を測定し、広告がなかった場合と比較した純粋な効果を可視化する仕組みです。
動画広告フォーマットの多様化
TikTokの成功を受けて、2025年は各媒体が縦型ショート動画への対応を加速させた年でした。9:16フォーマットは今やスタンダードとなり、横型動画しか持っていない広告主も自動変換機能で対応できるようになっています。
GoogleはYouTube Shortsへ本格対応し、9:16縦長画像広告の配信を可能にしました。動画拡張機能で既存の横型動画から自動的にショート動画を生成できます。Yahoo!のインストリーム広告は2025年9月に正式提供を開始し、コネクテッドTV(CTV)対応と月間3,000万ユーザーのAbemaへの配信が予定されています。
LINE広告はトークリストへの動画配信を継続拡大し、LINEスタンプショップなど新たな配信面を追加しました。Microsoft広告のオーディエンス広告は9:16対応となり、TikTokやReels用に作成した素材をそのまま転用できるようになっています。MetaはReelsトレンド広告で人気クリエイターのコンテンツ横に広告を表示し、トレンドに乗った広告配信を実現しました。
自動化と手動制御のバランス変化
AIによる自動最適化が進む一方で、運用者からの「ブラックボックス化」への懸念に応え、2025年は透明性と制御性を向上させる動きが顕著でした。「完全な自動化」から「戦略的な自動化」へのシフトが明確になっています。
Google P-MAXでは除外キーワード上限が100件から10,000件へ拡大し、細かなブランド保護が可能になりました。チャネル別レポートにより、Google検索、YouTube、Gmail、ディスプレイなどの成果を個別確認できるようになっています。検索テーマ機能では、ソースカラムでAI予測か運用者設定かを判別でき、有用性インジケーターで効果を定量評価できるようになりました。
P-MAXの制御性向上まとめ
| 項目 | 変更前 | 変更後 | 運用メリット |
|---|---|---|---|
| 除外キーワード | 100件 | 10,000件 | ブランド保護の強化 |
| レポート | 統合のみ | チャネル別 | 各配信面の成果を個別確認 |
| 検索テーマ | 効果不明 | 有用性表示 | データに基づく改善判断 |
Yahoo!広告はオークションランク構成要素を明確化し、何が品質スコアに影響するか公開しました。Microsoft広告のCopilotはAIと人間の協働を実現しています。広告運用者の役割は、細かな入札調整から戦略的な判断へとシフトしているようすが伺えますね。
1. Google広告
横断トレンドで触れたように、GoogleはAI活用で業界をリードしています。ここからは、検索広告、P-MAX、デマンドジェネレーション、測定・分析の各領域で実施された具体的なアップデートを見ていきましょう。
1-1. 検索広告
検索広告は2025年、AI Max for Searchの導入により大きな転換期を迎えました。従来のキーワード依存型から検索意図理解型への進化は、検索広告の歴史における重要なマイルストーンといえるでしょう。
AI Max for Search(AI最大化設定)
2025年5月に発表された検索広告向けの新機能で、生成AIと自動最適化を組み合わせた仕組みです。2025年6月末までにすべての広告アカウントに段階的に実装されました。
AI Maxはキーワードのターゲティングとクリエイティブの最適化を統合しており、Google広告のAIがリアルタイムに配信と広告文・最終ページURLを最適化します。従来のキーワード依存型から検索意図理解型への転換が実現し、運用者が登録していない検索語句でも、AIが関連性が高いと判断すれば広告が表示されるようになりました。
主な機能は3つあります。検索語句マッチング機能の強化により、AIが検索ユーザーの検索意図を理解して広告を表示。テキストのカスタマイズ機能では、レスポンシブ検索広告に入力された見出しや説明文を検索クエリに応じて自動最適化します。最終ページURLの拡張機能は、サイト全体からGoogle AIが最適と判断したページを自動的に遷移先として選択する仕組みです。
設定は「AI Maxでキャンペーンを最適化する」をオンにするだけで有効化できます。ただし、学習期間として最低2週間の運用データが必要であり、除外キーワード設定や定期的な検索語句レポートの確認は引き続き重要です。
レスポンシブ検索広告の強化
AI Max以外にも、レスポンシブ検索広告自体の表示ロジックがやや変更されています。

従来はサイトリンク表示オプションが掲載されていた箇所に、レスポンシブ検索広告の見出しを最大2個追加表示できるようになりました。これにより、見出しの表示数が最大3個から最大4個に増加し、より多くの情報をユーザーに伝えられるようになっています。
表示機会が増えたため、見出しすべてに質の高いバリエーションを用意する重要性が高まりました。アセット最適化の改善により、より多くの広告パターンが自動でテストされ、効果の高い組み合わせが優先表示されるようになっています。
オークションの仕様変更
検索広告の掲載ルールにも重要な変更がありました。
2025年4月に上部の広告枠で落札した広告が、同時に下部の広告枠のオークションにも参加できるようになりました。その結果、異なる広告位置であれば同じ広告主の複数の広告が表示される可能性が生まれています。
これまでは「不当な優位性ポリシー」により、同じ広告主の広告は検索結果に1つしか表示されないのが原則でした。このポリシーが更新され、予算の大きい広告主が複数の広告枠を獲得しやすくなる可能性があります。中小企業は品質スコアの向上やターゲティング精度の強化で対抗する必要があるでしょう。
1-2. P-MAX(パフォーマンスマックス)
P-MAXは2025年、「ブラックボックス」という批判に応える形で透明性と制御性を大幅に向上させました。自動化の利便性を保ちながら、運用者が介入できる余地を増やす方向での進化が顕著です。自動化の利便性を保ちながら、運用者が介入できる余地を増やす方向での進化が顕著です。ブランドリストの活用方法も含め、制御性の向上が進んでいます。
透明性と制御性の向上
運用者の長年の要望に応える形で、P-MAXキャンペーンは大幅な機能強化を実施しました。除外キーワード設定上限が従来の100件から10,000件へと100倍に増加し、ブランド保護や不要なトラフィック除外の精度が大幅に向上しています。高級ブランドを扱う広告主が「激安」「格安」「コピー品」といった関連キーワードを網羅的に除外したり、BtoB企業が個人向けの検索クエリを詳細に除外したりすることが現実的になりました。

チャネルパフォーマンスレポートの追加により、Google検索、YouTube、Gmail、Discover、ディスプレイなど各チャネルの貢献度を把握できるようになりました。これまでブラックボックスだった配信先の成果が可視化され、配信戦略の見直しが可能になっています。
検索テーマ機能の正式リリース
ベータ版で好評だった検索テーマ機能が、運用者のフィードバックを反映して正式リリースされました。
検索テーマとは、P-MAXに特定のトピックや商品カテゴリを伝える機能です。AIがこれを参考に関連する検索クエリへの配信を強化します。「ソースカラム」により、表示された検索クエリがAIの予測によるものか、広告運用者が追加した検索テーマから生まれたものかを判別できるようになりました。
透明性と制御性の向上により、以前によると改善のための運用が行える要素が増えています。提供当初に取り組んだが上手く行かなかった、あるいは意図した設定が行えないために活用を見合わせていた場合でも、自社の取り組みに合わせた利用ができないかあらためて検討する余地が出ていると考えています。
ターゲティング機能の強化
顧客のライフサイクルに応じた、より精緻なターゲティングが可能になりました。
「新規顧客の獲得」目標がレポートで確認可能になり、新規顧客と既存顧客の獲得コストや購入額を比較分析できます。「ユーザー維持」目標もすべてのアカウントで利用可能になり、既存顧客への再購入促進施策が実施しやすくなりました。

年齢と性別ターゲティングでは除外機能が追加され、特定の年齢層への配信を制限できるようになりました。これは年齢制限のある商品やサービスを扱う広告主にとって重要な機能といえるでしょう。
クリエイティブ制御の進化
画像アセットの準備にかかる手間も大幅に削減されています。

「ランディングページの画像」機能が導入され、ウェブサイトから画像を自動取得できるようになりました。画像強化機能も同時に登場し、アップロードした画像から、AIが異なるアスペクト比や構図のバリエーションを自動生成します。複数の配信面に最適化された画像を用意する手間が削減される一方、ブランドイメージに合わない画像が生成される可能性もあるため、プレビュー確認が推奨されます。
1-3. デマンドジェネレーション
デマンドジェネレーションキャンペーンは、配信面の選択肢が広がり、より柔軟な運用が可能になりました。YouTube、Discover、Gmailに加え、GDNへの配信も開始されています。
配信面が選択できるように

2025年3月から、配信面を細かく制御できるようになりました。
YouTube(インストリーム、インフィード、Shorts)、Discover、Gmailの中から配信面を選択できるようになり、さらに2025年4月以降は、Googleディスプレイネットワーク(GDN)も自動的に配信対象に追加されています。これにより、商材やキャンペーン目的に応じた精緻な配信設計が可能です。GDNへの配信を望まない場合は、手動でチェックボックスをオフにする必要があります。
また動画アクション キャンペーンもデマンド ジェネレーションにアップグレードされており、使い所も増えていますよね。
YouTube Shorts対応
縦型動画の需要拡大に対応し、YouTube Shortsへの広告配信が本格化しました。
9:16の縦長画像広告が配信可能になり、スマートフォンのフルスクリーンを活用した没入感のある広告体験を提供できます。縦型動画を持っていない広告主向けに、動画拡張機能も導入されました。既存の横型動画から、AIが自動的に短尺の縦型バージョンを生成する仕組みです。ただし、2025年3月10日時点で動画拡張機能が有効になっている場合、自動生成された動画が配信されるため、設定の確認が推奨されます。
参考:デマンド ジェネレーション キャンペーンのアセットの仕様とベスト プラクティス - Google 広告 ヘルプ
商品フィード連携
ECサイトや複数商品を扱う広告主向けの機能も追加されました。
デマンドジェネレーションキャンペーンで商品フィードが利用可能になり、商品カタログの情報を活用した広告配信を実施できます。画像の自動表示設定が追加され、商品画像を使わない選択肢も可能になりました。ブランドイメージを統一したい場合や、商品画像の品質が不十分な場合に有効です。
2025年11月の新機能
2025年11月には、Pathmaticsアセットの連携機能やA/Bテスト機能の強化、インクリメンタリティ測定の改善が発表されました。詳細は11月のアップデートまとめで確認できます。
1-4. 測定・分析
広告の成果をより正確に把握するための測定機能も強化されています。GA4との連携深化やコンバージョン測定の改善により、データに基づいた意思決定がしやすくなりました。
GA4連携の深化
Google広告とGoogle Analytics 4(GA4)の統合が深化し、P-MAXキャンペーンの成果データがGA4上で一元管理できるようになりました。広告のインプレッションからクリック、サイト内のページ閲覧、セッション時間、最終的なコンバージョンまでをフルファネルで可視化できます。
Googleタグマネージャー(GTM)の仕様変更
計測精度の向上を目的とした仕様変更が実施されました。
2025年4月10日より、GTMで設定したGoogle広告タグやFloodlightタグの実行前に、自動的にGoogleタグが読み込まれるようになりました。これにより計測精度の向上が期待されます。
コンバージョン測定の改善
アプリとウェブをまたいだコンバージョン測定がより正確になっています。
オフラインコンバージョンインポート(OCI)を使用してアプリ内コンバージョンをインポートしている広告主向けに、conversion_environmentパラメータの実装が推奨されています。このパラメータを実装することで、正確なクロス環境アトリビューション、広告リンク先レポート、効率的なサポートが可能になります。
Googleより公式のハイライトも記事が出ていますので、ぜひチェックしてみてください。
Google Ads Highlights of 2025 - Google 広告 ヘルプ
Ads AdvisorやAnalytics Advisorも、まだ英語版などではありますがすでに一部で導入が進んでいます。AI主導時代の広告運用はどう変わるのか?についてのコラムもあらためて読んでいただけるとうれしいです。
2. Yahoo!広告・LINE広告
Yahoo!広告とLINE広告は、LINEヤフーとしての統合が進み、2025年はプラットフォーム間のデータ連携が大きく進展しました。ここでは、Yahoo!×LINE連携、Yahoo!検索広告、Yahoo!ディスプレイ広告、Yahoo!ショッピング広告、LINE広告の各領域でのアップデートを解説します。
2-1. Yahoo!×LINE連携の加速

LINEヤフーの「Connect One」構想が具体化し、2つのプラットフォーム間でのシームレスなデータ活用が可能になりつつあります。
2026年春頃には、LINE広告とYahoo!広告を統合し、新たに「LINEヤフー広告」として提供する計画が発表されています。徐々に具体的な情報が出てきそうです。引き続きキャッチアップしていきましょう。
データ連携の強化
Yahoo!広告とLINE広告の統合が進み、両プラットフォーム間でのデータ活用が可能になっています。LINE公式アカウント・LINE広告のオーディエンスデータをYahoo!ディスプレイ広告で活用でき、Yahoo!ディスプレイ広告からLINE面への直接配信も拡大しました。
配信可能な広告フォーマットはバナー広告(画像・動画)と動的ディスプレイ広告で、配信面はLINEファミリーアプリとLINE広告ネットワークです。
Connect One構想
契約やアカウント管理の一元化も進んでいます。
契約当事者の統一(広告主へ)により、Yahoo!広告とLINE広告の一元管理が可能になっています。ビジネスマネージャーの活用強化により、複数アカウントの効率的な運用が実現しました。
2-2. Yahoo!検索広告
Yahoo!検索広告は、オークションの仕組みがより透明化され、運用者にとって分かりやすくなりました。機能面でも使い勝手の向上が図られています。
オークションランクの構成要素変更
2025年1月から順次適用され、広告掲載の仕組みがより明確になりました。
広告の品質評価指標が刷新され、より公平で透明性の高いオークションシステムとなっています。広告の関連性、ランディングページの品質、広告フォーマットの活用度が影響する要素として明確化されました。
参考:広告の品質について【検索広告】 - ヘルプ - Yahoo!広告
機能改善
日常の運用作業を効率化する機能が複数追加されました。
コピー機能の追加により、キャンペーン、広告グループ、広告、キーワードのコピーが管理画面上で簡単に実行できるようになりました。カスタム指標が広告グループ一覧でも利用可能になり、より柔軟なレポーティングが可能です。
コンバージョンAPI提供が開始され、iOSのプライバシー保護強化に対応した正確なコンバージョン計測が可能になりました。
広告アセットの充実度にクリックリンクアセットも追加
広告の品質評価において、広告アセットの重要性が増しています。
クイックリンクアセットが品質評価指標に追加され、広告アセットの活用がこれまで以上に重要になりました。
参考:【検索広告】「広告アセットの充実度」の評価指標にクイックリンクアセットを追加|LINEヤフー for Business
2-3. Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)
Yahoo!ディスプレイ広告は、AI活用、入札戦略、ターゲティング、配信面の各領域で機能強化が行われました。特にAI拡張機能の追加は、クリエイティブ制作の工数削減に大きく貢献しています。
AI活用機能
クリエイティブ制作の手間を大幅に削減する機能が登場しました。

画像引用元:画像生成AI機能(AI拡張)について【運用型】 - ヘルプ - Yahoo!広告
画像生成AI機能「AI拡張」の提供により、異なるアスペクト比の画像を自動生成できるようになりました。複数の配信面に対応する画像素材を手作業で用意する必要がなくなっています。
動的ディスプレイ広告
ECサイトや不動産サイト向けの動的広告が全アカウントで利用可能になりました。
2025年2月に全アカウントで提供が開始され、配信対象ユーザーも拡大されました。商品・物件情報が頻繁に更新されるビジネスでの活用が進んでいます。
入札戦略の追加
コンバージョン価値を重視した入札戦略が正式に利用可能になりました。
「コンバージョン価値の最大化」が正式提供開始され、EC事業者など客単価にばらつきがあるビジネスでの活用が進んでいます。「ビューアブルインプレッション数の最大化」も正式リリースされ、ブランド認知を目的とした配信での活用が可能になりました。
ターゲティング機能
より精緻なターゲティングが可能になり、配信の無駄を減らせるようになっています。
年齢×性別の組み合わせターゲティングがロードマップに追加され、より細かなデモグラフィックターゲティングが可能になる予定です。オーディエンスリスト「高度なセグメント」にURL追加機能が実装され、特定のURLを訪問したユーザーをセグメント化できるようになりました。スマートターゲティングの機能改善により、機械学習による自動ターゲティングの精度が向上しています。
配信面の拡大
新たな配信面が追加され、リーチできるユーザーが広がりました。
Yahoo!防災速報アプリで広告配信が開始され、災害情報に関心の高いユーザーへのリーチが可能になりました。Abemaへのインストリーム広告対応がロードマップに追加され、人気の動画配信サービスでの広告配信が予定されています。
インストリーム広告
動画広告の配信オプションが正式に提供開始されました。
2025年9月に正式提供が開始され、動画番組内への広告配信が可能になりました。コネクテッドTV(CTV)にも対応し、テレビ視聴環境での広告配信が実現しています。
2-4. Yahoo!検索連動型ショッピング広告
Yahoo!検索連動型ショッピング広告では、出店者の負担軽減と表示形式の改善が行われました。

2025年5月に商品情報掲載が無料化され、出店者や広告主の負担が軽減されました。2025年6月にカルーセル表示が開始され、複数の商品を横にスワイプして閲覧できる形式の広告表示が可能になりました。
書籍、DVDなどの販売制限が解除され、より幅広いカテゴリーでの広告出稿が可能になっています。
2-5. LINE広告
LINE広告は、コンバージョン価値の最適化、配信面の拡大、動的広告の改善、クリエイティブ機能の強化が進みました。特にバリュー最適化機能の正式リリースは、EC事業者にとって重要なアップデートです。
バリュー最適化機能
コンバージョン価値を重視した配信が可能になりました。
β版が2025年1月に提供開始され、2025年8月に正式版がリリースされました。目標ROAS最適化機能も同時に正式リリースされ、コンバージョン価値の最大化を実現しています。ECサイトでの高単価商品の優先配信や、会員登録の質を重視した配信に活用できます。
LINE Dynamic Ads
動的広告の設定と管理が簡素化されました。
商品セット作成が簡易化され、より多くの広告主が動的広告を活用できるようになりました。商品フィードリセット機能が追加され、商品情報を一括でリセットして再登録できるようになっています。画像クリックオーディエンスの提供が開始され、商品画像をクリックしたユーザーをオーディエンスリストとして活用できるようになりました。
クリエイティブ機能
LINE広告の管理画面内でクリエイティブ制作が完結できるようになりました。
LINE Creative Labが管理画面内に統合され、外部ツールを使わずにクリエイティブ制作が可能になりました。画像サイズの出し分け機能により、配信面に応じて最適な画像サイズを自動で出し分けられます。
3. Meta広告(Facebook・Instagram・Threads)
Metaは2025年、新プラットフォームThreadsへの広告展開、クリエイター連携の強化、AI機能の進化、測定機能の向上を推進しました。特にThreads広告の本格展開は、新たなリーチ獲得のチャンスとなっています。
3-1. Threads広告の本格展開

Metaの新しいテキストベースSNS「Threads」で、広告配信が開始されました。
2025年1月に日本と米国でテストが開始されました。現在は画像広告のみに対応し、認知、トラフィック、ウェブサイトコンバージョンの広告目的で利用可能です。
Instagramフィード広告との同時配信が基本となっており、2025年6月からはThreadsアカウントを持っていなくても、Instagramアカウントがあれば広告配信が可能になりました。Threads広告はデフォルトで配信対象となっているため、配信を望まない場合は除外設定が必要です。
3-2. AI機能の進化
Metaは動画広告の最適化とトレンド分析の領域でAI活用を進めています。
動画拡張(Video Expansion)機能により、Facebook Reelsでの動画広告が自動的に最適化されます。既存の動画素材から、Reelsに最適な短尺バージョンを自動生成する仕組みです。
また、AIトレンド分析機能が強化され、関連性の高い広告配信が可能になりました。AIが現在のトレンドを分析し、最適な配信タイミングと内容を提案します。
参考:Meta広告マネージャで動画生成機能を使用して広告を作成する | Metaビジネスヘルプセンター
3-3. 測定とアトリビューション
広告の実際の効果を測定する新しい手法が導入されました。
インクリメンタルアトリビューション

キャンペーン作成時に設定可能な新しい測定手法で、広告の真の増分効果を測定できます。テストグループとコントロールグループを自動で設定し、広告がなかった場合と比較した純粋な効果を可視化します。ROIの正確な把握、予算配分の最適化、媒体間比較の精度向上が可能になります。
参考:インクリメンタルアトリビューションについて | Metaビジネスヘルプセンター
Googleアナリティクスとの連携
Meta広告の成果をGA4上で分析できるようになりました。

Meta広告とGA4の連携が強化され、Meta広告経由のユーザー行動をGA4上で詳細に分析できるようになりました。
3-4. ポリシー変更
広告ポリシーに一部緩和と強化が行われました。
ビフォーアフター表現の一部緩和
特定の業界では、ビフォーアフター表現の使用が可能になりました。
皮膚治療、歯のホワイトニング、歯科矯正、抜け毛治療、美容整形、脱毛の業界では、適切な表現であればビフォーアフター画像の使用が可能になりました。ただし、減量/細身、年齢関連の肌治療、肌のホワイトニングは引き続き禁止されています。
金融商品広告の制限強化
米国市場では金融商品広告の規制が強化されています。
米国のみの対応ですが、2025年1月以降、金融商品広告では特別広告カテゴリの設定が必要になる可能性があります。
4. X広告(旧Twitter)
X広告は2025年、広告ポリシーの大幅変更により運用方法が大きく変わりました。一方で、新機能の追加やUI/UX改善も進んでいます。ポリシー変更への対応が急務となっている媒体です。
4-1. 広告ポリシーの大幅変更
X広告は2025年6月から8月にかけて、広告クリエイティブに関するポリシーを大幅に変更しました。これまで一般的だったハッシュタグやURLの使用が制限され、運用者は新しいルールへの対応が求められています。
ハッシュタグ利用の禁止
2025年6月27日から、広告クリエイティブ内でのハッシュタグ使用が禁止されました。よりシンプルで訴求力の高い広告を目指すための変更とされています。代替手段として、カンバセーショナルボタンの活用、ウェブサイトカード経由での誘導、広告テキストの最適化が推奨されています。
URL記載の禁止
2025年7月29日から、広告テキスト内での直接的なURL記載が禁止されました。代替手段として、ウェブサイトカード、カルーセル広告、コレクション広告の利用が推奨されています。
絵文字使用の制限
さらに絵文字の使用にも制限が設けられました。
日本・韓国以外では2種類以上の絵文字使用が不可となり、全世界で禁止されています。
4-2. 新機能とアップデート
ポリシー変更がある一方で、EC事業者向けの機能強化やShopify連携など、新しい機能も追加されています。
ダイナミックプロダクト広告(DPA)
EC事業者向けの動的広告が強化されました。
Shopify連携が強化され、商品カタログの同期が簡素化されました。レコメンド機能により、ユーザーの行動履歴に基づいて最適な商品を自動で出し分けます。
Shopify連携
日本市場でもShopify連携が正式に利用可能になりました。
2025年2月に日本で正式開始され、商品情報の自動同期とAI活用キャンペーンが可能になりました。
5. Microsoft広告
Microsoft広告は2025年、生成AI「Copilot」の統合を加速させました。会話型AIに自然に溶け込む広告体験の提供や、P-MAX・ショッピングキャンペーンの機能強化が進んでいます。
5-1. Copilot統合の加速
Microsoftの強みである生成AI「Copilot」が、広告プラットフォームに深く統合されました。
Copilot広告
会話型AIに自然に溶け込む広告表示が実現し、テキスト広告、PMAX、ショッピング広告、マルチメディア広告に対応しています。2025年4月から日本でテストが開始されました。
また、「Showroom Ads」という会話型AIを活用した新しいショッピング体験も提供されています。
Copilotを通じた没入型ショッピング体験が提供され、実店舗のような会話感覚での商品探しが可能になっています。
参考:Transforming the future of audience engagement | Microsoft Advertising
Ads Studio機能
AIによる広告文作成支援が利用しやすくなりました。

Microsoft Advertising Editorでも利用可能になり(2025年5月)、CopilotによるAI支援とBrand kit機能によるブランドガイドライン準拠の自動生成が可能です。
参考:Ads Studio in Editor and other product updates for May | Microsoft Advertising
5-2. PMAX(Performance Max)
GoogleのP-MAXと同様の機能強化が行われました。

検索テーマ機能(Google追従)、除外キーワード管理の改善、レポート機能の強化が実施されました。
5-3. ショッピングキャンペーン
EC事業者向けの機能が充実しました。

補助フィードの全世界提供が2025年9月に開始され、商品グループの一括編集機能が追加されました。
参考:Supplemental feeds and other product news for September | Microsoft Advertising
5-4. オーディエンス広告
動画広告のフォーマットが拡充されました。ネイティブキャンペーンで動画利用が可能になり、9:16の縦型動画に対応しています。
参考:Feed updates for Shopping campaigns and other product updates for April | Microsoft Advertising
5-5. 機能改善
日常の運用を効率化する細かな改善も多数実施されています。
プロモーション表示オプション

プロモーション情報の表示が柔軟になりました。イベント情報と期間を同時表示でき、配信スケジュール自動終了機能が追加されています。
インプレッションベースのリマーケティング強化
リマーケティングリストの作成が柔軟になりました。最大20件のキャンペーン/広告グループ横断でリスト作成が可能です。
参考:Impression-based remarketing updates and other product news for August | Microsoft Advertising
まとめ:2025年の運用型広告で押さえるべきポイント
ここまで各媒体の詳細なアップデートを見てきました。最後に、2025年の運用型広告全体を振り返り、2026年に向けて押さえておくべきポイントを整理します。
媒体横断で重要な3つの変化
2025年の運用型広告業界を特徴づける変化は、AI自動化の進化、プライバシー対応の深化、動画フォーマットの多様化の3つに集約されます。
AI自動化の進化と運用者の役割変化
自動化は「任せる」から「方向性を示す」へ変化しました。運用者は戦略立案、クリエイティブ企画、データ分析への注力が求められています。
プライバシー対応とファーストパーティデータ活用
Cookie規制への継続対応、自社データの重要性増加、媒体間データ連携の活用(Yahoo!×LINE等)が進んでいます。
動画・ショート動画への対応
縦型動画制作の内製化検討、各媒体の動画フォーマット理解、動画クリエイティブの横展開が重要です。
2026年も引き続きAI活用とプライバシー対応が重要テーマとなるでしょう。
AI機能の積極的なテスト実施、ファーストパーティデータ基盤の整備、クリエイティブ制作体制の見直し、プライバシー規制動向のウォッチが必要です。
本記事で紹介したアップデートは、各媒体の公式発表に基づいていますが、仕様は予告なく変更される可能性があります。最新情報は各媒体の公式サイトやヘルプセンターでご確認ください。
※月ごとのまとめはこちら



