【運用型広告アップデートまとめ】2024年07月

【運用型広告アップデートまとめ】2024年07月

8月は夏季休暇を取られるかたも多いのではないでしょうか。

普段はパソコンやスマートフォンの画面とにらめっこしている方も、休暇中はいつもと違った体験や人と会ったりできます。そうして日常とは異なる生活を送ることで「新しい視点」を得ることができるかもしれません。私は帰省すると、車社会を肌で感じて、スマートフォンを使うタイミングが自分とは違っているな、などと気づきがありました。

新しい視点は、思わぬかたちで仕事に役立つこともあります。夏季休暇がある方は、画面から離れてリフレッシュする良い機会です。よい休暇をお過ごしください。

さて、夏らしい日が続きますが、7月にあった主要な媒体アップデートをみていきましょう。


目次

Google広告の注目アップデート

7月は、長らく「部分一致」と言われていたマッチタイプが「インテントマッチ」へと改称されました。一見すると単なる名称の変更のように思われますが、表面的な変更に留まらず、その背景にはAIの進化による機能の向上があったりします。

背景も含めて、媒体のアップデートを理解できるよう、チェックしていきましょう。

部分一致の名称がインテントマッチに変更

検索広告のマッチタイプである部分一致が、「インテントマッチ」に名称変更されました。名称変更のみで仕様の変更はありません

部分一致が登場してから約20年が経ち、一昔前にはよく見られた「ビジネスの成果に結びつきにくいキーワードへの拡張」も少なくなってきた印象です。単なる「文字列の一致」だけではなく、検索ユーザーのインテント、つまり検索意図を捉えられるよう機能が向上しています。

今回の改称は、マッチタイプの開発を進めていくうちに「部分一致」という名称が実際の機能と合わなくなっていることが背景にあります。

なお、Google広告エディターでは引き続きマッチタイプは「部分一致」、CSVでダウンロードしても、「Broad」のまま表記されています。(2024年8月7日時点)

広告管理画面で除外キーワードを確認するとインテントマッチの表記。

そして、除外キーワードのマッチタイプは従来通り「部分一致」とヘルプには記載されていますが、実際の広告管理画面を見ると「インテントマッチ」と表記されています。(2024年8月7日時点)

Google広告ヘルプ上の記載は「部分一致」になっています。

除外キーワードと入稿するキーワードのマッチタイプは仕様が異なるため、インテントマッチと表記されると少し混乱します。現時点では、広告管理画面とヘルプが統一されていないだけで、除外キーワードの仕様変更はないと思われます。

インテントマッチキーワードの設定がデフォルトで有効に

今回の名称変更と同時期に、部分一致の利用を促進する動きとして、新規でキャンペーンを作成する際、キャンペーン設定の「インテントマッチキーワードの設定」がデフォルトでオンになっています。

キャンペーン設定のインテントマッチキーワードの設定で確認できます。

インテントマッチキーワードがオンになっていると、そのキャンペーンに完全一致やフレーズ一致を登録してもすべてインテントマッチに自動で変換されます

意図していない設定にならないためにも、キャンペーン作成時には注意が必要です。

検索数の少ない広告グループ・キーワードが自動的に一時停止に

長期間アクティビティが少ない広告グループやキーワードのステータスが自動的に一時停止されるようになりました。

自動的に停止になる条件は、13ヶ月以上前に作成され、過去13ヶ月間表示回数が発生していない場合です。一時停止になった広告グループ・キーワードは再開することもできます。ただ、再開後3ヶ月間表示回数がない場合、再度停止されます。特定の期間だけ検索ボリュームが増えるキーワードがある場合に、意図せず掲載できていない状況になることも考えられるため注意が必要です。

自動的に停止になった広告グループ・キーワードの確認方法

  • 広告管理画面の右上「通知」アイコンから確認。
  • 広告管理画面の広告グループ(または「検索キーワード」)で、フィルタ「ステータスの理由」を選択。「アクティビティが少ないため一時停止されている広告グループ(または、キーワード)」を選択して確認。

P-MAXでアセットレベルのコンバージョンレポートが確認できるように

P-MAXでは主に2つのアップデートがありました。

  • アセットレベルのコンバージョンレポートが確認できるように
  • AIを活用した画像編集が順次利用可能に
画像引用元:New reporting and genAI tools to boost creative results - Google 広告 ヘルプ(English)

今までアセットの評価は「最良」「良好」「低」「学習中」の4つのステータスで確認できていました。

アップデート後には、アセットレベルのコンバージョンが確認できるようになります。

これにより各アセットの成果を数字で判断できるため、クリエイティブの最適化がしやすくなります。

画像引用元:New reporting and genAI tools to boost creative results - Google 広告 ヘルプ(English)

AIを活用した画像編集は、画像内のオブジェクトを削除、追加、置換するなどの編集が簡単にできます。現在は英語のみで展開されていますが、今年の後半にかけて他の言語にも展開が広がります。

今回のアップデートでアセットの工夫がしやすくなりました。一度活用を見送った方も再検討できるのではないでしょうか。

Google Merchant Center NEXTへ9月までに移行

従来のMerchant Centerのアップデート版として提供が開始されている「Google Merchant Center Next」ですが、2024年9月にすべてのアカウントを対象として移行されることが発表されました。

これまで、従来のMerchant Centerで提供されていた補助フィードやルール機能がないことで移行が難しかったアカウントにおいても、該当する機能の実装がなされています。

画像引用元:What retailers can expect from the new Merchant Center - Google 広告 ヘルプ

生成 AI を使用して商品画像を作成・加工できる「Product Studio」などの新しい機能もありますので、移行を検討してみてはいかがでしょうか。

対象:Google Merchant Centerを使用しているアカウント

公式ヘルプ:What retailers can expect from the new Merchant Center - Google 広告 ヘルプ

Yahoo!広告のアップデート

Yahoo!広告は、特にディスプレイ広告のアップデートが多かった印象です。生成AIの活用やターゲティング手段が増えることなど、チェックしておきたい機能が複数でています。

※記事内表記 「ディスプレイ広告」:Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)を指します。

【検索広告】部分一致の名称がインテントマッチに変更

Google広告の変更に続き、Yahoo!広告でも「部分一致」の名称が「インテントマッチ」になりました。名称変更のみで仕様に変更はありません。なお、対象外キーワードのマッチタイプは部分一致のままです。

【検索広告】LINE広告とYahoo!広告 化粧品/薬用化粧品、食品/健康食品の広告掲載基準を統一

LINEヤフー株式会社の統合により、広告掲載基準の統一化が行われています。その一環で、化粧品/薬用化粧品、食品/健康食品の表現について、統一した判断基準が適応されました。

いままでは、LINE広告、Yahoo!広告のそれぞれで掲載基準を確認する必要がありましたが、今後は一つの広告掲載基準の確認で済みます。

公式ヘルプには、今回統一する項目で特に審査非承認になりやすい事例をピックアップして紹介しています。化粧品や食品の広告を掲載している方は一読をおすすめします。

【ディスプレイ広告】広告文を生成AIが提案する機能のリリース

レスポンシブ広告のタイトルと説明文を生成AIが提案する機能が提供開始されました。

広告管理画面の「+広告作成」からレスポンシブ広告を選択、「タイトル・説明文を生成AIが提案」ボタンから利用できます。

「タイトル・説明文を生成AIが提案」をクリックし、最終リンク先URLを入力します。含めたい文言がある場合、最大3件まで入力することもできます。

生成を開始するとすぐにいくつかの候補があがってきました。提案されたものをそのまま使用するのではなく、必ず確認をすることをおすすめします。

なお、生成AIによる提案は1アカウントにつき1ヶ月最大30回です。

【ディスプレイ広告】オーディエンスリスト「広告アクションユーザー」の提供開始

広告にアクション(クリック・コンバージョン・動画視聴のいずれか)を起こしたユーザーに対して、広告配信のターゲティングができるようになりました。

ツール→ライブラリー内のオーディエンスリスト→「+オーディエンスリストを作成」から、広告アクションユーザーを選択。

このアップデートは、今後サードパーティーのデータ利用に制限がかかることを受けて、広告媒体側(ファーストパーティ)で取得できるデータの活用に着目したアップデートです。

そのため、従来から使用できたウェブサイト訪問ユーザーをもとに作成するコンバージョンリストとは、コンバージョンデータの取得範囲が異なります

画像引用元:【ディスプレイ 広告(運用型)】オーディエンスリスト「広告アクションユーザー」提供開始について - LINEヤフー for Business 資料内PDF P.29

なお、広告アクションユーザーのユーザーリストは、1,000件未満の場合配信利用ができないため、オーディエンスリストの作成は早めに設定しておきましょう。

【ディスプレイ広告】動的ディスプレイ広告 商品閲覧履歴のないユーザーへの配信を正式に提供開始

動的ディスプレイ広告で、商品閲覧履歴のないユーザーにも配信する機能が正式に提供開始されました。

商品閲覧履歴のないユーザーへの配信は、ユーザーのウェブサイト上での行動履歴や属性などに基づいて選定された商品の広告を配信します。

画像引用:【ディスプレイ広告(運用型)】動的ディスプレイ広告 商品閲覧履歴のないユーザーへの配信 正式提供開始のお知らせ - LINEヤフー for Business  資料内PDF P.8

商品閲覧履歴のないユーザーのリストは、ユーザーの興味の深度に合わせて広告配信ができたり、リーチを広げたい場合に活用を検討できます。

なお、商品閲覧履歴のないユーザーへの配信設定は広告管理ツールからのみ設定できます。キャンペーンエディター、Yahoo!広告 APIでの設定はできません。

【ディスプレイ広告】レスポンシブ広告(動画)で、アスペクト比「9:16」の広告フォーマットが使用可能に

レスポンシブ広告(動画)で、アスペクト比「9:16」の縦型広告フォーマットが使用できるようになりました。

これまでは横長の「16:9」と正方形の「1:1」のフォーマットが使用できました。縦型クリエイティブが使える様になったことで、高い訴求力が期待できそうです。

YDAからLINE広告枠への配信が拡大していることもあり、LINE VOOM面、LINE ニュース面、LINEファミリーアプリ/LINE広告ネットワークに配信されます。徐々に配信量を増やしていく計画のため、クリエイティブを追加してすぐはあまり配信されない可能性もあります。クリエイティブの反応の判断は時間をおいてしていくとがおすすめです。

細かい入稿規定については下記を参考にしてください。

  • アスペクト比:9:16
  • 最小ピクセルサイズ:360ピクセル×640ピクセル
  • ファイルサイズ:最大200MB
  • 上記項目以外は従来のレスポンシブ(動画)と同じ規定内容です。

参考:レスポンシブ(動画)|Yahoo!広告ヘルプ

【ディスプレイ広告】「1日の予算」を変更する際、予算額の算出方法が変更

キャンペーンの「1日の予算」を変更した際に、その日の残り時間で広告掲載可能な予算額を算出する仕様が変更されました。

変更前:変更当日に発生した費用は加味されません。変更後の「1日の予算」の金額をもとに、その日の残り時間を加味して算出した金額を掲載可能な金額としていました。

変更後:その日に発生した費用が加味されます。変更後の「1日の予算」の金額から、その日発生したコストを差し引いた金額を掲載可能な金額となります。

変更前は、当日に発生した費用が加味されなかったため、思ったよりも費用を使ってしまった、というケースもありました。今回のアップデートによってそのようなケースが解消されそうですね。

「1日の予算」がすでに発生した費用に対して少ない金額に変更された場合は、広告配信は順次停止されるのでご注意ください。

Meta広告のアップデート

Meta広告は機械学習による、優れた最適化機能が大きな特徴である広告プラットフォームですが、その特徴をより促進するようなアップデートが行われています。

詳細ターゲット設定 除外設定の廃止

2024年7月29日以降、詳細ターゲット設定の除外が使用できなくなりました。数カ月かけて順次展開されます。

既存の広告セットで詳細ターゲット設定の除外を使用している場合、警告バナーが出ています。新規の広告セットでは、詳細ターゲット設定の除外はできません。

すでに詳細ターゲット設定の除外をしているキャンペーンの配信は現時点では影響ないですが、2025年1月31日から詳細ターゲット設定の除外を使用しているキャンペーンの配信が停止されますので注意が必要です。

対象の広告アカウントでは、警告バナーが出ていますので要チェックです。

対象:詳細ターゲット設定の除外を設定しているアカウント

公式ヘルプ:詳細ターゲット設定の更新 - Metaビジネスヘルプセンター

Advantage+ ショッピングキャンペーンで新しい最適化対象が追加

Advantage+ ショッピングキャンペーンで「カートに追加」や「支払い情報の追加」などを対象に最適化できるようになりました。利用するには、コンバージョンの場所を「ウェブサイト」「ウェブサイトとアプリ」を選択している必要があります。

これまでは、購入のイベントのみが最適化対象でしたが、よりユーザーの興味段階に合わせた広告配信ができるようになりますね。

対象:Advantage+ ショッピングキャンペーンを実施しているアカウント

公式ヘルプ:成功に向けたAdvantage+ ショッピングキャンペーンの設定方法 - Metaビジネスヘルプセンター

キャンペーンオークションの重複がわかる重複インサイトが登場

キャンペーン内の広告セットでオークションの重複がどのくらい発生しているのかを確認できるようになりました。

広告管理画面の、各キャンペーン「チャートをみる」を選択し、確認できます。

オークションの重複は、広告セットが参加しようとしている広告オークションの50%以上に同じキャンペーン内の広告セットも参加している場合、影響があるとされます。

重複が大きい場合には、広告セットを統合するか、重複する広告セットを停止することが検討できます。

コア設定とカスタムイベント登録でMeta社と共有するデータのコントロールが可能に

Meta社に共有するデータをコントロールすることができる機能が2つリリースされています。広告主のコンプライアンスルールに準拠するために、利用を検討できる可能性があります。

  • コア設定
  • カスタムイベントの登録時に認証が必要

コア設定

コア設定は、プラットフォーム側(Meta)に提供するデータを制限する機能です。

広告主側で設定することもできますし、Meta社がデータ制限をオンにして、コア設定にすることもあります。

制限されるデータは、URLのドメイン以降の部分や、カスタムパラメータの情報です。

コア設定のステータスは、すべてのツール→イベントマネージャー→データソース→設定ページにて確認できます。

広告主がコア設定をオンにした場合、カスタムオーディエンスが期待通りに機能しなくなったり、広告が一時停止されることがあります。

Meta社がデータ制限をオンにするケースは、銀行、貸金、金融サービス、保険、製薬、ヘルスケアなどのアプリまたはウェブサイトにビジネスツールが関連付けられている場合などがあります。Metaがデータ制限をオンにした場合は、設定をオフにはできません。

カスタムイベントの登録時に認証が必要

カスタムイベントの登録時に「カスタムイベントを認証する」または「カスタムイベントをブロック」を設定できます。この設定ができるのは、全権限のアクセス権限を持っている利用者が対象です。

対象:すべてのアカウント

LINE広告のアップデート

LINE広告は、Yahoo!広告と足並みをそろえ、生成AIを活用をしたクリエイティブを制作できるようになっています。

テキスト生成AI機能(β版)リリース

広告作成画面で生成AIを利用したタイトルやディスクリプションを作成できる機能がリリースされました。

広告マネージャーから「広告を作成」で、タイトル・長いタイトル・ディスクリプションの入力欄に「生成AIでタイトルを生成」ボタンが出てきます。

「生成AIでタイトルを生成」ボタンを押し、下記を入力すると生成されたものがでてきます。

  • 業種
  • 商材・サービス
  • ランディングページ
  • キーワード
  • 訴求したい内容

生成された結果をそのまま利用するのではなく、必ず確認し広告配信に活用することをおすすめします。

生成AIサービスを利用するためには、LINE広告 生成AIサービス利用利用規約に合意していることが条件です。また、利用上限は1アカウントあたり30回/月です。

自動ターゲティング機能が、β版から正式にリリース

自動ターゲティングは、キャンペーン目的の情報をもとに、設定したターゲティング条件(※)内でさらにイベント実行が見込めるユーザーに向けて広告配信ができる機能です。

※設定できるターゲティング条件:地域、性別、年齢、OSを設定できます。設定は必須ではありません。

ターゲティングの範囲を広げて配信していきたい場合に活用できます。

画像引用:LINE広告アップデート情報 2024年6月 自動ターゲティング機能を正式リリース! - LINEヤフー for Business

β版の際と機能面は同じで、新たに、オーディエンスの除外設定ができるようになっています。

自動ターゲティングの詳細については下記で紹介しています。

まとめ

すべてのアップデートを見渡してみると、Cookieの利用規制に代替するアップデート・広告配信の自動化が目立っています。

先日、GoogleのChromeブラウザのサードパーティCookieサポートの廃止が撤回されましたが、今まで通りの配信をし続ければ大丈夫、とはいきません。プライバシー保護の観点がなくなるとも思えないため遅かれ早かれCookieに変わる新しい手段に変化していくことと思います。

このように多くのアップデートがあったとしても、ビジネスで向き合うべきはユーザーなので、ユーザーの体験を良くすることに重きをおいて考えればやるべきことがみえてくるのではないでしょうか。

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