2022年6月2日、スポンサーディスプレイ広告(※1)で、実際に広告が表示された商品詳細ページを確認できる「一致ターゲットレポート」がリリースされました。これによって、スポンサーディスプレイ広告が具体的にどの商品の詳細ページに表示されているのかや、それぞれの商品詳細ページ別の売上やROASなどの指標が確認可能になりました。
参考:スポンサーディスプレイ広告のAmazon広告コンソールで一致ターゲットレポートを開始 | Amazon Ads
これまでスポンサープロダクト広告(※2)では、検索語句や広告が表示された商品詳細ページをレポートで確認できていました。今回、その機能がスポンサーディスプレイ広告にも拡大した形となります。
本記事では、一致ターゲットレポートの確認方法や、今回のアップデートを実際のAmazon広告運用に活用するための方法をご紹介します。
※1:スポンサーディスプレイ広告とは、Amazon内に表示できるディスプレイ広告フォーマットです。Amazonのトップページや検索結果、商品詳細ページなどに表示されます。商品カテゴリや特定の商品といった商品ターゲティングや、オーディエンスターゲティングが可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
※2:スポンサープロダクト広告とは、「Amazon内で検索したキーワード」に連動してAmazonの検索結果に、または「閲覧している商品」に関連した広告を商品詳細ページに表示できる広告フォーマットです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
目次
広告が表示・クリックされた商品詳細ページと売上やROASが確認可能に
今回のアップデートによって、スポンサーディスプレイ広告では、各ターゲティングにおいてそれぞれ具体的にどの商品(ASIN)の詳細ページに広告が表示されているかと、ASIN別の売上やROASといった指標まで確認できるようになりました。
レポートで確認できるのは、1回以上広告がクリックされたASIN(※)のみです。Amazonにおいては、基本的に和書・洋書以外のすべての商品はASINによって識別されています。
一致ターゲットレポートで確認できる指標
一致ターゲットレポートでは、広告が表示された商品詳細ページ別で、次の指標が確認できます。
- インプレッション
- クリック
- クリックスルー率 (CTR)
- 平均クリック単価(CPC)
- 広告費
- 広告がクリックされてから14日間の総売上高
- 広告費用対効果 (ROAS)
- 広告がクリックされてから14日間の注文の合計
- 広告がクリックされてから14日間の合計販売数
実際に出力したレポートがこちらです。
「一致したターゲット」列に、各ターゲティングにおいて実際に詳細ページに広告が表示された商品(ASIN)が記載されています。
今回のアップデートが適用される以前は、売上やROASといった広告配信の成果はターゲティング単位でしか確認できませんでした。そのため、例えばあるターゲティングのROASが高かった場合に、以下のどちらなのかまでは判断できない状態でした。
- そのターゲティング自体が自社の広告商品に適しており、ターゲティングされたどの商品の詳細ページでも全体的にROASが高い
- ターゲティングされたうち、特定の商品の詳細ページでだけ飛び抜けてROASが高い
そのため、広告の調整を行う際もターゲティングという大きな単位での入札調整や停止の判断までしかできず、機会損失が発生しやすい状況だったといえます。
今回のアップデートによって、今までよりも細かい指標でスポンサーディスプレイ商品の広告配信結果を分析し、広告の調整に活かせるようになりました。
一致ターゲットレポートを広告運用に活用する方法
ここからは、実際にAmazonスポンサーディスプレイ広告の一致ターゲットレポートを広告運用に活用する方法を紹介します。
例えばこの表のように、以下の条件でスポンサーディスプレイ広告を配信している場合で考えてみましょう。
コンテキストターゲティング(※)で、「ペット」というカテゴリーの商品をターゲティングしている キャンペーンB
オーディエンスターゲティングで、「ライフスタイル:ペット所有者」をターゲティングしている
※2022年6月、「商品ターゲティング」は名称が「コンテキストターゲティング」に変更されました。
参考:スポンサーディスプレイ広告の商品ターゲティングがコンテキストターゲティングに進化 | Amazon Ads
個々のコンテキストターゲティングに追加するべきASINがないか
表を見てみると、キャンペーンBで「ライフスタイル:ペット所有者」でターゲティングされている商品のうち、ASIN1111はROASが250%と、他のどの商品よりも高くなっています。クリック率も2.00%と他商品より高く、ASIN1111の商品詳細ページに表示されている自社のスポンサーディスプレイ広告は、ユーザーの興味を大きく惹いているようです。
こうした商品はコンテキストターゲティングの「個々の商品」でターゲティングすることで、よりインプレッション数やクリック数、売上を伸ばせる可能性があります。
コンテキストターゲティングで特定の商品(ASIN)をターゲティングする方法は以下の通りです。
①キャンペーン画面から、ターゲティングを追加したいキャンペーンを選択
②ターゲティングを追加したい広告グループを選択
③左側のツールバーで「ターゲティング」を選択し、「コンテキストターゲットを追加」をクリック
④「個々の商品」で「検索」を選択し、ターゲティングに追加したい商品のASINを検索して「追加」をクリック
⑤必要に応じて入札額を調整し、「コンテキストターゲットを追加」をクリックすれば設定完了です。
除外するべきASINがないか
例えば上記のレポートでは、キャンペーンA「カテゴリー:ペット」でターゲティングされている商品のうち、ASIN6666はROAS100%を大きく下回っています。売上より広告費が多くなっており、全体のROASを下げる要因になっていそうです。
こうした商品は、コンテキストターゲティングで「ネガティブターゲティング(※)」に指定して広告が表示されないようにすると全体のROASを高められる可能性があります。
※ ネガティブターゲティングとは、除外設定のことです。ブランド、商品単位で広告配信の除外ができます。
コンテキストターゲティングで「ネガティブターゲティング」を設定する方法は以下の通りです。
①キャンペーン画面から、ターゲティングを追加したいキャンペーンを選択
②ターゲティングを追加したい広告グループを選択
③画面左側のツールバーで「ネガティブターゲティング」を選択し、「除外する商品のターゲットを追加」をクリック
④「商品の除外」で「検索」を選択し、除外したい商品のASINを検索して「除外する」をクリック
⑤商品が追加されたことを確認したら「除外する商品のターゲットを追加」をクリックして設定完了です。
一致ターゲットレポートの作成手順
ここからは、一致ターゲットレポートの作成手順を紹介します。
①Amazon広告コンソールで「レポート」を選択
②「レポートを作成」をクリック
③新規レポート作成画面で以下の必要事項を入力して「レポートを実行」をクリック
- レポートカテゴリー:スポンサーディスプレイ広告
- レポートタイプ:「一致ターゲット」を選択
- 時間単位:任意の単位を設定する
- レポート期間:任意の期間を設定する
④レポート一覧画面で、実行したレポート行の「ダウンロード」をクリック
⑤一致ターゲットレポートがダウンロードできました。
最後に
例えばGoogleやYahoo!の検索広告では、具体的にどんな検索語句に広告が表示されたか、検索語句別の成果はどうかまで確認した上で施策を考えることが重要です。
それと同じように、Amazonスポンサーディスプレイ広告でも「具体的にどんな商品の詳細ページで広告が表示されているか」「ASIN別の成果はどうか」まで確認した上で調整を行うようにしたいですね。
今回のアップデートで、広告表示された検索語句・ASINが確認できないのはスポンサーブランド広告のみとなりました。一致ターゲットレポートが使用可能になれば、 スポンサーブランド広告でも商品ターゲティングは使用可能なので、 本記事でご紹介したものと同様の分析や調整がスポンサーブランド広告でも可能になります。
ぜひ、今後のアップデートに期待しましょう。