2022年5月24日、『Google Marketing Live 2022』が開催され、Google 広告に関する最新のアップデート内容が発表されました。
数多くのアップデートが発表されるなか、特に注目したいのはP-MAXキャンペーン(※1)のアップデートです。
消費者のニーズは目まぐるしい速さで変化しており、これらを人の手によって追いかけ続けるのは難しく、継続的にビジネスの成果を上げていくためにはP-MAXキャンペーンのような自動化ツールとうまく付き合っていく必要があります。実際にP-MAXキャンペーンは2年間の配信で成果を上げており、『Google Marketing Live 2022』Ads Innovation:Jerry Dischlerによると、P-MAXを採用しているアカウントはコンバージョンが平均13%増加したそうです。
この結果からもわかる通り、変化し続ける生活様式に合わせながらユーザーとの深い繋がりを保ち続けるためには機械学習と自動化ツールは必要不可欠です。
しかし、自動化されたキャンペーンは可視化された情報が少なく、私たち運用者にとっても検証や改善に向けた的確なアクションが取りづらいために導入に今ひとつ踏み切れなかった方も多いのではないでしょうか。
実際、Googleにはより深いインサイト(分析情報)と高い透明性を求める声が多く届き、それに応えるかたちで、次の4つのアップデートが『Google Marketing Live 2022』で発表がありました。
- ABテスト機能の追加
- 分析情報タイプの追加で、要因の分析が可能に
- 最適化案と最適化スコアを表示へ
- 検索広告 360やGoogle 広告モバイルアプリからP-MAXキャンペーンの作成が可能に(※2)
それでは早速、『Google Marketing Live 2022』で発表されたP-MAXキャンペーン4つのアップデートを見ていきましょう。
※1:P-MAXキャンペーンとは、1つのキャンペーンでGoogle 広告で配信できる広告枠(検索、ショッピング、ディスプレイ、You Tube、Discover、Gmail、マップなど)すべてに広告を配信できる配信手法です。詳しくは次の記事をご覧ください。
※2:「4. 検索広告 360やGoogle 広告モバイルアプリからP-MAXキャンペーンの作成が可能に」は2022年5月24日にローンチ済みで、その他のアップデートは2022年内に行われる予定です。
1.ABテスト機能の追加
2022年内、P-MAXキャンペーンにテスト機能が追加されます。
このテスト機能はカスタムテスト(※)とは異なり、実際に広告が配信されるわけではありません。既存のキャンペーンからP-MAXキャンペーンに広告配信を切り替えた際にどれだけ成果の改善が見込めるかをシミュレーションできる機能です。
どのくらいコンバージョンを増加させるのかを事前に把握できるので、実際にP-MAXキャンペーンを配信したあとも検証がしやすいですね。
※カスタムテストとは、入札戦略の変更などの効果を検証したい場合に、既存のキャンペーンを複製してテスト用のキャンペーンを作成して良し悪しをテストする機能です。詳しくは次の記事をご覧ください。
2.分析情報タイプの追加で、要因の分析が可能に
ベータ版ではありますが、分析情報ページはすでに提供されており、検索・ショッピング・P-MAXキャンペーンで使用することができます。
2022年内のうちに、分析情報ページ(※)に新たに3つの分析情報タイプが追加されます。
これらの分析情報はGoogle アナリティクス4でも閲覧できる項目で、実際に利用しているユーザーから評価を得たことからGoogle 広告でも同様の分析情報を閲覧できるようになる予定です。P-MAXキャンペーンの配信内容が可視化されることで、アセットの追加や予算増減などの意思決定が素早くできるようになりますね。
※分析情報ページを利用すると、ビジネスに関連する検索トレンドや、商品・サービスの需要予測、パフォーマンスの変動など、アカウント内外で起きている様々な情報を確認できます。まだベータ版ではありますが、検索・ショッピング・P-MAXキャンペーンで使用可能です。
参考:分析情報ページ(ベータ版)について - Google 広告 ヘルプ
アトリビューション分析
「アトリビューション分析」では、検索、ディスプレイ、Youtubeなど、各広告掲載面がどのようにコンバージョンに寄与したかを確認することができます。
各広告掲載面がどの接点でコンバージョンに貢献しているかを把握できるため、改善の意思決定に役立ちます。
予算の分析
「予算分析」では、予算を最適化する方法を確認できます。また、予算目標に対する広告費の推移も確認することができます。
P-MAXキャンペーンと既存のキャンペーンを並行して広告を配信している場合、どちらに広告費を寄せた方が良いのか、広告費の配分の検討に役立ちそうですね。
ファーストパーティーデータのオーディエンス分析
「ファーストパーティーデータのオーディエンス分析」では、自社の顧客データにもとづいたオーディエンスリスト(カスタマーマッチ)がキャンペーンのパフォーマンスにどのように影響しているかを確認することができます。
サードパーティーCookieの規制によりサイト訪問履歴を使用したターゲティングが難しくなるなか、高いターゲティング精度を保つには顧客情報を活用した配信がますます重要になってきています。
各広告配信面に対して網羅的に広告配信を行えるP-MAXキャンペーンでファーストパーティーデータを活用した配信を実施することで、自社で保有している顧客データの成果検証がスピーディーに行えます。期待した成果を生んでいない場合は、カスタマーマッチのリストを最新の情報に更新してみると改善が図れるかもしれません。
3.最適化案と最適化スコアを表示へ
2022年夏ごろ、P-MAXキャンペーンでも最適化案と最適化スコアが表示されるようになります。
最適化案とは、キャンペーンの掲載結果を改善するための案をGoogleが自動で生成する提案機能で、最適化案の反映状況を数値化させたものが最適化スコアです。
最低化案について詳しくは次の記事を参考ください。
『Google Marketing Live 2022』Ads Innovation:Vidhya Srinivasanによると、アカウント単位での最適化スコアを10ポイント向上させるとコンバージョンが中央値で14%増加したそうです。
P-MAXキャンペーンは、ほとんどが自動化されたキャンペーンなため、今まで広告運用者が手を加えられる要素は限られていました。しかし、最適化案が表示されることによって、問題点の可視化が可能になり、効率的にパフォーマンスの改善を行えるようになります。
例えば、アセットの追加や改善、目標設定による予算の効率化など、自動化されていることによって気づきにくい点も最適化案の表示によって把握することができます。改善の選択肢として常にチェックしておきたいですね。
4.P-MAXキャンペーンが作成できるツールの拡充
2022年5月24日、Googleはより柔軟にP-MAXキャンぺーンの管理をしやすくするために、検索広告 360やGoogle 広告モバイルアプリからもP-MAXキャンペーンの作成できるようにしました。
検索広告 360をメインに使用している広告主にとっては、P-MAXキャンペーンの配信はハードルの高いものでしたが、今後は検索広告 360からのP-MAXキャンペーンの利用が増えそうですね。
まとめ
以上、『Google Marketing Live 2022』で発表された、P-MAXキャンペーンに関する4つのアップデートになります。
P-MAXキャンペーンは運用者による分析の余地が少なく少し扱いにくい広告プロダクトでしたが、今回のアップデートによって多くのデータが提供されるようになりますので分析、検証がしやすくなるのではないでしょうか。
例えば、アトリビューション分析を確認することで通常キャンペーンでは把握できていなかったユーザーの行動パターンや、初回接点で優秀な配信メニューが見つかるかもしれません。
まだP-MAXキャンペーンを使ったことがない方は、本アップデートが実装されたタイミングでP-MAXキャンペーンの導入を前向きに検討してみても良いかもしれませんね。