リスティング広告の価値と責任と未来

みなさんこんにちは。

阿部です。僕はアナグラム株式会社というリスティング広告の運用やコンサルティングを事業にしている会社で社長をやっています。普段は別のところで記事を書いていたり、少しずつですがいろいろなところで露出があるみたいですが、今後はこの社内ブログでも可能な限りで有意義なものを書いていければと思っています。ここではアナグラムのメンバーが不定期でリスティング広告の考え方やさまざまなプロダクトの役割、活用方法、たまにはテクニックなどについて書いていきますので、気長に気軽に見に来ていただければと思ってます。どうぞよろしくお願いします。

アナグラムが考えるリスティング広告の価値と責任と未来

ご挨拶でもあるように、アナグラムではリスティング広告(PPC広告と呼ばれることも)の仕事をしています。「リスティング広告」というと、YahooやGoogleの検索エンジンに検索キーワードを入力した際に出現する「検索連動型広告」をイメージする方が多いようですが、実際にはアメーバブログやはてなブログなど、さまざまなコンテンツを閲覧している際に接触することが出来る「コンテンツ向け広告」との2種類があります。勿論、大きく分けてこの2種類という意味です。実際にはもっともっと細分化が可能ですが、ここでは深くは言及しません。

その中で「アナグラムの仕事は何か?」と問われれば、限られた広告予算の中で検索連動型広告とコンテンツ向け広告、この2種類をクライアントの戦略や目標やビジョンなどに合わせてポートフォリオを組み、成果を最大化することであると定義しています。投資家や銀行の方々に事業説明などを行っていると「投資ファンドなどの仕事と似ているね」と言われますが、まったくもってその通りだと僕自身も考えています。多少の違いが有るとすれば、リターンを早期に感じることが出来る点でしょうか。勿論、マンション販売などを筆頭とする高額の商材においては検討期間が長期になる傾向があるため、その限りではありませんが。「投資し、リターンを得る」という意味においては、投資ファンドとリスティング広告は多少役割が異なってくる、というだけの違いですね。

関西などに呼ばれていくと毎度言われますが、「いくら使っていくら戻ってくるの?」こんな問いかけが打ち合わせ中に飛び交います。これ自体は極論ではあるものの、リスティング広告は投資そのものであるという観点から本質を捉えた問いかけだと思います。

リスティング広告の価値

リスティング広告には管理画面などの複雑さを超えてしまえば、ものの数分で広告を出稿することが出来る広告です。更に言えば、自身で管理していれば出稿の可否をいつでも操作できますし、入札の調整なども容易に行えます。例えば、渋谷区でイタリアンレストランを経営している僕の友人は、週末などのお店が混んでいるときはリスティング広告の出稿を停止し、週明けの月曜日から水曜日なんかは比較的席に余裕がある場合にはリスティング広告の配信再開を手動で行っています。これにより、今まで来るはずのなかった客層が来店することになり、その結果、リピーターと新規客のバランスが理想の形で推移しています。

このような柔軟性は勿論のこと、リスティング広告の最大の価値は他の従来の広告と比較すると成果が高くなりやすいことが上げられるでしょう。特に検索連動型広告は、「検索」という需要に直結した形で広告を届けることが出来るため、ユーザーにとって決して不自然な形ではない状態で広告を届けることが出来る形態から、非常に高い成果を見込めむことが出来ます。(一部のスパム的出稿を除きますが…)

これらの柔軟性や成果から、昨今ではさまざまな事業主の主軸の広告として位置づけられることが多くなりました。今では月額で数億円などを利用する広告主もいる反面、先出しの渋谷区のイタリアンレストランのように月額で1万円ほどで大きな成果をあげている広告主も数多く存在しています。そして、忘れてはならないのはYahooやGoogleが本当に大事にしたいと思っているクライアントは後者であるということです。

※余談ですが月額1億円をリスティング広告費として使っているクライアントの広告費を1億5千万円にするよりも、月額1万円を利用する小規模クライアントを5千件獲得する方がビジネス的にはスケールメリットがありますし、月額1億円を使うクライアントは世界で数えるほどしかいないためです。

話はそれましたが、検索という行為が日常化してしまった昨今では、リスティング広告の価値が再度見直されている、という風に考えても間違いではないのです。それほどまでに、リスティング広告はさまざまな企業にとって欠かせない広告媒体になったと言えるでしょう。そして、その価値はPCだけに限らず、スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスや、タブレットなど、多くのデバイスの普及により更に高まっている、更に加速しているといっても過言ではありません。それらの需要に合わせ、Yahoo!プロモーション広告やGoogleアドワーズは多くの新機能をリリースし続けます。世の中に公表されているものから、一部の広告主しか利用できないβ版までとその数は数え切れないほどです。そのために、アナグラムのようなリスティング広告を専門で扱う会社がある、という風に考えて頂いても良いかなと思ってます。

リスティング広告の責任

成果が上がりやすく、柔軟性がある反面、リスティング広告には功罪とも呼べる責任が発生していることはあまり知られていません。リスティング広告には多くの成功事例がある反面、それを超える失敗事例なども存在していますが、それらが明るみに出ることはまずありません。多くの広告主は操作方法や仕組みがわからず、なんとなくで配信を行ってしまい、あっという間に数万円を超える広告費を利用してしまい、それ以降リスティング広告を利用しない、といった事も非常に多い世界です。

これは自身での管理のみに関わらずリスティング広告の代理店に発注し、その結果成果が出ずに広告費と手数料だけを支払い、二度とリスティング広告に投資しない、といった形も非常に多く存在しているのです。その結果、アフィリエイトを除くインターネット広告全ての投資にまで懸念してしまうクライアントも少なくありません。

全てのリスティング広告事業者は、リスティング広告はネットショップや店舗でのサービスを取り扱う事業者にとって最も身近な広告であると同時に、リスティング広告自体が事業主のビジネスを今後大きく加速させることが出来るか、減速させてしまうのか、究極にはその事業主の今度の運命を決めてしまう、そういった責任を持っている広告だということも自覚しなければいけないと思うのです。これはリスティング広告事業主に関わらず、リスティング広告自体を提供しているYahooやGoogleも同様です。長期的な視点で捉えるのであれば、入金方法や配信形態などはわかりやすく設計するに越したことはないのです。

※Googleアドワーズは過去に検索連動型広告とコンテンツターゲットを同時に配信してしまうような仕組みを採用していたり、Yahoo!プロモーション広告では入金時に自動でインタレストマッチへの入金を行うような仕様を採用してしまっていることがありました。営利企業ということを考えれば当然多くの金額を使って欲しいのは理解出来ますが、長期的な視点では決して良い仕組みとは言えませんね。

リスティング広告の未来

今後、スモールビジネスでのリスティング広告活用はより加速することでしょう。更に、リスティング広告の自動化は今後Googleのテクノロジーを筆頭にして益々進化していきますし、驚くようなスピードで加速していくと予測していますが、2014年現在では特殊な事業主(数百万点の商品を扱っている場合や、特殊な調整が必要なものなど)を除けば必要不可欠とは言いにくいのが現状です。

ビックデータなどと騒がれる昨今ですが、データは意思決定の1つの判断材料に過ぎません。データそのものに価値があるのではなく、データを元に意思決定し、行動するプロセスにこそ価値があるのです。そのプロセスを構築するのは、だれでもない、アナリストやリスティング広告などのプレイヤーの仕事となるのを忘れてはいけません。そしてそのプレイヤーの数はまだまだ需要にあっていないのが現状です。まだまだプレイヤーの需要が消えることはないでしょう。そういった意味でも、このビジネスのピークはもう少し先であると考える事ができるでしょう。

だれが8年前に気軽にYoutubeに広告を出すことができるようになると予測しましたか?だれがYoutubeの動画を閲覧したユーザーにリマーケティングを配信することが出来るようになると考えましたか?これらは膨大な機能の中の氷山の一角に過ぎません。まだまだ進化しますし、出来る事は大きく変化することになるでしょう。ただし、必要としているユーザーに広告を届け成果を上げる、といった、僕たちの”やるべきこと”は時代を越えても変わることはありません。

初回ということで長々と書いてしまいましたが、これからも伸び続けるであろうリスティング広告市場を、業界の中心からみなさんにお届けできればと思っています。

Keiji Abe

Keiji Abe

アナグラム株式会社 代表取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。現在はCPAの改善だけにとらわれず、ビジネスの最大化を目指す支援を行う。著書には「新版 リスティング広告 成功の法則」「いちばんやさしいリスティング広告の教本」など多数。主な仕事は戦略策定、及び人事、総務、経理、組織論などを担当。