アナグラムには、「一気通貫」「逆ピラミッド」などさまざまな仕組みや体制が存在します。
それらの仕組みや体制のなかには、一見すると非合理的に感じるものもあります。
今回は、なぜ非合理的に思える仕組みや体制を選択しているのか、その理由を深堀りすることで、アナグラムという会社の考え方をご紹介できればと思います。
一気通貫は非合理的
一般的に、運用型広告の代理店は分業で業務を行います。
具体的には以下のケースのように、個々人が担当する領域を狭め、そこに特化して経験を積んでいく場合が多いです。
- 「運用担当」「営業担当」が分かれており、実際に広告を運用する人と、お客様にその成果を報告する人は異なる
- 新しい案件を獲得することに特化した「新規営業担当」が別に存在する
- 「D2C担当」「BtoB担当」のように担当する業種が限られている など
一方アナグラムでは、分業せずに広告運用からクライアント対応までを1人の担当者が行う一気通貫の体制(ワンストップの体制)を採用しているため、あらゆる業務(※)を1人の担当者が行います。業種も固定されることなく、さまざまなお客様を担当する場合が多いです。
※新規の案件獲得・運用・レポーティング・既存のお客様とのミーティング・請求書発行など
しかし、より早く・より多くの売上を生み出すためには、分業制によってラーニングコスト(ここでは主に時間)を圧縮し、早期に戦力になる方針を取ったほうがよいのではないでしょうか?
実際、分業でご支援している広告代理店では1人あたり数十社以上担当する場合も多いなか、アナグラムでは1メンバーあたり3~5社しか担当しません。このように比較すると、一気通貫は非合理的なやり方であるように思えます。
なぜ、アナグラムでは一般的なやり方ではなく、一気通貫でご支援するのでしょうか?
一見非合理に思える一気通貫で支援する理由
1つ目の理由は、クライアントにとってメリットがあるからです。
運用担当と営業担当が分かれている場合、実際に運用しているメンバーと直接意見交換ができないため、ミーティングの場で議論がしにくかったり、対応が遅れてしまうという状況も起きやすくなってしまいます。また、言った言わないなどの伝言ゲームも発生しやすいです。
一方、一気通貫の仕組みだと、運用している人と直接チャットでやり取りができたり、ミーティングの場で意見交換をすることができるため、スピード感のある支援、ストレスの少ない支援が可能です。
2つ目の理由は、メンバーが幅広い知識と経験を得ることができるからです。
一気通貫で対応するということは、クライアントのビジネスの伴走者として頭を絞り、手を動かし、信頼関係を築いていくということです。運用だけ・営業だけを行っている場合よりも、より幅広い知識や経験を得ることができるでしょう。また、業種・業界も絞らない分、幅広いビジネスを体感することができます。
加えて一気通貫は、運用を担当しているメンバーが直接お客様から「ありがとう」と言っていただける体制でもあります。この時こそが「この仕事をやっていてよかった」と思う瞬間だと感じるメンバーも多いようです。
これら2つのメリットは、長期的に見ると会社の利益にもつながりますし、社会的に価値の高い人材の輩出にもつながると考えています。
このように、あらゆる制度にはメリットとデメリットがありますが、アナグラムでは「長期的に考えて三方よし(※)につながるかどうか」を大事にしているからこそ、短期的に会社の利益を生み出すという観点で見ると非合理的に感じるような制度を採用しています。
※「世間良し、買い手良し、売り手良し」という近江商人の考え方
アナグラムという会社は「非合理の塊」
上で書いた一気通貫でのご支援体制に限らず、アナグラムには短期的な利益を生み出すという観点で考えたら選択しない体制や文化が数多くあります。
今回はその一部をご紹介します。
挙手制
案件の選択はメンバー自身に任されています(※)。自分が興味のあるものに挙手をして担当するため、無理やり興味のない案件にアサインされることはありません。
※もちろん、入社したばかりでどんな案件を担当したらよいか分からないというメンバーには、上長から「この案件をやってみないか?」という提案を行います。しかし、最終的にその案件を担当するかどうかを決めるのはメンバー自身です。
そのため、予算が大きく会社の利益に直結するような案件でも、挙手がなければ案件化することはない、という一見すると非合理的な状況が発生します。
では、なぜ挙手制という制度を採用しているのか?
その背景には、「自分で選んだことならば、仕事を自分事化しやすく、うまくいかなくても立ち上がれる」という考え方があります。
人から言われた仕事では、いくら「自分事化しろ!」と言われてもなかなか難しい部分があるでしょう。しかし、自分が「この会社を支援したい!」と挙手したのであれば、臨場感をもって取り組めるのではないでしょうか。
また、仕事をしていくなかで、うまくいかなくて悩むこともあるかもしれません。そんなときに「人から言われてしぶしぶやっている仕事」と「自分でやりたいと思って手を挙げた仕事」では立ち上がろうとする力に違いが出てくると考えています。
人の幸福度を高めるのは所得や学歴よりも自己決定だという研究結果もあるそうです。
もちろん、ありがたいことに多数のお問い合わせをいただいているという状況によって成り立っている仕組みではあります。ただ、たとえ予算の大きい案件に挙手がなかったとしても、メンバーの幸せに直結する挙手制を用いて案件の担当を決めるというのが、現状のアナグラムの考え方です。
逆ピラミッド制
アナグラムの組織設計では、通常のヒエラルキー構造を逆にした、いわゆる「逆ピラミッド」の考え方を取り入れています。そのため、上司が指示をして部下がそれを実行する、という一般的な光景は見られません。
もちろん、上司がアドバイスをすることはあります。ただ、それを受け入れ実行するかどうかを決めるのは、案件を担当しているメンバー自身です。
「経験豊富なメンバーがやることを指示をしたほうが効率的」という一般的な考え方とは異なるでしょう。
アナグラムが逆ピラミッドの体制をとっている理由の1つには、成果の観点が挙げられます。
運用型広告の世界では、素早い意思決定が絶えず求められます。そのような状況において、常日頃から案件と向き合っている現場が決定権を持つ方が成果をあげられる場合は多いです。案件の担当者は、毎日管理画面を開き、数字を確認し、業界の動向にも目を配っているので、より正しい決断を行いやすいと考えています。
また、メンバーの成長という観点からも逆ピラミッドの体制は重要です。もちろん、上司やチームのメンバーに相談をしたり、社内の知見を頼ることは多々ありますが、最終的な意思決定は自分で行うので、メンバーはその案件に対して大きな責任を負っています。
そういった責任感を持ちながら、繰り返し意思決定を行う経験は、メンバーの成長にダイレクトに寄与するでしょう。
リモートワーク/出社自由
コロナ禍で広く取り入れられるようになったリモートワーク。アナグラムでは、現在もリモートワーク中心で働くメンバーを採用しています。
会社としては出社を強制したほうが、スムーズにコミュニケーションを取れる場合も多いでしょう。コロナの状況が落ち着くにつれて徐々にもとの出社体制に戻す会社も増えてきているように思います。
オフィスに出社したほうが、質問しやすくなったり、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなるなどのメリットがあることは確かです。
しかし、オフィスに出社できない事情がある場合にもアナグラムで活躍してほしいという理由から、リモートワークを禁止せずにハイブリッドワークを採用しています。
居住地や家族の事情などでオフィス出社が難しい場合はありますし、今後、日本が介護社会になっていくことを考えると、そういった事情の方はますます増えると考えています。そのため、出社を強制して最適化するのではなく、リモートでも働きやすいような工夫をしています。
たとえば、月に1度であれば出社できるという場合は、会社としても月10万まで交通費・宿泊費などの補助を行っています。これによって、定期的にチームのメンバーと顔をあわせて仕事をすることができたり、担当しているお客様と直接お話する機会を設けることもできます。
全国から採用することで出会えた素敵なメンバーがたくさんいますし、今の段階ではこの方針が最適と考えています。
あえて選択する「非合理」にこそ、会社の信念が表れる
「こうしたほうが合理的なのでは?」と感じることをあえてやらない。その選択には会社の信念が表れているように感じます。
アナグラムがあえて選んでいる「非合理」の裏には、その選択をしたほうが長期的に考えると、クライアントにとって・メンバーにとって・社会にとって、そして会社にとって良い影響があるという考えがあります。
もちろんそれによって出てくる問題もありますが、そこは別の仕組みでカバーするべく試行錯誤を重ねています。
今後も合理性を追及するだけではなく、意思をもった仕組みを検討して、よりよい形を目指していきたいです。