急激にユーザー数を伸ばしているTIkTokですが、広告配信にチャレンジしてはみたものの、クリエイティブの成果分析や改善については、より良い方法を模索している広告運用者の方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事ではTikTokが提供している「TIkTokアナリティクス」を使って、どのような分析が出来るかについてご紹介したいと思います。
非常に盛りだくさんな機能が提供されているため、できるだけ重要な機能にポイントを絞って「TikTokアナリティクス」について解説します。
目次
TikTokアナリティクスとは?
TikTok アナリティクスとは、TikTok広告マネージャー「アナリティクス」タブ内で提供されている無料の分析ツールです。
広告マネージャー上部にあるタブの、一番右側の箇所よりアクセス可能です。
「アナリティクス」タブで出来ること
TikTok広告のアナリティクスタブでは、大きく分けると次の5つの機能が提供されています。
- カスタムレポートの作成
- アトリビューション分析
- オーディエンスインサイトを知る
- 動画インサイトを知る
- トップ広告やトレンドを知る
それぞれの詳細について、以下に見ていきましょう。
カスタムレポート
カスタムレポートとは、広告運用者が知りたい指標を、自由にカスタマイズしてレポートとして表示する機能になります。表やグラフとしてビジュアル化することでパターンや傾向を掴みやすく、積極的に活用したい機能の一つです。
広告マネージャー上部にあるタブより、[アナリティクス] > [カスタムレポート] の順にクリックします。
次に、カスタムレポートの画面より、[作成] > [カスタムレポート]の順にクリックします。なお、テンプレートを使うことで簡易的に分析することも可能です。
初めてカスタムレポートを作る方は少し戸惑ってしまうかもしませんが、構造は至ってシンプルになっており、難しいものではありません。
カスタムレポートは、「ディメンション」×「データ指標」という二軸の掛け合わせで表示内容を自由にカスタマイズすることができます。
ディメンション
ディメンションとは、レポートで出力するデータの「粒度」と考えてください。
例えば、キャンペーン単位のデータを分析したい場合もあれば、プレースメント(配信先)ごとや広告セットごとで分析したい場合もありますよね。
左カラムのチェックボックスから、見たい粒度の項目を選択してレポートを作成できます。ディメンションで「広告名」を選択すると広告名ごとの数値を確認可能です。
なお、ディメンションは複数項目を選択できるため、「キャンペーン」と「広告セット」をあわせて選択するとより分かりやすいレポートが作成可能です。。
データ指標
データ指標では選択したディメンションごとに、「IMP数」や「クリック」など確認したい指標を選択していきます。
見たいデータ指標にチェックを入れていくと、レポートエリアに数値が反映されていきます。
カスタムレポートの作成はこのように簡単なので、確認したいデータをすぐ取り出すためにとても便利な機能です。
「トレンドライン」でグラフ化も可能
そして、カスタムレポートは「ピボットテーブル」という表形式で出力されていますが、上図赤枠の箇所から[トレンドライン] を選択すると、[ディメンション]と[データ指標] からそれぞれ最大2項目ずつ選んでチャート形式で視覚的な分析も可能です。
今回の例では、年齢区分ごとの広告のクリック率の違いを示してしています。グラフから「45歳以上の方のクリック率が高い傾向にある」ことがわかりますね。
他にも時間軸で数値変化を見たい時など、トレンドライン表示形式での分析も使いこなせると、非常に便利です。
アトリビューション分析
「アトリビューション分析」では、クリックスルーアトリビューションとビュースルーアトリビューションごとに、コンバージョンに至った期間を確認できます。
クリックスルーアトリビューション(以降CTAと記載)は、ユーザーがTikTokの広告をクリックし、コンバージョンを完了した場合に計測されます。
ビュースルーアトリビューション(以降VTAと記載)は、インプレッションが発生したものの、TikTokの広告をクリックしていないユーザーが、別の経路でコンバージョンを完了した場合に計測されます。
広告マネージャー上部にあるタブより、[アナリティクス] > [アトリビューション分析] の順にクリックします。
アトリビューションデータを確認したいキャンペーン、広告グループ、期間などを選択すると、アカウントで設定しているイベントごとに確認することができます。
「支払い完了」イベントのグラフ上にマウスを合わせると、詳細なデータが確認できます。
上記の例はCTAの詳細なので、広告をクリックしてから支払いが完了するまで、ほとんど全てのケースで1日以内であるとわかります。
データを横にスクロールすると、イベント総数に対して、CTA、VTAそれぞれの構成比についても確認できます。
オーディエンスインサイト
次に、「オーディエンスインサイト」について解説していきます。
オーディエンスインサイトを利用することで、TikTokユーザーの興味関心などのオーディエンス情報を調べることができます。「国や言語、年齢や性別、興味関心」等の属性ごとに細かくセグメントを分けてオーディエンスを分析することで、これまで想定していなかったインサイトを発見できる可能性があります。
オーディエンスインサイトの使い方
広告マネージャー上部にあるタブより、[アナリティクス] > [オーディエンスインサイト] の順にクリックします。
画面左端の[オーディエンスのフィルター] より、自由にフィルターを設定することができます。
オーディエンスのフィルターで設定できる項目は以下です。
- ロケーション
- 言語
- 年齢
- 性別
- 興味関心
- デバイスのOS
他にも、カスタムオーディエンスをアカウントに設定している場合は、「カスタムオーディエンスの選択」から対象のオーディエンス情報の内訳を見る事ができます。
ただし、対象のカスタムオーディエンスが利用可能なステータスになっている必要がある点にご注意ください。
広告興味カテゴリー
例えば、「ファミリー層向けホテルの商材を扱っているので、TikTokで若い子育て中の女性に配信したら予約に繋がるのではないか?」といった仮説を持っているとします。そこで、「オーディエンスインサイト」を使って、「若い子育て中の女性」の興味関心について、配信前に調べてみたいと思います。
以下の条件でフィルターを適用します。
- ロケーション:日本
- 言語:日本語
- 年齢:25~34歳
- 性別:女性
- 興味関心:ベビー・キッズ・マタニティ
オーディエンス情報の中で、特に参考になるのが、[広告興味カテゴリー] 項目です。
このように、今回調べたいオーディエンスである「若い子育て中の女性」が興味を持った広告の種類が降順に並んでいます。
調べたタイミングでは2位が「旅行」系の広告となっているため、今回例示したファミリー層向けホテルの商材でしたらTIkTok広告の配信に挑戦しても良いかもしれませんね。
旅行に関するビジネスでしたら他にも、テーマパークなどのレジャー系の商材も相性が良いと言えそうです。
更に、以下のように各カテゴリーを細分化して確認可能です。
他にも、[エンゲージメント] タブより、以下の情報が確認できます。※全て一日あたりのデータ
- アプリ起動回数
- アプリ使用時間
- 動画再生回数
- 動画アップロード数
- 動画コメント数
- 動画のいいね数
- 動画シェア数
想定しているオーディエンスがTikTok内でどの程度アクティブに行動しているかを測る上で参考になるのではないでしょうか。
仮に、広告配信の予算が限られている状況で、AとBのオーディエンスどちらに配信するか迷った際に、よりアプリ内での行動量が多いオーディエンスをメインターゲットに設定するといった判断もできるかもしれません。
上位のハッシュタグ
広告興味カテゴリーの上部に表示されている、「上位のハッシュタグ」についても確認しておきましょう。オーディエンスが興味を示しているハッシュタグの上位10位までが表示されています。
これらのハッシュタグを広告でターゲティングしたり、動画に設定するといった方法でも活用できそうです。
「オーディエンスインサイト」はキャンペーン作成前にオーディエンス分析をすることで、より根拠のあるターゲティングが可能になる点が魅力的ですね。
動画インサイト
次に、広告単位での分析に特化した「動画インサイト」について解説していきます。
動画ごとのインプレッション数や、クリック数、コンバージョン数等が見れる点では、広告管理画面と大きく変わりませんが、「トレンド分析」と「比較分析」という二つの機能を提供している点が主な違いとなります。
①でご紹介した「カスタムレポート」を作成して詳細に分析するより手軽で、動画ごとの成果をおおよそ把握したい時などに非常に便利な機能です。
使い方
広告マネージャー上部にあるタブより、[アナリティクス] > [動画インサイト] の順にクリックします。
トレンド分析
「トレンド分析」では、指定期間ごとの各指標のトレンドラインを確認することができます。
カスタムレポートでトレンドラインを確認する方法については述べましたが、ここでは動画を、自身で選択した指標で「上位5位」・「下位5位」という形にワンクリックで分類できるため、成果の良いものと悪いものを素早く把握できます。
例えば、時系列で見ることで、長期間配信しているクリエイティブが、見飽きられて少しずつ成果が鈍化している傾向に気づけるかもしれません。判断が難しいクリエイティブの差し替えタイミングを測る上でも、役に立つ機能だと言えます。
5色のラインそれぞれに上位5位までの動画が割り当てられており、トレンドライン(上図では赤いライン)にマウスオーバーすると動画のサムネイルを確認できます。
上記の例では、CVごとの上位5位を時系列で確認していますが、他にも以下のように分析指標が充実しています。
- CTR
- コスト
- CPC
- CPM
- CPA
- クリック数
- IMP数
- CVR
動画ごとの良し悪しの傾向を短時間でおおよそ把握したい時に非常に便利な機能です。
比較分析
「比較分析」では、CTR×総コストの軸で、動画の成果を比較することができます。
右上に位置する動画ほど、総コストが多くクリック率も高い、一般的にはパフォーマンスの良い動画であることが視覚的にわかります。CTRが高いのに費用の比率が低い、逆にCTRが低いのに多くの広告費を割いているといった場合には、予算の使い方がパフォーマンスに見合っているか確認するのがよいでしょう。
ただし、あくまでもCTRと総コストのみの視点となるため、コンバージョンについては考慮されていない点には注意が必要です。
動画を示す青いポインターにマウスオーバーすることで配信した動画のサムネイルを確認できます。上図では、配信中の四つの動画を比較した結果が表示されています。
トップ広告やトレンドを知る
最後に、「クリエイティブインスピレーション」について簡単にご紹介します。利用できる機能は以下の2つとなっています。
トップ広告
TikTok内で配信された効果の高い広告を探せる機能です。
こちらは、自身の広告アカウント内ではなく、世界中の広告アカウントで配信されたものが対象となっています。
国や業種などに絞って表示できるので、広告で紹介したいサービスや商品と近い業種で効果の高いものを見ることで発見に繋げられるかもしれませんね。
トレンド発見
現在人気のハッシュタグから、トレンドを把握することができる機能です。
トレンド分析については、より高機能な「TikTokクリエイティブセンター」の活用がおすすめです。詳しくは以下の記事をご参照ください。
まとめ
TikTokアナリティクスでは、配信前の調査から配信後の成果の分析まで、あらゆる機能が提供されています。どの機能もUIが非常に洗練されているため、ツール自体も非常に使いやすいです。
個人的に便利でよく使うのが、③でご紹介した「動画インサイト」機能です。TikTok広告の運用は、「配信中の動画の成果がそれぞれどうなっているか?」を起点にネクストアクションを決定することが多いかと思います。
その点、「動画インサイト」内で提供されている「トレンド分析」や「比較分析」は、簡単に数値をビジュアル化して複数の動画を比較することができるので、次に制作する動画の議論や要因分析がしやすくなるのでオススメです。
各機能を使いこなせるようになると一気に分析や提案の幅が広がりますので、是非一度触ってみてください。