BtoBで考えたいコンバージョンポイントの設計と広告運用での活用方法

BtoBで考えたいコンバージョンポイントの設計と広告運用での活用方法
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BtoB向けの広告運用の相談に乗ると下記のような課題を聞くことが多数あります。

「BtoB向けの広告運用を始めたがお問い合わせが増えない」

「お問い合わせの獲得単価が高く苦戦している」

上記のような課題を抱えている場合、コンバージョンポイントを見直した上で広告運用を始めることをおすすめしています。コンバージョンポイントを見直すことでリード数が増え、結果、商談や受注数が増える事例を多く見てきました。

今回は、なぜBtoBにおいてコンバージョンポイントの設計が重要なのか、また広告運用において設計したコンバージョンポイントをどのように活用するのが効果的なのかについて解説していきます。


そもそもコンバージョンポイントとは?

コンバージョンポイントとは、最終的なビジネスの目標を達成するための一連の導線において、ユーザーが行動を起こすタイミングです。

たとえばWebサイトにおいては、資料請求やセミナー申込み、お問い合わせなど、さまざまなコンバージョンポイントがあります。BtoBにおいては、いきなりお申し込みというケースは比較的少なく、複数のコンバージョンポイントを設けてあることがほとんどです。

ではなぜ、多くのBtoBビジネスにおいて複数のコンバージョンポイントを設けているのでしょう?

BtoBはBtoCと比べてコンバージョンまでのハードルが高く検討期間が長い傾向

BtoB向け商材は個人向け商材に比べ、以下の観点から検討期間が長くなりがちです。

・意思決定者が複数いて調整に時間がかかる

・意思決定する上で複数商品を比較して稟議を上げる必要がある

・社内システムなど一度、導入したらリプレースするために様々なコストが掛かるので慎重に判断する必要がある

商材にもよりますが個人の場合、意思決定は本人のみで行われることが多いため、検討期間は比較的短期となることが多いですよね。しかし、法人向けだと数ヶ月から1年以上と検討期間がかかる商品も存在し、すぐに成約に至ることは稀でしょう。

そのため、Webサイトに検討者の方が訪れてもいきなり、お問い合わせをするより、まずは資料請求をしたり、事例集をダウンロードするのがBtoBではほとんどなのではないでしょうか。上記のようにWebサイトの訪問者がとれるアクションがお問い合わせのみだとハードルが高く、二の足を踏んでしまう可能性が高いのです。

ユーザーの検討段階に応じた受け皿を用意する

事実、IT関連の調査やコンサルティングを行っているガートナー社のCEB Marketing Leadership Councilの調査によれば、法人の購買プロセスのうち57%までが、営業担当者に会う前の事前調査で終わっていると言われています。

このような調査結果からもすぐに問い合わせするというよりも、まずは資料請求などによってあらかじめ十分に情報収集してから商談に臨む方が多いことが分かります。

そのため、情報収集している人がWebサイトに訪れた時、お問い合わせ以外の受け皿が無いとユーザーは行動することができなく、離脱してしまいます。このような受け皿がない状態のWebサイトに広告をかけてアクセスを集めても広告の費用対効果は悪くなる一方です。

したがって、上図のように検討者が段階を踏んで情報収集から商談に至るようにコンバージョンポイントを設計することでWebサイト上に受け皿が準備でき、目的までステップを踏んで進んでもらえる可能性が高まります。

コンバージョンポイントの種類と特性を理解する

コンバージョンポイントを設計するにあたり、まずはどんなコンバージョンポイントの種類があるのかを把握しましょう。BtoB向け広告運用で活用する代表的なコンバージョンポイントをいくつか紹介します。

お問い合わせ・見積もり

どの会社でも設けていることが多いコンバージョンポイントですね。問い合わせや見積もりはコンバージョンポイントの中でも、商談化や受注に一番繋がりやすいものになります。

その代わり、お問い合わせをするのは検討段階でも後半に当たり、ハードルが高いので他のコンバージョンポイントと比べてコンバージョン率が低くなり、コンバージョン単価が高くなりがちです。

無料トライアル

一定期間、サービスを無料で体験できるコンバージョンポイントで、SaaS系の比較的単価の低いセルフサーブ型のサービスで多く見られますね。

いきなり購入や申し込むのにハードルが高い商材では「まずはお試し」のようないわゆる2ステップ型の販促方法はBtoCでもよく用いられていますよね。

サービス資料

製品の詳細資料をダウンロードできるようなコンバージョンポイントです。

オンラインで手続きが完了するケースが多く企業とのやり取りも発生しないため「お問い合わせ」や「無料トライアル」よりさらに気軽にアクションがとれます。そのためコンバージョン率は高い傾向があります。ただし、とりあえず商品やサービスの概要が知りたい、というケースが多く検討度合いはまだ低いことから、商談化率は「問い合わせ」などに比べ低くなる傾向にあります。

セミナー

セミナーのテーマなどによりますが、BtoB向けで開催しているセミナーは無料で開催されていることが多く、気軽に申し込みしやすいためコンバージョン率も高い傾向にあります。ウェビナーが普及している今では、より気軽に参加していただけますよね。

結果的に獲得単価も安価となることが多いですが、商品にまだあまり興味がない方も多く、商談化や受注につながるのに時間がかかるケースが多いです。

ホワイトペーパー

お役立ち資料や事例集や用語集などをホワイトペーパーと呼びます。

他のコンバージョンポイントと比べてハードルが低く、コンバージョン率も高くコンバージョン単価も一番低く獲得できる傾向にあります。ホワイトペーパーの内容にもよりますが、まだニーズが顕在化していない方に、まずは課題感を伝えたり、接点を持てることがメリットであるため、商談化や受注に最も時間がかかるケースが多いです。

ざっとコンバージョンの種類と簡単な特徴を紹介しましたが、コンバージョン単価と商談までのスピードという軸でマッピングしてみると以下のようなイメージになります。

基本的には右下の問合せの数を増やしていけると商談が増え、受注増加が期待できるのですが、BtoBだと顕在化している人が少なく、問合せ数の頭打ちになりやすいのでホワイトペーパーやセミナーなどを開催しリードを取得していくことも重要になります。

下記の記事で詳細を記載しているので確認してみてください。

コンバージョンポイントを増やす際の注意点

ここまでコンバージョンポイントを見直したり、増やすことのメリットを伝えてきましたが、一方で増やせば効果が出るというものではありません。以下の点に注意して検討していく必要があります。

新たにコンバージョンポイントを設けるには準備が必要

セミナーやホワイトペーパーなどが既にWebサイト上に準備してあるのであれば、コンバージョンポイントとして広告管理画面上で設定し、コンバージョン目標として配信するのであればそこまで工数はかかりませんが、それら自体がまだ準備されていない場合、セミナーを企画し集客したり、ホワイトペーパーを新しく作ったりする手間や時間、お金も必要です。

コンバージョンポイントごとに適したアプローチも準備しよう

コンバージョンポイントが増やせても、どのポイントでも同じリードとしてアプローチするのでは、必ずしも成果に繋げられません。

みなさんも、内容が気になったホワイトペーパーをダウンロードしただけで、すぐに電話で商談を依頼された経験がありませんか?まだその商品自体には興味がないのに、営業を受けて逆に会社への印象が悪くなってしまった、という方もいらっしゃることでしょう。

コンバージョンポイントによってユーザーの検討段階が変わってくるため、コンバージョンポイントごとに、営業サイドとマーケティングサイドで適切なアプローチを考えて準備するのが大切です。段階にあったアプローチをするからこそ、次のステップに進んでもらえるのです。

基本的にはゴールに近いコンバージョンポイントを優先的に作る

先ほど商材ごとの話もしましたが、基本的にはまず、受注に近い問い合わせや資料請求などから優先的にコンバージョンポイントを作りましょう。そもそも目的は売上の増加だと思うので、重要な指標に近いものから優先的にアクションをしていくのはビジネスでは定石です。ただ、商材によって、問い合わせや資料だと数が足りない場合は、セミナーなどを後から準備をしていく形になります。

ビジネスの状況によってコンバージョンポイントを増やしていく

部署を立ち上げたばかりや創業期などの場合は問い合わせ資料請求のみが好ましいです。営業やマーケティングが組織化ができてない状況でホワイトペーパーやセミナーを通じてリードを増やしても対応ができず、受注につながらないことがあるので初期はシンプルなコンバージョンポイントの設計にしましょう。

人数が増え組織化が進んだり、顕在層へのアプローチが頭打ちしてきた段階でホワイトペーパーやセミナーなどコンバージョンポイントを増やしていくのがおすすめです。

また、まだ世の中に普及していなかったり、ニーズに気がついていない企業を対象とするような商材(たとえばスタートアップが提供しているような新規性が高いサービスや組織コンサルティングなどが挙げられます)の場合は、商材の有効性を説明してニーズ喚起を行う必要があります。

たとえば「組織コンサルティング」の検索数をGoogle キーワードプランナーを見ると月140件ほどしか検索されません。このような商材の場合は、潜在層にうまく訴求ができてないのでお問い合わせや資料請求などのコンバージョンだとリード数がどうしても足りません。

そこでニーズ喚起しやすいセミナーやホワイトペーパーを主軸にリードを集めて、商談や受注を増やしていくとうまくいくことがよくあります。

このように商品やサービスの特性を理解し、ニーズの顕在化度合いに合わせてコンバージョンポイントを用意していくのがおすすめです。

コンバージョンポイントの広告運用で活用するには?

ここからはコンバージョンポイントを増やし広告運用を行う場合の注意点を記載していきます。

コンバージョン単価だけではなく、商談化率や受注単価までより意識して運用する

上記の図のようにハードルが低くなればなるほど、コンバージョンポイントごとにコンバージョン単価が安くなります。

ただ、ホワイトペーパーなどハードルが比較的低いコンバージョンポイントだとコンバージョン単価が安くなる分、商談までの時間が長くかかったり商談化する確率も低いケースが多い傾向があります。

運用型広告によって獲得しているコンバージョンがビジネスにとって有効か、コンバージョン単価だけではなく、その後の商談化や受注単価までを追って見ていき、最終的な費用対効果まで見て判断することが大切です。

コンバージョンポイントごとにコンバージョン値を設定した運用も視野に入れる

運用型広告に限りませんが、すべての方がコンバージョンのステップを順番通りに踏んで受注に至るわけではありません。

同じ広告からでも、各コンバージョンポイントに繋がるケースも少なくありません。より上段のコンバージョンを獲得した場合には、段階に応じた評価をし広告プラットフォームにフィードバックしてあげることで、広告の費用対効果を最大限に高められる可能性があります。

Google 広告やYahoo!広告では、コンバージョンのポイントごとに「コンバージョン値」というかたちでそれぞれの価値を割り当てられます。これにより価値の違いを踏まえて広告の成果を改善していくことが可能です。

複数のコンバージョンポイントを活用するBtoBではおすすめの運用方法です。詳細は以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。

広告媒体に合ったコンバージョンポイントを選ぶ

広告を配信する媒体によっても、広告の目標とするコンバージョンポイントの向き不向きがあります。

たとえば、検索広告であれば、業務中に導入を検討しているサービスを調べていて、そのまま資料請求やお問い合わせなどをするケースが多いですよね。一方で、FacebookやInstagramなどのSNSは情報収集モードで見ているのではなく、時間が余ってなんとなく見ていたり、移動中だったりで見られていることがほとんどです。

そのため、お問い合わせを狙う広告を配信するより、ホワイトペーパーやセミナーなどハードルが低く、衝動的に申し込みができるコンバージョンポイントでの配信がマッチすることが多いです。

コンバージョンポイントごとに適切な広告媒体を選定し配信をしていきましょう。

コンバージョンポイントを設計してから広告運用を始めよう

これまでコンバージョンポイントの設計を見直して広告運用をするだけで商談数や受注数が増えたりした事例を数多く見てきました。

正しい設計をするだけで効果が出ることはほんとうに多いです。今回紹介した内容を元に広告主のコンバージョンポイントの設計を見直して、ぜひ明日からの広告運用に活かしてもらえれば幸いです。

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