BtoBマーケティングで注意したい、”質”を意識したリード獲得のポイント

BtoBマーケティングで注意したい、”質”を意識したリード獲得のポイント
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「リードの質が悪くて商談や受注に繋がらない……」

主にBtoB向けマーケティングに従事されている企業では多い課題なのではないでしょうか?私もBtoB向けの広告運用やコンサルティングをさせて頂くことが多いのですが、必ずと言ってもいいほど出てくる課題です。

今回の記事ではBtoBマーケティングにおける「リードの質」に対してどのように捉えればよいか?というテーマでお話ができればと思います。


そもそも質の良いリードとは?自社にとって質の良いリードを定義する

定義できないものは、管理できない。

管理できないものは、測定できない。

測定できないものは、改善できない。

ウィリアム・エドワーズ・デミングという統計学者の方が上記の言葉を残しています。私もBtoB向けの広告運用やコンサルティングを行う際に必ず確認することは「自社にとってのリードの質を定義していますか?」ということです。

「リードの質」の高い低いを十分に議論できておらず定義が、あいまいになっているケースは少なくありません。定義があいまいなものは冒頭の言葉の通り、管理や測定ができないため、改善することができず、目標としては適当ではありません。

  • ターゲットがズレて商談や受注に繋がらないのか?
  • ターゲットは合っているか検討段階が進んでいなく商談化のタイミングではないのか?
  • セールスサイドのクロージング力が弱く、リードの質が悪いとみなされているか?

これらのように、どこに問題があるのかを把握するためにも、リードの”質”と呼んでいるものが自社にとって明確かはあらかじめしっかりと定義できている状態が大前提として必要です。

リードの質を3つの軸で評価する

それではどのようにリードの質を定義すればいいのでしょうか?

私はフェーズ、ターゲット、ブランド理解の3つの軸で判断することをおすすめしています。

課題に対するフェーズ

BtoBに限りませんが、サービスを必要な状況でない相手にサービスや商品を売り込んでも、商談に繋がったり受注できる確率は下がってしまいます。場合によっては自分には関係ないとさえ思われてしまうかもしれません。

例えば、採用支援サービスに当てはめるのであれば以下のように3つのフェーズに分けられます。

課題に対するフェーズ採用における例
①課題を認識していない採用が必要だと思っていない
②課題を認識している採用しようと思い始めたが急ぎではない
③課題をすぐに解決したい急ぎで採用したい

課題に気が付いていない、課題に気が付いている、解決手段を探しているなどといった、企業ごとに様々な段階があります。

セールスから見ると今すぐ、契約してくれるリードが質が高いと考えるので解決手段を探している顧客がたくさん集まると良い状況になります。よってフェーズが後半になればなるほど、質が上がってくる可能性が高いです。

一方、フェーズ後半の選定段階から声をかけられると、どうしても良さが伝わらなく、合い見積もりで価格勝負になるということもあります。一概にフェーズの後半が集まるのもいいかと言われるとそういうわけではないかと考えます。フェーズの前段階でしっかりと自社の良さを伝えてから選定に移ることができれば他社に流れることなく、受注することができます。

そのため、フェーズの質についてはリード取得段階でコントロールするというよりは、インサイドセールスやフィールドセールスの段階でコントロールするのがいいかなと個人的には考えています。

ターゲット

企業規模や業種、役職がこの部分に当てはまります。企業規模の部分だと売上規模◎億円や従業員数などを軸にターゲットに当てはまるか考えます。たとえば人事労務管理などのサービスであれば、従業員数3人の企業では必要性が低く、従業員数100人以上などの人事労務に関する悩みや課題を持っている企業の方がターゲットとして適正考えられます

業種特化型のサービスを展開しているケースだと、そもそもターゲットにしている業界のリードではないとターゲットとして適切ではありません。

また、BtoBでは決裁者が誰かを考える上でアプローチしたい役職を考えることも重要です。一般社員と役職者では響く訴求も変わってきますよね。

ブランド理解

CEB Marketing leadership Councilの調査によれば、法人の購買プロセスのうち57%までが、営業担当者に会う前の事前調査で終わっていると言われています。

BtoBでも昔ほど営業担当に直接聞かなくても情報がインターネット上で集められるようになっています。購買プロセスの初期段階で自社を知ってもらうことが重要になります。また、知ってもらってからも様々な角度から情報提供を行い、自社のことを理解してもらえれば商談もスムーズに進むことが多いです。

広告運用で獲得したリードがどの段階のリードなのかを可視化することでリードの質を定義することができますね。

今回ご紹介した3つの軸はあくまで一例ですので、組織やチームにあった軸をまずは検討してみるのがよいでしょう。

リードの質を意識して広告運用をする時に注意すべきこと

リードの質を意識して広告運用する時の注意点を紹介します。

施策ごとでリードの質が変わる

施策ごとで流入してくるリードの質が変わることを意識しましょう。たとえばホワイトペーパーなどはコンバージョン単価が比較的安く獲得できますが、検討フェーズの初期段階に当たる方々が増えるので、リードの質という面で見ると低いことが多いです。

一方、上記マップ右下の問合せや資料請求は比較的、検討フェーズの後半に当たる解決初段を探している人たちのダウンロードが多いので質が高く商談化に繋がります。

このように施策ごとでリードの質が変わることを把握していないと、その後に対応が鈍くなることがあります。たとえば、ホワイトペーパーはすぐ商談化に繋がらないから辞めてしまうなどですね。そもそもすぐに商談化に繋がらないので、商談までに引き上げる施策を挟んだり、セミナーに誘致するなどが考えられます。施策の前提を理解した上でアクションを起こすことが大切です。

質の高いリードを意識しすぎると機会損失が生まれる

セールスから「なるべく商談化率の高いリードをパスしてくれ」とオーダーをもらうことも多いのではないでしょうか?その場合、上記マップの右下の施策を増やしていくことが考えられます。その考え方は正しいと思いますが、機会損失している可能性があることを忘れてはいけません。

3:10:27:60の法則というものがあります。

ハーバード大学の研究から生まれた理論なのですが、全ての集団は3:10:27:60の割合で構成されるというものです。

こちらを顧客管理システムであるCRMのBtoBマーケティングに当てはめてみましょう。

  • CRMの商品名で検索する人が3%
  • 「顧客管理やり方」など悩みで検索する人が10%
  • ざっくりな課題を抱えているけど何も取組んでない60%
  • そもそも興味が無い27%

ざっとこんな感じで当てはまるでしょうか。BtoBマーケティングだと今すぐほしい人、導入を検討している人が全体の中の13%くらいなのに対して、課題は抱えているけど必要性を感じていないのが60%以上となります。

つまり、すぐに商談や受注に至るリードばかり追いかけていると市場全体の13%にしかアプローチできておらず、残りの60%以上は機会損失している可能性があります。

そのため、アプローチできていない60%以上の潜在顧客をホワイトペーパーやセミナーなどを活用しリストを取得します。そしてインサイドセールスやメルマガなど定期的にコンタクトを取り、角度を上げていき、商談や成約につなげていく必要性があります。

セールスにパスするラインを定め、商談化にはまだ遠いリードを引き上げる施策を組み合わせよう

ここまで自社でのリードの質が高いユーザーを定義し、施策ごとにリードの質が変わることを把握してきました。次に獲得したリードごとにステータス管理をすることをおススメします。

上記の図のように特定のアクションをしたら次のフェーズに進行し、あるフェーズになったらセールスサイドにパスをするという形で管理をすれば、どのフェーズが全体の進捗率を止めているのかが分かる為、ボトルネックが見つけやすいです。

セールスにパスできる状態ではないリードであれば、セミナーやホワイトペーパーなどの施策を挟み次のフェーズに引きあがるような施策が考えられるでしょう。

ただ自社の扱っている商材や業界によって状況が異なる為、最適な管理方法を模索してみましょう。

CPAやコンバージョン数だけではなく、質を意識してリードマネジメントに取り組もう

リードの質を考えずにコンバージョン単価を下げるのはそんなに難しくないかと考えます。なぜなら上記図であれば左上の施策を実施することでコンバージョンのハードルが下がり、コンバージョン単価は下がります。

しかし、すぐ商談化に繋がらないリードばかり増えても売上には直結しません。そのため、現在の事業フェーズや状況に合わせてリードの数や質をコントロールする「リードマネジメント」という概念が必要なのではないでしょうか。

おもに広告運用に携わっていると様々な媒体を運用し、媒体ごとのリードの質に詳しくなると思うので広告運用こそ「リードマネジメント」を意識して取り組んでいきたいですね。

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