Google Search On '22 から見える、Google 検索の少し先の未来を考えてみる

Google Search On '22 から見える、Google 検索の少し先の未来を考えてみる

2022年9月28日(米国時間)に開催された Google のイベント Search On '22 では、Google 検索と Google マップの最新の取り組みが発表されました。

本記事の執筆時点では新機能として日本で展開されるものは少なめですが、Google が検索ボックス(日本だと検索窓とも呼ばれる)を超えた検索体験をどのように提供するかというテーマが中心の内容となりました。

今回は Search On '22 の発表を受けてGoogle 検索がどのように変化していくか、そこから検索エンジンマーケティング(SEM)がどのように変わっていくのか、ちょっとだけ先の未来を考えてみたいと思います。



検索はより直感的なものに

Google Search On '22 では様々な新機能が発表されましたが、直近日本でも対応予定の機能としては「マルチ検索」「より直感的なショッピング検索」「Google マップにおける人気スポットや見どころ表示」などが挙げられます。

本記事で紹介する新機能はほんの一部なので、その他の新機能については下記の公式ブログ記事を参考にしてみてください。

参考:Google Japan Blog: 検索窓の枠を超えて:より直感的な検索の実現に向けて

参考:Search On 2022

マルチ検索

画像引用元:Google Japan Blog: 検索窓の枠を超えて:より直感的な検索の実現に向けて

マルチ検索は Google レンズを使い、撮影された写真やスクリーンショットに検索キーワードを加えて検索ができる機能です。上図で示すマルチ検索では、シャツの写真に「tie」(ネクタイ)というキーワードを追加することで、シャツと同じ柄のネクタイを探す事ができるという例を表しています。

シャツの柄のように、そのシャツを持っていないかぎり柄の名称を言語化することが難しいようなケースなど、誰しもがこんな機能があればなと思っていたものが実現しました。

より直感的なショッピング検索

画像引用元:Google Japan Blog: 検索窓の枠を超えて:より直感的な検索の実現に向けて

ショッピング系ではダイナミックフィルタが紹介されています。この機能は日本でも実装済みで、商品検索を行った際に表示されるフィルタの順序が動的に変わるというものです。

上図は、「shop jeans」という検索語句で検索した場合の例です。「Wide leg」「Boot cut」というフィルタが先頭に表示されていますが、この順序は人気のテーマが上位にくるような仕組みになっており、「ジーンズ」で検索した場合は「ワイドレッグ」と「ブーツカット」がそのときの人気であることが示されています。クリックすることで検索語句も「ジーンズ」→「ワイドレッグジーンズ」→「ワイドレッグブーツカットジーンズ」と変化していることも伺えますね。

日本での実装は未定ですが「Nearby」というフィルタを選択することで、在庫がある近くの店舗の商品が表示されるのでローカル在庫広告などとも親和性が高い機能になっています。

Google マップにおける人気スポットや見どころ表示

引用元:Google Japan Blog: 検索窓の枠を超えて:より直感的な検索の実現に向けて

Google マップで調べたいエリアを検索すると、そのエリアの人気スポットや見どころが地図上に表示されるようになる機能です。そのスポットを訪れたユーザーが投稿する写真つきでそれらが表示されるようになるので、どんなところが人気スポットなのか、その雰囲気はどんな感じなのかを知ることができるようになります。

Google への接触時間が増えれば広告収入も増える

マルチ検索やマップの拡張表示など、現状では Google しか提供できていないような機能を提供することは、ユーザーにとって Google を利用する理由(選択肢)が増えることも意味します。

例えば、人気のレストランを調べる為に Instagram で検索していたユーザーも、今後予定されているアップデートによってGoogle マップ上で料理だったりお店の雰囲気が分かるようになればそれを利用する機会が増えるかもしれません。Instagram と Google では世界観や利用目的が異なるので、多くのユーザーが Google マップだけあれば良いと思うようになるとは思いませんが、Google という1つのプラットフォーム内で完結するのならばその方がラクと感じる人は少なくないでしょう。

話を元に戻します。このような便利でかゆいところに手が届く機能が提供されることによってユーザーの利便性が上がり、結果的に Google との接点が増えれば Google の広告収入が増えます。広告文脈で例えますが、接点が増えればインプレッションが増えるのでクリック数も増え(クリック率がそれ以上に低くならなければ・・・ですが)広告費も増えるからというのが理由です。

Google 検索であれば、ショッピングコンテンツのリッチ表示が増えることでショッピング広告の収益が向上しそうですし、Google マップであればローカル広告からの収益が向上しそうです。現時点でこれらの機能アップデートはあくまでも広告に対するものではないので、直ちに直接的な影響を与えることはありませんが、広告の表示をどのようにして Google 検索や Google マップにブレンドしていくかは検討されているはずなので、長期的には広告による収益改善に繋がるものと筆者は考えます。将来的にどのような広告スロット(広告枠)が提供されるか予想はつきませんが、「どんなに新しいフォーマットでも Google 広告から得られる価値を最大化できるよ!そう、P-MAXを使えばね。」という未来になることは十分あり得そうです。

Google が広告収益向上を見込んでいるとすれば、広告主にとってもチャンスが到来することになります。広告主や広告運用者それぞれが、近い未来に訪れるであろう広告側の変化に対して今のうちから何ができそうかというのは考えておいて損はありません。

変化の波にどのようにして乗っていくか

話がそれますが、SEOによってWebサイトのトラフィックを増やすためには何が必要か?という問いに対し、様々な表現はあれど Google は様々な場で「良質なコンテンツを用意することである」と。触れています。

参考:SEO スターター ガイド: 基本 | Google 検索セントラル | ドキュメント

参考:ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) | Google 検索セントラル | ドキュメント

今回の Google Search On '22 では Google 検索結果や Google マップの表示のリッチ化に焦点が当たっているので分かりにくいですが、ショッピング系であればデータソースは Google Merchant Center だったり商品構造化データのマークアップで、Google マップのビジネス情報であれば Google ビジネスプロフィールの情報とユーザーの投稿がそれぞれデータソースとして使われることになります。

そのため、ショッピングコンテンツで言う良質なコンテンツとは「商品情報そのもの」に関する質で、Google マップで言う良質なコンテンツとは「ユーザーからの投稿」や「ビジネス情報」に関する質であると考えてよいでしょう。

ショッピングコンテンツに必要な商品情報であれば正確かつ網羅された商品情報や商品画像を Google に送信することが考えられますし、Google マップに必要な「ユーザーからの投稿」はビジネスの質を高めることでサイテーションや適切なレビューを増やす、「ビジネス情報」はお店の情報を正確にユーザーに伝えたり、最新の情報を投稿して発信するということが考えられます。

つまり、ひと言で表してしまえば、Webサイトだけ運用していれば良い時代は完全に終わりを迎え、複数の Google プロダクトへの理解や運用が必要になってきたフェーズに既に突入していると言えますね。

因数分解してみると新たに何か取り組むというよりは既に取り組める事が多いので、Search On '22 で紹介された新機能がいつ適用されても対応できるような状態を、今のうちから 整えておけると良いでしょう。

Google 検索結果がコンテンツとして消費されるようになりつつある

いまの世の中、 TikTok や YouTube ショートに代表されるような短尺で脳を刺激するコンテンツに慣れてしまっていることもあるせいか、 短時間で直感的に好きかそうでも無いかを判断されることが多くなってきている気がします。検索がより直感的になるということは返される結果も直感的に理解できるものであることが求められると思うので、テキストだけでなくより視覚に訴えかけるものを整備していくことが必要になっていくでしょう。

筆者としては、一連の検索行動がより直感的なものになるにつれて、やがて検索結果自体がコンテンツの集合体になっていくような気がしています。それ自体が悪いことだとは思いませんが、検索語句とその検索結果次第では Google 検索だけで完結してしまうゼロクリック検索もさらに一定数増えることになるのではないかと予見しています。

今回の Search On '22 で紹介された視覚的な検索結果や新機能はどれも施策として取り組みたいものばかりです。一方で、どんどん視覚的になる Google 検索結果に対応するためのリソース、得られるであろうトラフィック(コンテンツとして消費だけされてしまっていないか)などは十分検討した上で取り組むべきだと考えます。これらに対応することが目的になってはいけません。トラフィックの獲得手段は Google 検索だけに限らないので、特定の手段に依存することない形で集客は推し進めていきたいものですね。

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