Google 広告の「コンバージョン値のルール」とは?機能と設定方法を解説

Google 広告の「コンバージョン値のルール」とは?機能と設定方法を解説
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Google 広告で計測されるコンバージョン値を、コンバージョンしたユーザーの属性によって、調整できる機能「コンバージョン値のルール」が登場しました。

参考:コンバージョン値のルールについて - Google 広告 ヘルプ

現在(2021年7月時点)は、一部のGoogle 広告のアカウントで確認できています。順次すべてのアカウントへ実装されていくものと思われます。

この記事では、「コンバージョン値のルール」の機能や使い方について解説していきます。


コンバージョン値のルールとは

ユーザーの属性に基づいてコンバージョン値の処理に関するルールを事前設定し、コンバージョンに至った際に計測されるコンバージョン値をそのルールによって、入札戦略とレポーティングで重み付けできる機能です。

設定可能なユーザー属性のタイプは下記の3つです。

  • 地域
  • オーディエンス(ファーストパーティーデータ、またはGoogle 広告のオーディエンスリスト)
  • デバイス(モバイル、PC、タブレット)

また、コンバージョン値の最大化、または目標費用対効果のスマート自動入札を使っている検索広告とディスプレイ広告、ショッピングキャンペーンが対象となっています。

コンバージョン値の計測にビジネスの現実をより正確に反映

Google 広告に限らず運用型広告では、管理画面に上がったコンバージョン値は
必ずしもビジネスにとって「正確な収益」になるわけではありません。コンバージョンしたユーザーの属性によってそれが大きく変わることは珍しくありませんし、打開策を求めていた広告運用者も少なくないのではないかと思います。

例えば、「A地域のリードはB地域と比べてビジネスに繋がりやすいから、その価値の違いを入札にも反映したい!」あるいは「ユーザーの属性による返品率が異なるので、より正確な収益をレポーティングできればいいのに…」など、様々なビジネス状況が考えられるでしょう。

具体的な例を挙げましょう。

リード獲得を目的としたキャンペーンを運用し、リードの価値として一律で10,000円のコンバージョン値が付くように設定されているとします。

一見、コンバージョンの価値は全部同じように見えるのですが、例えば、実際に営業陣に聞くと、大阪からのリードが他の地域よりもビジネスに繋がる確率が1.2倍高い、と分かったら、このままの計測でいいのか、という疑問が浮上するでしょう。

従来の設定では、この違いがレポーティングにも反映されなければ、自動入札でも評価されませんが、上記のようなユーザー状況によって変わるコンバージョン値を今回発表されたコンバージョン値のルールでより正確に処理されるようにできるのではないかと思われます。

コンバージョン値のルールを使うと、今後、大阪のユーザーからコンバージョンが計測された場合、そのコンバージョン値(例:10,000円)を1.2倍で処理するように設定でき、次のように、Google 広告上で簡単に重みづけを調整することが可能です。

  • 大阪のリード :12,000円
  • その他のリード:10,000円

では、設定方法を見ていきましょう。

コンバージョン値のルールの設定方法

画面右上メニューから「ツール」を選択し、ドロップメニューから「コンバージョン」をクリックします。

左パネルから「価値のルール」を選択し、「コンバージョン値のルールを作成」をクリックします。

次に、ルールの条件を決定します。コンバージョン値のルールにはメインの条件と予備の条件がありますが、メインの条件だけが必須です。設定するためにドロップメニューから「デバイス」「地域」「オーディエンス」を選択します。

さらに条件を絞り込みたいときに予備の条件も設定できます。メイン・予備の条件はANDというロジックで機能しているため、例えば、地域を「東京」に、デバイスを「モバイル」に設定した場合、東京にいてモバイルを利用したコンバージョンユーザーにしかルールが当てはまりません。

次は条件が成立したときの調整方式を設定します。追加と乗算の2つから選べますが、追加の場合は0より大きい値が入力可能で、乗算の場合は0.5~10まで入力できます。

条件と調整方式を選択後、右上に設定のプレビューが表示されます。

最後に「保存」をクリックすると完了です。

※ご参考: コンバージョン値のルールのセットアップ - Google 広告 ヘルプ

コンバージョン値のルールの注意点

同時に複数のタイプのメインの条件は不可

いくつかのルールを設定した場合、メインの条件は全部同じタイプでなければなりません。例えば、1つ目のルールのメインの条件は「地域」であれば、その他に作成するルールのメインの条件も「地域」 に設定する必要があります。メインの条件のタイプを変えたい場合(例えば、地域からデバイスへ)既存のコンバージョン値のルールを削除してから一から作り直すことになりますので、要注意です。

メインと予備の条件を同じタイプに設定できない

同じルール内のメインの条件と予備の条件は別々のタイプに設定する必要があります。例えば、メインの条件「地域」に設定した場合、予備の条件も「地域」に設定できません。

コンバージョン値のルールが重複する際

これだけ条件を設定できるコンバージョン値のルールですが、1人のユーザーが同時に複数条件に当てはまるケースも考えられますよね。その場合はどのルールが適用されるか見ていきましょう。

地域条件の重複:

複数ルールの地域指定が重複する場合、場合はより詳細なルールが当てはまります。例えば、①東京都にいるユーザー向けのルールと②東京都の一部である三鷹市のユーザー向けのルールがそれぞれ設定されているとします。三鷹にいるユーザーにはルール②が適用されます。

オーディエンス条件の重複:

ユーザーは同時にいくつかのオーディエンスに所属していることも珍しくありません。オーディエンス条件が重複する場合は下記の優先順位で当てはまるルールが決まります。

  1. カスタマーマッチ
  2. リマーケティングと類似ユーザー(Google 広告・YouTubeを問わず)
  3. アフィニティ カテゴリと購買意向の強いオーディエンス
  4. 詳しいユーザー属性オーディエンス

※デバイスは重複することはないので該当なし。

クロスアカウントコンバージョントラッキングの場合

複数Google 広告アカウントを跨いでコンバージョントラッキングが設定されている場合、クライアントセンター(MCC)アカウントからしかコンバージョン値のルールの設定を行うことができません。

まとめ

地域、デバイス、オーディエンスなどのユーザー属性によってコンバージョンの価値が著しく変動することがあります。

ただ、従来のコンバージョントラッキングだけではなかなか価値の違いを可視化できず、今までは手動のデータインポートで調整したり、タグを細かく編集したりなど、より正確に収益を反映するために広告運用者が様々な工夫を強いられたと思います。

今回のアップデートは、このような悩みを持っている広告運用者には嬉しい情報ですね。

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